📕

MCPがもたらすAIエージェントの新時代:普及の背景と事例を読み解く

に公開

はじめに

こんにちは。前回は『やさしいMCP入門』の第1章から、MCPの基本的な概念とFunction callingの仕組みについてまとめました。今回は第1章の続きで、MCPが実際にどのような場面で使われているのか、そしてなぜ急速に普及したのかについて解説します。特に、AIコーディングツールとの関係は非常に興味深いものでした。


1. 意外と身近なAIエージェントの活用事例

AIエージェントと聞くと、SFのような未来的なものを想像するかもしれません。AIの次はAIエージェントという話しは耳にするんですが、実際にどんなサービスなのかイメージがついていませんでした。実はAIエージェントは、すでに身近なサービスで使われています。

  • ChatGPTのWeb検索機能: ユーザーが最新のニュースについて尋ねると、ChatGPTは自律的にWeb検索ツールを実行して必要な情報を取得します。これもAIエージェントの典型的な実装の一つです 。
  • AIコーディングツール: ClineCursorなどのソフトウェアは、自然言語で指示するだけでコードを自動生成したり、バグを修正したりしてくれます。人間が細かく指示しなくても、曖昧な要求から行動計画を立て、エラーを自律的に解決しようとします 。

これらの例からもわかるように、AIエージェントは単なる応答ツールではなく、複数のタスクを自律的に実行する能力を備えています。前回のポストでも触れた ””AIエージェント: 人間の「代理人」として高度な仕事をこなすシステムの総称””というところも復習ポイントですね。


2. なぜMCPが必要なのか?

MCPはメリットがいっぱいです。MCPは、AIアプリの開発者とツール開発者双方の課題を解決します。

  • AIアプリ開発者にとっての課題: 以前は、AIエージェントに必要なツールをすべて自分で作成し、組み込む必要がありました。しかし、MCPの登場によって、他の開発者が作成したMCP準拠のツールを簡単に自分のアプリケーションに流用できるようになりました。これにより、個別に実装する手間が省け、開発効率が向上します 。

  • ツール開発者にとっての課題: ツールを作っても、特定の言語やフレームワークに依存するため、他の開発者に使ってもらうのが困難でした。MCPの仕様に則ってツールを開発すれば、多くのアプリケーションから利用してもらうことが可能になり、自社サービスやデータを広く提供するビジネスチャンスにもつながります 。


3. MCPが急速に普及した2つの理由

MCPは発表からわずか4ヶ月で、AI業界のトレンドワードとなりました。その背景には、主に以下の2つの要因が考えられます。

  1. 主要ベンダー各社の採用: Anthropic社の競合となる主要ベンダーが、こぞってMCPの採用を表明しました。OpenAI社はAgents SDKでMCPをサポートし、Google DeepMind社もGeminiモデルでの対応方針を発表しました 。さらにAWSやMicrosoftも自社のクラウドサービスでMCPのサポートを開始しています 。主要プレイヤーの追随が、普及を決定づけました。
  2. AIコーディングツールの普及: プログラミング支援分野は、AIエージェントが最も早く実用化された分野の一つです 。GitHub Copilotがコード補完で人気を集めた後、CursorClineといったAIエージェントを採用したツールが登場し、「自然言語で要件を伝えるだけでコードを書いてくれる」という一段進んだ体験を提供しました 。これらのツールがMCPをいち早くサポートしたことで、多くの開発者がMCPの有用性に気づき、SNSなどを通じて一気に話題が広まりました 。

まとめ

『やさしいMCP入門』の第1章は、AIエージェントの具体的な活用例から、MCPが解決する開発者の課題、そして普及の経緯まで、非常に分かりやすく解説されていました。

特に、AIコーディングツールの進化がMCPの普及に大きく貢献したという事実は、エンジニアにとって非常に興味深いポイントです。AIがコードを「補完」する時代から、自律的に「生成」し、エラーを修正する時代へと移り変わる中で、MCPがその基盤技術として不可欠な存在になっていることを実感しました。ほとんどのAIエージェンとして紹介されていた例は、生成AIとプログラミング支援が中心だったのが印象的です。ちまたでエンジニア不要論の中心になっているAIコーディングの、主要ソフトであるCursor, Claude CodeがAIエージェントでありMCPとの相性がとても強く普及に貢献しているという指摘は知らなかったのでインパクトが強かったです。今後も書籍を読み進め、MCPについてさらに深く掘り下げていきたいと思います。


参考文献:やさしいMCP入門

Discussion