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エンジニア組織を加速する情シスとして、実践したい「ホスピタリティ」3原則

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PlatformチームでCorporate ITを担当しているSekiです。
この記事は Finatext Advent Calendar 2025 21日目の記事です。

https://qiita.com/advent-calendar/2025/finatext

Finatextグループのような急成長するエンジニア組織において、情シス(Corporate IT)のミッションは単なる「PCの配布」や「アカウント管理」に留まりません。私たちの究極のゴールは、「社員全員が、技術的な摩擦を感じることなく、本質的な業務に100%集中できる環境を構築すること」だと思っています。
このゴールを達成するために、私がITスキルと同じくらい大切にしているのが「ホスピタリティ」という概念です。今回は、私がホスピタリティを発揮するために日頃から意識していることをお話ししたいと思います。

なぜ、情シスに「ホスピタリティ」が必要なのか

情シスにおけるホスピタリティとは、単に「愛想を良くする」ことではありません。
多様なバックグラウンドを持つプロフェッショナルたちが集まる組織では、一人ひとりの状況に最適化されたサポートが組織のデリバリ速度に大きく影響します。
この最適化のために、高いホスピタリティが必要だと考えます。
しかし、私が複数業界の情シスを経験して感じたのは、この「ホスピタリティ」に関しては統一された評価軸や共有されたノウハウがあまり見当たらないという点です。
ひとり情シスならまだしも、複数人のチームで対応にあたっている場合は、各人のホスピタリティの高低によって情シスのサービス品質に大きなばらつきが出てしまいます。
そこで、ホスピタリティを実践するにあたって私が意識しているポイントを、3つの原則で表現してみました。
※なお、この3原則は『愛される接客 サービスの質を向上させる52のセオリー』で提唱されている「サービス3原則」を参考に、その適用領域を情シスに置き換えたものになります。

情シス向け「ホスピタリティ」3原則

1. Recognition(個別最適化された認知)

「全社員を、背景を持ったプロフェッショナルとして認識する」
単なる「問い合わせ番号」としてではなく、その人が「どのプロジェクトで」「どんな技術スタックを使い」「何に困っているか」というコンテキストを把握した上で接することを重視しています。
例えば、社員からヘルプがあった際には、過去の機材トラブルの履歴やSlackでの発信をクイックに参照してから対応します。「自分の状況を理解してくれている」という信頼関係が、より深い技術課題の相談を引き出すきっかけにもなります。

2. Anticipation(能動的な提案)

「御用聞きではなく、プロフェッショナルとしてのカウンターパートに」
社員からの「ハイスペックなPCが欲しい」というリクエストに対し、そのまま応えるだけでは不十分です。私たちはITの専門家として、「なぜそれが必要なのか」を深掘りし、時には社員自身も気づいていない最適な選択肢を提示する必要があります。
例えば、SaaSの導入相談を受けた際、単なる製品説明や営業資料の受け売りで対応するのではなく、実際に自分でも使ってみて、操作性などの感触も自分の言葉で伝えます。「自分だったらこうする」という相手視点の意見を持ち、それを具体的に伝えることで、「この人は攻めの提案をしてくれる」という期待につながります。

3. Operation(再現性のあるサービスレベル)

「ムラのないオペレーションこそが、最大の信頼を生む」
平常時にどんなにホスピタリティを発揮していても、忙しくなると塩対応だったり、やっつけ感が出たりしてボロが出るようでは、プロフェッショナルとはいえません。繁忙期でも閑散期でも一定のテンポで丁寧さを保ちたいところです。
そのためには、入社者が集中する月初などの需要のピークを見越して準備をしておくことはもちろん、自分の知識を常にアップデートすることも重要です。十分な知識があれば自信が生まれ、どんな時も自然体で対応できるようになり、余裕があるのでまた新しい知識を吸収することができます。このポジティブなループを回していきたいですね。

最後に

「最近忙しくて、余裕がなくなってませんか?」
「担当範囲にこだわらなければ、こういう提案もできそうですよね」
こういった指摘をオープンに言い合えるチームは、チーム全体としてサービス品質を高めていけると思います。
そのために、このホスピタリティ3原則がお役に立てれば幸いです。
私も、誰に当たっても「神対応!」と感じてもらえる情シスチームを目指し、引き続きホスピタリティとITスキルの両方を磨いていきたいと思います。

参考にした書籍や動画

  • 愛される接客 サービスの質を向上させる52のセオリー - 新川 義弘 (著)
     https://amzn.asia/d/eqO9uZm
  • 【経営陣から評価される情シス】ワークフロー活用法/稟議を通すコツは定量成果の可視化/経営層を動かすコミュニケーション術/評価につながるシステム選定
     https://youtu.be/1L-kR2bO5cM?si=_qYMUnqi_-PehmTM
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