Copilotに対して多分みんなが思っていることへのカウンター
はじめに:Copilot使ってますか?
Microsoftが提供している生成AIシリーズ Copilot 、みなさんは使っていますか?
Copilotは以下のような業務効率化を目的に設計されています。
- TeamsやOutlookでの要点抽出、返信文の下書き作成
- Wordでの文書作成・要約
- Excelでのデータ分析・グラフ作成
- 会議内容の自動要約と記録 など
Copilotの主なシリーズ整理
Copilotには複数の種類があり、名前や機能、対象がややこしく感じるかもしれません。
現在のメインシリーズは以下です。
※この記事でいうCopilotは「Copilot Pro」「Copilot for Microsoft 365」をメインで指しています。
製品名 | 対象 | 用途・主な機能 |
---|---|---|
Copilot(無料) | 全員 | Web検索・一般会話 |
Copilot Pro | 個人 | Word/Excel/PowerPointでAI活用 |
GitHub Copilot | エンジニア | コード補完・生成 |
Copilot for Microsoft 365 | 法人 | 組織内データ活用・業務支援 |
Copilot Studio | 法人 | カスタムCopilotの設計・展開 |
プランについての詳細は公式サイトをご確認ください。
本題1:Copilotに対して多分みんなが思っていること
ここからが本題です。
前職を含め、私は約1年ほどCopilotを職場の業務で使い続けてきました。
その中で多くの同僚から、同じような声を耳にしてきました。
きっと「こう考えているの私だけでは?」という方も一定いると思うため、
今回は私がみなさんに代わってZennで叫びます。
(そんなこと思ってないわ!という方はスミマセン)
「結局、何に使える?」
EdgeやMSツールでよくCopilotの文字は見かけはするけど、
結局あれで何がどれくらい便利になるのかわからない…。
何か補助してくれるらしいけど、現状の業務にそこまで不自由していないから、
結局一度も使ったことがない…。
「費用対効効果、低くない?」
月に約4,500円×ライセンス数(Copilot for Microsoft 365)払ってるけど、
元が取れているか実感がない…。導入はした(もしくはしたい)けれど
実際に何に使うかが全社的に定まっていない ため、
狙っているコストパフォーマンス・ROIに貢献できている(できる)自信がない。
結果的に"使われていないSaaS"感が漂っている…。
「ChatGPTで良くない?」
正直、文章要約とかリサーチ作業くらいであれば、ChatGPTで事足りる気がする…。
プライベートで使い慣れてるし、そっちのほうが自然。
もちろん社内情報や特定の名前を伏せる配慮はしてるけど、
それで問題が起きたことはないし、むしろ気軽に試せて使いやすい。
他にもClaudeやGemini、業務特化型のチャットAIも増えてるし…。
本題2:そんなあなたにカウンターパンチ👊
これらの疑問、考えたことはありましたでしょうか?
「結局どれが役立つの?」「何に効くの?」といった問いを持つこと自体、
私は健全でまっとうなことだと思っています。
というのも、今はAIツールが次々と登場し、
どれもこれも「業務効率化」や「生産性向上」を謳っています。
そんな中で「どれを選ぶべきか」「どれがROIに本当に効くのか」を冷静に見極めるのは、
もはや誰であっても容易ではありません。
だからこそ私は、このタイミングでMicrosoftツールを最大限活用できるAIサービス、
Copilotの本質的な価値を理解しておくこと が重要だと考えています。
ここから先は、Copilotというプロダクトに対する私なりの視点と「ユースケース至上主義」に対する違和感を書いてみます。
ユースケースはあえて「考えない」「考える必要がない」
Copilotの話題になると、よく「で、どんなユースケースがあるの?」という問いが出てきます。
従来のツール選定ではユースケースありきで評価するのが定番かと思いますが、
これに対して私は 「Copilotのユースケースを考える必要はない」 と考えています。
理由は2つあって、
- ユーザー自身が使い道を細かく考えなくても、アプリの中に自然に組み込まれているから
- アップデートが速すぎるため、ユースケースを固定してもすぐに陳腐化してしまうから
です。
特に企業用として使われている"Copilot for Microsoft 365"は、
"日常的に開いているMicrosoftアプリのほとんどで自然に使えること"が最大の強み です。
しかしこれらのMicrosoftアプリ自体 「人による」「業務による」 という側面が大きいため、
その中で「このCopilotの使い方をしましょう!」とユースケースを限定しても、
Copilotの強み・優位性は共感しづらくなるだけではないかと思います。
「ユースケースを考えてから使う」のではなく、
「困った時にすでにそこにある」ことがCopilotの特徴です。
また、Copilotはアップデートのスピードもすごいです。
2025年上半期時点ですでに11回のアップデートリリースがあったくらいです。
昨日まで使えなかった機能が今日には正式リリースされている、ということも珍しくありません。
そのため、「このツールはこう使うのだ!」とユースケースを固定してしまうと、
逆に進化のスピードに追いつけなくなってしまう可能性があります。
Caht GPTでブームになったジブリ風イラストやXのGrokなど、
「話題性の強いユースケースを持つこと」は確かにサービスとして強いですが、
「話題性」と「普段業務を支えるさりげなさ」はトレードオフlikeな関係になると思います。
Copilotは普段の業務全般を支援してくれるため、
特定のユースケースにおける話題性も不要ではないでしょうか。
考えたいのは「生成AIに任せる習慣」があるかどうか。
じゃあCopilotは結局どこでどう使うの?という話になりますが、
結論 Microsoftツールを日常的に使っている人であれば、だいたいどこでも使えます。
Microsoftが推奨している利用用途やプロンプト例は以下のページにたくさんありますし、
企業によるまとめ記事も多くありますが正直多岐にわたり過ぎているためキリがないです。
それよりもここで考えたいのは「Copilotをどう使うか」ではなく、
「私たちにCopilot(≒生成AI)に任せようとする習慣があるかどうか」 です。
おそらくですがほとんどのMicrosoftユーザーの方にとって、
まだCopilotで効率化できる業務・作業が存在しているではないでしょうか。
私自身もまだCopilotをもっと上手く使えば効率化できる場面がいくつかあるように思います。
ただ、日々の中で「これAIに任せられないかな?」と自然に考えるようになってから、
以下のような使い方は習慣化され、日々の効率性向上を実感できています。
- 内容を確認したいファイルのファイル名や保存場所が不明なとき
→ Copilotに内容を教えて探し出す - 顧客向けに堅いメール・チャットを書きたいとき
→ 伝えたい要点のみ書いてあとはCopilotに修正してもらう - 社内会議が立て込んでいるとき
→ 発言しない会議、任意参加の会議はCopilotの要約を見て把握する
3つ目:リアルタイムで出席はしないが内容を把握しておきたいMTGは上記の通知設定をしています
これらはすべて「ユースケースから逆算した」のではなく、
「日々の業務で地味に時間を掛けていたことにCopilotを使ってみた結果」、
その優位性に気づき、自然と定着していった活用パターンです。
Copilotを使うことを目的とした瞬間は一度もありません。
Copilotの機能を業務にはめ込むのではなく、
「業務にCopilotを呼び出す感覚」に切り替えていく必要があると思っています。
そのため「Copilotってどんな機能があって何に使えるの?」という思考よりは、
- この業務ってAIを使って楽にできないかな?
- Copilotでできないか試してみよう…
- できるやん!
という順番で「考える習慣」をつけることが先決ではないかと考えています。
Copilotの価値は「AI活用文化の浸透」にあるのでは?
CopilotによるROI(投資対効果)で求めようとする動きは多いですが、
現場にいる肌感としては「明確な数字としてのインパクト」よりも、
「AI活用に向けた文化的な変化の側面」 がよほど大きいと感じています。
例えばCopilotの導入・定着をきっかけに、
- 「とりあえずAIに聞いてみよう」という姿勢が根付く
- 会議や資料作成のやり方を、自発的に見直す社員が増える
- IT部門以外からも「こういう使い方どう?」という提案が出てくる
- 最新AIに継続的についていく文化が育つ
などのAI活用から繋がる副次的な変化が期待でき、
結果的に会社の目指すKPI/KGIにインパクトを持つのではないでしょうか。
Copilotは、その 「AI活用文化の入り口」 として機能する存在だと考えています。
おわり:まずはMicrosoftツールを正しく使おう
最後に、Copilotを呼び込む機会を増やすため1つだけシンプルな提案ですが、
「Microsoftツールを正しく使えているか」 を見直すことはおすすめです。
- Teams会議開催者は録画・文字起こしを自動で始める設定にする
- ExcelをWordのように使わない (特にこれ)
- PowerPointはマスタースライドを活用する
- SharePointで管理すべきファイルを個人のOneDriveで扱わない など
主観ですが、どれもそんなに難しいことではないと思います。
繰り返しになりますが、Copilotは Microsoftサービスを"自然と"有効活用できるAI です。
これはMicrosoftに限った話ではないですが、
サービスは開発者が想定・推奨しているスタンダードとして利用しなければ、
基本的に最大限の機能を使うことができません。
Copilotに関してはその性質上、特にその傾向が顕著であり、
Microsoftツールを正しく使っていないとCopilotが動ける範囲も限定的になります。
自分の普段のMicrosoftサービスの使い方を正し、Copilotに適した環境をちゃんと用意する。
これだけで「これCopilot使えるんじゃない?」の発想範囲は広がるのではないかと思います。
参考:
Discussion
逆で、ユースケースを考えるに至るのは、使い道があまりないからだと思いますけども。
クロスカウンターありがとうございます🙇♂️
AlexaとかGoogle検索エンジンとかiPhoneとか…『どんなユースケースがあるか』をそこまで意識せずに自然と使用しているサービスもすでに世の中には一定あると思います。
Copilotもそのようなサービスになってきているとしたら、ユースケースに落とし込むことで逆にスケールが止まったり、賞味期限ができたりするのでは?という主張になります。
今のCopilot(Microsoft365 Copilot)はまだそのようなサービスではない、というご意見があることもよくわかります。