統計検定1級 受験記
はじめに
2021年11月21日に実施された、統計検定1級を受験しました。
本日Webでの合格発表があり、統計数理、統計応用(人文科学)で合格していることを確認しました。
自己顕示欲が高まりましたので、受験記を書き残しておこうと思います。
今年の6月には準1級の受験記を書いているので、よろしければそちらも御覧ください。
まとめ
全部読んでくれる人は少ないと思うので、先にまとめておきます。
- 統計数理の勉強が大事。
- 現代数理統計学の基礎は参考書としてとても優秀。ただし完全読破する必要はない。
- 過去問を繰り返し解くべし。
筆者プロフィール
- 21卒の社会人。Web系企業にてデータアナリストとして働いています。
- 2019年7月、CBTにて統計検定2級合格。合格点ギリギリ。
- 2021年6月、統計検定準1級合格。手応え最悪でしたが、運良く合格。
- 大学、大学院で統計をちょっとかじっていた。
統計応用の分野の選び方
統計応用(午後試験)の分野は 出願時 に選択します。一通り全ての分野を勉強して、試験当日に問題を眺めて解けそうな分野を選ぶ、というようなことはできません。
自分は出願時に過去問を一通り眺めて人文科学を選んだのですが、以下が選択理由です。
- 統計数理の知識で解けそうな問題が多い
- 準1級の記述問題で勉強した分野が人文科学と近い分野だった
出願時に一通り過去問を眺めましたが、人文科学は、分散分析や構造方程式など、準1級で頻出の単元が出題範囲となっており、準1級の時の貯金である程度カバーできるなと思いました。
以上のように、自分の場合は「合格すること」に重きを置いており、それに伴って、勉強時間が少なくなるように分野を選びました。
参考書
使用した参考書やサイトを紹介します。
現代数理統計学の基礎
統計検定1級の対策本として名高い本ですね。教科書として8章まで読み、演習問題は4章の途中までは全て解いたものの、以降は掻い摘んで解いていました。
自分が語るまでもないですが、(統計検定の教材として)この本の良し悪しを書いてみます。
よかったこと
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演習問題が豊富
とにかく演習問題が豊富です。準1級のワークブックは、過去問の数値を変えただけなので簡単に過学習してしまうのですが、こちらはバラエティ豊富でなおかつ問題数がとても多いです。(そもそも統計検定のために執筆された本ではないので、準1級のワークブックと比較するのは適切ではないかもしれないですね…)
書籍だけでなく、著者HPにて追加の演習問題も公開されているので、理解度チェックを十二分に行うことができます。 -
統計数理の出題範囲をカバーしている
9章までで統計数理の出題範囲をほぼカバーしています。上述したように演習問題も豊富ですので、この本を読破すれば、統計数理は絶対に合格できると思います。
困ったこと
- 演習問題に、統計検定の出題範囲を逸脱している問題が含まれている
明らかに統計検定合格には必要のない、難易度の高い問題が(*)マークなしに掲載されていたりします。別に統計検定のために執筆された本ではないので、当然のことですね。
試験に向けた勉強を始める際に、先に過去問を眺めるor解いてみることで、統計検定で出題される問題のレベル感を理解することをおすすめします。その上で、本の演習問題を掻い摘んで解くのが良いと思います。
(とはいえ、試験勉強を始める前から問題のレベル感を掴み取るのは難しいと思うので、5,6月くらいから勉強を始める等、ある程度時間をとって腰を据えて勉強するのが良いのかもしれません。。。)
公式問題集(過去問)
よほど自信がある人以外は、素直に買うと良いでしょう。
自分は上述のように、現代数理統計学の基礎の読破・演習問題完遂は途中で諦めて、過去問に多くの時間を割いていました。
参考になったサイト
箇条書きで記載します。
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新納浩幸先生のホームページ
茨城大学で教授をやられている方のホームページです。過去問を検索していた際に、たまたま見つけました。2012 〜 2014年の数理統計の過去問と解答解説がまとまったPDFが公開されており、過去問の演習量確保のためによく利用していました。解答解説も分かりやすく、大変助かりました。 -
脳内ライブラリアン
現代数理統計学の基礎の演習問題の解説を詳細に記載してくださっているブログです。自分は解答解説だけでは理解できないことが多々あり、検索すると大体このブログに辿り着くことが多かったです。丁寧な解説で分かりやすかったです。とても助かりました。 -
バナナでもわかる話
過去問や演習問題の解説を読んで分からない時に、辿り着くことが多かったブログです。こちらも分かりやすく丁寧な記述でとても分かりやすかったです。
勉強時間
準1級での勉強による貯金も少しあったため、総勉強時間はおそらく100時間ほどだと思います。
- 9月中旬
勉強開始。現代数理統計学の基礎を読み始める。とはいえ、準1級の勉強や大学院生の頃に4章くらいまでは読んだことがあったので、主に演習問題を解いていました。 - 10月上旬
演習問題を進めていたものの、演習問題が自分には難しすぎて進捗が芳しく無く、この時点で4章の途中までしか進んでいませんでした。「もう絶対間に合わんな」と思い、ほぼ諦め状態に。 - 10月中旬下旬
気分転換に過去問を解いてみると、現代数理統計学の基礎の演習問題よりも遥かに解きやすく、「これワンチャンあるかも?」と思い勉強再開。方針を変えて過去問を熟すことをメインにしつつ、本の演習問題も少しだけ解く、というスタイルに変更しました。 - 11月
スタイル変更したものの、(自分の怠惰が原因で)どうにもこうにも勉強時間が確保できず焦りだす。「試験までの3週間は追い込むぞ」と思っていたところで、胃腸炎で1週間潰れてしまい絶望。試験までの2週間はずっと過去問(2012~19)を解いていました。テスト前日で、ギリギリ2周目終わったという感じでした。
平日は業務後毎日1.5時間を目標に勉強していました。
準1級を受けたときは研修中だったこともあり、体力もそうですし時間的にも割と余裕があってコンスタントに勉強できていたのですが、部署に配属されてからは業務の方に気を取られることが多くなり、疲労等で業務後に勉強できない日が多々あり、社会人の辛さを感じました。学生のうちに勉強しておけばよかったなぁと強く後悔しました。
その分土日はガッツリ勉強、といきたいところですが、土日はぼんやりする時間が多く、2時間程度しか勉強できませんでした。。。
過去問の出来としては、2016 〜 2018は初見で5,6割程度でした。2019は本番一週間前に解いてみて、7割くらいできたかも〜という感じ。
受験当日&その後
上述のように、かなり準備不足を感じており、「苦手分野(因子分析、層別解析、構造方程式)が出ませんように」などと祈りながら試験会場に向かいました。苦手分野が3つもあるのが勉強不足を物語っています。
統計数理(午前試験)については、全て最後の問以外は解けたので、感触としては悪くない印象でした。
一方、統計応用(午後試験)は、例年とは違った問題や自分の苦手分野からの出題があり、試験開始1分で「あ、これ絶対無理だ」と感じました。記念受験くらいの気持ちでのんびり解いていました。
ただ、よくよく問題を読んでみると、見掛け倒しなだけで意外と既存の知識で解ける問題も多いことに気付きました。しかし気付いた頃には残り時間もほとんどなく、解けるべき問題も解ききれずに手応え最悪で試験を終えました。
翌日、模範解答が統計検定HPに公開されたものの、希望を持ち続けたかったので自己採点はしませんでした。
試験から4週間後の月曜日、HPにWeb合格発表が行われました。午前はたぶん大丈夫だと思うけど、午後は厳しいな〜〜〜〜〜と思っていましたが、無事に合格していました。今年は準1級も含めて統計検定にかなりの時間を割いたので、無事に合格できて本当に嬉しかったです。
受験してよかったこと
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統計を勉強するための土台ができた
種々の確率分布について、自分の手計算で統計量を導出したり、各種統計量についてその不偏性や分散を計算するなどを経験することで、統計を勉強するための土台ができたように思います。数式への抵抗もだいぶなくなりました。 -
コンプレックスが解消された
学部では計量経済のゼミにいたにも関わらず、当時は統計など全く勉強しておらず、卒論では集計等一切せずに、意味も分からずデータをStataに突っ込んで回帰分析して、p値が0.05より小さいかどうかを見てレポーティングするだけの酷い分析をしていました。要は全く統計のことが分かっていませんでした。それなのに「計量経済専攻」という経歴がついているのは非常に心苦しいところがありました。
統計検定のための勉強で、学部時代にできなかった分の勉強を取り戻せたかなと思います。本当に自己満すぎて書くのが恥ずかしいですが、個人的にはとても良かったです。
さいごに
長文の割に自分語りが多く、情報量の少ない受験記になってしまいましたが、どなたかのお役に立てれば幸いです。
怠惰な自分は勉強中何度も心折れそうになりましたが、業務後に実施していたもくもく会で励ましてくれた同期の皆様のおかげで、日々継続して勉強することができ、最終的には準1級だけでなく1級も合格することができました。感謝してもしきれません。本当にありがとうございました。
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