Node.jsでTypeScriptをネイティブ実行可能に|Productivity Weekly(2025-01-15)
こんにちは。サイボウズ株式会社 生産性向上チームの平木場です。
僕たち生産性向上チームは毎週水曜日に Productivity Weekly という「1 週間の間に発見された開発者の生産性向上に関するネタを共有する会」を社内で開催しています。
本記事はその時のネタをまとめたものです。
2023-01-25 号から、基本的に隔週で連載することとしました。たまに単独でも投稿するかもしれません。
今週は 2025-01-15 単独号です。
今回が第 175 回目です。過去の記事はこちら。
news 📺
Node.js の最新リリースでは TypeScript をネイティブ実行可能に、ただし利用には注意点も
Node.js v23.6.0 がリリースされました! わいわい!
一番の目玉は、Node.js が TypeScript プログラムをネイティブに実行可能になる点です。以前に Weekly でも紹介しましたが、これまではネイティブ実行のためには、実行時に --experimental-strip-types
というオプションをつける必要がありました。これが今回からデフォルトになるとのことです。
しかし利用にはいくつか注意点もあります。まず、この機能は型検査せず、型に関する情報を消して JavaScript として実行するのみです。こういった仕様になっていることから、列挙型や namespace をはじめとする TypeScript 専用の機能はデフォルトではサポートされません。これらの機能の利用のためには、引き続き --experimental-transform-types
オプションが必要です。
依然として、TypeScript から JavaScript へのトランスパイルが必要な場面も少なくありません。例えば、TypeScript プログラムのネイティブ実行には多少のオーバーヘッドがかかるため、プログラムの高い起動速度が求められる場面(e.g. AWS Lambda におけるコールドスタート)では、トランスパイルによって minify する方が有利です。また、npm からライブラリを配信する際にもトランスパイルが必要です。理由としては、JavaScript ユーザーも TypeScript 製ライブラリを利用できる点や、TypeScript プログラム(.ts
)より型定義ファイル(.d.ts
)の方が高速に処理可能な点が挙げられています。
TypeScript ネイティブ実行バトルの行く末が楽しみです。
本項の執筆者: @ajfAfg
Evolving GitHub Issues (public preview) - GitHub Changelog
GitHub Issue の機能アップデートがありいくつかの機能が public preview になりました。
- 大きめの課題を Sub-issues に分割し、親子関係で管理できるようになりました
- 組織内のリポジトリで共通の issue を管理できるようになりました
- リポジトリの課題ページから、AND および OR キーワードと括弧を使用して高度な検索を作成できるようになりました
- etc...
この中から Sub-issues を少し深掘りします。
Sub-issue を作成することで、Sub-issue の担当者を決めたり、進捗状況を個別に追跡したりすることが可能になります。親課題の進捗状況は、Sub-issue の完了状況に応じて自動的に更新されるのも便利ですし、自分の進捗が正しく可視化されると心が落ち着きます。
従来、チェックボックス + 別タスクのように独自管理していたものが、GitHub 上で完結できるようになります。また、Drag&Drop で Sub-issue の順番入れ替え可能でタスク実行順序も簡単に可視化可能です。
8 階層まで Sub-issues 内でネスト可能ですが、ネストさせたい気持ちが芽生えたら、親タスク粒度が大きすぎるかもしれません...
詳しくは Sub-issues Public Preview - discussions, sub-issue について - docs をご確認ください。
本項の執筆者: @naotama
GitHub Models introduces JSON schema support for response formats - GitHub Changelog
GitHub Models は、様々な LLM を試せるプレイグラウンドサービスです。
従来から、LLM の出力フォーマットを自然文と JSON の2つから選べていました。
今回のアップデートで、JSON スキーマを指定して出力できるようになりました。
ただし、JSON スキーマに対応しているモデルは GPT 4o の api-version 2024-08-01-preview
のみです。
GitHub Models は、GitHub PAT を使った無料の API も提供しています。LLM を使ったツールのプロトタイプ実装で活躍しそうです。
本項の執筆者: @takoeight0821
Malware detection prevents Docker Desktop to start · Issue #7527 · docker/for-mac
1 月初め、Docker Desktop for Mac において、macOS が Docker Desktop をマルウェアとして検出し、起動や動作に失敗する問題が報告されていました。現在は問題を解決したバージョンが出されており、多くの方がすでに対応されているかと思います。
まだ対応されていない方は Issue、あるいは Fix startup issue for Mac | Docker Docs を確認して対応しましょう。
すでにパッチ済みなので、基本的には最新版に更新することで解決します。内部ファイルの署名が一部正しくできていなかったことが原因っぽいですね。
本項の執筆者: @korosuke613
know-how 🎓
ECSのIaCあるある『Serviceとタスクの更新をどこでやる問題』に向き合う一例 - Nealle Developer's Blog
Terraform などで IaC をする際、アプリケーションのデプロイまでを IaC の責務とするかどうかは悩ましい問題です。
この記事では、Terraform は最初のタスク定義だけを作成する責務を負い、サービスでは data で取得した最新のタスク定義を参照するようにしています。
さらに ecspresso は各環境の設定の差分を吸収し、タスク定義を JSON として出力するために使用されています。
ecspresso でそのような使い方ができるのは知らなかったので、なるほどと思いました。
最近、弊チームでもこの問題に向き合いまして、この記事と似た構成で構築しました。
違う点は、構築するサービスの環境がそこまで複雑でないことから、タスク定義の各 attribute は ignore せず、サービスからのタスク定義の参照を ignore しています。
また ecspresso は使用せずに GitHub Actions 内で AWS CLI を実行し、最新のタスク定義の JSON を取得しています。
これにより、タスク定義のほとんどを IaC の責務としつつ、イメージだけを aws-actions/amazon-ecs-render-task-definition で更新できるようになりました。
今後環境の差分が多くなってきたら、差分を ecspresso に吸収させる仕組みを検討してみたいと思います。
本項の執筆者: @defaultcf
http://gihyo.jp
保守しやすく変化に強いソフトウェアを支える柱 自動テストとテスト駆動開発、その全体像 ~Software Design 2022年3月号「そろそろはじめるテスト駆動開発」より |
サバンナのライオンをスタンドに持つ t-wada さんが Software Design 2022 年 3 月号に寄稿された話です。テスト駆動開発のモチベーションや嬉しさが、自動テスト、テストファーストの理解を通して説明されています。
超絶要約すると次の通りです。まず、自動テストとはプログラムのテストをプログラムで書き、テストを自動的に実行可能にする取り組みです。ここで、テストコードは設計へのフィードバックになったり、実装を後回しにすると書かれないがちという理由から、テスト対象が実装されてからすぐ書いた方が効果的とされています。そこで、テスト対象を実装する前にテストコードを書く「テストファースト」というプラクティスが生まれます。しかしテストファーストにも欠点があり、その 1 つが過剰なテストの記述です。言い換えると、使う予定のない仕様を設計しがちです。そこで、イテレーティブに少しづつテストとテスト対象を育てる「テスト駆動開発」というプラクティスが生まれます。
紹介記事の補足的な話が次のポッドキャストで t-wada さん本人から語られているので、こちらも併せてチェックするとより理解が深まります:
本項の執筆者: @ajfAfg
Rustプロジェクトのビルド高速化に関するベストプラクティス(ローカル環境編)
Rust はビルド時間が悩みのタネになりがちです。
この記事では、高速なリンカ mold、プロジェクト間でビルド成果物をキャッシュ・共有する sccache、依存クレートのビルド成果物をイメージレイヤーとしてキャッシュする cargo chef を使ったローカルビルドの高速化の方法が紹介されています。
次回は CI/CD パイプラインでのビルド高速化が紹介されるそうです。こちらも楽しみですね。
本項の執筆者: @takoeight0821
anyhowユーザー向けeyre/miette入門
Rust でエラーハンドリングを行う際に役立つ crate(ライブラリ)、eyre, miette の紹介です。
有名どころで anyhow, thiserror という crate がありますが、eyre は anyhow と似た API を持ちながら、出力結果が色付けされていてエラー表示をカスタマイズできます。
CLI のユーザーに対するエラー表示などに役立ちそうですね。
miette は Diagnostics
トレイトをユーザ定義のエラー型に実装し、そのエラーの表示を分かりやすく表示する crate です。こちらもリッチな見た目で良いですね。
利用の際のデメリットにも触れられているので、Rust のエラー表示が気になる方は読んでみましょう。
本項の執筆者: @uta8a
read more 🍘
Productivity Weekly で出たネタを全て紹介したいけど紹介する体力が持たなかったネタを一言程度で書くコーナーです。
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news 📺
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Announcing the new AWS Asia Pacific (Thailand) Region | AWS News Blog
- AWS が新たにタイ王国リージョン(
ap-southeast-7
)を設置しました - 新たなアジアリージョンの仲間ができましたね。タイでビジネスを展開してる人は気になりますね
- AWS が新たにタイ王国リージョン(
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Announcing the new AWS Asia Pacific (Thailand) Region | AWS News Blog
本項の執筆者: @korosuke613
あとがき
今週号でした。最近寒いですね。ガンダムが今アツいです。ガンダムファンの人はさっさとジークアクスを観に行きましょう。
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