チーム開発における制作方向性の議論について
はじめに
友人から以下のような相談テーマが送られてきました。
ここでいうチーム開発とは、学生規模のもであると仮定します。会社規模だと、方向性が部署内ですでに決められており、それに従うのは当然のことであるため結果優先になると、勝手に想像しているためです。特に、ロボコンでは目標を自分たちで自由に決められるためこのような議論が起こるのでしょう。
制作の方向性が分かれるときとは?
まず、この議論をする前に議論のやり取りが行われる状況について整理する必要があります。経験上以下のことが考えられました。
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チームの方向性が明確に定められていない
目指すべき場所が見つかってないため、どう頑張っても議論が進みません。 -
チームの方向性に賛同しきれていない
チームが結果を求めているのに、一人の作り手のモチベーションはやりたいこと優先になっている場合もあります。(逆もまた然り) - 何が何でも作ってみたいものがある
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作り手とリーダーの間で認識の齟齬が発生している
作り手側は、制作物が結果優先のもののように感じていたが、リーダーから見ると結果に見合っておらず、やりたいことを優先したかのように感じる場合がある。
これらをまとめると、「チームビルディングができていない」「コミュニケーション不足」といえます。
議論の結論
私の結論としては、結果優先しつつたまにやりたいこと優先です。
まず、大前提として以下のことが挙げられます。
これは当然のことですね。メンバーが全員好き勝手に動いて、ものが完成するはずがありません。よっぽど間を埋めることが得意な人がいない限り、厳しいです。
ちなみに議論では、やりたいこと or 結果の二択でしたが、チームの方針として一つのやりたいことがあるならそれに従います。しかし、これはチームとしての総意であり、個人でやりたいことを優先するわけではないので、結果(チームの方針)優先という書き方をしました。
チームビルディングとコミュニケーション
ここで一つの問題が発生します。
例えば、チームの方針に賛同しきれていない場合や、作り手とリーダーの間で認識の齟齬が発生している時などは、いくら素晴らしいチームの方針があっても議論は発生します。そこで課題となるのが、チームビルディングやコミュニケーションです。
まず、議論の結論で取り上げた通り、メンバーは方針に沿ってものを作るため、自身が作っているものがその要件を満たしていないなら作る意味はありません。作る目的がアイデアの幅を広げるためであればまだいいですが、これも軽めの実験で済むことが多いですし、重要度が高いならチームの方針に沿ってないことはありません。そのため、議論が発生する場合はチームビルディングがなされていないことが非常に多いです。
チームビルディングとは、共通の目標達成に向けて協力できる強い組織を作り上げるための活動やプログラム、およびその手法全体を指します。学生チームではあれば仲良くなる・個人の意見を事前に聞いておくといったことが必要です。まず、会社でいう上司は学生チームには存在しないため、仲良くなっていないと快く話を聞いてくれません。また、個人の意見を事前に引き出しておくことで、チームの方針に賛同しているのかわかり、賛同していないときはじっくり相談に乗る必要があります。つまりコミュニケーションを多くとる必要があるということですね。これ以外にも多数行うことがありますが、とにかく共通の目標に向けて協力できる環境を作ることができないと、メンバー自分のやりたいことを優先して好き勝手に動くようになります。
リーダーから見たメンバーへのタスクの振り方
チームビルディングをどれだけ行っても、作り手は人間であるためすべて思い通りに動くわけではありません。残念ながら、我々のパフォーマンスはモチベーションによって大きく左右されます。それこそ、作り手がどうしても作りたいものを拒否ると結果的にいいものが生まれない可能性もあります。そこで重要なのが、やはりコミュニケーションになります。
- 作り手がなぜそれをどうしても作りたいのか?
- リーダーが気づいていない良い要素があるのではないのか?
これらの疑問を常に持ちながら、作り手とコミュニケーションをとることで、最終的にはチームの方針にビタッと当てはまるようなものを作れるかもしれません。また、そうでない場合も、一見「やりたいこと優先」に見えるかのような制作でも、結果的には開発スピードが速く高いクオリティのものができるかもしれません。これらは、結果論であり正解はありません。だからこそ、リーダーは開発前だけでなく開発中も作り手とコミュニケーションをとり、取捨選択を繰り返すしかありません。最終的に達成したい目標(目標動作、制作したものによるユーザーへの恩恵など)にたどり着ければ何も問題はないため、その過程を臨機応変に対応していく技量が求められるということですね。
まとめ
まず、「チーム開発において、「やりたいこと優先」「結果優先」の二手に分かれたときどうすべき?」というテーマに対する答えは基本的に結果優先です。その理由はチーム開発だからこそ、チームの目標に対して個人は動くべきだからです。しかし、人間はモチベーションに大きく左右される人間であるため、リーダーは作り手の制作物が目標を達成できるものか、開発失敗したときの妥協案など多くの思考を巡らせて、意地でも最終目標までたどり着く必要があります。
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