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【2025年最新】クローズドテストとは?Google Play・App Store実施方法完全ガイド

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「クローズドテスト」という言葉を聞いたことはあるけれど、実際にどういうものなのか、なぜ必要なのか、どうやって実施するのか...よくわからないという方も多いのではないでしょうか。

実際に私も初めてアプリをリリースしようとしたとき、Google Play Consoleで「クローズドテストが必要です」と表示されて、何から始めればいいのか途方に暮れた経験があります。

この記事では、クローズドテストの基本から実践的な実施方法まで、アプリ開発の現場で実際に何度もテストを経験してきた視点から、わかりやすく解説していきます。

クローズドテストとは?

クローズドテストの定義

クローズドテストとは、アプリを一般公開する前に、限定された特定のユーザーだけに配信してテストを実施する手法のことです。

英語では「Closed Testing」と呼ばれ、その名の通り「閉じられたテスト環境」を意味します。一般のユーザーには公開せず、招待されたテスターだけがアプリをダウンロードして試用できる仕組みです。

オープンテストとの違い

よく混同されるのが「オープンテスト」との違いです:

項目 クローズドテスト オープンテスト
参加者 招待された人のみ 誰でも参加可能
人数制限 あり(最大2千人) なし
公開範囲 非公開 ストアで公開
フィードバック 詳細なフィードバック期待 一般的なレビュー
用途 本格的な品質確認 大規模テスト・ソフトローンチ

クローズドテストは「質を重視した限定的なテスト」、オープンテストは「規模を重視した公開前テスト」と考えるとわかりやすいでしょう。

内部テストとの違い

もう一つ、「内部テスト」という段階もあります:

  • 内部テスト:開発チーム内での動作確認(数人〜100人程度)
  • クローズドテスト:限定的なユーザーテスト(数十人〜2千人)
  • オープンテスト:大規模な一般ユーザーテスト(人数制限なし)
  • 本番公開:正式リリース

このように、段階的にテスト範囲を広げていくのが理想的なアプリリリースの流れです。

なぜクローズドテストが必要なのか?

Google Playの厳格な要件(2023年11月以降)

Google Playでは、2023年11月以降、新規アプリの公開に際してクローズドテストの実施が事実上必須となりました。

具体的な要件:

  • テスト期間:14日間以上の継続的なテスト
  • テスター数:12人以上のアクティブなテスター
  • フィードバック:テストトラックでのレビューや評価

この要件を満たさないと、本番環境へのアクセス申請が通らないケースが増えています。

なぜGoogleはこんなに厳しくしたのか?

背景には、以下のような理由があります:

1. アプリの品質向上
低品質なアプリや不具合の多いアプリがストアに溢れることを防ぐため

2. ユーザー体験の保護
ダウンロード後すぐにクラッシュするようなアプリでユーザーを失望させないため

3. ストアの信頼性確保
Google Playというプラットフォーム全体の評判を守るため

4. 悪質なアプリの排除
十分なテストを経ていない詐欺的なアプリや危険なアプリを排除するため

開発者にとっては負担が増えましたが、長期的にはエコシステム全体の健全性につながる施策と言えます。

App Store(iOS)での扱い

Appleの App Store では、Google Playほど厳格な「◯日間・◯人以上」という明確な数値要件はありませんが、TestFlightを使ったベータテストが一般的に推奨されています。

特に:

  • 初回リリース時は事実上ベータテストが期待される
  • アップデート審査での不具合があると、テスト不足を指摘されることも
  • 質の高いアプリほどベータテストを実施している傾向

クローズドテストのメリット・デメリット

メリット

1. 本番環境での問題を事前に発見できる

開発環境では起こらなかった問題が、実際のユーザー環境で発生することは珍しくありません。

  • 特定の機種でのみ発生する不具合
  • ネットワーク環境による問題
  • OSバージョンの違いによる挙動の差

これらを事前に発見・修正できます。

2. ユーザー目線のフィードバックが得られる

開発者は自分のアプリを熟知しているため、「わかりにくい部分」に気づきにくいものです。

実際のユーザーからのフィードバックで:

  • UIの改善点が明確になる
  • 想定外の使い方が発見できる
  • 本当に必要な機能がわかる

3. 段階的なリリースでリスクを軽減

いきなり全世界に公開するのではなく、小規模から始められます:

  • 問題があっても影響範囲が限定的
  • 修正してから本番公開できる
  • レビュー評価が下がるリスクを回避

4. Google Play・App Storeの審査に通りやすくなる

十分なテストを経たアプリは:

  • 審査での指摘事項が減る
  • リジェクトのリスクが下がる
  • スムーズに公開できる

デメリット

1. テスターの確保が大変

最大の課題はこれです。特に個人開発者や小規模チームにとって:

  • 12人以上のテスターを見つけるのが困難
  • 継続的に参加してもらうのが難しい
  • フィードバックの質にばらつきがある

2. 時間とコストがかかる

  • 最低でも14日間のテスト期間が必要
  • テスター向けの資料作成
  • フィードバックへの対応
  • 修正後の再テスト

これらの作業に相当な時間を要します。

3. テスト管理の手間

  • テスターの招待と管理
  • 進捗の確認
  • フィードバックの整理
  • バージョン管理

初めての場合は特に、管理が煩雑に感じるかもしれません。

Google Playでのクローズドテスト実施方法

ステップ1:Google Play Consoleでの設定

1. テストトラックの作成

Google Play Consoleにログインして:

  1. 対象アプリを選択
  2. 左メニューから「テストとリリース」→「テスト」→「クローズドテスト」を選択
  3. 「トラックを管理」をクリック
  4. 「新しいリリースを作成」をクリック

2. テスターリストの作成

テスターを招待する方法は2つ:

方法A:メールアドレスで直接招待

  • テスターのGmailアドレスを個別に登録
  • 小規模なテストに適している
  • 管理がシンプル

方法B:Googleグループを利用

  • 事前にGoogleグループを作成
  • グループにテスターを追加
  • 大規模なテストや継続的なテストに適している

ステップ2:アプリのビルドとアップロード

AABファイルの準備

Google PlayではAAB(Android App Bundle)形式が必須です:

# Android Studioでのビルド
Build → Generate Signed Bundle or APKs → Android App Bundle

重要なポイント:

  • APKではなくAABであること
  • 署名が正しく行われていること
  • バージョンコードが前回より大きいこと

アップロード

  1. 作成したリリースにAABファイルをアップロード
  2. リリースノートを記入(テスターへの説明)
  3. 「保存」→「公開の概要」より審査に送信

ステップ3:テスターへの案内

招待リンクの共有

  1. 左メニューから「テストとリリース」→「テスト」→「クローズドテスト」を選択
  2. 「トラックを管理」をクリック
  3. 「テスター数」タブをクリック
  4. 「Android で参加」の「リンクをコピー」をクリック
  5. コピーしたリンクをテスターに共有する
# コピーしたリンクの例
https://play.google.com/store/apps/details?id=〇〇〇

テスターへの説明事項

  • 招待されたGoogleアカウントでアクセスする必要がある
  • 招待リンクより参加する必要がある
  • フィードバックの方法

ステップ4:テスト実施とフィードバック収集

テスト期間中にやるべきこと

  1. 定期的な進捗確認

    • Play Consoleで統計情報をチェック
    • 何人がインストールしたか
    • クラッシュレポートの確認
  2. フィードバックの収集

    • Google Playのレビュー機能
    • Google Formsでのアンケート
    • チャットツール(Slack、Discordなど)での直接的なやり取り
  3. 問題への対応

    • バグ修正
    • UIの改善
    • 新しいバージョンのアップロード

ステップ5:製品版への移行

14日間以上、12人以上の要件を満たしたら:

  1. 本番環境へのアクセス申請を実施
  2. 製品版より新しいリリースを作成して審査に提出

クローズドテストをしっかり実施したアプリは、審査もスムーズに通過する傾向があります。

App Store(iOS)でのクローズドテスト実施方法

TestFlightの活用

iOSアプリの場合は、TestFlightというApple公式のベータテストツールを使います。

基本的な流れ

1. App Store Connectでの設定

  1. App Store Connectにログイン
  2. 対象アプリを選択
  3. 「TestFlight」タブを開く

2. ビルドのアップロード

Xcodeから直接アップロード:

Product → Archive → Distribute App → TestFlight

3. テスターの招待

TestFlightでは2種類のテスターグループがあります:

内部テスター

  • App Store Connectのチームメンバー
  • 最大100人
  • 審査不要で即座にテスト可能

外部テスター

  • 誰でも招待可能
  • 最大10,000人
  • Appleの審査が必要(通常1-2日)

4. テスターへの案内

  • TestFlightアプリのインストールをテスターに依頼
  • 招待コードまたはリンクを共有
  • TestFlightアプリ内でアプリをダウンロード

Google PlayとTestFlightの主な違い

項目 Google Play TestFlight (iOS)
テスター数上限 数千人 10,000人
テスト期間制限 なし 90日間
審査 あり あり(外部テスターの場合)
フィードバック方法 レビュー・直接連絡 アプリ内フィードバック・クラッシュレポート

クローズドテストで確認すべきポイント

1. 機能面の確認

基本機能

  • すべての主要機能が正常に動作するか
  • ボタンやリンクが期待通りに機能するか
  • データの保存・読み込みが正しく行われるか

エッジケース

  • ネットワークが切れた場合の挙動
  • 想定外の入力への対応
  • メモリ不足時の動作

2. パフォーマンス

  • アプリの起動速度
  • 画面遷移のスムーズさ
  • バッテリー消費量
  • メモリ使用量

3. UI/UX

  • 直感的に操作できるか
  • 文言はわかりやすいか
  • デザインは適切か
  • アクセシビリティへの配慮

4. デバイス互換性

  • 様々な画面サイズでの表示
  • 古いOSバージョンでの動作
  • 異なるメーカーの端末での挙動

5. セキュリティ・プライバシー

  • 個人情報の適切な取り扱い
  • 通信の暗号化
  • 権限要求の適切性

よくある問題と解決方法

問題1:テスターが見つからない・集まらない

これが最も多い悩みです。

実際に私も最初のアプリでは、知人に頼んでなんとか8人集めるのがやっとでした。残りの4人を探すのに1ヶ月以上かかってしまった経験があります。

解決策の例

A. 開発者コミュニティの活用

  • TwitterやX での募集
  • Discord・Slackの開発者コミュニティ
  • Reddit の r/androiddev などのフォーラム

B. 相互テストの提案

  • 他の開発者とお互いにテスターになる
  • Win-Winの関係構築

C. クラウドソーシングの活用

  • テストを外注する方法
  • 有料だが確実にテスターを確保できる

D. 専門サービスの利用

個人開発者や小規模チームにとって、12人以上のテスターを14日間継続的に確保するのは、正直かなりハードルが高い作業です。

そんな時、クローズドテスト代行サービスという選択肢もあります。現役の開発者が複数のテスターアカウントを使って、Google Playの要件を確実に満たしてくれるサービスです。

Google Playクローズドテスト代行サービスでは、現役開発者が12人分以上のテスターで14日間のテストを実施してくれます。実際に利用した開発者の評価を見ると、要件クリアの確実性と、開発者目線での的確なフィードバックが評価されているようです。

テスター確保に時間をかけすぎて開発が進まないよりは、こうしたサービスを活用して効率的に進めるのも賢い選択だと思います。

問題2:テスターが途中で脱落してしまう

原因

  • テストが面倒
  • フィードバック方法がわからない
  • モチベーションの低下

解決策

A. わかりやすいガイドを用意

# テスト手順書

## 1. アプリのインストール
[招待リンク] からアクセスして...

## 2. 確認してほしい機能
- ログイン機能
- メイン画面の操作
- データの保存

## 3. フィードバック方法
Google Playのレビューまたは...

B. 定期的なコミュニケーション

  • 週1-2回の進捗確認
  • 質問への迅速な回答
  • 感謝の気持ちを伝える

C. インセンティブの提供

  • Amazonギフト券などの謝礼
  • アプリの永久無料権
  • クレジットへの名前掲載

問題3:フィードバックの質が低い

「良かったです」「問題ありませんでした」だけでは、改善につながりません。

解決策

A. 具体的な質問を用意

【フィードバックフォーム例】

1. アプリの第一印象は?(5段階評価)
2. 最も使いやすかった機能は?
3. わかりにくかった部分は?
4. 追加してほしい機能は?
5. 不具合や気になった点は?

B. シナリオを提供

「こういう使い方をしてみてください」という具体的なシナリオを提示すると、より実用的なフィードバックが得られます。

問題4:審査に通らない

クローズドテストを実施したのに、本番申請が却下されることもあります。

よくある理由

  • テスト期間が実質14日に満たない
  • アクティブなテスターが12人に達していない
  • テストで見つかった問題が修正されていない

対策

  • 確実かつ、連続した14日間のテスト期間を設定
  • テスターには毎日、必ずテストに参加してもらう
  • すべてのフィードバックに対応する

クローズドテスト成功のチェックリスト

準備段階

  • テスト対象機能のリストアップ
  • テスター向けガイドの作成
  • フィードバック収集方法の決定
  • テスターの確保(12人以上)
  • テスト環境の構築(Play Console/TestFlight)
  • 招待リンクの共有

テスト実施中

  • テスターの参加確認
  • 定期的な進捗モニタリング
  • フィードバックの記録と整理
  • 発見された問題への対応
  • 必要に応じた修正版のリリース

テスト完了後

  • すべてのフィードバックの確認
  • 重要な問題の修正完了
  • テスターへの感謝の表明
  • 本番申請の準備
  • ストア掲載情報の最終確認

より効率的なテスト実施のために

テスト自動化との組み合わせ

クローズドテストは「人間によるテスト」ですが、以下のような自動テストと組み合わせるとより効果的です:

単体テスト(Unit Test)

  • 個々の機能の動作確認
  • リグレッション防止

UIテスト

  • Espresso(Android)やXCTest(iOS)による自動操作テスト
  • 主要な操作フローの確認

継続的インテグレーション(CI)

  • GitHubActionsやCircleCIでの自動ビルド・テスト
  • コードの品質維持

段階的なロールアウト戦略

クローズドテスト → 本番公開の間に、さらに段階を設けるのも有効です:

  1. クローズドテスト(12人〜数十人)
  2. オープンテスト(数百人〜数千人)※任意
  3. 段階的ロールアウト(10%→50%→100%)
  4. 全体公開

このアプローチなら、より大きな問題を早期に発見できます。

まとめ:クローズドテストは「保険」であり「投資」

クローズドテストは確かに手間がかかります。14日間のテスト期間、12人のテスター確保、フィードバックへの対応...すべてに時間とエネルギーが必要です。

でも、これは**アプリの品質を保証する「保険」であり、将来への「投資」**と言えます。

クローズドテストをしっかり実施すると

  • 公開後の低評価レビューを防げる
  • ユーザーからの信頼を獲得できる
  • サポート対応の負担が減る
  • 長期的にユーザーが定着する

逆に、テストを疎かにすると:

  • 公開直後に星1レビューの嵐
  • アプリのアンインストール率が高い
  • 評価の回復に長い時間がかかる

最初は大変ですが、必ず報われます。

テスター確保で悩んでいる方は、この記事でクローズドテストの基礎を、こちらの記事で具体的な突破方法を詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

また、どうしてもテスター確保が難しい場合は、専門サービスの活用も選択肢の一つです。自分に合った方法で、確実にクローズドテストを成功させましょう。

皆さんのアプリが無事にリリースされ、多くのユーザーに使ってもらえることを願っています。

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