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4ヶ月でチームが自走するまで ─マーケティング部でスプリントプランニングを導入した話─

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はじめに

はじめまして。Hacobuテクノロジー本部でデータアナリストをしているTKです。

普段はエンジニア組織に所属し、データ分析やダッシュボード活用の支援、業務改善プロジェクトなどに取り組んでいます。

今回お話しするのは、私の専門領域である「データ」からは少し離れた、チームの働き方改革に関する取り組みです。

実は私は以前、別チームにスプリントプランニングを導入し、大きな成果を得た経験があります(関連記事はこちら)。

その様子を見たマーケティング・コミュニケーション部のリーダーから「うちのチームでもやりたい!」と声をかけてもらったのが、今回のプロジェクトの始まりでした。

この記事では、導入前の課題、定着までのステップ、導入後の変化を具体的にお伝えします。

Hacobu社内に限らず、似たような課題を抱えるチームの参考になれば嬉しいです。


導入前の課題 — チームに漂っていた“モヤモヤ”

マーケティング・コミュニケーション部は、企業PRからコンテンツ制作、SNS運用まで、多角的な情報発信で企業価値を高めるマーケティングの専門集団です。カバー範囲が広い分、日々多くの施策やプロジェクトを同時進行させています。

しかし、その中でこんな声がよく聞こえていました。

  • 「人によって管理のやり方がバラバラ」
  • 「何から手をつけるべきか分からない」
  • 「Slackやメール、会議に情報が散らばって探すのが大変」
  • 「誰が決めるのか曖昧で、判断に時間がかかる」

各メンバーの自走力は高いものの、それに頼った属人的な管理スタイルになっており、最終的な成果物は評価できても、そこに至るまでの進捗や努力が見えづらい状態でした。


スプリントプランニング導入を決めた理由

そこで導入したのが、スプリントプランニングを共通フォーマットにしたプロジェクト&タスク管理です。

目的はシンプルですが、効果は大きいと考えました。

  1. プロジェクトの見える化
  2. タスクの見える化
  3. 優先度の見える化
  4. 管理方法の共通化

これにより、属人的なタスク管理を解消し、全員が同じ形式で状況を共有できるようにすることで、チーム全体の力を最大化することを目指しました。

管理ツールは、社内で既に活用している Notion を採用しました。


4か月で定着させた導入ステップ

新メンバーの加入も控えていたため、早期に運用を軌道に乗せる必要がありました。

そこで以下の4フェーズに分け、使いながら慣れる形で進めました。

フェーズ1:書き出して、集約する

まずは各メンバーが持っているタスクを、粒度や書き方は問わずNotionのスプリントボードに書き出してもらいました。

毎日のデイリーミーティングで質問を解消しながら、2週間で入力習慣を定着。

担当者別のタスク件数を可視化し、「振り返りにも使える便利さ」を早期に実感してもらいました。

また、利用開始までの流れは自社SaaSツールの導入支援と同じ流れで実施することで、メンバーにイメージを持ってもらいやすくしました。

フェーズ2:粒度をそろえる

フェーズ1を経て、管理しやすいタスクサイズのイメージが共有されてきたため、タスク粒度をチームで統一。同時に、複数タスクを束ねるプロジェクトの作成も本格化しました。

この段階で、スプリントボード上でチーム全体の全体像が見えるようになりました(所要:約1か月)。

フェーズ3:チーム仕様にカスタマイズ

運用が軌道に乗ってきたら、より便利に使うためのカスタマイズに着手。

各プロジェクトやタスクに付与する属性情報やその粒度、タスクの作成ルールの明文化などを進め、誰が見ても理解できるフォーマットに統一しました。

これにより、タスクの粒度や表記が揃い、会話や情報連携のスムーズさが格段に向上しました。

フェーズ4:枠を超えた最適化

続いて、Notionの枠を超えた最適化に着手。

Slackからのタスク発行や、自動連携など外部とのつなぎ込みを実施。

またNotion上でも、実績管理のダッシュボード構築や、インターン学生を含めたタスク管理の実現など、より実業務の効率化につながるような改善を行いました。

これにより、導入開始からわずか4ヶ月間で、「とにかくここを見れば全部わかる」という情報の一元化を実現しました!


実現のための体制づくり

二人三脚での推進

マーケティング・コミュニケーション部からも導入担当を1名アサインしてもらい、週次1on1で進捗や課題を共有。

現場感を持った推進体制を築くことで、導入スピードと定着度を高めました。

継続改善の“ふりかえり”

フェーズ3の頃から、週次でのふりかえりも始めました。スターフィッシュ法を使って改善点やアイデアを出し合い、チームとしての小さな改善を積み上げていくことを目的としたものです。

こちらの効果は大きく、クリエイティブチームらしく、活発な意見交換の場になりました。
忙しい中で、気になったが溢れてしまっていた小さいな改善アイデアを拾い上げる場となり、週次30分という短い時間ですが、確実にチームが良くなっていくことを実感できる時間とすることができました。


導入後の変化

メンバーからは次のような声がありました。

  • タスクが見える化され、時間の使い方がうまくなった
  • タスクの抜け漏れが減った
  • 過去の情報やノウハウへのアクセスがスムーズになり、探し物の時間が減った

もともとスキルの高いチームでしたが、管理方法の統一によって個人の力を最大限に発揮できるようになり、チーム全体のパフォーマンスも向上しました。

さらに、タスクベースで成果を可視化できるようになり、数値的な改善にも着手しています。

例えば、タスクに「企画」か「作業」という属性を付与し、業務比率を可視化しました。その結果、「作業系」業務をインターン学生や業務委託に外注することで、チーム内の企画系クリエイティブ業務の比率を向上させることができました。


おわりに

4か月間で、マーケティング・コミュニケーション部は可視化・生産性向上・属人化解消という大きな成果を手に入れました。

スプリントプランニングは、単なるタスク管理の方法ではなく、チームを成長させるための仕組みだと強く感じています。

これからもさらに使いこなし、より良いチーム作りにつなげていきたいです。

この記事が、同じような課題を抱える方のヒントになれば幸いです。


著者プロフィール

kazuki takahashi

CTO室所属。業務改善・データ活用推進を担当。

社内のデータ基盤整備や、非エンジニア組織の業務改善支援を中心に活動中。

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