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Googleのカルチャーとマインドフルネスの密接なつながり 〜SIY認定講師トレーニングから学んだこと〜

2024/12/22に公開

皆さん、Google Cloud Japan Advent Calendar 2024もいよいよ終盤ですね。🎄クリスマス🎄が近づき、新しい年がすぐそこまで来ています。今年一年を振り返ってみて、いかがでしたでしょうか?

私たちの住む世界は日々目まぐるしく変化し、目の前のことで手一杯になると、日々の大切なことを見失ったり、心の余裕をなくしてしまうこともあるでしょう。

この記事を読んでいる間だけでも、少し立ち止まって、目の前の「今」に意識を向けてみてください。

Google発祥の、マインドフルネスをリーダーシップやコミュニケーションに取り入れたSearch Inside Yourself(以下SIY)というワークショップがあります。

今年、Google Cloud Japanから5名の認定講師が誕生しました。🔰

この記事では、その5名が認定資格を取得するまでの道のりをインタビュー形式で紹介し、SIYがどのようにGoogleのカルチャーに根付いているのかについてもご紹介します。

5名の資格取得者紹介

まずは今回インタビューをしていただく5名の方を簡単にご紹介します!

名前 社会人歴 Google入社歴 Googleでのお仕事
Takeさん 35年目 9年目 パートナー営業、一般職
Emikoさん 30年強 5年目 営業職、Director
Hoshiさん 15年目 5年目 技術職、マネージャー
Norikoさん 10年目 4年目 技術職、一般職
Amy 13年目 4年目 営業職、一般職

バックグラウンドもお仕事内容も異なる5名が、SIYを通じて深く関わることができていることがとても貴重ですね❗❗

SIYとは?

インタビューの詳細に入る前に、そもそもSIYとはなんでしょうか?
簡単に概要をご紹介します。

Search Inside Yourself(SIY)は、神経科学、マインドフルネス、感情的知性の手法を用いて、リーダーシップ、パフォーマンス、ウェルビーイングを高めることを目的としたプログラムです。このプログラムは、5つの重要な感情的知性(EI)スキルに焦点を当てています。それは、自己認識、自己管理、モチベーション、共感、そしてソーシャルスキルです。
SIYプログラムの中核をなすのはマインドフルネスであり、「心、体、および外部環境で今この瞬間に起こっていることに、好奇心と優しさを持って注意を払うこと」と定義されています。SIYは、2種類のマインドフルネスの実践方法を教えています。
統合された実践:聞く、数回呼吸をするなど、日常の活動に取り入れることができます。
専門的な実践:瞑想のような、マインドフルネスのスキルを養うのに役立つ、より正式な実践です。
SIYは、マインドフルネスが私たちを「自動操縦」から「意識」へと移行させ、より多くの選択肢を持って状況に対応できるようにすることを強調しています。また、SIYは、困難に直面したときに自分自身に優しくすることを含む、自己肯定感を育むことの重要性を強調しています。

新しい講師へのインタビュー

①そもそもSIYに興味をもったきっかけはなんですか?

Takeさん

Googleに入社してからMindfulnessという言葉を知り、社内の自己啓発サイトで興味本位に登録したものの、その後すっかり忘れていました。しかし、4月に開催される2日間の対面トレーニングを知り、参加したことでSIYについて初めて深く学ぶことができました。SIYに関する本を読み進めるにつれて、SIYが人々の幸福とより良い社会の実現に不可欠なスキルだと気づき、ますます興味を持つようになりました。

Emikoさん

Googleに入社して随分経ちますが、いまだにGoogleの正体を掴みきれず、自分の言葉で説明できるようになりたいと思ったのがきっかけです。Googleの仕組みを支える根本的な思想を理解したいと考え、この研修に参加しました。

Hoshiさん

SIYとの出会いは書籍でした。そこから社内のSIY研修に何度か参加して、実践を通してSIYの威力を知りました。これからどのような物事が起きるかは、自分ではコントロールできません。何が起こっても、自身で自分を幸せにする力を身につけたい、そのヒントがSIYにはあると思いました。

Norikoさん

仕事柄 Google の文化などについてお客様にお話ししたり、自分で調べる機会が多いのですが、文化について調べているとよく「SIY」というキーワードを目にすることがあり、どんなコンテンツなんだろう?と気になっていました。そのタイミングでチームメイトからオフィスでトレーニングがあると聞き、まずは自分が受講して、理解してみようと思ったことがきっかけです。

Amy

長年、自分や他者の感情に大きく左右され、動揺したり、精神的に疲れてしまうと回復に時間がかかったりすることで、仕事のパフォーマンスが低下することに悩んでいました。4年ほど前にHSP(Highly Sensitive Person)を知り、自分や他者の感情との付き合い方が少しずつ分かるようになり、改善は見られたものの、感情とのより良い付き合い方を学ぶ必要を感じていたところ、社内で対面式のSIYワークショップがあることを知り、参加してみることにしました。

②SIYの講師になろうと思った理由はなんですか?

Takeさん

4月のSIYトレーニングで、SIYが誰にとっても必要なスキルだと実感しました。日本語でのトレーニングはまだなかったため、より多くのGoogle 社員 にSIYを知ってもらうために講師になろうと決意しました。同じ志を持つ仲間が集まったおかげで、3ヶ月のトレーニング期間を乗り越えられました。

Emikoさん

Takeさんに紹介してもらって、「これだ!」って思ったんです。ちょうどコーチングの講座を修了したばかりで、「コーチングの考え方をビジネスにどう活かそうかな~」なんて考えてた時に、SIYに出会ったんです。出会うべきタイミングでSIYに出会った、という感じです。仕事柄、DXに組織文化は大事だなっと痛感しており、柔軟性があって、変化に対応できる組織じゃないと、スピード感も大胆さも出せないもどかしさを感じています。だから、組織文化の大切さをちゃんと伝えられる人になりたいと思ったんです。

Hoshiさん

Googleは、Project Oxygenという社内調査によって、優れたマネジャーの条件を導き出しました。その中のひとつに、「Be a good coach」という行動規範があり、私はManagerになったタイミングで Professional Coachingの資格を取りました。SIYを受講して、CoachingとSIYには密接な関係があることがわかりました。Coachingのスキルをもっと磨いていくにあたって、SIYの講師トレーニングはよき機会だと考えました。

Norikoさん

実際に2024年4月にトレーニングを受講しましたが、コンテンツの表面しか理解できた感覚がなく、若干の挫折感や消化不良を感じました…。そんな時に社内でSIY講師資格を取得しようとしているメンバーがいるという話を聞き、改めてSIYのコンテンツを深く向き合い、自分のものにする絶好の機会だ!と思い、トレーニングの受講を決めました。

Amy

SIYを受講して、感情とは何か、感情とどう向き合っていくか、強い感情に襲われたときにはどう対処すればよいのかを、定義と実践を通して体系的に学ぶことができ、心が整理されたように感じました。これは、自分自身が個人としても社会人としても成長するために必要なスキルだと強く実感しました。
また、多様なバックグラウンドを持つ人々が集まる組織において、効果的に人間関係を築くためには、コミュニケーションの基本的な枠組み(プロトコル)を共有することが重要だと考えています。SIYはそのための明確な選択肢の一つだと感じ、以下のように考えるようになりました。
・人に説明できるほどSIYを深く理解したい。
・SIYを通して、チームや会社全体の力をより引き出す手助けがしたい。
これらの思いが強まり、講師になることを決意しました。

③実際に学んでみて感じたことはなんですか?

Takeさん

SIYトレーニングの内容は個人的な領域に踏み込むものが多いため、受講者一人ひとりが内容を落とし込めるよう、講師としてだけでなくファシリテーターとしての工夫が必要だと感じました。例えば、過去の研究成果を深く理解したり、自身の体験や感情を共有したりと、テキストに書かれている以上の学びやスキルを身につける必要があると強く認識しました。また、自ら率先してマインドフルネスを実践することで、意識が高まり、生活の質も向上したと感じています。

Emikoさん

学びの全てが新鮮で、Googler生活の中で接して感じてきたことが言語化されていることに驚き、感動しました。当初は人に教えることよりも、まずは自分自身がGoogleの考え方や価値観、世界観を吸収しようという気持ちでした。そして今、全体像を把握したことで、この素晴らしい学びをどうすれば周りの人に効果的に伝えられるのか、試行錯誤しているところです。「自分を大切にする」「今この瞬間を大切にする」といったシンプルな考え方が、高い集中力と生産性、そして精神的な安定にも繋がるGoogleの働き方は、本当に素晴らしいと思います。この感動を、ぜひ多くの人と分かち合いたいです。

Hoshiさん

SIYはリーダーシップ養成においても有効なプログラムだなと改めて感じました。なお、受講者は、リーダーポジションにいる必要はありません。周りの人に良い影響を与えたり、何かを変えるきっかけを作ったりすることでも、立派なリーダーと言えます。SIYでのコアスキルとなるのは、「Emotional Inteligence:心の知能指数」と呼ばれるものです。これは、ご自身の気持ちや周りの方の気持ちを理解する力のことで、練習すれば誰でも伸ばすことができるそうです! SIYはそのためのトレーニング方法がいっぱい詰まっています。

Norikoさん

どれだけ自分が「今」の気持ちを無視して生活しているかを、研修内容の理解やアクティビティの実践を通して、はっきりと感じました。そもそも自分自身をこれほどないがしろにして生活していて、果たしてどれだけチームメンバーや周囲の家族、友人のことを大切にできていたのだろうか?と過去を振り返るきっかけにもなりました。日々忙しい毎日を送っていると、今この瞬間に意識を向けること自体頭から抜け落ちてしまいがちですが、今の自分と向き合うことの大切さ、重要さを実感しました。
最初はみんないるなら、という気持ちで参加を決めましたが、このトレーニングが自分自身を振り返り、より成長するきっかけを与えてくれました。

Amy

振り返ってみると、書きたいことが多すぎてすべてを書ききれません。(これだけで記事が一本書きたい。笑)
講師としてのトレーニングを通して自分自身を見つめ直す中で、長年悩んでいたことに対し、尊敬する方から「昔はこの話をするとき、本当に辛そうだった。完全に解決したわけではないけれど、今はとても穏やかな表情で話せるようになったね。変わったね。」と言われたとき、自分の気持ちをそのまま受け入れ、「優しさと好奇心を持って注意を払う」ことで、これほどまでに向き合い方が変わるのかと、実感として深く感じることができました。
自分や自分の感情と向き合うことは、楽しいことばかりではありません。時には苦しいと感じることもあるでしょう。しかし、勇気を持って向き合うことができれば、より豊かな日々を送ることができると感じます。そして、興味本位でも、勇気を持って一歩を踏み出そうとしている人でも、どんな人であっても、その一歩を踏み出す手助けを少しでもできたら、それはとても価値のあることだと感じています。

④Googleのカルチャーとどんなところにつながりを感じますか?

Takeさん

Googleでは、従業員がチームワークを最大限に活用し、様々なプロジェクトを推進することで、継続的なイノベーションが生まれています。SIYのマインドフルネスの実践を通して育まれる共感と思いやりの心は、チームワークにおいて、個々の能力の総和をはるかに超える成果を達成することを可能にします。Googleの使命は、チームによって創造されたサービスを世界中で利用してもらうことによって達成されるため、SIYはGoogleのカルチャーに不可欠な要素だと、SIYを学ぶことで再認識しました。

Emikoさん

少し大袈裟かもしれませんが、自分という存在がGoogleというブランドであり、Googleのカルチャーの一部を体現している、という感覚があります。むしろ、そうあるべきだと感じています。日常の小さな意思決定や行動一つひとつが、Googleの価値観や「Googlerだったらこうする」という考えに基づいているからです。
そして、これは私だけの力ではなく、周りの同僚と作り上げている「空気感」のおかげだと感じています。包容力のある同僚に囲まれ、日々、守られ、支えられているからこそ、私は安心して挑戦を続け、成長を実感できています。まさに、Googleのカルチャーが育む「Belonging」の循環の中に、私も存在していると感じています。
だからこそ、自分自身の在り方や行動を通して、Googleのカルチャーをより良いものにしていきたいと強く思っています。

Hoshiさん

つながりがありすぎですね。Googleは世界規模のサービスを次々生み出していますが、そのためにはいうまでもなくチームワークが大切です。どんなにすごい人でも一人じゃできないことはたくさんあります。GoogleのCEOや創業者のCoachを務めたビル・キャンベルは、彼らに「一人の天才よりチームが大切」と説いていたといいます。ざくっと言い換えると、「重要なのはIQよりEI」でしょうか。また、Managerとして活動していて日々思うのは、チームでインパクトを出すためには、チームメンバーそれぞれのリーダーシップが必要不可欠だということです。リーダーシップを養成するSIYの思想はまさにGoogleの基盤だと思います。

Norikoさん

このSIYのトレーニングは、まず自分自身と向き合うことから始まり、徐々に対象を他の人へと広げていきます。この他人を思いやるという考え方は、Googleのユーザーや、お互いを尊重し合うという考え方とつながっていると感じました。相手の気持ちを考える前に、まずは自分自身がどのように感じているのか、心がどのように動くのかという根本に立ち返ることで、自分と同じように感情を持っている目の前のお客様や同僚を思った行動につながると感じています。製品の理解や営業活動に優れていることも営業としては大切ですが、コミュニケーションの一端を担うツールを提供している企業として、他人との関わりについて考え続ける姿勢が Google 発のコンテンツとして、そしてそれが継続して提供されている研修から見ることができるのもGoogleらしさの一つなのかなと感じています。

Amy

Googleに入社してから、以前よりも生産性が向上し、新しいことへの挑戦意欲も高まっています。これは、個を尊重し、感情に寄り添い、自由に意見を交換できる上司、メンター、同僚の存在が大きいと感じています。そして、SIYで語られている要素が十分に実践できているとき、自分自身やチームの力がより一層発揮できていることに、SIYを深く学ぶ中で気づきました。

また、先日Bayviewにある本社を訪れる機会がありましたが、オフィス内に立ち止まって「今」の自分自身を振り返るための工夫がされていました。

鏡のように反射するボードに自分の姿が映し出され、以下のような質問が書かれていました。
・今、何に感謝を感じていますか?
・今、何に喜びを感じますか?
仕事中に会議室を移動するときや食事の際に通り過ぎる際に、ふと立ち止まって考えることができるようになっており、「本当にSIYはGoogleから始まったのだ…」と改めて実感しました。

まとめ

いかがですか?
年末年始のお休み、少し皆さんが立ち止まって「優しさと好奇心」で自分自身と周りに目を留めるきっかけとなったら幸いです。

良いお年をお迎えください。🌄

Google Cloud Japan

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