NotebookLMとひとりアクティブ・ブック・ダイアローグが僕の積読消化の答えだった
株式会社GENDAでEMをしています、あでぃです。
この記事は、GENDA Advent Calendar 2025 シリーズ2 Day8 の記事です。
昨日は @satorun さんの「GENDA入社後1年の振り返り」でした。手前味噌ですが「何よりすいすいと自走できる優秀なメンバーに恵まれている」というのは本当に日々感じるところで、非常に共感しました。
はじめに
みなさんは「積読」してますか? 僕はしてます。自信を持って言えます、大好きです(?)
先日のブラックフライデーのKindleセールでたくさん本を買いました。まだ読めてない本もいくらかあります。
読めない理由の筆頭は「時間がない」(...と、自分に言い訳しています)。
その対策として、過去には本をPDF化してNotebookLMに読み込ませ、全体を要約してもらうこともありました。
しかし、能動的に関与していない情報というものは驚くほど早く忘れてしまうもので、本の情報がぜんぜん思い出せないなと感じることが多々ありました。
要約はコストパフォーマンスが良いように見えて、実は「理解を深めるプロセス」を省略しすぎているのかもしれまないなと、振り返ると感じます。AIに任せきりの要約をただ読むだけでは、あまりにも受動的すぎるのです。
ではそれを解決する「能動的に理解を深めつつ、短時間で読書の時間を済ませたい」という、都合の良い読書方法があればいいということですね。
そんな読書方法を、僕は知っています。「アクティブ・ブック・ダイアローグ(ABD)」です。
そこで今回は、この課題を解決するために僕が実践しはじめた「NotebookLMを使ったひとりアクティブ・ブック・ダイアローグ(ABD)」がいい感じなので、これを紹介します。
「ひとりABD」とは
「アクティブ・ブック・ダイアローグ(ABD)」という手法をご存知でしょうか?
本来は、1冊の本を複数人で分担して読み、要約を作成して発表し合い、対話を通じて理解を深めるワークショップ手法です。短時間で深い理解が得られる素晴らしい手法なんですが、一つだけ難点があります。
「人を集めるのが大変」
日程調整も大変だし、同じ本に興味がある人を集めるのも一苦労。チームビルディングとしては最高なんですが、個人の「読みたい!」を消化するにはハードルが高い。
そこで、GoogleのNotebookLMを活用します。
これを「参加者」にすることで、一人でABDを再現しようというのが今回の試みです。
個人的に感じるメリットは、主に次の3点です。
- 非同期でOK: 誰の予定も気にせず、深夜でも早朝でも思いついたタイミングで続けられる。
- 時短: AIが読むスピードは基本的に人間を凌駕します。ABDの時短メリットも得られる。
- 深い理解: 自分が「ファシリテーター兼 参加者」になるため、漫然と読むより記憶に残りやすく感じる。
といったところでしょうか。ファシリテーター役が必須という点も、能動性を高めてくれる(ABDだと人数が多いと、集中していなくても周りの人が話を進めてくれるなんてことも起きるが、ここには逃げ場はない)と思っています。
では、具体的なやり方です。今回は、僕の大好きな本である「自分の小さな箱から脱出する方法」(既読ですが)を利用して行っていきます。
この本を手にした頃の僕は職場での人間関係に困っていたので、その頃の気持ちを少し思い出しながら書いてみましょう。利用したプロンプトに若干のネタバレが含まれます、ご注意ください。
また、今回はNotebookLMに読書パートナーとしてご参加いただくので、プロンプトも敬意を持って書くこととします。
全体の流れはこんな感じです。
Step 1:【セットアップ & コ・サマライズ】
まず最初に、本の「はじめに」とか「目次」を自分で読みましょう。
そして、NotebookLMに対して「読み手のスタンス」を宣言します。
なぜその本を読むのか?
今の自分の課題は何なのか?
この本から何を得たいのか?
ここから来るスタンスをAIに伝えないと、ただの「爆速要約マシン」になってしまい、当たり障りのない要約しか出力されません。
自分自身の言葉で理解を深めていくためにも、まずは自分の文脈をインプットし、その視点に応えるような要約を作ってもらいます。
私とあなたで「アクティブ・ブック・ダイアローグ(ABD)」形式の読書会を行いたいです。
【私の担当範囲】
1章
【あなたの担当範囲】
私の担当範囲以降の全て
【私の期待】
人間関係に困っています。捉え方や視点を変えたり、この関係の解像度をあげることができれば、なにか解決策や自分の心の切り替えができるかもしれないと思っています。そのための打ち手になるかどうかを期待しています。
まずは、この私のスタンスを理解してください。
そして、残りの「第2章から最終章まで」を担当し、各章の要約を作成してください。 一般的な要約ではなく、先ほど伝えた「私の期待」に役立つポイントを中心に抽出してください。
もし「はじめに」を読んでみて、全く興味が湧かなかったら、その本は今は読むタイミングじゃないのかもしれません。そういう選別ができるのも、このステップの大事なところですね。
ここで全ての要約を出力させているのは、まず全体を俯瞰した出力を行ったほうがNotebookLMの出力が安定するように感じているためです。
ここで出力される要約は極論まだ読まなくてもいいです。あとでまた見るので。
Step 2:【リレープレゼン】相互発表とフィードバック
要約が出揃ったら、ここからが対話の時間です。
一方的にAIの要約を読むのではなく、自分からも発表し、フィードバックをもらいます。
① まず人間が発表し、AIに評価してもらう
まずは自分の発表の番です。なんせ、1章とかはじめにの担当になっているはずなので。
まず私から「1章」を読んだ感想と仮説を発表します。
【私の発表】
この章では、本書の核となる概念「箱」についての解説がありました。「箱に入る」とは、自分の狭い視点からしか物事を見られなくなり、自己欺瞞に陥ることを指しています。
自分にとって都合の悪い事実を、無自覚のうちに正当化してしまう。これが、組織における人間関係のトラブルの根本原因であると説明されています。
特に厄介なのは、その「無自覚性」にあり、これによって単なる行動の違いだけではなく「相手をどう見ているか」という認識そのものに歪みが生じてしまいます。
箱の外にいるときは、相手を一人の人間として尊厳を持って接することができますが、箱の中にいると、相手を「厄介者」や「問題」として扱ってしまいます。
これが病原菌のように広がり、組織の多様な問題へと発展していくのだと理解しました。
【あなたへの依頼】
全体を知っているあなたから見て、私のこの理解は合っていますか? ズレている点や、「この章ではもっと深いことを言っている」という点があれば、フィードバックをください。
② AIが発表する
次に、AIに残りのパートをプレゼンさせます。
次に、あなたの担当パートのプレゼンをお願いします。
私が読み落としてはいけない「核心」を強調して教えてください。
Step 3:【ギャラリーウォーク】解像度を上げる深掘り
AIのプレゼンで出てきた「気になる言葉」や「事例」を詳しく確認する時間を取りましょう。これは実際のワークショップでは「ギャラリーウォーク」と呼ばれ、掲示された要約を見ながら対話するような時間にあたります。
分からない単語や、もっと詳しく知りたい事例があれば、遠慮なく質問攻めにしましょう。AI相手であれば、どんなに小さな質問でも気兼ねなくできるのが本当に良いなと、常日頃から感じています。
質問は箇条書きにして渡すと、反応が良い傾向にあります。
プレゼンありがとうございます。議論に入る前に、いくつか質問をさせてください。
1. 箱に入る決定的な瞬間が「自分への裏切り」が原因であるとありますが、もう少し詳細に教えて下さい。
2. 内側の抵抗をやめる、の抵抗とはどういう定義で話されていますか。
読書パートナーですので、敬意を忘れずに、きちんとお礼を伝えることも大切にしています。
Step 4:【ダイアローグ】本質的な対話とアクション
最後に、本の内容を自分の理解に落とし込むための対話を行います。
最後にディスカッションをお願いします。
私はこの本を通して、箱の外に居るほうが楽だと理解はしつつも、実践にはたくさんのハードルがあると感じました。本書のストーリーでは、自分自身が箱に入っていることを指摘されるところから始まりますが、自分ひとりでこのことに気づくことが一番最初の困難だと感じます。自分自身への裏切りに敏感である必要がありますが、この抵抗は無自覚に行われるためです。あなたが著者の思考を持っているとしたら、この感想をどう理解しますか。アドバイスをしてください。
以下、ディスカッションは心ゆくまで楽しんでください。

↓いろいろ話したあと...

今回のディスカッションの結果、最終的に私は本書の核心をつけたようです(なぜかお客様と呼ばれている)
まとめ
「はじめに」や「第1章」だけなら、10〜20分程度で読むことができると思います。自分で内容を全て追いかけるよりは速く、全てをAIに要約させてしまうよりは手応えがあり、本の内容を自分の言葉で落とし込むためのちょうど良い体験ができているなと感じるので、これを続けていこうと思います。
ぜひ今日、読みかけの本を一冊アップロードして、「はじめに」だけでも読んでみてください。
そこから、あなただけの「アクティブ・ブック・ダイアローグ」を始めていきましょう。
本記事が、皆さんの日々のインプットをより楽しくする一助になれば幸いです。
明日は @okkun0524 さんです。
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