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はじめましてとゲーム開発ジャムセッション 1章まるまるサンプル #技術書典13

2022/09/05に公開

これは何?

技術書典13で出す新刊「はじめましてとゲーム開発ジャムセッション」という同人誌の1章まるまるを掲載したサンプルになります。

合わせてこれも読むと実は同人誌の内容をほとんどカバーします。やったね。

絶賛最終チェック中

イベントで出す頃に一部内容変わってるかも知れません。
でも多分全体はもう変わらないはず・・・なのでこのまま出します。
書いた時期が違うところとかもしかしたら繋がりがおかしくない?!~ってなって今日治すかもしれないです。
でも基本変わらないってことにしたいのでとりあえず出します。

何で公開するの?

正直言ってしまえばここの章の話を伝えたいだけの本なのでここの部分が多くに届けばいいなと思って掲載します。
あとサンプルを今までケチってたんですけどそれって多分あんま意味ないなって思ったので言いたいことというか立ち読みする人に読んでほしいなって部分を全部のせました。
イベント会場だと多分満足に立ち読みするのは大変だと思うし、それなら事前にこれだけ読んどけ!って内容あったほうがいいでしょ。
その上でほしいとか応援したいとか買う理由が見つかったら是非買ってください。

過去にゲームジャムでチーム組んだ事ある人は電子版のデータあげるんで言ってください

もしなんかこいつゲームジャムで過去に一緒にやったことがあるな・・・みたいな人が居たら言ってください。
もし過去に本当に同じチームだった人で、この本がほしい人は電子版のデータ差し上げます。
ゲームジャムって大半が一期一会なんで、もしまたお話できるなら是非近況の話とか雑談しましょう。

どこで買えるの?

いくつかの場所で展開予定です。

技術書典13及び技術書典オンラインマーケット

紙の本と電子版の両方を扱っているのはここだけです。
ただ、9月10日~9月25日の期間限定で、それ以降は電子版のみになります。
https://techbookfest.org/organization/6536214240821248

技術書典13オフラインにも参加します。

9月11日に開催されつ技術書典13のオフライン会場の方でも出展します。

BoothとDLSITE

それぞれ電子版を購入出来るようになる予定です。
DLSiteのほうがプラットフォーム代がかかってちょっと高いんですけどDLSiteは定期的にクーポンも出してくれます。お得。
あとDLSiteはワンチャン英語や中国語や韓国語みたいな海外版も出る・・・かもしれません。ちょっとまだわからないです。
https://nagara-studio.booth.pm/
https://www.dlsite.com/home/announce/=/product_id/RJ415522.html

Ci-en

Ci-enの有料プランの方にも出すかもしれないです。多分一番安いですけど一番メンテされないです。
https://ci-en.dlsite.com/creator/8490

そういえばもうすぐで100人になりそうなのでもしよかったらフォローしてください。
同人ゲームとか日記とか同人誌制作の話とかそんな事を書くつもりです。
R-18要素はほぼ無いんですけど、友人知人の手伝いの関係で一部そういうコンテンツへのリンクがハラれたり技術検証が記事になったりするかもしれません。

あと過去作のセット販売も…

多分やります。
合同誌以外の4冊をまとめて半額くらいでイベント期間中のみ出したいなって思ってます。

指摘待ってます。

自分はなんだかんだ2021年からPjM周りを噛み始めた言う慣ればまだペーペーだし、この本は10年もゲームジャムっていうエクストリームeスポーツに身を投じた経験則が未だ7割くらい締めてる本だと思います。
なので、議論は歓迎ですし、関心がある人は是非話しましょう。

影響を受けたもの

ここでも登場しますがTeamGeekはそこそこ影響を受けていますし、アジャイルやスクラムといった開発手法からも影響を受けてます。

知らない人達とゲームを作るということ

知っている人や安心できる人とやるゲーム開発と全然違うというか単純にこっちのほうがゲーム性が高いです。
ゲーム性ってなんだよって感じもしますけどなんかそんな気がします。

毎年1月の下旬あたりにGlobalGameJamっていうやつが全世界で一斉にやってます。
なんか気になった人は開発者で参加!とは言わないですけど見学くらいしてみてもいいかもしれません。面白いですよゲームジャム。


もう言いたいことも終わったのでここからサンプルになります。

はじめましてとゲーム開発ジャムセッション サンプル

はじめに

1年にたった3日知らない人とゲーム開発をするなんていう事を10年やっていると流石にどういうチームが崩壊し、どういうチームが良い48時間を過ごせるのか?がわかるようになってくる。
この本の48時間の~とは世界的なハッカソンイベントであるGlobalGameJamの事だ。
GlobalGameJamは48時間でテーマに沿ったゲームを作るイベントで、大半の人たちは初めての人とチームを組むことになる(最近は事前にチームを組んで参加している人も居るらしい)

この本ではそんなGlobalGameJamに10年くらい参加して培ったチーム開発のノウハウを詰め込めるだけ詰め込んだ。
それは来年参加する自分の為でもあるし、48時間という短いゲーム開発において何が重要なのか?に関心のある人やゲームジャムというイベントに関心のある人の為でもある。

48時間で何がわかるのか?というとこれがまあチームの大体の段階を一通り体験できる。チームの規模は違えど1年の開発で起きる事は48時間のチーム開発でも起きる。
逆に48時間の開発で起きる事は1年の開発でだって起きる。これは想像とかじゃなくてゲーム開発もまた10年くらい経験のある自分自身の実体験だ。

この本には、アジャイルだとかスクラムだとかプロジェクトマネジメントだとかそういうところで聞き慣れた言葉も出てくる。
それは結局48時間なんていうゲームを作るにはあまりにも短い時間であってもそういう手法・知識・経験・精神性というのは重要だという事にほかならない。

本書では48時間という限られた状況の中で、ゲームを完成させること…ではなくゲームジャムというイベントそのものの体験が良かったものだったとチームとして終われるようにすべきことや意識することを第一に書いている。
良い体験とは後悔なく、チームとしての目的が達成でき、ゲームジャムを終えたあと再びあって体験を楽しく話せるというそんな曖昧なものだ。

良い体験とゲームの完成は同一ではない。しかし、良い体験だった!と言えるチームは意思決定を始めとしてチームとして一眼となって目的に向かっていく。
例えばチームの目的が完成であればたった48時間のチーム開発が良い体験だったと言えるなら、それはきっとチームとして最高の価値を発揮して、ゲームが一本完成した。あるいは後悔なく取り組めたということだと思う。

本書では厳密に言うとゲームの完成ということは重要視していない。
だって、ゲームの完成はゲームジャムの目的じゃないし、あなたがゲームを完成させる経験を積みたい!って思ってゲームジャムに参加しても他の参加者は違うかもしれないし…
でも、気をつけるべき事に気をつけて取り組んでいけばゲームの完成を目的とした場合に、完成する可能性はとても高くなる。

この本はゲームジャムという初対面の人と一緒に48時間という短い時間の中で完成をするために筆者が気をつけている事をまとめた本であり、なにより来年も参加する僕に向けた本なのだ。

ゲームジャムというハッカソンについて

GlobalGaeJamは毎年1月に開催される世界的なハッカソンの一つ。
日本でも毎年全国各地で会場が設けられ、細かいレギュレーションは会場ごとに違う事も多いけど共通していることとして、「開発期間は48時間」「即席のチーム」「テーマに沿ったゲームを作る」というところがある。
もし、これを読んでいるあなたがSteamなどでリリースされているゲームを熱心に遊んでいる人であるならば、たった48時間の短い開発時間から生まれたゲームをひょっとしたら知っているかもしれない(あるいは遊んだことがあるかもしれない)

例えば、Switchなどにもリリースされている「Baba is You」というパズルゲームがある。これはノルディックゲームジャムというコペンハーゲンで行われるゲームジャムで生まれたゲームで、盤面に文字の書かれた石の並びを入れ替えて盤面のルールを差し替えて、主人公のBabaをゴールに導くというゲームです。
例えば「Baba」「is」「You」という並びの石があればBabaはあなたが操作できるキャラクターし、「Flag」「is」「Win」とならんでいたら旗にあなたが触れたらそのステージはクリアとなる。

その他にも期間は1週間と違うものの日本でもUnity一週間ゲームジャムというオンラインイベントが定期的に開催されており、そこからも「FILMECHANISM」という素晴らしいゲームがリリースされている(NintendoのYoutubeチャンネルにて紹介もされている)
あまりにたくさんあるため、世の中にあるゲームジャムによって生まれたアイディアのすべてを紹介できない(というかすべては知らない)
でももしあなたがインディーゲームに関心があり、そういった開発の背景にも関心があるなら是非一度調べてみてほしい。
もしかしたらあなたも遊んだことがあるかもしれない。

対象読者

この本の主な対象読者は短期間のチーム開発というものに関心のある人全般だ。
しかし、次のような人には特に良いかもしれない。

  • ゲームジャムに参加した事がある人
  • ゲームジャム全体を通してどういうところを気をつけたらいいのかを知りたい人
  • 初めての人とゲームを作るノウハウについて知りたい人
  • 48時間という限られた時間の中で目的を達成する方法について知りたい人

各章について

1章 結局チームがゲーム完成という目的に向かうために大事な事はコミュニケーション

この章では結局何が大事なの?という人に向けて…というかこの本を手にとってくれた人に、一番伝えたいいわゆるこれだけ覚えていってほしいを書いている。

2章 見知らぬ人たちと開発するイベントに飛び込むその前にすることと申込で気をつけること

ここでは参加する前にどうするべきか?申込みで気をつける事は?みたいな話をさっくりと書いている。
初参加だと実は落とし穴になっている部分もあるのでもし参加を検討するときに是非。

3章 48時間で完成するためのゲームジャム開発のススメ

実際に48時間のゲーム開発を段階に分解してそれぞれでどういうことに気をつけたり実践するべきか?と書いている。
ゲームジャムでは48時間をざっくりとチーム編成、テーマ発表、企画会議、開発初期、開発中期、開発後期、成果発表の7段階に分けて話している。

具体的にゲームジャムというイベントがどういう進行をしていて、その場面場面で何をするのがいいんだろう?みたいな人や参加したけどこれらの段階のどこかでうまくいかなかったという人に向けて、自分なりにやっていることやGlobalGameJam2022でやったような事を書いている。

4章 なぜ繰り返し身を投じるのだろうか

そもそもなんでこんなイベントに参加するの?という事について書いている。
心情とか参加はしないけど参加するのはなんで?という部分がきになる場合に是非。

付録 ゲームジャムにおいて活用すべき道具とテクニック

自分が実際につかているようなテクニックとか道具について列挙しています。
汎用的なものや限定的なものなど小手先のものなどいろいろと思いつく限り書いてみました。

付録 筆者のGlobalGameJam2022のホワイトボード

ここでは実際にGlobalGameJam2022で実際につかったホワイトボードを掲載しています。
自己紹介ボードはどういうものなのか?とかタスクかんばんってどういうやつ?とか
スケジュール管理ってどんなやつ?っていうのが気になった人は是非

1章 結局チームがゲーム完成という目的に向かうために大事な事はコミュニケーション

端的に言ってしまえば仲間を尊重してコミュニケーションを取る。そして、チームとしてみんなで同じ方向へ進んでいけるように色々と気をつけましょうね!というただそれだけだ。
でもこれが結構難しい。もちろんこういった開発でこれらの事が銀の弾丸じゃないし、他にも様々な障害がある。

初対面の人とゲーム開発をするというイベントを良い体験するために気をつける以下の3つがある。

  • 自身が有害な人にならないために気をつける事
  • チームを作って同じ向きを向く為に気をつける事
  • チームが目的を達成する確率を上げるために気をつける事

この本はこの先ゲームジャムの実際の流れの話とかそういう具体に寄った話になっていくのだけど。
本当に完成とか目的とかを初対面の人たちと達成する為に気をつけてほしい一般的で抽象的な話をする。
ゲームジャムの具体について関心が無い人はここだけ読めば良いし、こういった事を踏まえてゲームジャムはどう進めていくのか?について気になる人はこれ以降の章を読んでくれると嬉しい。

自身が有害な人にならないために気をつける事。

あなたは有害な人というとどういう人を想像するだろうか。
チーム開発どころか組織において、有害な人と遭遇したことのある人は結構多いんじゃないだろうか。
同じチームじゃなくても他のチーム・部署とか…

有害な人とはシンプルに有害な振る舞いを意識・無意識関係なく行うような人のことで、その有害な人の振る舞いによってチームは機能不全を起こしたりする。

初対面の人に有害な振る舞いをする人なんているのか?なんて思うかもしれないけど、ゲームジャムは時間がめちゃくちゃ限られている。
48時間のうちまともに開発に使える時間なんて多分20~30時間くらいしかないし、後半になればなるほど余裕がなくなってどうしてもそういう振る舞いをしちゃう事もある。

実際僕は有害な人にならないように気をつける事はとても大事だと思ってるけど、僕自身余裕がなくなるとそこそこ有害な振る舞いをしてしまって、後から深く反省をしている。

謙虚(Humility)・尊敬(Respect)・信頼(Trus)

オライリー社から出版されているBrian W. FitzpatrickさんとBen Collins-Sussmanさんが書いたTeamGeekには、HRTという考え方が出てくる。
謙虚(Humility)・尊敬(Respect)・信頼(Trus)の頭文字をとった言葉で、正直HRTを意識した振る舞いを全員できればゲームジャムにおいてチームの崩壊なんてことは多分かなり少なくなる。
というか普通の組織や開発チームでもいろんな悩みが減ると思う。

しかし、実際これは結構難しい。でも、ゲームジャムを通じて完成・未完成問わず良い雰囲気というか良い最終日を迎えるチームは、会場でのやりとりを盗み聞きしているとこれらがしっかりと出来ていると感じる。
一方でチームが険悪だったり酷い有様なチームはこれらが出来ていないように感じるというか有害な人はそのチームのみならずその周囲にもその害をばらまくのでつらい。
敬意の無いやりとりや、感情的な悪い言葉が聞こえてくるだけでも嫌になるし、それを直接行われている人がどうなるかなんて想像したくない。

もちろん、ほとんどの人たちはこういった振る舞いが自然にできているし、余裕がなくなって乱暴になってしまうとかあったとしても、チームそのものが機能不全を起こすようなことになるなんてことは稀だ。
でも一部にそういう人が居るのは事実だし、欲を言えば余裕が無かったとしてもそういう振る舞いはしたくない。

有害な人にならないために振る舞いについて考える。

謙虚・尊敬・信頼の3つを直ぐに実行するのは難しい。
特に初対面の人に対して信頼をするのは難しいと思うし、謙虚というのもバランスが難しいなと思う。

ではここではせめて尊敬というか相手に敬意をもつ(あるいはそう見える)振る舞いを予め知っておいたり決めておく事で多少ましにならないか?という僕自身が気をつけている事を書こうと思う。

ざっくりと以下について書こうと思う。

  • よりチームとして力を発揮できるように仲間に関心を向ける。
  • 様々な事へ感謝を伝えたり、良い言葉を贈る。
  • チームのためにならない悪い言葉を使ったり悪い振る舞いをしない。

よりチームとして力を発揮できるように仲間に関心を向ける。

あなたのチームメンバーはどういう人だろうか。
初対面の中でも色々見えてくるところがある。

例えば自己紹介の中で、過去の功績とか、なんちゃらかんちゃらが得意ですとか、自信があったり、経験があるから出てくる言葉だったりするかもしれないし、ゲームジャム初参加とか、シンプルに自信が無いとか、ややネガティブな言葉とか。
そういう情報から仲間がどういう人間なのか知っておくことで、色々と効果的な振る舞いが変わる。

自信があり、ガンガン開発したいとか明確に作りたいゲームがある!みたいな熱量を持つ人を活かすならそれを後押ししてあげたほうがいいと言うか場合によっては反発しやすいから気をつけないといけないと思うし、自信が無い人や引っ込み思案だったり、そもそもゲームジャムやゲーム開発経験が少ない人は油断するとチームへの貢献がゼロになってしまう事も多々ある。
人格的に柔らかく、いわゆるHRTを出来てそうな人なのか?それとも有害な場面がありそうなのか?初対面で時間の少ない開発だからこそこれらに関心を持っておかないと壊滅する可能性がある。

気をつけるべき人なのか?そうじゃないのか?この判断は難しい。何より人間は多様で、自分にとって常識だと思っていることは相手にとって常識じゃないなんて場面は少なくない。

チームメンバーに関心を向けて、何か直感的に気をつけたほうがいいかも?って思ったら注視すべきだ。
最も、あなたが開発をメインでやるプログラマーだとそこまで気を使うのは難しいと思うから、これはあくまでもチームを仕切る立場を選んだ場合以外はおまけ的な話でいいと思う。

様々な事へ感謝を伝えたり、良い言葉を贈る。

仲間がどういう人か?というところにもつながってくるけど、その仲間に良い影響を与えることができるなら積極的に良い言葉を贈ろう。
どんな言葉を贈ればいいかわからない!なんて人は様々な事に感謝するだけでもいい。

例えば、開発に不慣れだけど主体的にタスクをこなしてくれた人にはシンプルにありがとうと言えばいいし、思ったより早い成果を出した仲間には早くて助かる!とかなんかそういう感じの成果を認めるだけでもいい。

初対面であるという事は、自分も相手を知らないけど、相手も自分を知らない。
あなたのちょっとした振る舞いが、相手にとってあなたを警戒したり、恐怖したり、舐め腐ったりするのに十分なものになりかねない。

チームとして、価値を発揮する為にがんばるならあなたは少なくともチームにとって良い存在であったほうが良いだろうし、仮に有害な人が居たとしてもあなたがいれば安心できる状態になっていればチームにとっては助かるはずだ。

また、善い行いというのは伝染していく場合も多い。
例えばGitで困っている人が居て、他のメンバーもGitがわかるなんて状況で、自然と助け合いが発生する事もある。

特に5人以上とかの人数が多いチームになってしまった場合にメンバー同士で助け合うのは必要不可欠だし、主体的になってほしい。
あなたがもし、チームをまとめる役回りで、様々な事に詳しいのであれば、まずはじめは仲間を助けたり仲間の行動の後押しをしてあげるというところに注力してもいいかもしれない。

プログラムや開発などの手を動かす事が主の役回りの場合これをすべてするのは難しいけど、そういう役回りであったとしてもこういった振る舞いによってチームに助け合いや主体的にタスクをこなす文化が生まれれば、ゲームジャムという短い開発だとしても完成はそんなに遠いものじゃなくなるだろう。

チームのためにならない悪い言葉を使ったり悪い振る舞いをしない。

悪い言葉ってなんだろうか?これはいくつかあると思う。
悪い言葉といっても様々だと思うけどコミュニケーションによる悪い結果は以下のようなものがある

  • 主体的な行動がしづらくなる。
  • 自身の成果を出すのに時間がかかるようになる。
  • 仲間を頼ることができなくなる。
  • 自分自身の行動に自信をもてなる。
  • 仲間を信頼できないので悩みを抱えてしまう。
  • 意見を言う事に億劫になる。

例えばどんなに優れた技術者であったとしてもこういう結果を生むコミュニケーションばかりをしてしまう人は、実務の中でも最終的に退職者を量産するし、ゲームジャムという短い開発であったとしてもチームの機能不全を起こす。

いわゆる心理的安全性を阻害するような言葉や振る舞いについては考えましょうね。という話。

48時間という短い時間だからこそ重要な心理的安全性。

ゲームジャムはたった48時間しかないし、開発時間は20~30時間しかない。
こうなるとチームとして健全だったりチームメンバーがパフォーマンスを出せる環境を作ることは重要なことなのだと僕は思う。

結局この良い振る舞いと悪い振る舞いの話は心理的安全性を高めてチームのパフォーマンスを出しましょう!という話。
チームが健全に機能すればあとは完成するだけだ。

コラム: 仲間をリスペクトしないベテラン

チームの分断を防ぐ為に、初対面の仲間が持ってきた目的を知ってチームの目的を定義せよ

ゲームジャムというイベントにおいて、結局イベントに参加する目的は様々だ。
例えば僕みたいに初対面の人たちとゲームを完成させたい!というモチベーションの人もいれば先生に教えてもらってとりあえず来てみました!なんて人も居るし、特定のゲームジャンルを作ってみたい!なんて人も居る。
その目的のあり方は様々だ。

僕はこの個人が持っているなぜイベントに参加したのか?という部分については確認をすべきだと思っている。
それは、言ってしまえば仲間にこの目的が衝突する人が居たときにケアしなければ大きな分断が起きる可能性がとても高いからだ。

幸いにも僕はそういった分断になったことは無いのだけど、他のチームではそういう事がある。
例えば1つのチームから違うゲームが2つ出てきたり、UnityとUnrealEngineでそれぞれ作りました!なんてこともある。
前者は特定のゲームを作りたいという強い目的が分断の理由になっているし、後者は特定のゲームエンジンを使いたいという目的が分断の理由になっている。

チームとして作るものが決まった!あるいは作る環境が決まった!って合意したつもりが、なんか仲間が違うゲームや違う環境で別の物を作っていたなんて業務で起きたら…末恐ろしい。
目的とは個人にとっての参加する意義であり、その熱量が高い人が居た場合。あなたは注意深く対応しなくてはならない。

チームとしてどうするかを合意する

個人の目的を聞いたら最終的にチームの目的を決めよう。
作りたいゲームはわかった。使いたい道具もわかった。じゃあチームでどういう方向で行きたいか?

僕は毎度必ずチームに確認していることがある「完成を目指す?挑戦する?」の2択を聞いている。
そして同時に僕は完成を出来れば目指したいとも伝える。これによってみんなの意識は完成か挑戦か?となる。
大半の人は完成を目指したいと言う傾向にあるが、とても強い目的がある人がいたらそれは尊重して見る事にしている。

もう全員挑戦だ!となったら心置きなく挑戦すればいいし、完成したい!となれば完成を目指してガンガン進めばいい。
半々とか分かれたらその比重でその後の企画について考えればいいと思う。

これによってチームとしてどちらを目指すのか?が明確になれば、それ以降の大きな判断基準になる。
例えば絶対にやりたい熱量があるけどゲームが完成するかあやしいタスクがある時、チームが挑戦を目指したなら挑戦すればいいし、完成を目指したなら切り詰めるとすればよいだろう。

ゲームの完成の為にできること

これは本当に僕の個人的な成功体験によるものなのだけど、結局48時間みたいな短い時間で完成するためには、チーム全体の完成像の解像度を高めて、完成するまでに必要なやるべきことを可視化するしかないと思う。
例えば、3人とか小さいチームだとこの辺がわりと適当でも案外なんとかなるというか会話と最低限のタスク整理でなんとかなったりするんだけど5人とか7人になるともうちゃんと仕様を切ったりとかタスク管理をしたほうがよい。

チームがどういう方向に行くかが決まってるならあとは完成するまでの道のりを明確にするだけだ(しかし、それが難しいのだけど)

チームメンバーが想像する完成像の解像度を高めて一致させよう

やるべき事はシンプルで、みんなで同じ完成像を想像できるようにしましょう!ということだ。
例えばファミコンのマリオみたいなゲームを作る!って言うならみんなでマリオの動画を見たり遊んだりすればいい。

絵を描ける仲間が居るならその仲間にラフを書いてもらったりしてもいい。
画面遷移なんかも良い。とにかく言葉だけでこれから作るゲームの話をするのは非常に危険だ!

なぜ危険か?

言葉というのは受け手によって解釈が異なるもので、ある言葉から連想するものは受け手の経験や考え方で大きく異なる場合がある。
例えば横スクロールで、ジャンプと攻撃が出来て、ステージの終端に行けばクリアするアクションゲームみたいな説明だけでもいくらでも種類がある。

また、例えばパリィができるいわゆるソウルライクみたいなゲームで~と言ったりローグライクっぽいゲームとか言っても現代のゲームはとても多様なので言葉だけでは解釈は大きく異ると思っておいた方が良い。
あなたの想像している完成像を伝えたり、仲間の想像している完成像を引き出したり…場合によっては絵を実際に書いてみたり、ちょっとしたアニメーションでモックを作ってみたり、ゲーム全体の雰囲気を一致させたいなら音楽なんかも良い。
とにかく、いろんな手段を使ってチームで共通認識を作ろう。

ここが違うと簡単になんか違うゲームになっちゃった・・・!っていうことになる。

完成までの道のりを可視化する

先に言うと厳密なタスク管理というのは人数が3人くらいまでならしなくても回る場合がある。
しかし、人数が5人とか以上になったら、タスク管理をすることを強くお勧めする。

何ができれば良いのか?というのは事細かにタスク化しておくことで、何をしたら良いかわからないみたいな人もこれだったらできるかもとなったりするし、逆にあなたがそういう人のできることを見出してタスクを割り振ることができるかもしれない。
Aボタンを押したらジャンプの音がなるとかスタートボタンを押したらゲーム画面に遷移するとか。何をしたらどうなるみたいなのをたくさん書き出して、未着手・進行中・完了といわゆるかんばんチックにやってもいい。

タスクを出し切っておいたり仕様を整理する事で、嫌でも完成と向き合う羽目になるので、そこからアラートが出たりする。
タスクが全部完了したら、僕たちのゲームは完成している!といい切れるくらいになっていて全部やれたなら多分あなたのゲームは完成する可能性が高くなるはず。

事故った化学反応も楽しんでほしい

この章の最後に、結局ゲームジャムに何度参加したとしてもあなたが思い描いたゲームが完成することは極めて稀だ。
どこかで認識の齟齬とかによって化学反応が起きてちょっと違ったゲームになっちゃったりする。
でもそういうところも笑って楽しむくらいが僕はゲームジャムにはちょうどいいと思う。

こんな事を書いたらここまで書いたことは何なんだとなっちゃうかもしれないのだけど一期一会の開発だからこそ、できることはたくさんあるし、楽しむべきだと言えるところでもある。

でもここに書いたことだけでも気をつけることが出来たらわりと初対面の人同士でも完成するだろうと思うし、3日間以内にストアリリースだってできちゃうと思う。
そんな挑戦をしてみたいとあなたが思ったら是非毎年1月に行われるGlobalGameJamに参加してほしい。

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