技術書読書ログ「組織を変える5つの対話」
概要
オライリーの"組織を変える5つの対話"を読みました。
アジャイルやリーン、DevOps等の手法はどれも、非人間的で大量生産的なアプローチからの脱却をして、人を中心としたアプローチに変えることが目的。なので、プロセスや方法論だけに焦点を当てていてはうまくいかない。
ここまでは、今までの本や記事でもよく取り上げられる内容。
この本が他とは違っているのが、人にフォーカスするために"対話"を重視していること。
真に旧来の手法から脱却するには人間関係の構築が鍵で、人間関係の構築には以下の"5つの対話ステップ"が不可欠。
- "信頼を築く対話"
- "不安を乗り越える対話"
- "Whyを作り上げる対話"
- "コミットメントを行う対話"
- "説明責任を果たす対話"
そしてこの5つの対話を改善していくためには、"4R"のテクニックを使って"対話診断"ができるようになる必要がある。
注意点としては、ステップなので順番が大事なこと。順番通り進めないと、続く対話の改善が上手くいかない。
こんな内容の本でした。
個人的に特に大事だなと思ったことを3つまとめてみました。
Whyから始めるのは危険
Whyから始めることを勧める本などがあるが、それでは上手く行くとは限らない。
チームに信頼があり、不安を軽減することが先決。
というのもWhyはトップダウンではなく、チームと共同でつくりあげるもの。そのほうがチームがより主体的になるから。
なので、先に1と2のステップを実践してする必要がある。
対話を記録することから始める
どんな対話でも改善のためには、"対話診断"で対話を振り返る必要がある。
そして、そのためには対話を文章で記録(Record)することが欠かせない。
紙に書き出すことによって、他人事のような距離感で対話について考えることができるようになり、その距離感は内省(Reflect)と改訂(Revise)で洞察を得るために不可欠なものだから。
具体的な記録の方法は、対話の時に、"自分と相手の発言"と"その時に考えていたこと"を並べて書くこと。
シンプルだけど、これだけでも学びを多く得ることができる。
根気よく続ける
"対話診断"のスキルを身につけるだけでも相当な努力が必要になるし、5つの対話も1つずつ取り組んで改善していくには時間がかかるもの。
でも練習する機会は毎日のようにある。日々の仕事での対話1つ1つが練習の機会になるから。
地道に根気よく続けることが重要。
感想
"対話"の重要性はすぐに理解することはできるけど、実践するのは大変だなあというのが率直な感想。
5つの対話の前提の"対話診断"を、日常の会話の中で取り入れること自体が結構ハードル高いなと感じてしまいました😅
ただ、その分、価値は凄くあるなとも思いました。これらの対話のテクニックは、ソフトウェア開発だけに限らず、全ての人間関係に当てはめられることだと思うので!
幸い、練習しようと思えば、その機会はいくらでも、それこそ仕事に関わらず日常の会話からでも改善させることができるので、まずは『"自分と相手の発言"と"その時に考えていたこと"を並べて書く』ことから始めようと思っています👍
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