Slack に連携しよう!ノーコードで試せる Conversational Agents を使った AI エージェント
はじめに
Conversational Agents とは、ノーコード・ローコードで会話型 AI エージェント(以下、エージェント)を構築・実行できるフルマネージドサービスです。
前回のノーコードですぐに試せる!Conversational Agents を使った AI エージェント入門では、問い合わせ内容に応じて適切なデータストアを自ら選択・参照して回答する AI エージェントの作り方を紹介しました。
しかし、このままでは作成した人しか利用できません。
AI エージェントを業務に導入して役に立てるようにするためにも、すぐに他のメンバーが使えるようにしたい!
Conversational Agents では、既存のチャットツールへの組み込みが簡単に実現できます。
今回は、前回作成した AI エージェントを Slack に連携する方法を紹介します。
AI エージェントを Slack に連携する
連携に必要な手順は公式ページで紹介されています。
各設定について説明するために、本記事では scratch で作成する手順を詳しく解説します。
注意事項・制約
- 本機能は Pre-GA(プレ一般提供版:正式リリース前のプレビュー版)です。正式リリース版(GA)とは利用規約が異なります。詳しくは Service Specific Terms の
Pre-GA Offerings Terms
を参照ください。 - 連携する Slack の Workspace で、Slack アプリを作成、インストールする権限が必要です。権限がない場合は、組織内の Slack 管理者に相談してください。
- Slack 連携でサポートされている入力は テキストのみ です。
1. AI エージェントの作成 [Google Cloud]
- 前回作成した AI エージェントを使用します。まだ作成されていない方はこちらの記事を参考にして作成してください。
- AI エージェントの Settings(右上の歯車)の
General > Conversation start
をPlaybook
であることを確認します。(Flow
の場合は変更して下さい。)
AI エージェントの Settings 画面(Conversational Agents)
2. Slack アプリの作成 [Slack]
- Slack アプリのページ にアクセスします。
-
Create New App
をクリックし、From scratch
を選択します。 -
App Name
には任意のアプリ名を入力し、 Workspace には Slack アプリを使用するワークスペースを選択し、Create App
をクリックします。
アプリ作成の画面(Slack)
3. 権限の付与 [Slack]
画面左の OAuth & Permissions
を選択、右の Scopes > Bot Token Scopes から、必要な権限を追加します。
以下の権限(Scopes)を追加します。
-
app_mentions:read
:メンションされたメッセージを読み込む。 -
chat:write
:チャンネルにメッセージを書き込む。 -
im:read
:DMのメッセージを読み込む。 -
im:write
:DMにメッセージを書き込む。 -
im:history
:DMに来たメッセージ履歴を取得する。 -
incoming-webhook
:特定のチャンネルにメッセージを投稿する一方通行の Webhook を作成する。
権限(Scopes)の設定画面(Slack)
4. ワークスペースへのインストール [Slack]
- 画面左の
Install App
を選択、右のInstall to {ワークスペース名}
を実行します。 - 投稿先のチャンネルを選択し、
許可する
を選択します。(チャンネルは後から追加できます)
アプリインストール時の許可画面(Slack)
5. Bot User OAuth Token と Signing Secret の取得 [Slack]
以下のクレデンシャル情報を取得します。
-
Bot User OAuth Token
: Slack アプリが Slack にアクセスするためのトークンです。- 画面左の
OAuth & Permissions
を選択、右の OAuth Tokens for Your Workspace で確認できます。
- 画面左の
-
Signing Secret
: サーバー側でアクセス元をチェックするために使用するシークレットです。- 画面左の
Basic Information
を選択、右のApp Credentials
で確認できます。
- 画面左の
6. Slack との連携を設定 [Google Cloud]
- Conversational Agents の INTEGRATION > Integrations に移動します。
-
Text Based
の中のSlack
を選択します。
連携対象一覧画面(Conversational Agents) - 作成した Slack アプリのクレデンシャル情報を入力して
Start
を押します。それぞれの入力項目には、以下の値を設定します。- Access token:
Bot User OAuth Token
- Signing token:
Signing Secret
Slack連携設定画面(Conversational Agents)
- Access token:
-
Webhook URL
が作成されるのでメモします。(この URL は後で Slack の設定で使用します。)
7. Webhook の設定 [Slack]
Slack アプリがワークスペース内のイベントを受信するための機能であるEvent Subscriptions
を有効にします。
- 画面左の
Event Subscriptions
を選択、右の Enable Events を On にします。 - Request URLに
Webhook
を入力し、Verified と表示されたら接続完了です。 - Subscribe to bot events に
app_mention
とmessage.im
を追加し、画面下の「Save Changes」 ボタンを押します。
Event Subscriptions の設定画面(Slack)
8. アイコンを追加(オプション) [Slack]
愛着が湧くように Slack アプリのアイコンと説明文を追加しましょう。あとから追加、変更も可能です。
- JPEGまたはPNGの正方形(一辺512〜2000ピクセル)のアイコン画像を用意してください。
- 画面左の
Basic Information
を選択、右のDisplay Information
から登録します。
9. チャンネルに追加 [Slack]
Slack アプリをチャンネルに追加します。(メンバー追加と同じ場所から追加できます。)
10. DM のための設定 [Slack]
画面左の App Home
を選択、右の Show Tabs
> Messages Tab にある Allow users to send Slash commands and messages from the messages tab
にチェックを入れます。
DM のための設定(Slack)
Slack で AI エージェントと会話する
登録したチャンネルで Slack アプリをメンションして質問すると AI エージェントからの回答が表示されます。
チャンネルでの会話(Slack)
また、Slack アプリのメッセージ
から DM できるようになります。
DMでの会話(Slack)
利用上の注意
- シミュレーターではちゃんと会話できても Slack 連携すると「すみません。よく分かりませんでした。」「今、なんておっしゃいましたか?」と返ってくることがあります。その場合は AI エージェントの Settings の
General > Conversation start
がFlow
ではなくPlaybook
になっていることを確認してください。(画面はこちらで確認できます。) - 会話を続けるとトークン数が理由でエラーになることがあります。会話が長くなる場合は
Settings > Generative AI > Playbook
のContext token limits
で保持する履歴の上限を設定してみてください。(デフォルトは all です)
まとめ
本記事では、Conversational Agents を使用した AI エージェントを Slack に連携する方法を紹介しました。
Slack 連携を使用することで、AI エージェントを業務に導入する際に、すぐに他のメンバーが使えるようになります。
ノーコードで作成できるので、ぜひ実際に試して小さく始めてみてください。
また、Slack だけでなく Google Chat や LINE とも連携できるので、ぜひ他のツールとの連携も試してみてください。
Conversational Agents には様々な機能と設定があるので、今後も皆さんのお役に立ちそうな機能を紹介したいと思います。お楽しみに。
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