女性エンジニア比率50%のチーム、CTOが開けたパンドラの箱【第1回】
法人・団体専用のパーティー会場検索サイト「会場ベストサーチ」を運用する株式会社アイデアログの取締役CTOの松川と申します。
ある日の当社のSlackでのママエンジニア同士やり取り
お昼休みにSlackのtimesチャンネルをチラ見したら、添付画像のようなやり取りがあり、ママ業やりながら頑張ってくれているんだな〜と感じて、女性が働きやすい職場を目指していることをブログで書こうと思ったのでした。(ただ、後述するのですがこれは安易な考えでした・・)
このように当社には女性エンジニアが多く在籍していて、在籍女性メンバーからは概ね「働きやすい」「キャリアアップがイメージできる」という嬉しい声をいただいていて、少しでも中のようすをお伝えし、同じような境遇の組織(開発でなくても)の参考になればです。
当社開発チームのチーム構成
当社の開発チームはIT業界としては女性の在籍比率が多い(調べると女性比率は20%くらいというデータは出てきますが、開発エンジニアという枠ですとあくまで体感的ですがそこまで居ないような・・)。
エンジニアとしては6名中3名(50%)、QA部門を含めると9名中6名(66.6%)が女性社員・アルバイトとなっています(2025年6月現在)。QA部門は私の方針で、積極的に主婦層を採用することが多いので、意図したものとなりますが、エンジニア部門は女性比率にこだわっているわけではありません。女性の採用をありきで考えたわけではないということです。
ただ、結果的に当社の人材採用への考え方、スタンスが自然とこのような結果になったのかと振り返っています。
人材採用についてのスタンス
詳細は公式情報としてのコーポレートサイトの採用ページの記載をご覧いただければと思いますが、スタンスをまず重視しています。
ただ、このことだけで女性比率が上がることにはつながらなかったかと思います。
福利厚生制度もフレックスタイム制度、時短社員制度、時間休取得が認められているなどの点で実際に働きやすい、という従業員満足に寄与している点はあるかと思っています。
また、働き方の多様性を認める文化もあり、そのことが心理的なハードルを下げている背景もあるかと思っています。開発チームには多様なメンバーがいます。技術を追求したい若手の独身男性、子育て・育児との両立を目指すパパ・ママ、キャリアアップを目指す既婚女性など、男女差の前に様々な前提条件が異なるということをまず、メンバー同士で知り、認めています。そうすることで「歩幅」が違うことを認め合いうことにつながり、成長し続ける、心理的安全性の高い職場を実現できているのかな?と感じています。
これは女性に限らずですが、平等に人事評価・育成の仕組みの整備に力を入れていて、目標達成(自身の成長)とそれを育成支援するスタンスでの人材育成に取り組んでいます。
正直なところ、自己評価としてもまだまだ改善点課題は山積みと思っていて、もっと良くしていきたいと考えているので、当社の経営チームでも熱い議論があったりする部分ですが、胸を張って言えることは経営陣が頭がちぎれるくらい『本気で考え続けている』ことです。
そもそもITエンジニアにおける男女差って??
先に述べたとおり、性別の違いというのはたくさんある「違い」の中の一つの切り口に過ぎない、と私は考えています。ただ、生物学的な役割・特徴の違い、現在の日本社会の制度や伝統的な考え方、家庭ごとの考え方、お子さんがいらっしゃる場合は育児・教育方針などの多数の切り口から発生する課題を負担するのが男女差にしわ寄せが行きやすい傾向があるので、男女平等に対する議論が世間でしばしば取り上げられやすい傾向にある、と解釈しています。
その中で、特にエンジニア界隈においては男性比率が高いという特徴もあります。これには理系・情報系の学生の男女比率がそのままある程度反映されている背景もあります。適性の有無は男女関わらずある前提はあります。ただ、エンジニア適性がある女性については特に男性と差があるように感じたことはありません。2025年現在では業界23年目のキャリアがありますが、振り返ると世間比で女性比率が比較的多いチームで仕事をしてきたように思えます。
実際の働き方のリアル
今回、女性エンジニアの方に参考になる様に「働き方のリアル」というテーマで記事を書きたいと思ったわけなのですが、書くにあたって4名の女性エンジニア・QAエンジニア、加えて他社で活躍する女性エンジニア数名にヒアリングをしました。そして、私はヒアリングを始めたことをすぐに後悔しました。
そこには私が想定していた以上の苦労・葛藤・ストレス・悩み(時には怒り)があり、私はパンドラの箱を開けてしまったようでした。これは1記事で語りきれないボリュームでまた、取り扱いもセンシティブな内容を含んでいたため、シリーズ化して少しずつ情報を精査して公開していきたいと思います。
頭出しだけすると、
- ママエンジニアという切り口
- 家事との両立
- ご主人の協力度合い
- 仕事に打ち込むレベルに対する夫婦間での認識の相違
- やりたいけど時間的な制約があることについての葛藤
- 年収の壁についての不満
- 女性キャリア形成という切り口
- 思い描くキャリアが実現できる環境か(重要な役割を任せてもらえる環境)
- 女性エンジニア共通
- 加齢に伴う体力的な不安(女性に限らず)
- 女性であることに起因する体調の問題による仕事への影響の不安
- 親の介護の問題(いざとなった際に、男性のきょうだいより先に、自分が駆り出される?)
といった、めちゃくちゃ重要かつ濃いテーマばかりでした。
社会問題として労働人口の減少という事実があるなかで、女性エンジニアが活躍できる環境を整備し、願わくば型化して業界の基準のベースアップにつながる社会貢献までできれば最高だなと思っていたりします。
まとめ
非常に難しく、答えがなかったり、そもそもが深い社会問題に紐づくお話なので、当社だけの取り組みでどうにかなる問題ではないのかもしれませんが、社会貢献として "Think Big, Start Small" の考え方で、できることから実施し当社から何かしらポジティブな影響を与えることができればと考えています。
次回以降にもう少し具体的な女性エンジニアの各種悩みや、当社での働き方でサポートできている点と、改善点についてご紹介させていただければと思います。
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