AI時代を生き抜く新卒エンジニアの生きる道
こんにちは!
株式会社ココナラ 2025年新卒 マーケットプレイス開発部 / Web開発グループ / フロントエンド開発チームに所属している だいちゃん こと 立石大輝 です。
現在はフロントエンド開発だけでなく、バックエンド開発や技術広報にも幅広く携わっています。
こちらは株式会社ココナラ Advent Calendar 2025 18日目の記事です。
導入
近年の生成AIの進化は目覚ましく、エンジニアの開発プロセスも大きく変わってきています。コード生成、レビュー、ドキュメントの要約など、AIはもはや「便利なツール」ではなく「強力なパートナー」となりつつあります。
特に新卒・ジュニアエンジニアにとって、この変化は大きなチャンスであると同時に、知識が定着しない 「成長の機会損失」 という大きなリスクも伴います。AIが進化し続ける未来において、エンジニアとして価値を発揮し続けるためには、何を意識し、どのような行動を取るべきでしょうか?
本記事は、先日登壇したスライド 「AI時代を生き抜く 新卒エンジニアの生きる道」 の内容をベースに、AI時代を生き抜く新卒エンジニアのキャリアとマインドセットについて、ココナラでの経験も交えながら解説します。
以下が登壇した際のスライドです。記事と合わせてご覧ください。
対象読者
- AIを活用しながら、長く価値あるキャリアを築きたい新卒・ジュニアエンジニア
- AIが普及する環境での効果的なエンジニア育成に課題を感じているメンターやチームリーダー
- 技術の進化と自身のキャリア形成について改めて考えているすべての方
1. 新卒エンジニアが直面するAI時代の「不安」
AIの活用は開発速度を向上させますが、特にジュニア層にとって「AIに頼りすぎる」ことは知識の空洞化という弊害を生みます。この空洞化は、単なるスキル不足にとどまらず、後続の学習効率の低下や技術選択の幅の狭まりにもつながります。
AIが瞬時に答えを出す現代で、あなたは本当に「自分で考えて」いますか?
AIのコードをコピペして終わり、という日々に、危機感を覚える必要はありませんか?
🚨 AI時代におけるジュニアエンジニアが陥りがちな4つの問題
- 正誤判断ができない: AIの出力が、単に動くだけでなく、プロジェクトの文脈や技術的なベストプラクティスに 「最適」 であるかを判断できない。
- 影響範囲の理解不足: AIが修正したコードが、システム全体のどこに、どう影響するかという全体像が見えない。
- コードが拡張できない/保守性が低い: 設計思想を理解せずに使っているため、後々の機能追加やバグ改修が困難になる。
- 技術が知識として定着しない: 試行錯誤や原理の理解を伴わないため、技術が自分の血肉にならない。原理を理解しないままでは、応用が効かず、新しい技術への適応も遅れます。
2. AIが奪えない「人間の価値」と役割分担
AI時代を生き抜く鍵は、「AIが得意なこと」と「人間が担うべき本質的な価値」を明確に分けることです。私たちは、AIに 「How(手段)」 を任せ、人間は 「Why(目的)」 と 「責任」 に集中します。
変わるもの(AIに代替される技術領域:Howの実行)
AIは主に「How(手段)」に関わる定型的な作業を代替します。
- 定型的なコーディング(CRUD処理、パターン認識)
- 単純なテストコードの生成と実行
- 膨大なドキュメントやAPI仕様の一次情報収集・要約
変わらないもの(人間の本質的な技術的価値:Whyの定義と責任)
人間が集中すべきは「Why(目的)」と「責任」に関わる領域です。
-
設計思想の決定と責任:
- システムの長期的な方向性、拡張性、保守性に関わる深い構造設計への最終決定。
- パフォーマンス、コスト、セキュリティ、スケーラビリティなどの非機能要件における複雑なトレードオフの最終決定。
-
目的の「Why」の定義:
- 依頼されたタスクの背景にあるビジネスの目的を問い、「なぜこの機能を作るのか」「なぜこの技術を選ぶのか」という本当に解決すべき課題の定義。
-
技術的共感・調整:
- 異なる技術スタックを持つチーム間や、ビジネスサイドとの仕様調整を行うコミュニケーション能力。
3. AI時代を生き抜くための3つの行動指針
この変化を成長の機会に変えるため、新卒エンジニアが今すぐ始めるべき具体的な行動を3つ紹介します。
3-1. 🚀 基礎力の徹底強化
AIの出力を評価し、システムの「責任」を負うための土台を築きます。これは、AIの出すコードがなぜ「最適」なのか、あるいは「最適でない」のかを瞬時に判断できる「技術の筋肉」です。
-
CS(コンピュータサイエンス)の基礎を徹底:
- アルゴリズム・データ構造は、AIが生成したロジックの効率性を評価する基準となります。
- ネットワークやOSなど、アプリケーションが動作する 「基盤の本質」 を理解し、AIの提案のブラックボックス化を防ぐ。
-
より良いアーキテクチャ設計の知識:
- デザインパターン、SOLID原則といった普遍的な知識を学び、未来を見据えた設計思想を自ら担保できる力を養います。
3-2. 🤖 AIを「24時間質問できる先輩」にする
AIを「単なるコードジェネレーター」ではなく、「深い知識を引き出すための最高のOJTパートナー」として活用します。
-
「なぜ?」の連鎖学習(知識の血肉化):
- AIが生成したコードに対し、必ず「なぜこの実装を選んだの?」「他と比較してメリットは?」と質問する。
- 【重要】 生成されたコードを動作確認だけで終わらせず、必ずコードを一行ずつ追って原理を理解し、自分の言葉で言語化する。
-
プロンプトエンジニアリングの習得(思考の具体化と効率化):
- 単なる質問ではなく、「仕様」としてAIに仕事を依頼するスキルを磨きます。自分の頭の中の思考プロセスをプロンプトとして外部化することで、脳のリソースを「検証」と「本質的な課題解決」に集中させます。
-
AIの得意分野への積極委譲:
- 定型的なタスク(テストコード、簡単なデータ変換、ドキュメントの叩き台)は AIに任せ、自分の脳のリソースを 「思考」と「検証」に集中 させます。
このテーマについては、当社エンジニアのいっちーさんが書かれた記事も合わせてご覧ください。
3-3. 🧠 人間ならではのスキルと視点の獲得
AIには代替できない、課題発見力と調整力を磨きます。
-
「Why」を深く考える習慣(課題発見力の源泉):
- 依頼されたタスクの背景にあるビジネスの目的を常に問い、本当に解決すべき課題を自ら発見する。AIは「解決策」を生む道具であり、「解決すべき課題」を見つけるのは人間の役割です。
-
コミュニケーション能力(技術的な共感と調整力):
- 多様なステークホルダーの間に立ち、技術的な制約と利害を調整する力を高めます。非言語的な情報や文脈を理解し、言葉の裏にある真のニーズを捉える力は、AIには代替できません。
まとめ
AI時代は、私たちエンジニアが真に 「人間ならではの価値」 に集中できる、創造性に満ちた素晴らしい時代です。未来のキャリアを確かなものにするために、以下の3つの行動指針を実践していきましょう。
- 徹底的な基礎力の強化
- AIを最高の学習パートナーとする
- 「Why」を定義する人間ならではの視点と責任を負う
これらの行動を通じて、AIを使いこなし、システムの「設計思想」と「最終的な責任」を担える、真に価値あるエンジニアへと成長できるはずです。
新卒エンジニアへのエール
AI時代は「チャンスの時代」 です。
不安を 「成長のドライバー」 に変えましょう。
AIが単純作業を代替してくれるからこそ、皆さんは新卒のうちから、より創造的で、より本質的な「人間だからこそできる仕事」に挑戦できます。
変化を恐れず、基礎を学び続け、自分だけの「生きる道」を切り拓いていってください!
明日はやぎさんによる「フロントエンド分割やめました」です。
ココナラでは、エンジニアを積極的に採用しています!
採用情報はこちら。
カジュアル面談希望の方はこちら。
Discussion