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FOLIO流チームの改善フレームワーク(振り返り, スプリントミーティング編)

2021/09/14に公開

この記事 is 何?

  • 株式会社FOLIOのSREチームが実施しているスクラムの改善フレームワークの紹介
  • スクラムの中でも主要なイベントである振り返りスプリントミーティングのフレームをピックアップ
  • スクラムで開発を始めたい人、すでに始めているチームでモヤ付きを感じている人を想定している

紹介する目的

FOLIOのSREチームではスクラムかつリモートワークでの開発をしています。
そんな中でもチーム力の向上のために何の目的で・何に気をつけてチーム運営をしているのか、というのを紹介することは、「こういったチームがある」「こういうところは自分のチームでも使えるかもしれない」という一例として有益だと考えたからです。

振り返りとスプリントミーティング

現在のスクラムでは2週間でスプリントを実施しており、その切り替わり時に振り返りとスプリントミーティングを実施しています。
振り返りとスプリントミーティングは1つのMtgの枠組みで実施していて、スプリント運営に関する拘束時間の圧縮をしています。

👀 one point

振り返り時にたまたま進捗が悪かったメンバーの居心地が悪かったり、心理的負荷が上がるため振り返りの目的を明確に伝える必要があると考えています。
そのため以下の様にファシリテーターが使うページの最初に会の目的を明確に記載します。(またチーム最初期には毎回口に出して読んでいました)
会のページ

会の流れ

会は以下の流れで進めます

  1. スプリントボードの振り返り(1~2min/人)
    • StoryPoint(以下SP)の実績を振り返る
    • バーンアップボードで振り返る
  2. 次スプリントのプランニング(5min/人)
    • コスト削減チケット決める
    • ボードの整理
  3. 振り返り

スプリントボードの振り返りと通常の振り返りがありますが、前者が事実ベースの実績の振り返り、後者が文化的・技術的・生活的な振り返りになります。


スプリントボードの振り返り

やることと目的

やること 目的
スプリントの実績の確認 実現できたことの棚卸しと、見つめ直しをしてよかったところ・改善したいところを思い出すため
スプリント内で残ったチケットの見直し 次回のスプリントで引き続き実施する内容の共有やチケットの粒度の見直しのため
バーンアップ(ダウン)チャートの確認 チームが1スプリントで捌けるベロシティ(SP)を把握することで、次回以降の計画や長期のタスクの見積もりの精度を上げるため
👀 one point

スプリントボードの振り返りで実施したことを見直すことで、このあとに実施する振り返りの前の 思い出す作業にもなります。
また自分達が実現したことを俯瞰的に見つめ直すことで、更に組織や事業への貢献した部分も見直せます。


スプリントミーティング

やることと目的

通常スプリントミーティングでは次のスプリントにやることを整理します。
私達はチームの特性的に独立して動くことが多いため、次のスプリントで実施するチケットを事前に個々人で用意しています。
それにより、実際のスプリントミーティングでは、持ち寄ったチケットの優先度SPにフォーカスしてチームで検討をします。これにより0ベースから「何をやるか?」を考えるコストと時間を節約しています。

やること 目的
持ち寄ったチケットの共有 チームメンバーが必要だと思っているタスクの共有とSPの精緻化のため
チームメンバーで取り組むべき課題の見直し バックログにある他のタスクで優先度が高いものがないのか再確認するため
チケットのアサイン チケットの担当者を決めて、ベロシティに妥当性のあるSPになるように調整するため
👀 one point
バックログのチケットの優先順位

バックログにあるチケットの重要度整理は適宜しています。
dailyスクラムでバックログを確認して、重要度高/低の簡単な2分割をしています。それにより優先度高のものから優先的に対応すればよいという状態にしておき、持ち寄るチケットを選択するコストを下げています。
ただし、今は2つの問題点がありこれから改善したいと考えています。

  1. 優先度高のチケット内での優先順位付けが明確にできていない
  2. 優先度低のチケットの対応タイミングを決められない
簡単なチケットを選ぶ

SPが1や2がついている簡単なチケットを必ずアサインしています。
人間ですから集中力が切れた、細切れの時間では大物のタスクには手をつけられない、etc...という状況があります。そんなとき細かいチケットがあるとそういった場面に役に立ちます。
また、振り返りのときに消化したタスクが多いと個々人の精神的ストレスも低減されると考えています。


振り返り

やることと目的

最後の振り返りでは文化的・技術的・生活的な振り返りをします。
雑多に相談したり意見したりします。
またリモートワークということもあり、メンバー同士の相互フィードバックを大切にしています。
自分で見えない部分の変化への気づきや、チームの組織化(=not 馴れ合い)の一助としています。
こういった振り返りではKPT(Keep/Problem/Try)やPDCA(Plan/Do/Check/Action)などが使われますが、私達はKPTを延長して、ねぎらい/気になっている/Tryとして使っています。

  • ねぎらい は2部に別れています
    • メンバーに対して: 相互のフィードバック
    • 苦労したこと/頑張ったこと: 自己アピールや共有したいこと
  • 気になっていること: 良いことでも改善したいことでも、事の大小にか関わらず気になることを気軽に書く
  • Try: 気になっていることに対応するTryを考える
やること 目的
前SprintのTryの確認 Tryしてみた効果測定のため
ねぎらいと気になっていることの自由記述(6min程度) -
ねぎらいと気になっていることの読み合わせ -
気になっていることからのTryの検討 1つ以上のTryを考えるため。できるだけシステマティックに改善できる案がよい。
👀 one point
気になっていることのネーミングについて

Problemのままでもいいのでは?というのはありますが、あえて「気になっていること」に変えています。
Problem=問題となり、問題ではないしな...そんなネガティブなこと言いたくないな...という気持ちが生まれると考えました。
できる限り発言・発信の敷居を下げたかったので、些細なことでも言えそうな「気になっていること」と名前付けました。

振り返りのツール

オンライン振り返りではMiroを使っています。
オンライン上で複数人による編集ができるホワイトボード風ツールです。
以下はテンプレートと今までの実績の様子です。

緑がメンバーに対するねぎらいとなっており、各メンバーが相互に関心を持っていることがわかります。


まとめ

この記事を書いていて、とにかく発言・発進の敷居を下げつつ、発言の安全性の担保をしたいと考えていることがフレームの目的になっていることがわかりました。
また、時間的空間的制約がある中でいかにチームとして働けるようになるか、というのが主軸に改善を回してきたことを再認識しました。
チームの大きさや方向性、事業のあり方などでこのフレームが合わない、ということもあると思いますが、部分的にでも改善の一助になればと思います。

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