JADH 2025にポスター発表で参加しました
こんにちは、世界史データベースの開発チームのソフトウェアエンジニアのYusakuです。
2025年9月20日と9月21日に大阪大学の箕面キャンパスで行われた 第14回日本デジタル・ヒューマニティーズ学会大会に株式会社COTENとしてポスター発表という形で参加しましたのでそのレポートになります。
COTENの活動を知っていただくとともに、デジタル・ヒューマニティーズ学会の雰囲気をお伝えすることで、この分野に少しでも興味を持っていただければ嬉しいです。
JADHとは
JADHはJapanese Association for Digital Humanitiesという学会の略称で、国際的な人文情報学組織のADHOに所属しています。
今回参加した日本デジタル・ヒューマニティーズ学会大会はJADHが主催する国際カンファレンスで、その名の通り人文学と情報学をかけ合わせた学際的な研究を発表・議論する場になります。
国際カンファレンスなのでセッションはすべて英語でしたが、ポスター発表や懇親会では日本語でお話させていただきました。
発表形式は口頭発表とポスター発表があり、COTENはポスター発表で参加させていただきました。
他の発表内容としては歴史はもちろんのこと、文学、言語、メディア、SNS、漫画など多岐に渡るテーマで、また、参加者の中にはゲームを研究されている方や出版に関する研究をされている方もおり、デジタル・ヒューマニティーズが扱うテーマの広さを知りました。
主催者側からの正確な情報ではないのですが、体感としては参加者が100名弱で、半数以上が海外から参加されていたのではないかと思います。
今回は企業としての参加はCOTENだけのようでしたが、COTENを知ってくださっている方もおり、温かく受け入れていただけたと感じています。
ポスター発表
今回私たちが発表した内容は6月に参加したScience of Scienceの内容をアップデートしたものになります。
内容
弊社は世界史データベースの開発を行っていますが、広報活動の一環としてのCOTEN RADIOというPodcastや、歴史や人文知に関連する研修事業を行っており、それらの事業の中で歴史調査を行っています。
COTENは、研究者が本や論文としてまとめた歴史的事実や解釈をもとに歴史調査を行い、Podcastや研修を制作しています。
その際のペインとして「文献の探索」が大きなウェイトを占めていました。
そのペインを解決する手段の一つとしてRAGを使い、抽象的な質問から文献を発見できる社内システムを開発しています。開発に当たっての著作権など懸念に関しては弁護士と相談しながら進めています。
他の発表について
今回発表されていた方々はメインの研究は人文学で、その研究を前に進めるために情報学を活用するというものが多かったように感じます。
先述の通り、COTENは研究者の研究成果を活用し、社会と人文知の架け橋となることを目指しています。
そのため、研究者の方々と我々では異なる目的や方法で技術を使っていることがわかり新鮮でした。
一方で、ニュースメディアのバイアスや傾向を調査する研究など、COTENでも似たような研究を行っているのもあり、COTENにとってアカデミアとの関係は今後も重要になっていくことを感じました。
また、AIの活用に関しては、弊社も含めまだまだ手探り状態であると感じました。
参加することで得たもの
デジタル・ヒューマニティーズ学会の参加は私自身は今回が初めてでした。
COTENと近しい学問領域の現在地や雰囲気を知ることで、今後の開発のヒントはもちろん、アカデミアに貢献できる可能性もあると感じました。
また、懇親会では普段なかなか知り合えないデジタル・ヒューマニティーズ分野の研究者の方々とお話をすることができました。
世界史データベースを発展させていくには、今後ますますアカデミアとの協業や連携が重要になっていくのではないかと考えているため、今回のような機会を継続的に活用していきたいと思います。
人文知は一見すると「何の役に立つのかわからない」もののように見えてしまいます。
しかし、もう一歩踏み込んで別の角度や視点から人文知に触れることで、我々の今日までに続く人類の営みから、今をより良く生きるヒントを得ることができます。
人文学の最前線に触れることで、私たちCOTENの存在意義を改めて実感できた2日間でした。
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