【MotionBuilderチュートリアル】第11回 ~キーの打ち方、FCurveの使い方~
株式会社GUNCY'Sの岡崎です。
この連載も11回、そろそろ更新がギリギリになってきているのでは?という声もあります(?)が、しっかり完成まで続きますのでご安心ください!
前回でコントロールリグの制御方法についてわかったところで、次にモーションデータの操作について触れていきましょう。
アニメーションカーブ
モーションデータはTransport Contolsで再生されて動くデータであることを第4回で説明したと思います。覚えていない、ご存知ないという方はこちらに目を通していただけると幸いです。
モーションデータはグラフとして表示されます。このグラフは横軸を時間とした値の変位を曲線として表示します。このグラフの曲線のことをアニメーションカーブと呼びます。
たとえば、波打つカーブなら往復運動をしている、なだらかな坂であればゆっくり動いているなど、アニメーションカーブからどんな動きをしているか読み取れる情報も多いです。
※画像はあくまでイメージです。グラフはマウスのフリーハンドで描いたものです。
今回はこのFCurvesについての解説をしていきます。
FCurvesウィンドウの見方
FCurveとはテイク内のアニメーションカーブを編集するための機能です。FCurvesは画面下の
オブジェクトを選択したうえで、そのオブジェクトのプロパティを選択するとオブジェクトのアニメーションカーブが表示されます。
FCurvesウィンドウはNavigator上部のFCurvesタブをクリックすることで表示されます。
全体としてのインターフェースはこのようになっています。
大きく分けて、プロパティ、カーブ表示、オプションの3つに分かれています。それぞれ解説します。
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プロパティ
選択したオブジェクトが持つプロパティを表示します。具体的には、Translation(位置座標)、Rotation(回転座標)が挙げられます。X、Y、Zの値を表示します。また、逆三角がついている親項目は選択すると子の項目をまとめて選択することができます。また、Characterやコンストレイントを選択した場合も、その内容の項目を表示します。
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カーブ表示
選択されたプロパティのカーブが中央のビューに表示されます。カーブの左端の目盛りがプロパティの値、横軸がフレーム数を表示しています。
XYZと3値になっているプロパティはそれぞれ赤緑青で色分けされています。上図ではRotationのX、Y、Zの値が表示されています。
カーブの中に点が見えると思います。これは点がある時点のフレームにプロパティの値を設定している点、つまりそこにキーが打たれている事を示しています。このキーが打たれているフレームのことをキーフレームと呼びます。
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オプション
こちらではキーフレームを指定した値で編集できます。具体的には、Value(縦軸)やTime(横軸)に対して、テキストボックスに数値を入力した値で操作ができます。
“=”は入力した数値の値をそのままValueやTimeの値に変更します。“+”は加算、”-”は減算、”*”は乗算をキーフレームの値に対して行ないます。
キーの打ち方
ではここでキーの打ち方を実際に操作して解説します。
今回はシンプルな解説をしていきたいので、何のオブジェクトも置いていない新規シーンを作成します。
画面左上のFileからNewをクリックして新規シーンを作成します。
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キューブをシーンに追加
Asset BrowserのElementsからCubeをドラッグ&ドロップで追加
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キューブを選択してプロパティのTranslationを選択します。
新規でシーンを作成しているので、このキューブにはキーフレームもカーブもまだない状態です。
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キーを追加
それでは、モーションの起点とするキーフレームを設定するために、このフレームにキーを打ちます。
キーを追加するにはプロパティの項目を選択している状態で《 K 》キーを押します。
キーが打たれると、FCurveビューで3つの点と線が表示されることを確認できます。
このキーがモーションの起点となります。
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表示フレームを進める
フレームを30フレーム時点に移動します。Transport Contolsの再生位置をドラッグでも構いません。とくに30フレームにこだわらず、別のフレームに移動すればOKです。
Tips:フレームのスナップ
フレーム数の指定をする際、30フレームちょうどにしようとしてもできない場合があるかもしれません。その場合、フレームのスナップが効いていないと思われます。
フレームにスナップさせるには、Transport Contolsの右上にあるプルダウンからSnap on Framesに設定します。この状態であれば、ドラッグ操作でもフレームの目盛りにスナップさせることができるようになります。
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キューブの位置を変える
キーを変えてから、キューブの位置を変えます。
X Y Zの値をそれぞれ+方向に変えます。
値を変える際はプロパティから変えることもできます。
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キーを打つ
動かしたら再び《K》キーを押してキーを打ちます。l
2つ目のキーフレームが追加された事を確認できます。
また、カーブも右肩上がりで表示される事も確認できると思います。
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位置から再生する
ここまでできたら、フレームを0にして再生してみましょう。
0フレームでキーを打った位置から30フレームでキーを打った位置へ、キューブが移動する様になります。
Tips:キーフレームの上書き
打った後のキーフレームは、右側のオプションで数値を入力したり、キーフレームの点をドラッグして値を後から変えることもできます。変えた後は《K》キーを押してキーを上書きしないと変更が適用されないので注意してください。
このように、キーフレームを打つことでテイクへアニメーションを適用することができます。
キーを打てるプロパティについて
さきほどの例ではTranslationの値をアニメーションさせましたが、FCurveのプロパティに表示される項目であればキーフレームを打つことができます。
その目安となるのが、プロパティ名の脇にあるKアイコンです。
キーを打った時や、オブジェクトを動かした時に色が変わったりしているアイコンですが、これがついているプロパティはFCurveでアニメーション編集が可能なパラメータとなっています。
オブジェクトの位置、回転など
さきほどのキューブを動かした時と同様のプロパティですね。
アニメーションでは基本となるプロパティです。
リターゲットオプション
Characterのリターゲットの調整をする時に表示されるパラメータです。
以前に紹介したIKBlendや、Motion Reductionなどのリターゲットのオプションにもキーを打つことができます。数フレームの間だけIKを効かせて、それ以外は無効にするといった使い方ができます。
Match SourceなどのKアイコンがついていないものは、FCurvesのプロパティにも表示されず、キーを打てないので注意してください。
Tips:FCurvesプロパティでのIK Blendについて
IK Blend、IK Pullにキーを打ってカーブ編集をする際にはひとつ注意が必要です。それは、FCurvesのプロパティにはIK Blendという名前の項目がないという点です。
これは編集が不可能というわけではなく、違う名前のプロパティとして存在します。
たとえば、Character Controlsから左手首のIK Blend T、Rを選択してキーを打ってみます。
するとFCurvesプロパティにはLeft Hand Reachという項目が反応します。
実はIK BlendはReachという項目に対応しています。逆にリターゲットオプションでReachの値を変えるとIK Blendも同じ値に変化します。プロパティの選択をする際には気をつけてください。
今回はFCurvesの使い方とキーの打ち方についてを簡単に説明しました。
これらの使い方はモーションの編集をする際に必要となる操作ですので、モーションキャプチャー収録後にちょっとした編集を加えたりする人にはぜひ覚えていただければと思います。
次回
12月に入ってからはmocopiという個人でも使えるモーションキャプチャーデバイスが発表されて話題となっていますね。MotionBuilderも対応しているとのことで、学生さんは学生版ライセンスと併用するにはうってつけかもしれません。
閑話休題、モーションキャプチャーでの撮影はいくら体の動きをそのまま撮れるとしても、場合によっては足や腰などにノイズが入ってブルブルと震えてしまうこともあります。リアルタイムで取り除くことは難しくても、収録後のモーションはノイズの処理をすることはモーションのクオリティを上げるためには大切です。
ということで、次回はモーションのノイズを取り除く方法についての解説をします。これについては足の震えなどがのりやすいモーションキャプチャーデバイスでも役立つ内容になると思います。次回もよろしくお願いします!
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