チームメンバーの有給消化率100%を目指す事とその重要性
チームメンバーの有給消化率100%を目指す事とその重要性
この記事は、Engineering Manager Advent Calendar 2023 の7日目の記事です。
6日目は @smith703 さんの女性EMとしてチームで推進してきた働きやすさのためのワークでした。
こんにちは。 @halt です。
簡単に自己紹介しておくと、コピー機の修理の仕事からキャリアをスタートして、プログラマとして何社かを転々としたあと会社経営をして、その会社を吸収してもらった会社でエンジニアリングマネジメントや横断組織運営、採用などに関わってきました。今はただの無職です。
さて、私が過去にマネジメントしていた横断組織チームは、メンバー全員がバラバラのプロジェクトに参画しており私がスケジュールを直接制御できる状態になかった事もあり、メンバーには口酸っぱく「有給を消化してくれ」と言い続けてきました。有給をちゃんと使い切るというのは習慣であり、習慣というのは一言二言で身につくものではありません。
有給を使ってもらうのは難しいのです。
そこで、私が有給を使ってもらうために培ってきたノウハウをここにまとめておきたいと思います。
どうして有給消化しないといけないのか?
「どうして有給消化しないといけないのか?」
まずはここに納得感がないと、チームメンバーは「またしょうもない事言って。くだらねー時間の無駄(意訳)」「働くって言ってるんだからいいじゃん」「有給使わなかったらお金になるらしいじゃん?」みたいな気持ちで行動してしまいがちです。
もしかするとこれを読んでいるマネージャーの皆さんも同じように考えているのかもしれませんね。
そこで、ちゃんと消化しなければいけない理由として、私は「休んで家族サービスとかリフレッシュしろよー」などではなく、社外からの会社評価に影響する事を意識してほしいと言っていました。
例えば、東洋経済のCSR企業白書には有給休暇取得率ランキングがあり、主要企業の有給取得率を見ることができます
また、厚労省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」からも年次有給休暇取得率が見られるようです。
所属する会社の規模による所はありますが、自分の有給取得が社外からの評価につながる可能性があるという事を認識するだけでも意識が変わってくると思います。
また、こういったランキングの情報を共有して、知っている会社の情報を見る事も取得意識の向上につながって良いかもしれません。
月初、期初でかならず説明
私のチームメンバーはほぼ全員が複数の業務をもっていたり、多量のタスクや難易度の高いタスクに全力を尽くす必要のあるエキスパートばかりでした。
そのため有給消化は相対的に優先度の低いタスクとなって流れてしまいがちだったので、月初や期初を利用して定期的に同じような説明をすることで「聞いてなかった」「忘れてた」を最小限にしていました。
(ちゃんとやれてる人からすると「またかよー」ってなってたのかもしれないですが、私は大事な事は何度でも言い続けたいタイプです。)
マネージャー自身が身をもって有給消化を宣言する
上司がやれていない事を部下にやらせるのはおかしな話ですよね。職位が上がればあがるほど、役員や社外との会議や1on1といった定期拘束の時間が増え、有給取得の難易度はあがるものですが、いかなる理由があろうとも有給消化をしていく事がメンバーへの納得感につながります。
期初など区切りのタイミングで「自分はちゃんととってるぞ」などという情報共有をしつつ、メンバーにも計画的な消化を促すと、「じゃあ自分たちもやるかあ」という流れを作りやすくなります。
有給休暇を効率的に消化する方法
「とらないといけないのはわかったけど、うまくとれない」「あなただからできるのであって私にはできない」と言われた時のために、有給休暇を効率的に取得する方法をいくつか紹介します。
たつを式
カレンダーとアラームに指示されるまま受動的に日常生活を送っているようなエンジニアの方は多いと思いますが、そういう(私のような)タイプの人間は、能動的に予定を決めるのが苦手という方が多いです。「いつか休もう」と思っている間にあっという間に1年がたち、2年がたち、繰越しできないまま有給が消滅していってしまいます。
そういった方におすすめなのが、たつをのChangelog で有名なたつをさんが20年以上前(まじか)から実践されている有給取得方法、(私の中での)通称 「たつを式」 です。
毎月決まった日に有給をとるというシンプルなやり方なので、考える時間を最小にできるし周囲の理解も得やすいです。たつをさんのように毎月1日を休むようにして映画を見る習慣をつければインプットにもつながりますね。
毎月一日が平日のときは、必ず有給休暇を頂くことにしています。
休みというのは、かなり前から宣言しておかなければ取りにくいものです。 「来週休もう」と思っても、直前になったらバタバタして休みづらくなりがちです。
我社では、年度始めに小さいカレンダーが配られ、「休暇は計画的にとりましょう」みたいなことが書いてあります。 とはいえ、「何月何日に休もう」なんてことを何ヶ月も前に決めるのも大変なものです。
そんなときは「毎月一日は休む」と宣言すれば良いのです。 つまり、自分の定休日です。
「あいつは毎月一日は必ず休むんだよね」と認知されることにより、「毎月一日は休む」は「毎週日曜は休む」と同じ意味になるのです。
何年も前からその日は休むということが分かっているので、急に休んで迷惑かけるという事態もなくなります。 確実にお休みがとれるようになります。
とくに予定がなくても、のんびり映画観賞でもすれば良いのです。 毎月一日は映画の日なので安く (神奈川県は1000円) 映画が見れます。
期初設定方式
これは全く休みがとれないプロジェクトマネージャーや進捗管理をやる人が使う事が多いのですが、有給が付与されたタイミングで、3ヶ月先や半年先に長期休暇を錬成する方法です。
2,3日をポツポツ設定する人もいなくはないですが、貯めた有給を消化するために、思いきって半月、または一ヶ月をまるごと休みにして、上長やチームメンバーに「3ヶ月先のX月、自分は全部休みにしたいんですが大丈夫でしょうか?」と交渉する人が多い気がします。
忙しさの予測ができる業務の場合は有効で、例えばマネージャーの場合、評価や目標設定が終わったタイミングが狙い目です。
ただしサービスローンチ延期などで忙しさを読み間違えた場合が地獄なので、周囲との相談がとても重要です。
長期連休の取得時期を2パターン用意しておいて、先に予定した連休がつぶれた場合に、「次は死守します」と宣言するとさらに確実です。
サボる(有給残数をチェックして病欠)
有給を取得するのに理由を伝える必要はないことはご存知でしょうか?ベリーベスト法律事務所によると、理由を言わないと有給取得できない場合は違法となる可能性があるそうです。
有給休暇を取得する際には、会社に理由を伝える必要はありませんし、会社から理由を求められたとしても単に「私用のため」と伝えればよいです。(「私用のため」と伝えても、会社が納得せずしつこく理由を聞かれても、申告する義務は一切ありません。)また、私用の理由を言わないと有給を取得させてもらえないような場合は、違法となる可能性があります。
有給残数がある場合、こう考えてみるのはいかがでしょうか?
「いいのか?俺はいつでも休める権利を持っているんだぞ?いつでもそれを行使できるんだぞ?」と。
朝起きるのが辛すぎたり、起きたら遅刻確定だったり、目がさめた瞬間がオンラインMTG開始時間だったりってありませんか?私はあります。
そんな時はもう休みましょう。ちゃんと起きれなかったという事は体調が不調。つまり病気に違いない。いけないこれは安静にしないと。当然欠席です。
「絶対に絶対に抜けてはいけない予定がある」場合は駄目ですが、普段から仕事を独り占めしないようにしていれば、1日くらいの休みはなんとかなるものです。
みんなが働いていて、自分も働く予定だった日が休みになる。この非日常感が気持ち良いいいい!
家でだらだらしたり二度寝するのもいいですが、あえて午前中散歩したり、サラリーマンにまざってランチを食べに行ったりするのもいとをかし。
ただし、休み癖や逃げ癖がつきすぎてしまうと、有給残数がないのに休んでしまって迷惑をかける事になるので用法用量を守る事が重要です。
「何気ない日常があるからこそ非日常を楽しめる」という事を忘れないでおきましょう。
まとめ
とにかく有給とるのは大事なのでとっていきましょうという話でした。
そもそもマネージャーの人の中でもメンバーの有給取得について気を使っていなかったり、メンバーには取得しろと言うのに自分は別みたいな労働の仕方をしている方もいると思います。
ぜひこれを機会にメンバーの方々と一緒に休む事や有給取得をすることについて考えてみてはいかがでしょうか。
あともっと良い有給取得の方法を知ってるなどあればコメントいただけると幸いです。
この記事を実践してうまくいった、いかなかったなどの感想もお待ちしています。
明日は @nory_kaname さんの EMに挑戦する前に、知っておくべき役割の本質 です。
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