AIドリブン開発からGKE入門、ISUCONの苦闘まで! エンジニア冬合宿(Dev Winter Camp)の全貌

こんにちは!
株式会社フクロウラボで取締役CTOをしている若杉です。
先日、エンジニアメンバーで「2025年度 エンジニア冬合宿(Dev Winter Camp)」を開催しました!
フクロウラボでは半年に一度、「エンジニア合宿」と呼んでいる 一泊二日の集中開発イベントを行っています。
- せっかく行くなら「ただの旅行」ではなく、技術的にも組織的にも有意義な時間にしたい
- 単純な勉強会やハッカソンとも少し違う "合宿ならではの良さ"もちゃんと残したい
そんな思いから続けている取り組みです!
普段の業務とは異なる環境で、新しい技術に触れたり、集中してツール開発を行ったりと、非常に濃密な時間を過ごしてきました。今回はその様子をレポートしたいと思います。
合宿の概要

- 日程: 2025年11月6日(木)〜 11月7日(金)
- 場所: ホテルハーヴェスト伊東(静岡県伊東市)
今回は、都内から電車でのアクセスも良く、温泉地としても有名な伊東へ。
現地の「ライブラリーラウンジ」や「ワークスペース」は非常に快適で、集中して開発に取り組める素晴らしい環境でした。

タイムスケジュール
今回は1泊2日のスケジュールで、開発時間はもちろん、移動中の買い出しや現地の美味しい食事、そして夜の交流イベントまで充実した工程でした!
1日目(11/6 木)
- 11:30 伊東駅集合
- 12:00 ランチ(網元磯料理はるひら丸)
- 14:00 ホテル到着
- 14:15 作業開始(ライブラリーラウンジ/ワークスペースにて)
- 19:15 作業終了
- 19:30 夕食(ビュッフェ形式)
- 22:00 夜のイベント(カードゲームで盛り上がりました)
2日目(11/7 金)
- 09:00 作業開始
- 11:00 チェックアウト(その後もラウンジで作業継続)
- 12:30 作業終了・記念撮影
- 13:00 ランチ(楽味家まるげん)
- 14:00 自由行動(お土産購入や食べ歩きなど)
- 15:00 現地解散
今回のテーマ
フクロウラボのインフラは普段、主にAWS(Amazon Web Services)を利用していますが、他の選択肢もエンジニアとして知ることも重要という思いもあり、今回は、主に以下の2つがメインテーマとなり進められました。
- 他クラウドベンダー(Google Cloud等)に入門する
- 日々の業務を助けるツールを開発する(AI活用)
4つのチームに分かれ、それぞれの課題に取り組みました。ここからは、各チームの成果発表をご紹介します!
ここからは、4チームそれぞれの「成果」をご紹介します。
成果発表:技術的な学びと挑戦
1. Google Cloud で ISUCON
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メンバー: 満江、栄
こちらのチームは、Webアプリケーションのチューニングコンテスト「ISUCON」の過去問環境を、あえてGoogle Cloud上に構築することに挑戦しました。
最初は割と楽観的にスタートしたものの、インターネット上の技術記事は5年以上前の古いものが多く、リンク切れが多かったり、M1 Mac上で仮想環境を構築するためのツール「Multipass」がうまく動作しないなど、幾多のトラブルに見舞われたようです。
最終的にチームが出した結論は...
「Google CloudでISUCONをやろうとするな(素直にAWSを使おう)」
結局、AWSのAMI(Amazon Machine Image)を使って環境構築を完了させたそうです。
「Google Cloudのアカウント運用はCloudflareに近い感覚がある」
「ネットワーク設定はGoogle Cloudの方が手軽だった」
といった知見も得られましたが、何より「公式が推奨する環境(AWS)を使う大切さ」を身を持って学んようでした。
2. GKE入門(Google Kubernetes Engine)
- メンバー: 渋谷、川原
こちらのチームは、Google CloudのマネージドKubernetesサービスである「GKE」の習得を目指しました。
Kubernetesの基本概念(Cluster, Node, Pod, Service, Ingressなど)を整理し、ハンズオンを実施。
実際に触ってみることで、AWSのEKS(Elastic Kubernetes Service)やECS(Elastic Container Service)との比較を行いました。
- EKS/ECS: AWSエコシステムとの統合が強力。
- GKE: Kubernetesの先進的な機能がいち早く使える、Google Cloudとの統合。
といった特徴を再確認しつつ、「学習コストや運用コストはそれなりに高い」という、実務を見据えた冷静な所感も得られました。
3. エンジニアプロフィールbot
- メンバー: 若杉、真米
例えば、新たにジョインしたメンバーが
「この技術スタックについては誰に聞けば良いのだろう」
「各エンジニアメンバーの経歴や背景などのプロフィールを手軽に知りたい」
といった疑問に答えるソリューションとして、各メンバーのプロフィールなどを教えてくれるbotを作成したチームです。ポイントとしては、過去のSlackや議事録のアイスブレイクなどの情報を取得し続け定期的に更新していくところです。
このチームの特徴は、徹底した「AIドリブン開発」です。
- Bot: Geminiの「Gem」機能を使い、知識ベースとシステムプロンプトでAIエージェントを作成。
- 実装: 要件定義やドキュメント作成をAIに行わせ、主にGAS(Google App Script)にて、slackや議事録の発言からプロフィールに繋がる内容のみをピックアップし、メンバーのプロフィールを作成するというアプローチで実装を進めました。
「最初からAIありきでドキュメントを作成したため、機能追加が円滑にできた」ということでした。
4. 思考整理・学習支援ツール『SEIRI ∞ QUIZ』
- メンバー: 林田、河原、池川
殴り書きのメモをAIが整理し、復習用クイズを自動生成してくれるデスクトップアプリを開発。
技術スタックが非常にモダンで、「個人開発欲」を刺激される構成です。
- 基盤: Electron + React
- AI: Ollama(Docker) + Gemma 1.1B(ローカルLLM)
APIキー不要、オフライン動作、プライバシー確保というローカルLLMならではのメリットを活かした設計。「ローカルLLMの導入ハードルが意外と低い」という気づきは、今後のプロダクト開発のヒントになりそうです。
オフタイムの様子
1日目
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ランチ
初日のランチは、地元の網元料理店「はるひら丸」へ。
新鮮な海鮮丼など、これから始まる開発に向けてエネルギーを充填。


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買い出し
偶然見つけた駄菓子屋さんとコンビニで買い出し。


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ホテル到着
ホテル内のワークスペースにて、作業開始!



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夜のイベント
夜はホテルのビュッフェで夕食をとった後、部屋に集まって交流会を開催!
「UNOハンパねぇ!」や「ito」などのカードゲームをしながら雑談。
「ito」においては、「パーフェクトを達成するまで寝られません」的な、謎の縛りプレイが発生。普段はチームが異なり話す機会が少ないメンバーともゲームを通じて話をしたり、協力することができて、お互い親睦を深めることができたのは大きな収穫です!


2日目
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作業終了・記念撮影

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ランチ
2日目のランチは、「楽味家まるげん」へ。少し並んでいて待ち時間はありましたが、伊東ならではの料理を堪能できました。


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自由行動
お土産購入や食べ歩きなど。



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現地解散
振り返り・KPT
今回の合宿の振り返り(KPT)も一部抜粋してご紹介したいと思います。
Keep(良かったこと)
- 普段使用していない技術(Google Cloud、ローカルLLM、AIドリブン開発)に触れられて有意義だった。
- 普段話す機会の少ない他チームのメンバーと交流できた。
- 宿のワークスペースが静かで、集中して作業に取り組めた。
- 移動が楽で、現地の自然も豊かでリフレッシュできた。
Try(課題・次はこうしたい)
- どうしても作業時間が短くなるので、たまには2泊の合宿があっても良いかも?
- 食事のクオリティにはこだわりたい(笑)。
今回の合宿では、技術的な成果はもちろん、「AIを使うとプロダクトがとりあえず形になるのでやりやすくなった」といった、開発スタイルの変化を肌で感じるメンバーもいました。
また、苦労も含めて新しいクラウド環境に触れたことで、普段使っているAWSとの違いなど再認識する良い機会となりました。
フクロウラボでは、今後もこうした合宿を通じて技術力の向上とチームワークの強化を図っていきたいと思います!

過去の合宿の紹介
最後に、今までのフクロウラボのエンジニア組織の開発合宿の過去の記事を紹介しておきます。
興味がある方はぜひ、ご覧ください!
2025年
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【2025 年 6 月】フクロウラボの開発合宿に行ってきました!
概要:2025年6月に実施した開発合宿(トスラブ箱根 和奏林)がテーマ。毎年2回実施している開発合宿の様子・テーマ・学びをレポート。
2024年
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【2024年11月】フクロウラボの開発合宿に行ってきました!
概要:2024年11月に実施した開発合宿(ホテルハーヴェスト浜名湖)のレポート。合宿の目的・スケジュール・振り返りなど。 -
【2024年7月】フクロウラボの開発合宿レポート!
概要:2024年7月の開発合宿(トスラブ館山 ルアーナ)のレポート。この記事内で「2023年以前の開発合宿レポートは note に掲載」として、過去 note 記事へのリンクもまとまっています。
2023年
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勝浦に開発合宿に行ってきました!
概要:ブルーベリーヒル勝浦で行った開発合宿のレポート。自由研究形式での技術探求(LlamaIndex の Text-to-SQL、EventBridge、スクラムなど)や現地の様子を紹介。 -
2023 Dev Winter Camp(開発合宿)
概要:トスラブ箱根 和奏林での「完全フリーテーマ」開発合宿レポート。個々の技術テーマに取り組み、後日発表する形式。
2022年
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2022 Dev Summer Camp(合宿)
概要:トスラブ館山での開発合宿レポート。チームでアプリ・ゲーム開発を行った初の「チーム開発」合宿。 -
初のオンライン合宿開催!開発合宿についてご紹介!
概要:コロナ禍で初のオンライン開催となった開発合宿の詳細(gather.town でのバーチャル保養所再現、Devビジョン見直し、業務効率化開発など)。
2021年
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フクロウラボの開発合宿についてインタビューしてみました
概要:開発合宿の目的・テーマ・雰囲気を、エンジニアへのインタビュー形式で紹介。前回(React Native で何か作る)、前々回(チームビジョン&行動指針を決める)など過去合宿の内容にも触れています。 -
新しい技術を取り入れ続けるエンジニア、高め合える仲間と学んだ開発合宿
概要:「React Nativeでスマホアプリを作る」ことをテーマにした開発合宿の詳細レポート。React/React Native 採用の背景や、合宿中の開発・学び・振り返りをインタビュー形式で紹介。
2020年
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第4回 開発合宿 in 越後湯沢
概要:2020年10月に実施した第4回開発合宿のレポート。Devチームのビジョンや行動指針の議論など、チーム課題への取り組みにフォーカス。 -
開発合宿で個人アプリ開発!美味い飯や観光も!in箱根
概要:箱根での開発合宿レポート。個人アプリ開発をテーマに、温泉や観光も含めた合宿の雰囲気を紹介。
2019年
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目指すは、スタンドプレーから生じるチームワーク!?フクロウラボのエンジニア合宿をご紹介!
概要:2019年3月・2019年9月に行われたエンジニア合宿(開発合宿)の様子をまとめた紹介記事。半期ごとの合宿の位置づけやチームワーク強化の狙いが語られています。
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