Open11

副業ITエンジニアにとってのインボイス制度(適格請求書等保存方式)をお勉強

hassaku63hassaku63

参考にしようと思っている文献たち。

[1] 国税庁 - インボイス制度の概要

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice_about.htm

[2] 国税庁 - インボイス制度 公表サイト

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice.htm


とりあえず3冊ポチったので、必要に応じてつまみ食いする。

インボイス制度の本質ぽい部分の理解と、事業者番号取得するための手続きとかがわかればOK。とりあえずここでは前者優先。

[3] 60分でわかる! インボイス&消費税 超入門[令和5年度税制改正対応版] Kindle版

https://amzn.asia/d/3UH4mMx

[4] フリーランスがインボイスで損をしない本 Kindle版

https://amzn.asia/d/9bfc0K8

[5] 駆け込み完全マスター! 売上1,000万円以下の個人事業のためのインボイス制度 Kindle版

https://amzn.asia/d/da85v4Q


先人のおそらく同業者(エンジニア)がまとめたであろう参考資料。

[6] インボイス制度を図解で解説してみる

https://zenn.dev/hashito/articles/99192b8f04bd04

hassaku63hassaku63

[1] より引用

インボイス制度の概要について、次のとおりとなります。

適格請求書(インボイス)とは、

売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものです。
具体的には、現行の「区分記載請求書」に「登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」の記載が追加された書類やデータをいいます。

インボイス制度とは、

<売手側>
売手である登録事業者は、買手である取引相手(課税事業者)から求められたときは、インボイスを交付しなければなりません(また、交付したインボイスの写しを保存しておく必要があります)。

<買手側>
買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、取引相手(売手)である登録事業者から交付を受けたインボイス(※)の保存等が必要となります。
(※)買手は、自らが作成した仕入明細書等のうち、一定の事項(インボイスに記載が必要な事項)が記載され取引相手の確認を受けたものを保存することで、仕入税額控除の適用を受けることもできます。

インボイス制度の基本的な内容をお知りになりたい方は以下のリーフレット等をご覧ください。

また、インボイス制度に関する令和5年度税制改正の内容については、

(令和5年4月)インボイス制度に関する改正について(A4縦型・4枚リーフレット)

hassaku63hassaku63

会社の中でもうっすらこの制度に関与する仕事をしてたことがあるが、その時の記憶だと主な社外向けの変更点は「適格請求書発行事業者として自社を登録する」「請求書フォーマットを税率・税額・事業者番号を付記したものに変更する」の2点だった。とりあえずそこを軸にする。

国税庁の 令和5年度税制改正関係(インボイス関連) より、通称表記があるのでここでも以降は(なるだけ)通称に寄せる。

このページでは、適格請求書のことを「インボイス」適格返還請求書のことを「返還インボイス」適格請求書発行事業者のことを「インボイス発行事業者」 と言い換えてご案内しております。また、「インボイスQ&A」は「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」をいいます。

hassaku63hassaku63

追記)
「適格返還請求書」は返品などが発生した場合の話っぽい。頻繁に取引するのでなければ割とレアな事象だと思うのでメインで押さえておく必要はなさそう

hassaku63hassaku63

freee のまとめをいったん 100% 信じて流し読み。
あと、いったんは副業で企業から案件を受けてる人間を想定して記載する。

https://www.freee.co.jp/kb/kb-invoice/purchase_tax_credit/

[引用] freee - 消費税の仕入税額控除とは?基礎知識とインボイス制度での変更点をわかりやすく解説
https://www.freee.co.jp/kb/static/cur-36-32df5b07edbaa791588f60f74a25cc29.png

図中の「事業者」が副業者の直接の取引先で、「仕入先」が我々副業者。

ポイントは「仕入」なので、必然的にこの話の主人公は「私」ではなく「取引先」になる。

「私」が案件を受注した「事業者A」から見るとその発注行為は仕入にあたるので、「取引先A」の視点を中心にしつつ、必要に応じて「私」を主語にした整理を書いていく。

この図では、「事業者A」は顧客から請けた案件(なんらかの物品やサービスの提供取引と言った方が正確かも?)に対して「私」に再委託をしている。「私」に対して支払うお金は仕入れ費用。

「事業者A」は、取引の当事者たち(顧客と私)と個別に取引ごとに消費税のやりとりをしていて、利益が出ているならおそらく「顧客から受け取った消費税」の方が「仕入先(私)に支払った消費税」よりも大きくなるはず。

「事業者A」は、顧客から受け取った「消費税」の総額に対して納税義務を負っている。これが基本形態。

ここで「消費税」を誰がどういう方法で納税しているかというと、消費者と事業者Aのそれぞれの立場はこうなる。

  • 「消費者」は事業者Aからの商品購入時に消費税を支払っている
  • 「事業者A」は消費者から受け取った消費税を申告して国に納める

「買った人」が購入先に消費税を一緒に払ってしまうことで、購入先に(国への)納税をお任せしちゃいましょう、と言っている。

1:1 関係ならこれで話は終わりだけど、事業者A からさらに商流が伸びている、つまり仕入れとしての「私」への発注行為が入ってくると話が変わってくる。

図中だと、事業者Aは顧客からもらった 300 円分の消費税に対する納税義務がある。
しかし、その商取引のうち仕入発注した分で消費税100円を支払っている。
その100円は「私」の納税義務になった。

この状況を整理すると、事業者Aは300円、私は100円と、合計400円分の消費税が申告・納税対象になっている。仕入れで生じた消費税100円分が、「事業者A」と「私」の二重負担になってしまっている。

そこで、事業者Aに対して「仕入れ分で生じた消費税分の支出」を課税対象から免除することで、重複課税にならないようにしましょう、と言っているのが「仕入税額控除制度」がやりたいことになる。
(という理解であってるはず)

hassaku63hassaku63

事業者Aからすると「簡易課税制度」を適用するかどうかで「仕入税額控除」の金額計算が変わってくる。

簡易課税制度について

上記のように、商流関係が複数にわたるケースでは、取引ごとに受け取った/支払った消費税の差額を記録していく必要がある。
(軽減税率があるので全取引を合算して一括計算、というわけにはいかない)

原則はそうだが、取引ごとに記録するのは小規模の事業者からすると負担が大きい。そこで、計算を楽にするモチベで「簡易課税制度」という制度もある。これは、取引ごとに金額計算するのではなく、業種ごとに決められた「みなし仕入率」でもって控除適用後の申告対象の金額を一括計算できる、とする制度。これを「簡易課税制度」と言う。

その納税地の所轄税務署長に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した課税事業者は、その基準期間(個人事業者は前々年、法人は前々事業年度)における課税売上高が5,000万円以下の課税期間について、売上げに係る消費税額に、事業の種類の区分(事業区分)に応じて定められたみなし仕入率を乗じて算出した金額を仕入れに係る消費税額として、売上げに係る消費税額から控除することになります

[引用] 国税庁 - No.6505 簡易課税制度
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6505.htm

フローチャートが下記。

[引用] freee - 消費税の仕入税額控除とは?基礎知識とインボイス制度での変更点をわかりやすく解説
https://www.freee.co.jp/kb/static/hojin-43-ba109ee8350b100174c358747c3dfe1e.png

「課税売上高」はその名の通り課税対象となる売上高のこと。取引は以下の3つに分類され、このうち「課税対象取引」に該当するものが「課税売上高」に、そして全体の売上高に締める課税売上高の割合が上記のフローチャートの判断基準に適用される指標となる。

  • 課税対象取引
  • 非課税取引
  • 課税対象外の取引

実際のところだいたいの取引は「課税対象取引」に分類される。

課税売上高とは?計算方法や課税取引・非課税取引についてわかりやすく解説

https://www.yayoi-kk.co.jp/invoice/oyakudachi/kazeiuriagedaka/

で、このへんのフローチャートはあんまり「私」には関係がないのでいったんとばす。

hassaku63hassaku63

「私」に関係がある話が出てくるのはこのへん。

2023年10月1日からは仕入税額控除の適用要件が変わる

インボイス制度導入後は、一定の要件を満たした適格請求書(インボイス)を発行・保存した取引のみ仕入税額控除の対象となります。つまり、適格請求書がなければ仕入税額控除は適用されません

[引用] freee - 消費税の仕入税額控除とは?基礎知識とインボイス制度での変更点をわかりやすく解説
https://www.freee.co.jp/kb/kb-invoice/purchase_tax_credit/#content3-1

つまり、事業者Aが取引に際して「仕入税額控除」を実施して負担軽減するためには、仕入先である「私」が適格請求書=インボイスを出さねばならない。

そうしない場合は、「私」に支払う消費税額分は(仕入税額控除がなくなることで)まるまる事業者Aの納税負担増加になってしまう。つまりインボイス制度適用後にそれまでと同じ金額の支払いをインボイスなしで取引した場合、事業者Aにとって仕入で支払った消費税分は払い損、という見え方になる。

これは事業者Aにとってつらい。なので、事業者Aがインボイス制度適用後に負担が増えないように身を守る必要がある。取れる選択肢は以下のいずれか。

  1. 仕入先である「私」から適格請求書=インボイスを発行してもらう
  2. これまでの取引で取り決めていた「私」への支払いの総額(税込み)を、「元々の税抜き総額=制度適用後の税込み総額」になるように取引金額を下げる

前者は「私」が「適格請求書発行事業者」になることで、これまで通りのやり方で事業者Aが仕入税額控除を適用できるようにする案。

後者は仕入税額控除を利用しない代わりに、仕入先に支払うはずだった金額を(控除適用されなくなる分の)消費税額分だけ引いて取引するように変更することで、仕入取引の時点で予め税負担が相殺されるように織り込んでおく案。

このへんのやりくりの選択肢で生じる「損得」についての感想

当初から色々フリーランスの方を中心に騒がれていた話というのは、基本的にはこのスクラップ記事で言うところの「私」の立場に当たる人から見た話が多いと認識している(もちろんがっつり売上立てて仕入活動もしている「事業者」側に近い方もあるとは思うが)。

「私」が経済的に損を被る(ように見える)パターンは、上述の "選択肢" のうち後者になる。事業者Aも新しい控除制度の適用によって影響が出ないように企業努力するし、それとまったく同じ話が「私」にも言える。

そして「損を被る」ように見えているが、元々その消費税は「私」と「事業者A」にとって以下の性質がある。

  • 「私」が申告・納税義務を負っているお金
  • 「事業者A」は申告・納税義務から控除できる選択肢のあるお金

なので「損する」という表現自体にも若干語弊があるように感じた。事業者Aの方は自分たちが不利益を被らないように手を打とうとしているだけで、事業者側の視点からすると制度改正後の結果はプラマイゼロか損失を被るかのどちらかしかない。

「私は適格請求書発行事業者の登録もしたくないし、売上を減らされたくもない!」
という人もいるかもしれないが、その主張は事業者側だけが、一方的に事務手続きのコストと経済的な不利益をどちらも呑んでください、私はなにも負担しませんと言っているのに近い気がする。また、仮にそれが受け入れられたとしても、「私」には何も得がない。事業者Aから受け取った消費税に対する申告・納税義務を負っている状況は、制度改正前後で変わらないので。

さらに細かい感想の補足

もちろん、前提であるインボイス制度自体に反対している立場ならまた違う見方になると思う。
妥当かどうかはさておき、「こんな誰も得しない制度なんてやめようよ」のような主張自体はあっていいと思う。ただ、私はこの制度自体は前提として受け入れたうえでこのメモを書いているので、インボイス制度の是非自体はここで取り扱わない。

あと、そもそもの話として今の消費税の申告・納税方式がイケてないかもねという話もあると思った。
事業者が仕入活動したらそこで発生した消費税の支払い分を各自で申告しないと事業者側もその消費税を負担する羽目になっちゃうって話なので、めんどくさいよねと。(仕入先としては元々売り上げの税額分だけ申告義務を負っているものなので負担は変わってない。よって、事業者側が控除申告しないと両者で国に対する重複支払いをしていることになり、どちらも損する、という理屈で理解している。じゃあ他にどうすんだという話だが)

取引先だって被る必然性のない損はしたくないから努力しているし、「私」自身も大事な取引先の利害を立てつつ自分の身を守れるように(=損をしないように)うまくやる術があるならそうした方がいい。

よって、インボイス制度適用後という前提下では、自分とその周囲(発注元の取引先)に損をさせないもっともわかりやすいアクションは「自分が適格請求書発行事業者になる」という選択肢になる

hassaku63hassaku63

「私」にとっての基本方針はここまでの整理でいったん固まったものと結論付ける。次に気になるのは適格請求書発行事業者になる手続きやメリデメということになるが、ぱっとみはそこまで複雑な手続きじゃないし経済的なデメリットを被るものにも見えなかった。手続きも書類1枚出せばOK、という感じに見えるのでとりあえずやっとけ感覚でいいような気はする。

余力あれば手続き回りの話も整理する。


以降は余談的なコメント。

巷で挙がっていた問題点(のうろ覚え記憶)や国税庁インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイトを見ていると「事業者番号が割れると自分の本名と所在地が割れる」のがすこし懸念になりそうな感じはした。

やって意味あるのかという話はさておき、ブルートフォースやろうと思えばできる仕組みになってるのが懸念。どうせなら UUID のようにもっと被りにくいかつ組み合わせが膨大な ID 体系を採用してて欲しいと思ったが、まあしょうがない。

あと、「私」の取引先の従業員に悪意があれば番号で事業者情報を検索できてしまう点が気になった。アイドルや VTuber など、特に身バレができない性質の自営業をやっている方だと、取引先の情報漏洩に対してリスクが増えているのは大きな懸念だと思われる。特に気になるのは資材等の仕入活動で、発注先の従業員が番号を入手して上述の公表サイトで検索してしまうと本名が割れる。これをリスクとして重く見る場合は仕入活動に制限がかかる。

たとえばホロライブのような VTuber 事務所に所属するアイドル。各ホロメンがそれぞれで機材等の仕入活動をしていて、かつ仕入先に十分な信頼が置けない(あるいは万全のリスク対策を行いたい)のであれば、その仕入活動を COVER 株式会社を通して代行してもらうようにするなどで身バレリスクは軽減できる場合がありそう。一方で、この話をやるとなると COVER 的には(元々そういう代行的な業務フローになってるかもしれないが)事務手続きやリスク管理がまるまる負担増になるわけで、そういう視点ではインボイス制度によって経済的な負担が生じてしまっている、と言える。

そして、この代行方式でもカバーできない身バレリスクもいくらかありそう。例えば実店舗に赴いて物品購入するなどの仕入活動はやりづらくなる気がした。

所在地などで社名が割れてしまったりすると、却って「こいつ関係者か?そういや声に聞き覚えが・・・」と勘ぐられるかもしれない。それはそれでリスク。幸い公表サイトで検索できる情報にその事業者の事業内容までは含まれないので、そういう実店舗で手配した仕入れがもし発生するのであればそこは各ホロメンご自身が(元々個人事業主として活動しておられるはずだし)適格請求書発行事業者に登録して、個人名で仕入れしてもらうのが最もリスクが低いのかも。

...と、素人考えで想像した。的外れかも。

hassaku63hassaku63

追記。

調査過程でちょいちょい目にした「売上1,000万円以下」という条件がどこにかかっているのかきちんと整理できてないことに気づいた。

ここでの想定読者である「私」は副業エンジニアなので売上が1,000万を超えることはそうそうないはずだから無視していい気もするが、この金額の主語が誰でどういう条件でどこにかかっている話なのか理解してないので押さえておく必要はありそう

No.6501 納税義務の免除

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6501.htm

概要の以下の記述に1,000万円と書いてあるので、ここの記述が出典と思われる

消費税では、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、その課税期間における課税資産の譲渡等および特定課税仕入れについて、納税義務が免除されます(注)。

[引用] No.6501 納税義務の免除

副業してる人間のほとんどは売上が1,000万を超えない人がほぼほぼと思われるので、ぱっとみでは「副業の人は基本は消費税の納税義務がない」と取ってしまっていいと思った。

ここまでの話と総合すると、適格請求書発行事業者に登録してないと起こることは

  • 自分に発注する事業者に対して一方的に消費税の負担を転嫁する
  • 自分の売上から消費税分を割り引いて請求する

のいずれか、ということになりそう。