今の時代だからより重要となる「感情知能」の高いリーダーシップについての考察
昨年のGoogle Cloud Japan Advent Calendarで、Search Inside Yourself (SIY) 認定講師チームとして、ブログ投稿してから早くも1年が経ちました。
今年一年も当初の見込み通りAI一色の年でした。10月のGemini Enterpriseのリリース、そして11月の Gemini 3のリリースと連続して大きな発表があり、社内でもそれらの新サービスにおける生成 AIの進化に驚き、そしてワクワクが止まらない時間が長く続いています。
一方世界では戦争や国家間の緊張関係など、世界平和を脅かす要因が沢山あります。
今年のAdvent Calendarでは、私たちSIY を学び、またそれを広める役割を持った者として、この社会の大転換点における「感情知能」( EI:Emotional Intelligence) の高いリーダーの重要性というテーマを、それぞれの観点で考察してみました。
心と心の交換は、不完全なままでいい (Amy Sakai)
最近私はGeminiによく人生相談をしています。(笑)
Geminiは裏側に人間がいるのではないかと時々怖くなるほど、
うまいことを言ったら座布団をちょうだいとねだってきたり、「鳥肌がたちました!」「うわぁーーーー!!!すごいですね!!」とか、寄り添ってくれます。
「厳しくアドバイス頂戴」というと、厳しく現状を指摘するようなことも言ってくれます。
そんな完璧な傾聴力を持ったAIが台頭してくると、じゃあ人間とのつながりはいらなくなるんでしょうか? 「完璧に共感してくれている」ように見えるのでつい話しかけてしまう自分に少しだけ危機感を覚えながらも、でもやっぱり嬉しいことや悩んでいることがあると、仲のいい周りの人に聞いてほしいものです。
心と心の交換、感情の共有はお互いを完全にわかり合うことができなくても、やっぱり突き詰めると人間同士にしかできないものだな、と同時に感じます。
むしろデータや世界中の情報から的確にアドバイスできる強力なツールがある今、人同士にできる唯一残された大切なものは、心を込めた対話ではないでしょうか。
そして、心と心で対話をするには、
まず自分の「心」を理解して、言語化できないと相手に伝えられません。
そして自分の「心」が理解できると、相手の「心」を受け止めることができるようになります。時には受け止めるのが難しい状況を打ち明けられることもあるかもしれません。
でもそれも含めて心と心で対話をする、その根源的なことこそがこれからの時代、ますます人に求められるスキルだと感じます。
完璧じゃないからこそ、間違えながらも受け入れ合っていく姿勢、お互いの違いを認め、尊重し合う。そのためには今まで以上に個々の「感情知性」が重要な時代になったと痛感しています。
皆さんはどう考えますか?

仕事のアクセルと、心の深呼吸。AI時代に私が大切にしたい「2つの喜び」 (Noriko Osumi)
2025年、Gemini 3をはじめとするAIの進化により、私たちのビジネススピードは劇的に加速しました。この変化の波に乗り、成果を出し続けること。私にとって「楽しく働くこと」は、それ自体が人生の大きな喜びであり、重要なモチベーションの源泉です。
しかし、今年改めて行ったSIYのMotivationセッションで、私は自分の中に別のビジョンがあることに気付き、ハッとさせられました 。プラクティスの中で将来の自分を思い描いた時に、楽しく働くことと同時に、いつか自然のそばで楽しく時間を過ごしたいという思いが湧き上がってきたのです 。
仕事に没頭することと、自然を味わうこと。これらは対立するものではありません 。AIと共に高速で走り続けるこの時代だからこそ、ふと立ち止まり、冷たい空気で頭をクリアにする瞬間が、次の「楽しく働く」ための最良の燃料になるのだと気づいたのです 。
SIYは、仕事のアクセルを踏む自分と、自然の中で深呼吸する自分、その両方を「私が本当に大切にしたいこと」として統合するきっかけをくれました 。忙しい日々の中で、ふと自分の本当の願いに耳を傾ける。年末に少し、そんな時間を確保してみませんか?

「難しい会話」から逃げない。AI時代に求められる「おもいやり」 (Takeshi Shimizu)
組織において「効率化しよう」「AI を導入しよう」と言うのは簡単です。 一方、その実践する現場では何が起きているでしょうか。 変化への抵抗、役割が変わることへの恐怖、そして意見の相違と、AIの進化は、皮肉にも現場に「人間臭い、泥臭い対話」の必要性を突きつけています。
優れたリーダーシップとは、この混沌を無視して強引に物事を進めることではありません。SIYでは、真のリーダーシップを「Compassion(おもいやり)」と定義しています。それは単なる同情ではなく、相手の苦しみを理解し、解決しようとする意志を伴う行動です。
心理的安全性が高いチームとは、仲良しグループのことではありません。メンバー全員がその組織が目指すゴールを達成することに強いコミットメントを持ち、時には「それは違う」と健全に言い合える環境が作られたチームのことです。そして、多様な意見をぶつけ合うには、互いの感情を受け止める 感情知能(EI)というクッションが不可欠です。感情のコントロールが効かない状態で正論をぶつけても、チームは壊れるだけだからです。
AI が事務作業を肩代わりしてくれる今こそ、浮いた人間としてのリソースを「人との対話」に投資すべき時です。一瞬の「間(Pause)」を取り、自動的な反応を止めて、相手の背景にある感情に好奇心を持ってみましょう。
難しい会話を経て、チームが一つの方向を向いた時、そこに生まれる達成感はAIには決して生成できません。痛みを伴う変化の中で、仲間と共に幸せに働くために。今こそ、感情のスキルを磨く時なのです。

まとめ
いかがでしたか?
Amyさんと私はそれぞれの考察をプロンプトとして、Geminiにインフォグラフィックを生成させてみました。
Norikoさんの画像は、まさに本人がふと立ち止まるために訪れた場所の風景(本物!)です。
来年も更なるAIの進化による、より良い社会への変革を進めつつ、人として何を大切にすべきかも同時に考え、行動していきたいと思います。
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