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2022 年の Google Workspace を振り返る

2022/12/05に公開

Google Cloud Japan Advent Calendar 2022 4 日目です!
本記事は 2022 年 12 月 4 日現在の情報に基づいて書いております。
皆さんこんにちは、Google Workspace チームで営業企画を担当している Kohei です。早いもので 2022 年も年の瀬の足音が聞こえてきましたね…
さて、本日の Google Cloud Japan Advent Calendar 2022 では、2022 年の Google Workspace を振り返る と題して今年の主な製品アップデートなどをお届けします。
この記事を読めば、Google Workspace の今年の主要な製品アップデートと、最新情報がおさらいできます。

現在、Google Workspace は世界中で 30 億人以上(!)800 万社以上の方にご利用いただいております。仕事で、プライベートで、皆さんもきっと日々ご活用の Google Workspace の進化を一緒に振り返りましょう。
なお、注目の新サービスである AppSheet については、Amy さんが書かれた以下の記事をご覧ください。
https://zenn.dev/google_cloud_jp/articles/f21921cc799803

以下、3つのカテゴリで紹介していきます。

  • ハイブリッドワーク時代の”人”中心のコミュニケーション
  • クラウドネイティブなコラボレーションの実現
  • 管理機能・セキュリティ・コンプライアンス

ハイブリッドワーク時代の”人”中心のコミュニケーション

新型コロナウイルスのパンデミック以降、人々の働き方は大きく変わりました。リモートワーク、オフィスでの勤務、オフィス外での勤務など、さまざまな働き方を柔軟に選択するハイブリッドワークが注目されています。Google Workspace はあらゆる環境・場所・デバイスでのハイブリッドワークを実現するための取り組みを行っています。

Google Meet - 高品質で信頼性の高い音声と映像の実現

ビデオ会議の品質はリモートワーク・ハイブリッドワークの質に直結します。Google Meet は、質の高いビデオ会議の実現のために、音声と映像の品質向上に取り組んでいます。
Google Cloud は、先日実施された、「日経コンピュータ 顧客満足度調査 2022-2023」(日経コンピュータ 2022 年 9 月 1 日号 掲載)において、「ビデオ・音声会議システム/サービス部門」にて顧客満足度 1 位を獲得しました。全 5 評価項目中、「信頼性」、「運用性」、「コスト」の 3 項目でトップのスコアを獲得しました。
派手な製品アップデートではありませんが、皆様の日々のリモートワーク・ハイブリッドワークを更に快適する機能をご紹介します。

残響音の除去とノイズ除去量の表示

Google Meet の Business/Enterprise 版を中心に、AI ベースのノイズキャンセリング機能が実装されていますが、これらがさらに強化されました。残響音の除去はかたい壁や床で発生する残響音(エコー)を自動で除去します。また、ノイズ除去量の表示によって本人にはわかりづらいノイズの発生が会議中に確認できるようになりました。
音声の品質がビデオ会議の体験に与える影響は大きいですが、自分の音声が相手にどう聞こえているかは確認し辛いですよね。本機能は視覚的にノイズ除去量を確認できる、かゆい所に手が届く機能です。
reduce_noise
https://workspaceupdates-ja.googleblog.com/2022/08/google-meet_25.html?m=0

背景エフェクトのパフォーマンス向上

自宅でのリモートワークの際、背景効果をつかっている方に朗報です。クラウドベースのエフェクト処理により、品質が最適化されると共に、CPU 使用量が最大 30% 軽減されます。
Meet はデバイスベースのエフェクト処理とクラウドベースのエフェクト処理を自動的に選択します。このアップデートによりデバイスの負荷を減らしつつ、より精度の高い背景効果を利用することができます。
background_effect
https://workspaceupdates-ja.googleblog.com/2022/08/google-meet_23.html

新たな Google Meet ハードウェア デバイス

Google Meet は PC やモバイル同士だけでなく、会議室をつなぐこともできます。ハイブリッドワークにおいて、オフィスの会議室とリモート参加者がシームレスにコミュニケーションできることは非常に重要です。会議室用の Google Meet ソリューションである Google Meet Hardware も大きな進化を遂げています。
Google カレンダーの設備予約と連携し、会議室を予約するだけでワンタップで参加できる利便性に加え、最新の Series One では Edge TPU による高度なノイズキャンセルと音声増幅がサポートされています。
2021 年に、この Series One の最新モデルとして、Desk 27 と Board 65 が発表されましたが、いよいよ日本でも発売開始予定です。
https://workspaceupdates-ja.googleblog.com/2021/09/google-meet.html

Desk27
Series One Desk 27
Board65
Series One Boad 65
これらは、タッチスクリーン搭載のオールインワンデバイスです。Google Meet に加え、Jamboard アプリを使用した電子ホワイトボードや外部ディスプレイとして利用できます。

また、Google Meet Hardware から、Cisco WebexZoom Rooms への相互接続もサポートされました。社外との Google Meet 以外を使用したミーティングにも、1 台のハードウェアで対応が可能です。社内のメインのビデオ会議は Google Meet で、社外との一部の会議は他社ソリューションで、というシーンに便利ですね。

YouTube ライブストリーミングへの対応

最後に、待望の機能がやってきました。ウェビナーなど他人数の視聴者に対しての配信を、YouTube で公開できるようになりました!

ライブストリーミングの可否は管理者が設定できる上、YouTube ライブの設定を限定公開、または非公開で特定のユーザーのみに配布する設定を行えば、安全にストリーミング配信を実施できます。
yt_live
https://workspaceupdates-ja.googleblog.com/2022/08/google-meet-youtube.html

Gmail / Google Chat - テキスト コミュニケーションのさらなる進化

メールやチャットを中心とした、テキストベースのコミュニケーションに対しても積極的な改善を続けています。ユーザー インターフェースの改良に加えて、検索機能の強化により、必要な情報にすぐにたどり着けます。

Gmail の新しい統合型ビュー

Gmail のメインメニューに、Chat、Space、Meet が統合されました。これにより画面を遷移することなく最適なコミュニケーション手法でやりとりを続けられます。
筆者の個人的なお気に入りは、個々の Chat・Space ごとに、全画面表示がポップアップかを選べる機能です。ある人と Chat しながら、その人との過去のメールを探す、というシーンではとても便利に使えます。
gmail_new_view
https://support.google.com/mail/answer/11555490?hl=ja

Google Chat - カスタム絵文字

待っていました!個人的に楽しみにしていたアップデートがついに Google Chat にやってきました。職場のコミュニケーションがちょっと明るくなる良い機能だと思います。
custom_emoji
https://workspaceupdates-ja.googleblog.com/2022/11/google-chat_17.html

Google Chat - インライン スレッド

Google Chat のグループチャット機能 ”Space”では、会話トピック別メッセージ と インライン スレッド の 2 つのスレッド形式を選択できます。他のチャットツールをお使いの方には、より馴染みの深いインラインスレッドが選択できる様になりました。
inline_thread
インライン スレッド形式
conversation_topic
会話トピック別メッセージ形式
https://support.google.com/mail/answer/12176488?hl=ja

クラウドネイティブなコラボレーションの実現

Google Workspace は、Google Apps として登場した 10 年以上前から、クラウド ネイティブなコラボレーション を志向してきました。それは、従来ローカルの PC で行っていた資料作成作業を単にクラウドに持ってくるのではなく、クラウドならではの共同作業、共創によるイノベーションを実現するためのまったく新しい方法です。

Google ドライブ - スマート キャンバス

スマート キャンバスは、新しいコラボレーション体験であり、働き方を次のレベルに引き上げることができます。
@ - メンション を出発点として、予定他の資料を含むさまざまな情報をドキュメントに呼び出し、リアルタイムに情報を更新できます。さらには、他の SaaS アプリとの連携も始まっています。
スマート キャンバスの名のとおり、Google Docs, Sheets, Slides の未来は、”ファイル”をメールやチャットに添付したり、クラウドストレージに保存する様な旧来の業務の代替ではなく、情報がスマートかつシームレスに連携するキャンバス上に描く未来の働き方と言って良いでしょう。
今年実装・発表されたいくつかのスマートキャンバス機能を振り返りましょう。

スマート キャンバス - ビルディングブロック

Google ドキュメントで@をタイプして表示されるメニューから、いくつかのテンプレートを呼び出せます。今後は自由にカスタマイズしたテンプレートを設定できるカスタム ビルディングブロックの実装も予定されています。
Custom-Buildling-Blocks
https://workspaceupdates-ja.googleblog.com/2021/05/google_26.html
https://workspace.google.com/blog/product-announcements/how-google-workspace-is-delivering-innovation-for-the-future-of-hybrid-work

スマート キャンバス - Google スプレッドシートのタイムライン ビュー

表計算ソフトウェアをプロジェクト管理などに使うケースも多いと思いますが、スマート キャンバスの拡張機能として、タイムラインビューが発表されました。これにより、プロジェクトの情報が簡単に可視化できるようになりました。
このような用途では、情報を一元化する事が重要ですが、従来のファイルを用いた管理では、「最新版のファイルがどれか不明」「ファイルのコピーが乱立する」「誰かがローカルで加えた変更が競合する」という問題が発生します。Google スプレッドシートを有効活用すれば、全員が常に一箇所で情報をリアルタイムで確認できます。特別なストレージに保存したり、面倒な追加の設定は一切必要ありません。
sheets_timeline_view
https://workspaceupdates-ja.googleblog.com/2022/11/google_18.html

スマートチップ の外部アプリケーション対応

現在、Google ドキュメント、Google スプレッドシートに貼ったリンクが、自動的に”チップ” に変換され、資料のタイトルなどがプレビューできるスマートチップ機能が利用いただけます。この機能が、Google Workspace に加えて AO Docs, Asana, Atlassian, Figma, LumApps, Miro, Tableau, Zendesk に対応します。これらのアプリケーションの URL を貼るだけで、自動的にスマートチップに変換され、リンク先に遷移する前にプレビューを確認できます。
この機能に代表される様に、Google Workspace は オープンであること拡張性 をユーザーの皆様が選択できるように取り組んでいます。
3rd_smart_chips
https://workspace.google.com/blog/product-announcements/how-google-workspace-is-building-the-open-hybrid-work-platform

コネクテッドシートがすべての皆様に

この Advent Calendar の読者には、BigQuery ユーザーも多いでしょう。そんな皆様に朗報です。
Google スプレッドシートから直接 BigQuery データセットにアクセスできるコネクテッド シートが、無償版を含むすべての Google Workspace エディションで利用可能になりました!
connected_sheets
スプレッドシートから直接 BigQuery にアクセス
https://workspaceupdates-ja.googleblog.com/2020/07/connected-sheets_4.html
*上記のブログが公開された時点では、

G Suite Enterprise および G Suite Enterprise for Education をご利用のお客様が対象
G Suite Basic、G Suite Business、G Suite for Education、G Suite for Nonprofits をご利用のお客様は対象外

と記載がありますが、2022 年 12 月 5 日時点ではすべての Google Workspace ユーザーに拡張されています。

SQL の知識無しで、ピボットテーブルの様なインターフェースを用いて数十億行のデータにアクセスし、分析、可視化、共有ができます。
Google Cloud のデータ可視化ソリューションの選択肢には、Looker や Looker Studio(旧 データポータル) などがありますが、使い慣れたスプレッドシートからデータにアクセスでき、さらにデータ活用の幅が広がるのではないでしょうか。
BigQuery のデータセットとテーブルへの直接アクセスは、引き続き BigQuery 内で制御されます。一方で、Workspace 管理者はスプレッドシートの編集権限アクセスを持つユーザーに BigQuery データセットへのアクセス権の委任を許可するか否かをコントロールできます。

アクセス権の委任や、Google スプレッドシート側の監査ログなどの取得には Enterprise エディションが必要ですので、企業で利用する場合は Google Workspace Enterprise エディションの採用を推奨します。次のセクションでは、企業で安全に Workspace を利用するための管理機能についてご説明します。

管理機能・セキュリティ・コンプライアンス

セキュリティとコンプライアンスは Google Workspace の最重要トピックです。過去 10 年以上に渡って Google が培ってきた、AI をベースとする高度な防御をグローバルレベルで利用できます。
特に Enterprise エディションではこれらのセキュリティ機能を活用し、安全・安心と利便性の高いコミュニケーション・コラボレーション体験を両立できます。

Google ドライブの信頼ルール(ベータ版)を使用してファイルの共有をより細かく管理

現在ベータ版のこの新機能は、Google ドライブにおける共有権限管理の次世代版です。組織内のユーザーが Google ドライブを用いてコラボレーションする組織内・外の相手をより柔軟に定義できます。例えば以下の様な複雑な共有設定ができます。

  • 組織内の監査チームがチーム外の相手とファイルを共有できないようにする
  • 組織内の財務チームが営業チームとファイルを共有するときに警告を表示し、十分検討したうえでの共有であることを確認できるようにする
  • 組織内の法務チームが外部の特定の弁護士グループとファイルを共有することは許可するものの、そのグループ以外の相手との共有は許可しないようにする
  • 組織内のユーザーが特定の外部ドメインからファイルを共有されないようにする

trust_rules
https://workspaceupdates-ja.googleblog.com/2021/06/google_23.html

Google Docs, Sheets, Slides や Google ドライブは、URL を共有するだけで全員が一箇所にアクセスしコラボレーションできる点がユーザーにとっての利便性ですが、自由すぎる共有範囲はコンプライアンス上望ましくないケースもあります。信頼ルールを活用することで、優れた利便性はそのままに、組織としてのコンプライアンス・セキュリティの実現が可能になります。

外部ユーザーの Google ドライブイベントが監査ログから確認可能に

組織外部のユーザーとのコラボレーションも、仕事をする上では重要な要素ですが、組織外で行われたイベントの把握は困難でした。
Google Workspace では、ファイルをメールやチャットで送信するのではなく、外部のユーザーに一時的に権限を与える事で、安全なコラボレーションが可能です。
これまでは把握できなかった潜在的なデータ漏えいに関するイベントが取得でき、さらにセキュアな外部とのコラボレーションが可能になります。
https://workspaceupdates-ja.googleblog.com/2022/03/google.html

JIIMA 認証取得

最後に、機能アップデートではありませんが、1 点ご紹介です。
Google Workspace は、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(以下、JIIMA)が審査する『電子取引ソフト法的要件認証』 を取得し、電子取引ソフト法的要件認証製品一覧に登録が完了しております。
『電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(以下、電帳法)』の改正により、請求書・領収書などの電子データを一定の要件を満たした形で保存する事が義務付けられましたが、JIIMA の審査を受けたマニュアルに沿って Google Workspace を利用いただけば、事務処理規定などを作成することなく、適切に電子データを保存することができるようになりました。
この電帳法に定められた電子データの保存要件を満たすためのマニュアルを、株式会社ストリートスマート様と作成しました。株式会社ストリートスマート様のウェブサイトからマニュアルをダウンロードできますのでぜひご活用ください。
https://cloud.google.com/blog/ja/products/identity-security/gws-jiima-certification?hl=ja
https://www.master-apps.jp/special/denshichobo/

最後に

ここ数年で私たちの働き方は大きく変わりました。Google Workspace は、単に既存のツールや方法を置き換えるものではなく、働き方を根本的に変革できます。Google がこれまで一貫して取り組んできた Cloud Only のアプローチで、よりイノベーティブなコラボレーションと、高度なセキュリティを実現し、これからの働き方を支えていきます。
本日ご紹介した機能アップデートはほんの一部ですので、最新情報は Google Workspace アップデートブログをご覧ください。

今後もさらに進化していく Google Workspace を、仕事でもプライベートでも学業でも、ぜひよろしくお願い致します! それでは良いお年を〜!

Disclaimer: この記事は個人的なものです。ここで述べられていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の雇用者には関係はありません。

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