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AIの力を借りて2人で10人分の仕事をする (2025年・個人開発)

に公開

Claude CodeやCodexの登場でコーディングは体感3倍くらい早くなりました。しかしプロダクト開発自体の速度アップは1.x倍くらいに留まっている気がします。

その原因は「プロダクト作りはコーディング以外にも色々やることがあるから」だと思い、コーディング以外でのAI活用を今年色々試したのでまとめてみます。

なお、このZennは「小さなチーム 大きな仕事」というタイトルで以前発表したものの再編版です。スライドの方が読みやすい方はそちらを参照してください:)

https://speakerdeck.com/himaratsu/xiao-sanatimu-da-kinashi-shi-ge-ren-kai-fa-deaiwohuruhuo-yong-suru

AIの力を借りて2人で10人分の仕事をする

前提: 個人開発で作っているもの

tone(トーン)」というチーム版Todoサービスを友人と2人で作っています。

Todoアプリはエンジニアの勉強目的で作られることもあるぐらいなので簡単なイメージがあるかもしれませんが、toneでは色々と複雑なことをやっています。

例えば、

  • gRPC / Supabaseを使って他メンバーの変更をリアルタイム同期
  • キャッシュで高速化。まずローカルを更新してからサーバー側に反映する
  • オートメーション機能で、「このタスクが終わったらこのタスクを作成」などのワークフローをユーザーが自由に組める
  • 繰り返しタスクで、「毎月25日に繰り返す。ただし25日が休業日なら前の営業日にする」など柔軟なオプションを用意
  • MCPに対応しており、AIからもタスクを追加・読み込み可能

こんな感じです。また、本体サービス以外にもメンテしているものがあります。

こうして機能や周辺の持ち物が増えてくると2人の個人開発ですべて回すのは難しい。
じゃあAIの力を借りようぜ! というのが今回の主旨です。

1. 開発でのAI活用

引き継ぎ情報をAIにまとめてもらう

2人で開発していると、一方が実装を先に進めて、それを相手に引き継ぐケースが出てきます。
その時、引き継ぎ情報をAIにまとめてもらうようにしています。

GitHubのPull Requestの画面。ユーザーがclaudeに話しかけ、引き継ぎ情報を作成するよう指示している
Claude Codeが引き継ぎ資料を作成

GitHubのPR上でClaude Codeに 「フロントエンドエンジニアの作業に役立つようにエンドポイントやリクエスト方法をまとめて」 のように指示して引き継ぎドキュメントを作ってもらっています。

toneを使ってのタスク駆動開発

サービスを触っていて見つけた不具合・気になる点はtoneに起票していきます。
toneのMCPサーバーをつなぎ、 「上から順番にタスクを実装して」 と伝えればあとは勝手に作業が進みます。

左にtoneのタスク一覧画面、右にClaude Codeの画面
左がtoneのタスク一覧画面、右がClaude Codeでの指示

ドッグフーディングを兼ねてtoneを使っていますが、LinearやGitHub Issueでも同じことができるかと思います。

次々とタスクがDOING→DONEになっていくのを見守るのは面白い体験ですね。

2. マーケでのAI活用

ブログを書く

toneのブログはマークダウンで書いたものがビルドされる仕組みになっています。これはAIが理解しやすいマークダウン形式にして、ブログまわりでAIをフル活用しようという狙いでした。

最初にAIにドラフトを書いてもらい、それを人間が手直しする形でブログを書いています。
インプットする内容は

  • 箇条書き
  • Notionの仕様書
  • GitHubのPR

など、なんでもOKです。
Claude Codeの画面で、ブログの内容はどのようなものにするかAIが尋ねているメッセージが表示されている
AIがブログのドラフトを作成

文体や構成は過去に自分が書いた記事を参考に似せて書いてもらうようにしています。
この辺りは別のスライドに以前まとめたので興味があれば読んでみてください。

https://speakerdeck.com/himaratsu/microcmsdehazimeruairaiteingu

ブログのレビュー

ブログを書き終えたら、AIにレビューと校正をしてもらいます。主に、

  • 誤字脱字がないか
  • 校正に読みづらさはないか
  • 画像のALTが抜けてたら画像の内容から生成して挿入

をやってもらっています。

Claude Codeの画面で、レビュー対象のパスをAIが尋ねるメッセージが表示されている
書いた原稿のレビュー

管理画面内お知らせの更新

左にmicroCMSのコンテンツ入稿画面、右にtoneのお知らせ表示画面が表示されている
左がmicroCMSの管理画面、右がtoneのお知らせ表示

toneの管理画面内で更新情報を表示しており、そこに内容を反映させるのもAIでやっています。

お知らせはmicroCMSで管理しているので、microCMS MCPサーバーを使って入稿しています。ブログを書くと自動でお知らせにも載るようになっています。

3. 品質保証・QAでのAI活用

GitHub上でのコードレビュー

これはやってる方も多いと思いますが、Claude Code on GitHubでPRの内容をレビューしてもらってます。

そのままでも十分賢いですが、 サービス固有の観点を与えて重点的に見てもらう ようにしています。詳しくは以下の記事で書いています。

https://zenn.dev/microcms/articles/a359034053416a

動作確認テスト

GitHubのPull Request画面で、動作確認した画面のスクリーンショットがコメントとして投稿されている
Playwrightで影響範囲のスクショを撮影 & アップロード

Playwright MCPを使い、動作確認 + 結果のスクショをPRコメントに貼り付けてもらう ようにしています。
AIコーディングしてると見た目が正しく修正されたのかの確認が大変ですが、この仕組みを入れると影響範囲の画面のスクショを自動で撮って一覧にしてくれるので便利です。

中身的にはCloudflare R2に画像をアップロードするスクリプトを書き、それを使うようにClaude Codeに指示しています。

Playwrightのチェックだけでは不安な場合は手動チェックです。Vercelのプレビュー環境が非常に便利で重宝しています。

4. 分析でのAI活用

text2sqlで簡単な集計をする

ブラウザの画面にCloud SQL Studioが開かれており、text2sqlのモーダルでSQL文が生成されている
Cloud SQL Studioでクエリを自然言語から生成

データベースはCloud SQLを使っています。Cloud SQL Studioというブラウザからクエリで集計できる画面があるんですが、ここにtext2sqlの機能がついています。
「昨日のアカウント登録者数を抽出」 とか自然言語で書くと、テーブルを見ていい感じのSQL文を作ってくれます。

MCP経由で集計する

簡単な集計なら上の方法で良いんですが、複雑な集計をするときはMCP経由が便利です。
GoogleのToolboxを使ってCursorから集計しています。

Cursorの画面で、MCPを使ってデータにアクセスするデモが表示されている
MCP経由でCloud SQLのデータを集計

表現力としてはMCP経由の方は強力です。
チャットのコンテキストが保たれるので、「いま出したデータを1ヵ月分で再集計して」などの追加指示が出せたり、他のMCPと組み合わせて「この内容をサマってSlackに投稿して」と指示したりできます。

個人的には普段開いてるCursorからサッと実行できるのも嬉しいポイントです。

おわりに

プロダクト作りの開発以外のシーンで、AIを使って工夫している点をまとめてみました。
一つ一つは小さいかもしれませんが、すべて合わせるとなかなか省エネ化できているのではないかと思います。

プロダクト開発のコアは「何を作ってどう届けるか」だと思います。そこに集中するために、手間がかかる部分はAIパワーを借りて効率化 していきましょう!

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関連リンク

スライド
https://speakerdeck.com/himaratsu/xiao-sanatimu-da-kinashi-shi-ge-ren-kai-fa-deaiwohuruhuo-yong-suru

「小さな仕事、大きなチーム」の元ネタ
https://www.amazon.co.jp/dp/4150504814

tone(無料で使えます)
https://tone-task.com/

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