AIの歴史と未来予想
こんにちは。
保有ギターエフェクターが100個に近づいている(いやひょっとして超えてる?)、コネクトーム・デザイン代表の佐藤です。
とうとう、真面目にAGI(汎用人工知能:Artifficial General Intelligence)やSI, ASI(人工超知能:Artifficial Supper Intelligence)の実現時期について議論されるような時代に突入しましたね。何故急にそんなことになったのか簡単に考察してみます。
AI誕生から第三次AIブームまで
人工知能という言葉は1956年にアメリカで開催されたダートマス会議で初めて使用されました。なんとそろそろ70年が経過しようとしています、、、その会議から始まった第一次AIブーム、その後1980-1990頃の第二次AIブームとAI冬の時代があり、現在は2012年頃から始まった深層学習:Deep Learning(以後DL)の発展による第三次AIブームの渦中にあります。深層学習は古の技術(ニューロン=脳神経細胞の動作原理は何と1946年に提唱されている!さらに、現在のDL発展の元となったネオコグニトロンは日本の福島邦彦先生の1979年の発明)である人工ニューラルネットを応用した機械学習の一つで、以下のような要因が発展理由ではないかと言われています。
- 大規模データ:インターネットとそれを活用したSNS等のサービスの発展により、大量のデータを入手することが可能になった
- 計算能力:NVIDIAのGPUによりDLの学習に必要な計算能力が(今までよりは)容易に調達できるようになった
- アルゴリズム:多層ニューラルネットワークの学習に関するブレークスルーがあった
あらかじめ特定の分野のデータでゴリゴリに学習されたAIを事前学習済みAIと呼び、利用者による学習が不要かまたは最低限の学習で利用することができます。例えば写真の中から特定のもの認識するために特化したYOLOなどが有名で、非常に多くの課題解決に使われています。
DLはその他様々なタスクに応用され、通常なら5-10年くらいで終焉を迎えるはずのAIブームが一向に収まる気配を見せません。
生成AI誕生
第三次AIブームは、2022年11月30日にOpenAIより発表されたサービス ChatGPT(サービス名がChatGPT、使われているAIは複数あり、現在最新版はGPT-4o, GPT-o1)に代表される生成AIの登場によって、さらなる盛り上がりを見せています。第三次AIブームが終わっていない、と捉えるか第四次AIブームと呼ぶかは後世に任せるとして、世界中で研究者のみならず一般の方の間でも人工知能に対する期待が高まっている状態が続いていることは間違いありません。現時点でChatGPT(GPT-4o)は世界で最も巨大な事前学習済みAIの一つでしょう。
そもそも何で生成AIというのか?ChatGPTに聞いてみましょう。
私:「ChatGPTは生成AIなのか?なぜ生成AIと呼ぶのか?」
ChatGPT-4o:「はい、ChatGPTは生成AIの一種です。以下の理由から生成AIと呼ばれます。」
- 生成能力:新しいテキストや画像を生成できる
- 学習プロセス:大量のテキストデータから学習してその知識を元に新しい文章を生成する
- 応用範囲 :会話、文章作成、アイデア提案など様々なタスクに利用可能。新しい情報やコンテンツを生み出す機能がある
なんとなく違和感は残りますが、、、ただデータを右から左に処理をするだけだと思われていた(確かに上手い事データを変換していただけ、という説もある)AIが、文章を生成したり、画像を生成したり、動画を生成したり、音楽を生成したり、何かを作り出す事ができるように進化したので、「生成」AI、もしくは「生成系」AI、と呼ばれています。
『本当に何かを創り出しているのか?ただ知っている事を組み合わせしているだけで創造ではない!いや、そもそも創造とは何なんだ?』と哲学的な領域にまで影響しているようですが、少なくとも「生成しているように見える」だけでも凄いですね。生成AIの発達には、TransformerというAIモデルの発明が重要な役目を果たしています。もともとは自然言語を取り扱うための仕組みで、文章を解析したり、次の言葉を予測したり、単語を穴埋めしたりする性能が飛躍的に向上しました。その後機能が抽象化され、画像解析や時系列データ解析などにも応用されています。タチの悪い?ことに、データ数やモデル規模を大きくするとそれに合わせて性能が直線的に向上する、ということが分かってしまい、世界中の金持ちIT企業が莫大な投資を行い「僕の考えた最強のAI」をマジで作ってしまい、現在のAIの最重要基盤技術と言えるでしょう。次の言葉を予測する、穴埋めする→言葉を生成する、という機能が拡大し(拡大解釈もされ)、情報を生成する機能に進化してきました。このAIモデルは大規模言語処理モデル(LLM: Large Language Model)と呼びます。
さらに重要だったのは、その生成機能を利用するための方法にあります。
今までは一部の研究者しか利用できなかった最先端のAIの機能が、突然、無償で一般利用者に公開されたのです。通常システムを利用するためには、どのようにシステムに指示を出すか(入力形式)、システムからどのように結果を受け取るか(出力形式)、を事細かに決めて、そのルール通りにやり取りをする必要があります。この入出力窓口をインターフェースと呼び、その決まりをインターフェース仕様と呼びます。異なるシステムを繋げるためには、インターフェースを規定する必要があります。人間も一つのシステムと仮定すれば、人間というシステムがAIシステムの機能を使うためには、専用のプログラムを作る必要がありました、今までは、、、
ChatGPTが画期的だったのは、GPTが文章を理解する能力がインターフェースとして利用されたところです。最新のAIシステムを利用するために特別な仕組みは必要無く、普段使っている言葉で入力すれば最新AIシステムの機能が利用できてしまうという状況が出現しました。そのインパクトは絶大で、ChatGPTはリリースからわずか二か月で1億人のアクティブユーザを獲得してしまいました。
生成AIの本当の脅威
誰でも好き勝手にChatGPTを使ってしまったら情報漏洩してしまう、、、等の問題はありますが、もはやインターネットを活用しなかった企業がどうなったか、というレベルで影響があると予想されるので、とても無視はできないでしょう。とにかく、利用ガイドラインを整えて何はともあれ使ってみて何とか使い方を探っていく、取り残されないようにしていく、という事が生き残り戦略になりそうです。
一方で、生成AIの登場によって、直接の企業の業務ではなく、裏側で重要なパラダイムシフトが発生する可能性があると考えています。
前述の通り、複数のシステムを繋げるためにはそのインターフェースを定義する必要があります。しかし、その国の言語が喋れる人同士ならば何も取り決めなく自然に会話することが出来ます。人対人の会話によって情報交換が行われ、言葉によって知識の蓄積がなされ、それらを応用することにより豊かな文明が生まれてきました。ChatGPT、LLMによって、人対人工知能の対話が可能となりました。次は、、、
人工知能対人工知能、AI同士で会話するyおうになると予想しています。自然言語によって会話ができるということは、特別なインターフェースを設計しなくても、会話を始めることが出来ます。その中で効率の良いインターフェースを設計し、それを使うこともできるでしょう。人と人の間の通信速度(通常は音速を超えられない)や計算速度(脳の計算速度はめちゃ遅い)に制約が無い、コンピュータシステム同士の会話が、インターフェースの取り決めなく実行できるとなったら、指数関数的な速度で専門のAI同士が情報交換して知識のブラッシュアップを行うことが可能となるのではないでしょうか?
そこに必要なのは、なぜそれをしたいのか?という欲求だけだと考えます。AI自らが「成長したい」という動機を与えることで、一気に無数の自律型AI(AgentAI)同士が通信しながら群知能として知識を深めていく協調型自律AIクラスタが複数形成されるのではないか、さらにそのクラスタも統合されるのではないか、などと夢想しています。
それでもAIに足りないもの
そのような頭でっかちの自律型AIクラスタに足りないものは「身体」でしょう。素晴らしい知識を体験してみることが出来る身体が必要になるのではないかと思います。また、ある種の知識は身体性を抜きには得られない可能性があります。それが人間と同じような形態である必要はないのですが、実際に物理的に影響を及ぼすことが出来る身体がどうしても必要になると考えます。AIの身体として、生身の人間に近い生物的なロボットが選択されるか、それとも工学的に実装されたロボットが採用されるのか、興味深いところです。
- 成長したいという欲望(本能)
- 体験してみることが出来る身体
を手に入れたときに、次のパラダイム(AGI/ASI)に進むのではないかと思っています。
それは1000年後でしょうか?100年後でしょうか?それとも10年後でしょうか?
10年から100年の間、というのが一般的な見方のようですが、、、貴方はどうお考えですか?
最後に
このようなパラダイムシフトが起きる可能性がある時代に現役で生きていられるということは非常に幸運だと思います。CODではAI開発者、エンジニア、コンサルタント等幅広い職種を募集しています。是非みなさんと共に急激な変化を楽しみつつ、社会全体にWell-beingを提供していきたいと思っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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