転職用のポートフォリオの構成には注意しよう
転職時のポートフォリオの構成にはいくつか注意した方がいいことがあると感じたのでまとめます。
作品のジャンルが自分の好きな分野、興味のある業界に偏る
ポートフォリオに掲載する作品を考える際に、自分の好きな分野や興味のある業界はイメージがしやすく、作りやすいですよね。結果として開発に要する工数が削減できるというメリットがあります。しかし、実務では多種多様な業界の案件を担当することがあります。その結果、ポートフォリオに掲載した作品のレベルと実務での成果物のレベルに乖離が生ずる可能性があります。
これに関して私なりの対策を示します。
1. 作品のジャンルを幅広くする 〜業界〜
例えばwebサイトを3つ掲載する場合、1つ目のサイトは美容室のコーポレートサイト、2つ目のサイトはsaasのLP、3つ目はプロダクトサイトといった具合です
2. 作品のジャンルを幅広くする 〜雰囲気〜
例えばwebサイトを3つ掲載する場合、1つ目のサイトは透明感・清潔感重視、2つ目のサイトはモダンでテック感重視、3つ目は高級感・シンプル感重視といった具合です。
雰囲気が決まればサイトにおける方向性もある程度決まってくると思います。透明感・清潔感重視なら美容室や病院、モダンでテック感重視ならsaasのLPやプロダクトサイト、高級感重視ならホテルやジュエリー系のサイトなどといった具合です。
転職先が展開している雰囲気、強みとしている分野に寄せていない
例えば転職先の企業が高級感のある演出が得意、ホテルやハイブランド系のサイト作成に多数の実績があるとします。さて、この企業に応募してきた転職者が2人いたとします。Aさんのポートフォリオの内容はデザインフォントが使用されており、全体的に可愛らしい雰囲気です。それに対しBさんのポートフォリオの内容はベーシックなフォントで全体的でシンプルでミニマル、モダンな雰囲気です。この場合、採用担当者はBさんを採用する可能性が高いです。理由としては以下の2点です。
1:自社との調和が取りやすい
ポートフォリオ全体の内容が自社の展開する雰囲気や強みと関連性が強いため、採用後に活躍してくれそうという想い。
2:早期退職のリスクが減る
もしAさんが可愛らしいデザインが好きでそのような雰囲気を実務でも演出したいとします。しかし転職先の企業は高級感のある演出が得意な場合、そのような雰囲気のサイトやビジュアルを作成する案件は少ない可能性が高いです。その結果、「自分のやりたいことができない」という想いから退職のリスクが高まります。
したがって、自分のアイデンティティを犠牲にしてまで転職先に寄せる必要はありませんが、ある程度雰囲気や方向性を合わせることは重要だと思われます。
なんとなく・思いつき・センス頼りの作品
これは超有名な美大を卒業していたり、高い感性やセンスを持っている人も注意が必要かもしれません。
ポートフォリオに掲載する全ての内容において、「なぜそのデザインにしたのか」という質問に答えられるようにしておく必要があります。
例えば「なぜaboutのセクションでは下にスクロールするにつれて背景が青から暗い青に変わるのか」という質問があったとします。これに対する回答として「説明するプロダクトが海水を使用した天然由来のものであり、海が下に行くにつれ暗くなるような演出をした。単調な背景色では飽きてしまうためコントラストとしての役割もある。」と理論的に応えられる、といった具合です。
ポートフォリオに掲載する作品はデザイン理論に則したものや背景にある想いなどを述べられるといいと思われます。
また、ポートフォリオだけに限らず転職後でもこのような説明能力は問われます。
例えばあるクライアントの企業ロゴを作成し、打ち合わせの際に「なぜこのようなロゴにしたのか」という質問に対して、「なんとなく、センス頼りです」という回答ではクライアントの信頼を得ることは難しいでしょう。
以上のことを意識してポートフォリオの作成に取り組もうと思いました。
今回はここまでとなります。
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