🏔️

マネジメント系のキャリアパスを志望する人向け、 日々の業務で伸ばしていきたい基礎能力

2022/09/29に公開約5,400字

はじめに

本記事を作成しようと思ったきっかけは、社内の教育コンテンツとして、各種マネージャーを目指すメンバー向けのものが不足していると感じたことにあります。
成長するエンジニア組織をデザインするためには、エンジニアのレイヤーやキャリアパスに応じた教育コンテンツや指針が定義されているのが望ましいと考えています。
私自身もマネージャーとしてはまだまだ駆け出しの身ではあるのですが、これまでの経験や知識を元に本記事を作成しました。

想定している読者層

  • 現在は開発系業務をメインに担当し、将来的にマネジメント系キャリアへ進みたいエンジニア
  • マネジメント系業務がメインになり始めた駆け出しマネージャーやリーダー

以下6つのトピックに分類して説明していきます。
これらは{プロダクト, プロジェクト, ピープル}マネジメントなど、各種マネジメント業務を遂行するために共通して必要となる基礎能力に相当する認識です。

それなりのボリュームですが、とっつきやすい所からでも大丈夫かと思います。
私自身も各能力を向上できるよう日々の業務へ取り組んでいる状態です💪

1. 情報処理能力と情報収集能力の向上

情報処理能力

業務の責任が増すにつれ、関わりを持つ人や組織の数は増える一方です。当然、扱う情報も増え続けます。これら情報を適切に整理し、優先順位をつけて対処することが常に求められます。情報を捌く速度が上げれば日々のキャパシティも拡大します。割り込みやトラブルに対しても、適切な優先順位を考えたスケジューリングが大切になります。

情報収集能力

何かを管理する上で集めておきたい情報は数多く存在します。技術に関する情報、社外の導入や運用の事例、社内の組織運営情報などなど。組織内外の情報を集めることで、将来起こるかもしれないトラブルを未然に防げたり、誤った方向を向いていないかの確認に活用できたりします。

日々の業務で取り組めること

あくまで私が知っていたり考えつく範囲ですが参考になれば幸いです。

  • TeamsやSlack, メールの未読を残さない
    未読を残さないのは方法論のひとつであり、目的は周囲に存在するすべての情報を把握し整理することにあります。効率よく実践するためには、各種情報の分類分けや優先順位付けが不可欠です。逆に言うと、分類分けや優先順位付けが最適化できていれば情報整理は苦労せずに可能です。
  • 各種カレンダーやToDoアプリを活用し、自身のスケジュール管理とタスク管理を徹底する
    自己管理ができていない状態では、自分以外の何かをまともに管理することはできません。大前提として、自分が担当中や担当予定のタスク、1日単位や週間単位のスケジュールは誤りなく管理するべきです。始業時に1日のカレンダーやToDoリストを確認し、終業前に次の日のカレンダーやToDoリストを確認するだけでも向上可能です。
  • 情報収集の時間を作る
    情報収集は定期的に行うことがおすすめです。慣れないうちはスケジュールに組み込むなどして、習慣化を目指すのが良いかもしれません。また、収集経路を増やすこともできるとさらに良いです。
  • 必要な情報を組織で共有する癖を身につける
    情報は複数人の知見が交わることで新たな知見(別領域への転用や正確性の向上など)を生むことがあります。共有範囲や共有内容の妥当性について、日々の業務を通して向上させていくことが可能です。

2. 視野を広げる/視座を高める

視野

ポジションやレイヤーが自分から近いメンバーについて、「何を考えているのか」「どんな業務を行っているのか」知ることは大切です。同じ組織であっても、同時並行でいくつかの業務が走っていることがほとんどだと思われます。自分の担当以外にもアンテナをはることで組織のコンディションを把握する力が向上します。

視座

ポジションやレイヤーの高さを変え、上長や経営陣、ステークホルダーが「どういった考えを持っているのか」知る(推論する)ことも大切です。開発業務を担当している場合は、「なぜ」担当しているのか背景への理解が深まります。マネジメントを行っている場合は、期待されている成果や展望について理解を深めたり、開発側とのギャップの有無について気づくきっかけにもなります。

視野と視座
視野と視座を伸ばすことで、より広い観点で物事を考えることができます

日々の業務で取り組めること

  • デイリースクラム(朝会)や進捗定例、振り返り会を活用する
    身近な人が担当している業務を把握することが視野を広げる第一歩です。各種MTGを通して、日々の報告内容やアサインされているタスク、コードやドキュメントなどのアウトプットに注目してみましょう。(他メンバーのアウトプットについてはMTGでなくても空き時間があれば確認可能なはずです)
  • 上長との1on1を活用する
    視座を高めるために上長の考えや観点を直接聞くことは大切です。ただし、レイヤーが異なる人の考えは一度で理解することが難しい場合もあります。1on1などで定期的に上長と話す機会がある場合は繰り返し聞いて理解度を高めましょう。考え方をトレースできるような状態が理想です。
  • 会社のIR資料やプレスリリースに目を通す
    直属の上長よりも上にあたる経営陣や社外の方など、そもそも話す機会が持てない場合も考えられます。そういった場合は、IR資料やプレスリリースなど経営の考えが記載された資料を読み込むことを薦めます。直接話すよりも精度は下がりますが、ある程度考え方や観点を知ることは可能です。

3. 技術力のアップデートを止めない

エンジニア組織をマネジメントする以上、組織で扱う技術要素や設計思想はメンバーとの共通言語になります。開発業務をメインで担当しているうちは心配ないのですが、マネジメントがメインになってくると想像以上に自分が開発するための時間が取れません。限られたリソースの中で、自身の技術力を最新化していく必要が出てきます。

日々の業務で取り組めること

  • 担当している業務で採用されている技術要素や設計思想の背景を知る
    特定の技術要素や設計思想が「なぜ」採用されているか必ず理由が存在するはずです。それらは土台となる考えです。土台を知ることで、以降発生する技術の更新を追いやすくなります。
  • コードレビューやDRを活用する
    レビュアーであれば、レビュー観点に沿った指摘を行う中で実装や設計の背景を把握できます。レビューイであれば、実装や設計の意図を文章や口頭で説明できるように準備するはずです。
  • 開発メンバーとのコミュニケーションや情報収集を活用する
    1on1は上長とだけでなく、メンバー同士で行うことも有効です。1on1や上部で記載した情報収集を通して、技術のキャッチアップは継続して行うことが可能です。
  • マネージャーの場合、ボリュームや優先順位の大きくない開発業務を自分へアサインしておく
    組織の状況にも左右されますが、タスクを管理できる立場にある場合、自身のリソースを開発へ充てる調整も可能です。(記事の趣旨からは離れますが、マネージャーがしっかりと手を動かして技術を身につけるには余暇を活用する他ない、というのが今の私が至った結論です)

4. ビジネス(ドメイン領域)への知見を深める

マネージャーには組織の内と外をつなぐ役割が求められます。また、プロジェクトでもプロダクトでも管理対象を導く方向が会社のビジネスに沿っていなければ、期待される成果を獲得することはできません。

日々の業務で取り組めること

  • 開発しているシステムやプロダクトがどういったビジネスモデルに組み込まれているか知る
    何かを開発するためには必ず費用が発生します。開発や運用保守に関わる費用がどうやって回収されているのか知ることが第一歩です。受託開発だと少しややこしくなりますが、開発対象がどうやって利益を上げるのかまで知れると良いです。
  • ユーザーが存在する場合、ユーザーについて知る
    システムやプロダクトには必ず対象とするユーザーが存在します。ユーザーの期待すること、使い方や環境を知ることはもちろん、システムやプロダクトが存在しない場合にどういったルールの下でどのような作業が行われてきたか知ることでドメインへの理解は深まります。

5. 思考を深め、習慣的に意思決定を行う

業務の責任が増すにつれ、意思決定の重みも増していきます。意思決定を行うためには判断を下すための根拠と考えるための土台が必要となります。日頃から小さな意思決定を積み重ねることで、後々の大きな意思決定に備える訓練としましょう。
特定の領域や観点について深く考えることができれば、視野と視座でカバーした観点に対して、より立体的に物事を捉えることができます。
思考力
視野と視座に軸がもう一つ追加されるイメージになります

日々の業務で取り組めること

  • 開発業務の場合、自分が行った設計や実装について具体的な根拠を考える。
    「仕様の通り」や「リーダーの指示」で思考が止まっていると具体的な根拠まで辿り着きません。背景や意図まで考えたり知ることで、具体的な根拠まで周囲に示すことができます。
  • 定期的にフィードバック(FB)を得る
    何かの意思決定に対する結果や評価は遅れてやってくることが多いです。定期的にFBを得る(結果や状況を観測したり、人からヒアリングしたりする)ことで意思決定の質が向上します。

6. EQやソフトスキルの理解と向上

現代のマネージャーやリーダーには、自身を含めた業務に関わる人たちについて多種多様な感情理解とそのコントロールが必要不可欠です。EQやソフトスキルの存在を理解し実践していくことで、1on1の質が向上したり、円滑な組織運営が可能になります。絶対的な答えがある話ではないので難しい側面も当然あります。

日々の業務で取り組めること

  • 感情に任せた振る舞いをやめ、ひと呼吸置いた行動や言動を心がける
    自身の感情をコントロールするのが目的です。これから起こす行動が組織にとって正しいか、主観から一歩離れて考えられると良いです。感情は上手くコントロールできれば自身のモチベーション向上にも繋がります。
  • 他者の感情に潜む要求を慮る
    他者を完全に理解することはできませんが、振る舞いに潜む感情を読み解く努力はできます。(的外れな結果になることもありますが……) 特にネガティブな感情については裏に何かしらの要求が隠れていることがあります。要求を知ることで、他者が成長したりエンゲージメントを高めるためのアプローチも可能なはずです。(とは言っても、私たちはカウンセラーではないので過度な働きかけは不要です)
  • TPOに応じた文章を記載する
    文章能力向上が目的です。Slackの雑談チャンネルとGitHubの開発issueを比較して、同じトーンで文章を記載する人は少ないと思います。硬い文章から柔らかい文章まで記載の幅を広げられた方が、コミュニケーションの幅が広がります。(もちろん、テクニカルライティングといった基本的な文章能力向上も大切です)
  • 他者へ説明したり提案したりする機会を活用する
    提案(プレゼン)力向上が目的です。説明責任を含め、マネージャーはあらゆる機会で他者へ説明する機会が発生します。日々のレビューや報告を通じて、他者に伝わりやすい説明や資料作成を心がけるべきです。
  • 知識を増やしていく
    業務上のコミュニケーションはプライベートで行ってきたコミュニケーションとは性質が異なります。書籍や記事などで解説は溢れていますので、知識を増やすことでも向上可能です。

おわりに

私の考えとして、現職のミッションを達成し組織として大きな成果を得るためには、人も組織も成長し続ける必要があると感じています。本記事に成長の土台となるエッセンスが含まれていれば良いなあと思う次第です。

参考になった書籍

  • エンジニアリングマネージャーのしごと
  • 正しいものを正しくつくる

Discussion

ログインするとコメントできます