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3分で理解する心理的安全性

2024/07/22に公開

はじめに

この記事では「心理的安全性」の書籍を今更ながら読んだ著者が学んだ内容をまとめてみました。
私と同じように心理的安全性を何となくで理解している人の参考になれば嬉しいです。

心理的安全性とは

心理的安全性とは組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態のことです。
このためにはメンバー同士の関係性で「このチーム内では、メンバーの発言や指摘によって人間関係の悪化を招くことがないという安心感が共有されている」ことが重要です。

心理的安全性に必要なもの

具体的には心理的安全性には以下の4つの因子が必要だそうです。

  • 話しやすさ
    何を言っても大丈夫
  • 助け合い
    困った時はお互い様
  • 挑戦
    とりあえずやってみよう
  • 新奇歓迎
    異能、どんと来い

話しやすさ、助け合い、挑戦に関しては文字通りですが、新奇歓迎に関しては自分と異なる考え方や多様性を受け入れるというような意味合いです。

心理的安全性の妨げとなるもの

逆に心理的安全性の妨げるものとして、以下の4つの不安があります。

  • 無知」だと思われる不安
    質問や確認をしたくても「こんなことも知らないのかと思われないか」と不安になり、発言できなくなってしまう
  • 無能」だと思われる不安
    ミスや失敗をしたときに「仕事ができないと思われるのではないか」と不安になり、自分の弱点や失敗を認めなかったり、ミスを報告しなくなってしまう
  • 邪魔」だと思われる不安
    気になることがあっても「話の邪魔をしていると思われないか」と不安になり、発言や提案をしなくなってしまう
  • 否定的」だと思われる不安
    改善の提案をしたくても「他の人の意見に反対しているのではと否定的に捉えられないか」と不安になり、現状の批判をしなくなったり、意見があっても言わなくなる

これらの不安がなくなることで、チーム内での発言や建設的な提案が増え、チームの学習が促進されることでパフォーマンスの向上に繋がります。

心理的安全性に関するよくある間違い

「心理的安全性=アットホームな職場」ではない

アットホームであることは悪いことではありませんが、社員同士の和を重んじすぎると、上司の発言に忖度をしたり、反対の意見を言いにくいということがあると思います。

心理的安全性の高いチームでは議論が活発に交わされるため、場合によっては自分の意見が否定されることも受け入れる必要があります。

「心理的安全性=ぬるい職場」ではない

心理的安全性とは仕事のパフォーマンスを向上させるための概念です。

心理的安全性が高くても、クオリティの低いアウトプットでも許されたり、納期も厳しくないような仕事の基準が低い職場の場合は「ぬるい職場」となり、仕事のパフォーマンスも低く、心理的安全性を有効に機能させることができません。

反対に、心理的安全性が高く、仕事の基準も高い職場の場合は健全な議論によってチームの学習が促進され、アウトプットのクオリティも高まり、仕事のパフォーマンスも高くなることで心理的安全性が有効に機能します。

「心理的安全性=言いたいことを好き勝手言える環境」ではない

メンバー同士が互いに安心して発言や意見が言えるからといって、各々が組織の利益という目的を忘れて好き勝手なことを言って良い訳ではありません。

心理的安全性が高く、仕事の基準も高い組織では意見の「衝突」が頻繁に発生します。

経営学の一分野である組織論では「衝突」という概念に対して以下の三つを定義しているそうです。

  • 人間関係」の衝突
    人の好き嫌い
  • タスク」の衝突
    同じ問題や事象について意見が異なること
  • プロセス」の衝突
    「それはウチの仕事ではありません」とたらい回しになってしまうような状況

心理的安全性では「人間関係」「プロセス」「タスク」のうち、「タスク」に関してだけは意見の衝突があっても業績にプラスの影響があるという研究結果が出たそうです。

個人の損得や、他人に対しての悪口ではなく、チームとして同じ問題を解くために意見を出し合えるかという点が心理的安全性では重要なのだと思います。

心理的安全性を高めるために重要な心理的柔軟性

心理的安全性に似た概念として「心理的柔軟性」があります。

心理的柔軟性とは 「今、この瞬間」に起きていることへの気づきを維持しながら、自分にとって大切な価値観に集中して、効果的な行動をおこなう能力のこと です。

例として、タスクに対しての疑問を感じていながらも、「こんな質問をしたら無知だと思われないか」という感情が生まれて質問ができなかったとします。

心理的柔軟性を考える上で重要なのは「疑問点について質問をする」という行動と、「こんな質問をしたら無知だと思われないか」という感情をいかに切り離して考えることができるかという点です。

個々人が心理的柔軟性を高めることで「こんな質問をしたら無知だと思われないか」という感情が生まれているということを認識しながらも、今は仕事を成功させることに集中をして「疑問点について質問をする」という行動に移すことができるようになります。

また、リーダーの心理的柔軟性が低いと仕事を成功させるための行動よりも、自分の感情を優先してしまい、個人を責めるような言動に繋がりやすくなってしまいます。その結果、責められたメンバーの心理的柔軟性も下がるということに繋がりやすいため特に注意が必要だと感じました。

おわりに

この記事では心理的安全性について学んだ内容を紹介しました。

心理的安全性については何となく理解はしていましたが、心理的柔軟性については私は今回初めて知ったキーワードでした。

みんなで心理的柔軟性を高めて、心理的安全性の高いチームを作っていきましょう!

参考文献

石井遼介著『心理的安全性のつくりかた』(2020)日本能率マネジメントセンター

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