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量子カーネル SVM で遊んでみる — Blueqat

2022/10/18に公開約6,700字

目的

量子カーネル SVM で遊んでみる — Qiskit の内容を更に Blueqat でも実装してみようというもの。

データセット

毎回毎回同じであるが前回と同様に以下のデータセットを使いたい。

前回と同様に以下で訓練セット (train_data, train_labels) とテストセット (test_data, test_labels) が準備されているとする。

from sklearn.datasets import make_circles

X, Y = make_circles(n_samples=200, noise=0.05, factor=0.4)

A = X[np.where(Y==0)]
B = X[np.where(Y==1)]

A_label = np.zeros(A.shape[0], dtype=int)
B_label = np.ones(B.shape[0], dtype=int)

def make_train_test_sets(test_ratio=.3):
    def split(arr, test_ratio):
        sep = int(arr.shape[0]*(1-test_ratio))
        return arr[:sep], arr[sep:]

    A_label = np.zeros(A.shape[0], dtype=int)
    B_label = np.ones(B.shape[0], dtype=int)
    A_train, A_test = split(A, test_ratio)
    B_train, B_test = split(B, test_ratio)
    A_train_label, A_test_label = split(A_label, test_ratio)
    B_train_label, B_test_label = split(B_label, test_ratio)
    X_train = np.concatenate([A_train, B_train])
    y_train = np.concatenate([A_train_label, B_train_label])
    X_test = np.concatenate([A_test, B_test])
    y_test = np.concatenate([A_test_label, B_test_label])
    return X_train, y_train, X_test, y_test

train_data, train_labels, test_data, test_labels = make_train_test_sets()

今回やりたいこと

Qiskit に任せていた部分を独自実装する必要がある。つまり、以下の 2 点になる:

  1. Qiskit の ZZFeatureMap を Blueqat で実装する。
  2. 自作カーネルを計算する calculate_kernel を Blueqat で実装する。

ZZFeatureMap を Blueqat で実装する

要するに以下の回路を実装すれば良い:

そのまま素直に実装できるが、比較のために Qiskit 版のインターフェイスに近づけておく。P ゲートと R_z ゲートはグローバル位相の差を除いて同一のゲートなので、ここでは R_z ゲートを用いた。注意点としては、Qiskit における .bind_parameters() のようなメソッドはないので、引数 x でデータをリストで受け取ってそのまますぐに位相エンコーディングで回路に埋め込むことにした。

from blueqat import Circuit

def zz_feature_map(x, reps):
    def sub_circuit(x):
        n_qubit = len(x)
        c = Circuit().h[:]
        for i in range(n_qubit):
            c.rz(2*x[i])[i]
        for i in range(n_qubit - 1):
            for j in range(i+1, n_qubit):
                c.cx[i, j].rz(2*(np.pi-x[i])*(np.pi-x[j]))[j].cx[i, j]
        return c

    c = Circuit()
    for _ in range(reps):
        c += sub_circuit(x)
    return c

今回、Qiskit 版の記事で書いたのと同じように rep=2 として扱いたいので、部分適用を用いてパラメータを予めバインドしておく:

from functools import partial

feature_map = partial(zz_feature_map, reps=2)

自作カーネルを計算する calculate_kernel を Blueqat で実装する

おさらいする。zz_feature_map による量子回路の部分を \mathcal{U}_{\Phi}(\xi) と書くことにする。ここで \xi はデータセットに由来するデータである。n 量子ビットのケースでは

\begin{align*} k(\xi_j, \xi_i) = \left| \braket{0^n | \mathcal{U}_{\Phi}^\dagger(\xi_j) \mathcal{U}_{\Phi}(\xi_i) |0^n} \right|^2 \tag{1} \end{align*}

(i,j)-成分に並べた行列が自作カーネル (k(\xi_i, \xi_j))_{1 \leq i,j \leq N} となるのであった。今回は n=2 である。

こちらも Qiskit で行ったのと同様に素直に実装できる。\mathcal{U}_{\Phi}(\xi_i) \ket{0^n} がどういう状態ベクトルになるかは測定して確率振幅を割り出すのが本来であるが、今回も簡単のため状態ベクトルシミュレータを使って計算を行なっている。このためには、Blueqat の numpy バックエンドを用いれば良い。

def calculate_kernel(feature_map, x_data, y_data=None):
    if y_data is None:
        y_data = x_data
    x_matrix, y_matrix = [], []
    for x0, x1 in x_data:
        c = feature_map([x0, x1])
        sv = c.run(backend='numpy')
        x_matrix.append(sv)
    for y0, y1 in y_data:
        c = feature_map([y0, y1])
        sv = c.run(backend='numpy')
        y_matrix.append(sv)
    x_matrix, y_matrix = np.array(x_matrix), np.array(y_matrix)
    kernel = np.abs(
        y_matrix.conjugate() @ x_matrix.transpose()
    )**2
    return kernel

カーネルを計算して訓練する

冒頭のデータセット train_data を使って calculate_kernel で自作カーネルを計算して訓練する。

from sklearn.svm import SVC

train_kernel = calculate_kernel(feature_map, train_data)

model = SVC(kernel='precomputed')
model.fit(train_kernel, train_labels)

検証

テストカーネルも計算して、ラベルの推定結果を可視化する。

import matplotlib

test_kernel = calculate_kernel(feature_map, train_data, test_data)
pred = model.predict(test_kernel)

fig = plt.figure(figsize=(5, 5))
ax = fig.add_subplot(111)
ax.set_aspect('equal')
ax.set_title("Predicted data classification")
ax.set_ylim(-2, 2)
ax.set_xlim(-2, 2)
for (x, y), pred_label in zip(test_data, pred):
    c = 'C0' if pred_label == 0 else 'C3'
    ax.add_patch(matplotlib.patches.Circle((x, y), radius=.01,
                 fill=True, linestyle='solid', linewidth=4.0,
                 color=c))
plt.grid()
plt.show()

今回も大体良さそうな結果になった。念の為スコアも確認する。

model.score(test_kernel, test_labels)

1.0

まとめ

Blueqat を用いる形でも量子カーネル SVM を行ってみた。Qiskit ではライブラリ実装の ZZFeatureMap を使ったので「実際は中で凄いことをやっているんじゃないだろうか・・・」という気持ちがあったが、素直に論文の通りの回路を手で実装して同じ結果が得られると「な〜んだ」となる。「量子カーネル SVM」という響きは凄そうだが、特徴写像としての量子回路として先人が良さそうなものを見出してくれているのでそれを使って自作カーネル版のカーネル SVM を実行するだけであることが理解できた。

他の結論は 量子カーネル SVM で遊んでみる — Qiskit#まとめ と同じなので割愛する。不安なものは自分で納得いくまで実装したりして確認するのが良い。

参考文献

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