なぜSlackやTeamsでダイレクトメッセージを避けるべきか。
昔からチームビルディングをどうやったらうまくできるのか、よく考えることがあります。
その中でも私はSlackやTeamsの使い方はかなり重要だと思います。この使い方や文化がその後の動きを左右すると言っても過言ではありません。
特に何でもチャンネルで喋る文化が大切ということです。
この重要性に気づくまでには時間がかかりました。昔は自分はなんとなく"わいわい"したいだけなのかと思っていたのですが、やっぱりオープンな場所で離さないことには確かに弊害があるのです。
今回はこの内容について自分の考えをまとめようと思います。
前提:システム開発には不確実性がある
「システム開発 不確実性」で検索すると記事は山のように出てきます。
論文もたくさん出てきます。当然ですが中には海外の論文もあり、日本だけの問題ではありません。
システムは複雑だから不確実なのでしょうか?
様々な理由があるとは思いますが、私は対象が目に見えず、同じものが二度と作られないからだと考えます。システムはインターネットに乗って世界中誰の手にも届きます。つまり同じものはいくつもいらないのです。そして目に見えないものを作っています。それは3次元じゃないとも言えます。人間の脳は全ていつもこの多くの不確実性を意識できるでしょうか?
不確実性の中でも自分が痛い目にあったことのあるものを列挙してみました。
- コミュニケーション不確実性
- 申請・手順・担当の不確実性
- 作ったものが役に立つかどうかわからない不確実性
- 法律・規則の不確実性
- 制限の不確実性
- ユーザニーズの不確実性
- 技術革新の不確実性
- プロジェクトマネジメントの不確実性
- 運用および運用構築の不確実性
全ての不確実を拾っていく
DMに閉じたやりとりが積み重なると、プロジェクトの全体像はどんどん見えなくなります。
「誰が何を知っていて、何が決まっていて、何が保留なのか」がわからなくなるのです。
そして
逆に、パブリックなチャンネルでやり取りすることで、
- 小さな違和感やリスク
- 進捗のブレ
- 意図のズレ
など、あらゆる“不確実な兆し”をチーム全体で拾うことができます。
この積み重ねこそが、安定したプロジェクト運営の鍵になります。
心理的安全性
DMが多すぎる文化では、いつの間にかチームの空気が閉じていきます。
「誰が何を話しているかわからない」「何か言ったら変に思われるかも」と感じ、意見が出づらくなります。
パブリックチャンネルで自然にやりとりが交わされていると、
- 新しく入ったメンバーでも話しやすく
- 小さな質問がしやすく
- ミスを隠さずに済む
という空気が生まれます。
これはいわゆる「心理的安全性」の土台です。SlackやTeamsの運用次第で、これは大きく変わります。
知識の共有と気づき
SlackやTeamsは、単なるチャットツールではなく、ナレッジの場でもあります。
ある人への返信が、別の人の学びになる。
議論の途中経過が、未来のメンバーへのヒントになる。
つまり、「やりとりがチームの資産になる」状態をつくれるかどうかが鍵です。
そのためにも、なるべくパブリックな場に情報を出していくこと、
そして「こういうやり方、前にも誰かがやってなかった?」と検索できる文化が重要です。
検索性とAIがチームに入る世界線
今後、AI(ChatGPTやCopilotなど)が自然にチームに組み込まれていく世界では、「情報がどこにどう残っているか」がますます重要になります。
AIが賢くなればなるほど、過去のやりとりや知識にアクセスできることが強みになります。
しかしDMに閉じた情報は、その恩恵から除外されてしまうのです。
Slackのパブリックチャンネルや、きちんとまとめられたNotionのドキュメントがあって初めて、AIは「チームの一員」として機能します。
頼まれ側特有の問題: 頼まれごとの見える化
SlackやTeamsのDMでの依頼には、頼まれる側にとって大きな問題が2つあります。
1つは、チケットも切られずに依頼されるため、対応した事実が上司に見えず評価に繋がらないこと。さらには時間をそれに割いていても説明ができないこと。
もう1つは、チャンネルで共有されていれば他のメンバーと連携できる内容でも、DMだとすべて個人対応になってしまうことです。まったく同じ説明をなぜ別々に返事しなくてはいけないでしょうか。
見えない仕事は、存在しないのと同じ。
だからこそ、依頼はなるべくチャンネルで行い、タスクとして明示化することが、頼まれる側の負担を減らし、チーム全体の生産性を高める鍵になります。
タスク管理ツールやドキュメントではダメなのか?
例えば Github issue, JIRA/Confluence, Asana, notion, Esa, Backlog, Redmineなどなどあるので、そちらでコミュニケーションを取れば十分なのでは?という意見もあると思いまして、それは全然OKだと思っています。
特にチケット上で常にめちゃくちゃ大事です。正直棲み分けはいまだに難しいですが、
どこかみんなの見える場所に残っている
これが大事だと思います。
一方でドキュメントに整理するほどでもない内容はやはりチャットツールは存分に活躍すると思います。
ドキュメントは引き継ぎや共有で大事なことをまとめなくちゃいけない一方で、読みきれない巨大な文章を書いて確認コストを上げてしまったり、検索性を落としてしまったりしては元も子もないです。
でも今はAI時代なので、要約と検索はうまくやってくれるかもしれませんね。
まとめ
コミュニケーションの変革や文化はAI時代に置いても今まで以上に重要な要素です。
もちろんセンシティブなやりとりはひっそりと(金・パスワード・個人の悩み)、チームの生産性や耐障害性を高めて頑張っていきましょう。
お読みいただきありがとうございました。
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