AIエージェント時代のSaaSを議論した記事まとめ

従来型SaaSの終焉
- AIエージェントの登場でUI・ビジネスロジックが動的に生成される時代へ
従来のSaaSでは企業ごとに作り込まれた機能や画面が強みだったが、AIは必要に応じてコードを“使い捨て”で生成し、固定的なUIやロジックを不要にする。- マイクロ・サービス化とベンダー・ロックインの解消が実現する世界へ
データの入出力をAPIで行うシンプルなモジュールに集約されるため、オープンソースでも十分に対応可能。これによりベンダー・ロックインからも解放されやすい。- エンタープライズ業務がAI中心に変わる
入力代行・データ解析・レポート作成・戦略提案までAIエージェントが行い、人間は意思決定に専念できる。たとえば会計ソフトも、人が入力しなくても自動仕訳・自動決算ができるようになる。- Microsoft CEOも「すべてがエージェントに置き換わりうる」と示唆
ExcelやWordといった一般アプリケーションですらAIエージェントに置き換わる可能性がある、とCEO自身が明言。この流れは加速していく見込み。

SaaSのビジネスモデルの変化
SaaS is Function
実際に内容を聞いたうえでの私の考えで行くと、SaaS is Deadというよりは、SaaS is Function(SaaSがAIが動かす関数・手足のone of themになる)という話かなと思います。従来SaaSでカバーすべき考えられていた範囲を超えて、より非構造な領域も含めてアウトカムを提供しに行くようにリポジショニングしないと既存のSaaS企業は死ぬよということだと思います。
今後起こる競争は、「既存のSaaS企業がより狭く定義されたAI Agentを素早くデプロイする」 VS 「新興勢力が生成AIによってカバー範囲が広がったVertical AIから中核のワークフローにのぼってくる」という競争です。
SaaS * AIエージェントのSI及びコンサルティング
AIエージェントの技術到来は、スタートアップによる大企業向けSIer市場が実現できる産業革命が起きる機会です。従来まで大規模開発部隊とプロジェクトマネジメントのリソースが必要だった市場が、技術上の偏差と少人数での開発体制により実現できるため、この巨大市場が生まれ、それはSaaSによる余白よりも大規模であると予測されます。
今後、AIエージェントのサービス提供とあわせて、AIエージェントを活用したバックオフィス向けのAXコンサルティングの提供も行っていきます。
すでに、これまでグループ会社のナレッジラボやアウトルックコンサルティングでは、500社を超える企業様のバックオフィス業務のコンサルティングを行ってきました。また、マネーフォワードエックスでは、20を超える金融機関様向けのコンサルティングを行っています。これらの経験を元に、今後はSaaSだけでは効率化できなかった業務に対してAIを活用し、お客様のさらなる業務効率化や企業成長をサポートしていきます。

SaaSに繋ぐAIエージェントに求められるUI/UX
- 自然言語インタフェース: 基本はチャットや音声で対話するUIになるでしょう。専門領域の用語も理解できるAIなので、ユーザーは業界の言葉で質問でき、そのまま答えが返ってくる体験が理想と考えます。
- ガイド付きの対話インターフェス: とはいえ、何でもフリーフォーマットにするとユーザーが何を聞けるか迷うこともあります。そこでボタン選択やフォーム入力を組み合わせ、適切な質問のテンプレートを提示するなどガイド付きUIを提供するのも効果的です。専門性が高い分、初心者ユーザーでも扱えるような補助が必要です。
- 出力結果のエクスポート/共有: AIエージェントが作成したレポートやプランを、そのままSaaS内のワークフローに組み込んだり、PDF/Excelに出力したりといった連携UIも求められます。Vertical SaaSならではの各種業務機能とAIをシームレスにつなぐ設計です。
- 説明可能性の確保: AIの結論や提案に対し、「なぜそうなったか」をユーザーが確認したい場面も出てきます。例えば、垂直型AIエージェントの回答に、どのデータポイントが使われたかをハイライト表示したり、根拠となる社内ドキュメントの引用リンクを示すなど、AIの思考過程を部分的に見せるUIがあると信頼性が高まると思います。
- 人間へのエスカレーションUI: 完全自律に任せず、Human-in-the-Loop の考え方に基づいて、人間が結果を確認して承認するフローもUI/UXでサポートすべきと考えます。例えば「AIが下書きを作りました。提出しますか?」という確認画面や、AIでは判断できないケースで人間担当者に意思決定を引き継ぐボタン設置など、人間との協調UIが必要になります。
共通して言えるのは、AIによって従来の体験が根本から変わる以上、データ設計とUX設計をゼロベースで見直すべきということ。場合によっては、一から作り直したほうが早いケースもあります。
従来のSaaSでは、特定のペルソナに最適化された生産性の高いワークフロー、いわゆる「ハッピー・パス」を考えて、それをベースにプロダクトを設計してきました。できるだけ広い層に使ってもらい、ビジネスを拡大し、そこからバーティカルに市場に届けていくというアプローチです。
しかし、LLMや生成AIの時代では、この考え方が大きく変わりつつあります。最も大きいのは「最善のUX」を厳密に定義する必要がなくなってきていること。これにより、従来のSaaSプロダクト開発手法とは異なるアプローチが求められています。

プライシング
シートベースの課金モデルからの変化
デリバリーモデルとは、そのツールやサービスの提供の仕方という意味だが、デリバリーモデルの中でも、特にプライシング(価格設定のあり方)が変わるとMotamedi氏は主張する。同氏によると、今はユーザーごとに料金を請求するシートベース(ユーザーベース)の課金モデルが一般的だが、今後は基本料金(シート)と使用量に応じた料金(ワーク)の組み合わせであるシートプラスワークモデルや、実際に何回サービスにアクセスしたかというAPIコール数や、処理データ量のみに基づく従量課金のワークオンリーモデルも増えてくるだろうという。
トークンベースのプライシング
AIの世界では、トークン=バリューだと考えています。だからトークンベースのプライシングで勝負すべきだと思います。お客さまにとっても理解しやすく、「よくわからないのに月額料金だけ増えている」という状況より、「1回のクリックでこれだけの生産性向上」という形で価値が可視化できるほうが納得感がありますから。
成功報酬やハイブリッドモデルの可能性
3.1 Decagon (使用量に比例した従量課金)
3.2 Clay (Tシャツ型従量課金)
3.3 Chargeflow (成功報酬)
3.4 Intercom - Fin (成功報酬型+ID課金のハイブリッド)