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Though this be madness, yet there are method in't.奇異に見えるかもしれないが戦略があるのだ

に公開

今回はゲームのAIについて焦点をあてて人工知能学会に参加してきた話をします。
https://www.headwaters.co.jp/news/hws_di_jsai2025.html

タイトルはシェースクピアのハムレットの中のセリフです。
ハムレットの奇行に対して、ポローニアスが感じた違和感を表現したセリフです。
日本語訳としては「狂気に思えるかもしれないがここには戦略があるのだ」という感じです。

研究分野でゲーム開発を効率化することや、AIでもっと面白くする試みがなされています。
ゲーム・キャラクタ・コンテンツの研究というと、すこし色物感を感じる人もいるかもしれませんが、ゲーム・コンテンツ産業は成長を続けており、しのぎを削る高い技術が要求される分野なのです。

今回私がかかわった研究発表は
シナリオ翻訳の口頭発表(↓)と

  • [3R5-OS-31-04] 大規模言語モデルとGraphRAGを用いたシナリオ自動翻訳
    〇下斗米 貴之1、野田 寿輝也1、小谷 拓史1、竹川 智貴1、池内 隆人1、柴田 楓佳1、竹石 興紀1 (1. 株式会社ヘッドウォータース)

https://confit.atlas.jp/guide/event/jsai2025/subject/3R5-OS-31-04/advanced

小規模言語モデル(↓)のポスター発表です。

  • [3Win5-80] 小規模言語モデルを用いた、制限されたローカル環境における情報システム
    〇竹石 興紀1、下斗米 貴之1、池内 隆人1、坂田 修一朗1、竹川 智貴1、田中 航平1、阿久津 啓1、野田 寿輝也1、戸嶋 隆太1、グエン リン1 (1.株式会社ヘッドウォータース)

https://confit.atlas.jp/guide/event/jsai2025/subject/3Win5-80/advanced

ポスター発表については弊社の竹石さんが筆頭で発表しました。
ブログ記事も出ていたのでどうぞ:
https://zenn.dev/headwaters/articles/2b014d0c57d5b6

オーガナイズドセッション

シナリオ翻訳の研究についてはオーガナイズドセッションで発表しました。

オーガナイズドセッションというのは、
特定のテーマに関して複数の研究者が集まり、それぞれの視点から研究成果を発表・議論する形式のセッションです

今回参加したのは
[3R5-OS-31] デジタルゲームの人工知能
というセッションです。
主催者はスクウェア・エニックスの三宅さんと
KLab株式会社の濱田さんです。
特に三宅さんはこの業界では有名な方で、昔からゲームAIについて研究してきており、執筆もされています。濱田さんはライブライブを熱く語る個性的なキャラですがトップの国際学会に論文を発表している優れた研究者です。

当日は会場は前回に比べて狭い会議室でした。
だいたい100人弱ぐらいかと思いますが、満員で立ち見の方々もいました。
口頭発表の件数は4件と少な目な印象でしたが、
有名ゲーム企業の人達や大学の学生などもいて、活発に質問していたので、関心は高いと思いました。

ゲーム関連研究

他のセッションやポスター発表で発表している人達が多いので、それらを含めるとゲーム関連研究の割合は一定程度あるのかもしれないです。

ポスター発表でのゲーム関連研究例です。(発表した方でここに自分の研究も入れるべきという方はぜひ教えてください)

[1Win4-36] 現実世界の出来事に対するキャラクターらしい発話生成の実験的評価
〇高橋 聖弥1、岩田 伸治2、伊原 滉也1,2、加藤 昇平1 (1.名古屋工業大学、2.サイバーエージェント)

  • [2Win5-48] ゲームの表情パターンを用いたキャラクターなりきり応答生成の検証
    〇連 慎治1、伊藤 敏彦1 (1.北海道大学)
  • [3Win5-14] Decision TransformerによるAtariゲームAIの画像処理データ拡張評価
    〇髙野 剛志1、計良 宥志 1、川本 一彦1 (1.千葉大学)
  • [3Win5-64] 物語生成と生成AIによるリアルタイム生成機能を持った統合RPGシステムの開発
    〇小野 淳平1、小方 孝2 (1.青森大学、2.大和大学)
  • [3Win5-84] リズムゲーム型eスポーツにおけるマルチモーダルデータに基づく高齢者の身体活動分析
    〇小俣 敦士1,2、成瀬 愛子1、齊藤 岳児1、有馬 秀幸1、山崎 智也3、畑 雅樹3、川本 実子4、中村 和正1 (1.浜松医科大学次世代創造医工情報教育センター、2.静岡大学、3.一般社団法人 静岡県eスポーツ連合、4.島田市役所)
  • [3S6-GS-2-05] トピックモデルと大規模言語モデルを基づくオープンワールドゲームにおけるプレイヤーの嗜好比較分析 〇孫 思鋭1、楊 添翔2、邵 騰飛1、後藤 正幸1 (1. 早稲田大学、2. 慶應義塾大学) https://confit.atlas.jp/guide/event/jsai2025/subject/3S6-GS-2-05/advanced
  • [2D1-GS-9-04] LLM による対話型オープンエンドアドベンチャーゲームにおけるペルソナ構築 〇村上 一真1、森 直樹1 (1. 大阪公立大学)
  • [2A1-GS-10-03] 状態遷移に基づく LLM を用いたゲームシナリオの生成 〇鈴木 智大1、森 直樹1 (1. 大阪公立大学) https://confit.atlas.jp/guide/event/jsai2025/subject/2A1-GS-10-03/advanced
  • [2Win5-77] モバイルゲームの自動テストに向けたUI要素検出手法の検討
    〇唐井 希1、伊原 滉也1、石本 達也2、久保 大貴3、菊池 康太郎1 (1.株式会社サイバーエージェント、2.株式会社TOKYO GameFi、3.株式会社アプリボット) https://confit.atlas.jp/guide/event/jsai2025/subject/2Win5-77/advanced
  • [1G3-IND-1-05] DeNAにおけるAI技術の事業適用
    松井 健一 (株式会社ディー・エヌ・エー IT本部AI・データ戦略統括部AI技術開発部ゲームエンタメグループ)

こんな研究もあります。マンガ作品などのデータ分析の研究です。

[3D4-OS-20a-05] 対話モデル構築に向けたツンデレキャラクターのリアクション分析
〇山本 拓摩1、村井 源1 (1. 公立はこだて未来大学)
https://confit.atlas.jp/guide/event/jsai2025/subject/3D4-OS-20a-05/tables?cryptoId=

日本にはゲーム・アニメ・ラノベなどたくさんの独自エンターテインメントコンテンツがありますが、この人工知能学会での研究は少ない気がしています。なので、もっと研究してほしいと常日頃考えています。
この研究では「ツンデレキャラ」の一般的な定義を分析してくれています。

人狼ゲームも増えてきた

人狼ゲーム関連の研究も増えてきた印象です:

[4Q2-GS-10-04] Transformer Decoderによる人狼知能ゲームログ生成と役職推定への応用
稲葉 純弥1、〇大槻 恭士1 (1. 山形大学)
[1Win4-22] 第3陣営が存在する人狼での投票行動学習の試み
〇植木 実結1、横山 大作1 (1.明治大学)
[3Win5-90] LLMを用いたワードウルフにおける対話型エージェントの構築
〇櫻井 響1、鈴木 丈慈1、大橋 玲音1、坪倉 和哉1、小林 邦和1 (1. 愛知県立大学)

人狼ゲームを知っていますか?
簡単に言うと、
村人と人狼チームに分かれて戦う心理戦ゲームです。プレイヤーはそれぞれ秘密の役職を持ち、昼と夜のフェーズを繰り返しながら、投票によって脱落者を決め、相手チームを全滅させることを目指すものです。

ゲームとして面白いものでありつつ、
ゲーム理論に関係した考察されていて研究対象になりうる興味深い題材です。
不完全情報ゲームと呼ばれているらしいです。
私はあまり注目していなかったんですが、今後チェックしてみたいと思いました。

企画セッションとしてコンテストがあったらしいです。

[4C1-KS-31] 万博関連企画:人狼知能コンテスト2025春季国内大会自然言語部門

残念ながら金曜日朝はチェックアウトの準備で出られませんでした。

ヘッドウォータース

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