2025 ジーニー新卒社員向け Bootcamp の学びと振り返り
こんにちは。株式会社ジーニー 2025年入社の高濱です。
ジーニーでは毎年、新入社員を対象に「Bootcamp」という2か月間の技術研修が行われます。先輩社員(主に昨年度の新入社員)がメンターとなって運営するこの研修は、技術習得だけでなく先輩や同期との交流の場にもなり、入社直後の貴重な経験となります。本記事では、研修の雰囲気や学びをできるだけ具体的に伝えたいと思います。
自己紹介
CATS事業部 AFADに所属しています。
大学では機械系を専攻しつつ独学でプログラミングを学びました。競技プログラミングやアルバイトでの開発経験を経て、フルスタックエンジニアを目指してジーニーに入社しました。
対象読者
本記事はジーニーへの入社を検討している学生・若手エンジニアを主な対象とし、新卒のBootcamp(研修)で得た学びや実践的な経験を共有します。Bootcampの全体像や雰囲気を知りたい方に向けた内容です。
研修の概要
Bootcampは2か月間で、チーム研修を除くとほぼ毎日異なるテーマに触れます。基本は午前に講義、午後に課題という流れで、席は日替わりのため同期と満遍なく交流する機会が設けられていました。
| タイトル |
|---|
| Unixコマンド |
| AIコーディング |
| Git |
| 仮想技術・Docker |
| ドキュメントライティング |
| DB(SQL・テーブル設計・パフォーマンスチューニング・NoSQLなど) |
| HTML & CSS |
| Javascript |
| Typescript |
| React |
| Go |
| WebAPI |
| テスト |
| デバッグ |
| コンピュータシステム |
| Webアプリケーション |
| LEMP |
| 通信プロトコル |
| ドキュメント |
| チーム研修1(3日間) |
| クラウド |
| PHP / デザインパターン |
| セキュリティ |
| データ構造とアルゴリズム |
| 設計書 |
| プロダクトマネジメント |
| チーム研修2(2週間) |
印象深かった研修項目
どの講義も興味深かったですが、特に印象に残った項目を抜粋して紹介します。
AIコーディング研修(Cursor)
入社時点で社内で推奨されていたCursorを使い、1日でChrome拡張を作るハンズオンを行いました(Bootcampの2日目、UNIX研修の翌日)。基礎が曖昧だった私でも、チャットで指示を出しながら短時間で動くものを作れた体験は衝撃的で楽しかったです。生成されるコードの品質に一旦目をつむれば、「ほとんど自分でコーディングしていないのにプロダクトができる」感覚を強く得ることができました。
Dockerと仮想技術
研修詳細はこちら。 Dockerfileの作成やdocker composeによるローカル環境構築、コンテナのネットワークやボリューム管理、イメージ最適化などを学びました。これまでインフラ寄りの技術に触れる機会が少なかった私でも、環境差を減らすDockerの有用性を実感しました。
データベース関連
研修詳細はこちら。 アルバイトでDBに触れた経験があり序盤は自信を持って取り組めましたが、トランザクションやパフォーマンス最適化といった発展的な内容では周囲と同じスピードになり、苦戦する場面もありました。自分が得意だと思っていた領域でも、この集団では「中の上」に留まると感じ、伸ばすべきポイントが明確になりました。
フロントエンド研修(HTML & CSS 〜 React)
フロントエンド研修は私にとって大きな転機でした。研修開始から約2週間で、AIを活用すれば一定の成果物を短期間で作れるという自信がつき始めた頃に行われ、4日間の集中講義の最終日には多くの時間を成果物作成に費やしました。
成果物が大きくなるにつれて、以下の課題が明確になりました。
- AIとの認識のズレを埋めるのが難しい
- 新しい機能を追加する際にも、既存機能のバグ取りに時間を取られることがある
- コミット粒度が大きくなりがちで、手元で解消できないバグを踏んだときの手戻りが大きい
AIコーディングがうまくいかないことを雑談用Slackチャンネルで呟いたところ、AI活用が得意な同期から具体的なアドバイスをもらいました。主な助言は次の通りです。
- 最初に関連ファイルをすべて与えて設計を出させる
- その設計を批判的にレビューして改善する
- 設計に基づき実装をスモールステップに分解してToDoリストにする
- ステップごとにファイル変更を行い、人間がコードを読む
特に最後の「人間もコードを読む」は当たり前のことですが、自分が最もできていない点だと痛感しました。一方で、困ったときに気軽に相談できる雰囲気や助け合いの風土が根付いていることを実感できたのは非常に良い経験でした。
チーム研修2
研修の最後2週間は8人チームでプロダクトを開発する実践フェーズでした。私はリーダーとしてチームの方向性決定と支援を行いつつ、機能の開発も一部担当しました。
以下が今回使用した技術です。
使用技術(抜粋)
- Next.js(App Router)
- TypeScript / MUI(Material UI)
- Google Cloud
この2週間の間、リーダー・開発メンバーそれぞれの面で様々な学びがありました。
AIに書いてもらったコードはとにかく疑う
チーム方針で3層アーキテクチャに則って実装しました。
AIでコード生成を試み、メンバーにレビューしてもらったところ「責任分離が不適切」と指摘されました。研修中は自分や評価者だけが読む前提で書いていたため、可読性や保守性が疎かになっていたことに気づきました。AIが書いたコードを理解し自力で修正を加える(または的確な修正指示を出す)、これもまたAIコーディングに必要な能力であることを改めて実感しました。
困難は分割せよ
チーム開発でのGit運用に不慣れで、コンフリクトに苦しめられました。大量のファイルを1つのPRにまとめると、コンフリクトする可能性が高まる・またはコンフリクトを避けるために他メンバーの開発が止まることを身をもって体験することができました。なるべく小さくしましょう。小さくて困ることの方が少ないです。
進捗管理とメンバーケア — 早期発見・早期共有で停滞を防ぐ
各タスクの所要時間を見積もり、進捗確認を毎日実施しました。遅延の主因は「ある箇所で詰まって想定以上の時間がかかる」ことが多く、放置すると全体進行に影響します。
対策として、自分が積極的にチーム内で見回りを行いました。かしこまらずに現状を聞き出し、困りごとがあればチームで共有して解決策を出すようにしました。
当初の一週間はこちらから声をかけて困りごとが顕在化するケースが主でしたが、最後の一週間にはメンバー自ら進捗や問題点を報告してくれるようになり、チーム運営が円滑になりました。
このように、いち開発メンバーとマネジメントの両面を経験できたことは大きな収穫でした。
まとめ
Bootcampを通じて、基礎技術の習得に加え、チームでの開発における注意点や短期間で学ぶための姿勢を得られました。特に以下の点が良かったです。
- 短期間で幅広い技術に触れ、未知の技術への抵抗感が減った。
- 講師や先輩が定期的に巡回してくれ、疑問解消や交流がしやすかった。
- 他人とコミュニケーションをとりながら行う開発を、配属前に体験することができた
- AIコーディングのメリット・デメリットを肌で感じることができた。
配属後はこれらの学びを実務に活かし、継続的にスキルを伸ばしていきたいと考えています。
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