技術書典で技術同人誌を頒布するまでのいろは
本記事は 弊社内 の「技術書典に向けてはじめて執筆をする」という方に向けて、執筆〜頒布の流れを共有する目的で作成しています。
私の執筆歴
2020年の技術書典9以降、3冊の技術同人誌を執筆・頒布してきました。以下にまとまっているので良ければ手にとってみてください。
それぞれ販売時に書いた記事も貼っておきます。
1冊目の本を執筆した際はZennにも記事を書きました。
【重要】これを見ておけば間違いない
技術書典のYouTubeチャンネルにて、「技術書を書いてみよう!」というYouTubeチャンネルが公開されています。
これを見ておけば間違いないです。全8回あるので少し大変ですがラジオ感覚で視聴できると思います。
本記事ではさらにポイントを絞って説明をしていきます。
執筆の流れ
以下に執筆の流れを解説します。過去の執筆はだいたい1ヶ月くらいで執筆しましたが、毎回かなり大変な思いをしているので、2ヶ月くらい見ておいた方が安心だと思います。
ネタ出し
執筆が終わるまでモチベーションが続くネタにしましょう。技術同人誌なので好きな技術について書けば良いのです。
ページ数も制限はありません。自分は回を追うごとにページ数が増えてきている(前作は100ページ超)のですが、20ページくらいでも本としては成立します。ページ数に比例して印刷料金も高まるので注意しましょう。
技術同人誌なので、本来は商業誌のようにしっかり技術を解説する必要はありません。書きたい部分に注力して書けるような章構成とすることをおすすめします。
入稿期限を確認する
紙の本を印刷する場合、印刷所への入稿期限=執筆期限となります。自分は技術書典のバックアップ印刷所でもある日光企画を利用しています。入稿が初めてであっても優しくサポートしていただけるので強くおすすめします。
技術書典が近づいてくるとこういった特設ページが作成され、締切が掲載されます。当然ですが入稿が早ければ早いほど、料金がお安くなります。
理想はオフラインイベントの2週間前に入稿できれば、最安値で印刷できることになりますね。あくまで理想。
加えて、最近の技術書典は「後から印刷」という手段も用意されています。次回の技術書典でも用意されるかはわかりませんし、オフライン出展の場合は紙の本を手渡しできないというデメリットもありますが、売上数の見立てが立った状態で発注できて割引率も高いので適宜活用すると良いです。
執筆環境構築
自分の場合は執筆環境に Re:VIEW Starter を使わせてもらっています。
Re:VIEW記法は最初は慣れないものですが、重厚なユーザーズガイドが用意されているので、安心ですね。
あと、自分の場合は textlint を併用しています。簡単な日本語誤りや冗長な言い回し、表記ゆれを指摘してくれます。
セットアップ手順は以下記事を参考にしてください。
執筆
環境ができたら執筆します。ここも書きたいところから書いていくと良いです。
期限までに全て書ききれない可能性を考慮すると、コアな部分から書いておくと「書けたところまでを本に盛り込む」という選択が取れるようになります。
サンプルプログラムを提供する場合、執筆の前にサンプルプログラムを準備する必要があるかもしれません。プログラムの内容が変わると本の記述も変わってしまうので、しっかりサンプルプログラムを固めてから執筆に移った方が良いです。
前回書いた AWS Amplifyで作るIoTバックエンド の場合、サンプルプログラムがボリューミーで作成に1ヶ月近くかかりました。執筆自体は2週間くらいで一気にやりきった記憶があります。
図表を準備するのは大変なので、自分の場合は先に文章を書いてから後から図表を追加していくようにしています。図表の挿入が終わったらビルドして、改ページの位置を調整するようにしています。
表紙をどうする?
表紙は本の売上に大きく影響すると言われています。自分で画像編集ソフトを使って描けるのであればそれでOKですが、自分のように絵が得意ではない人は誰かにお願いすることを考えなければいけません。身内に絵が描ける人がいない場合、何らかの方法で外注先を探す必要があります。
表紙を外注する場合も注意が必要で、印刷所が提供しているテンプレート (トンボと呼ばれます)に埋め込まれた状態で入稿する必要があります。その他にも色の設定やフォントなど躓きポイントが多いので、以下の記事を参考に確認しておくことをおすすめします。
レビュー
原稿を書き終えることを脱稿と呼ぶそうです。本ができあがったらセルフチェックはもちろん、誰かにレビューしてもらうことをおすすめします。電子データであれば修正も容易ですが、印刷してしまうと訂正は大変なので、印刷前にできるだけ誤字・脱字はなくしておきたいものです。
これまでは社内の有志を募ってレビューをしてもらっていました。レビュワーもエンジニアなので、GitHubリポジトリを共有して直接コメントをもらう形式で進めました。レビューする側も大変の作業なので、お礼にアカウント名を掲載したり、完成した本を贈呈したりする気遣いを忘れないようにしましょう。
入稿
レビューが完了して印刷所に持ち込める状態となることを校了と呼びます。原稿を印刷所に送信します。日光企画さんの場合はWebサイトのフォームから表紙と原稿をアップロードすることで入稿完了となります。
何かしらの不備があると日光企画さんから電話がかかってきます。自分は恥ずかしながら毎回何かしら電話を受けています。日光企画さんは本当に丁寧にサポートしてくれるのでその点は感謝です。
まとめ
以上が執筆の手順となります。実際には入稿完了後は作った本の宣伝をしたり、オフライン出展する場合はブースの準備に奔走します。そのあたりはまた機会があれば記事にしたいと思います。
いずれにせよ、自分が書いた本が綺麗に製本され、手元に届くと本当に嬉しいものです。
この記事を読んで、1人でも多くの人が「執筆面白そう」と感じてくれることを祈っています。
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