Androidアプリのクローズドテストとは?実際に使ってわかった活用方法
Google Play Consoleでアプリを配信する際に、「クローズドテスト」という機能があることをご存知でしょうか。名前は聞いたことがあるけれど、実際にどう使えばいいのかわからない、という方も多いのではないでしょうか。
今回は、実際にクローズドテストを何度も利用してきた経験から、その仕組みや活用方法について詳しく解説していきます。
そもそもクローズドテストって何?
クローズドテストは、簡単に言うと**「限られた人だけがアプリをダウンロード・テストできる仕組み」**です。
通常のアプリ配信では、Google Playストアで公開すると世界中の誰でもダウンロードできますよね。でも開発中のアプリや、まだ完成していないアプリを「特定の人だけに試してもらいたい」という場面があります。そんなときに使うのがクローズドテストです。
なぜクローズドテストが必要なの?
アプリ開発では、「作って終わり」ではありません。実際にユーザーに使ってもらって初めて気づく問題がたくさんあります。
よくある問題の例
- 自分では気づかなかったバグ
- 操作がわかりにくい部分
- 特定の機種でだけ起こる不具合
- UI(ユーザーインターフェース)の使いづらさ
これらの問題を一般公開前に発見・修正できるのがクローズドテストの最大のメリットです。
公開後にバグが見つかって星1レビューが大量についてしまったら...考えただけでも恐ろしいですよね。
Google Play Consoleでのテストの種類
Google Play Consoleでは、実は3種類のテストが用意されています。
内部テスト
- 対象者:開発チームなど、ごく限られた人(最大100人)
- 審査:なし(即座に配信開始)
- 用途:開発初期段階での動作確認
- 公開範囲:指定したテスターのみ
クローズドテスト
- 対象者:特定のテスターグループ(最大2,000人)
- 審査:あり(通常数時間〜1日程度)
- 用途:本格的なテスト実施
- 公開範囲:招待されたテスターのみ
オープンテスト
- 対象者:一般ユーザー(人数制限なし)
- 審査:あり(通常数時間〜1日程度)
- 用途:大規模テスト、一般公開前の最終確認
- 公開範囲:Google Playストアで誰でも参加可能
内部テスト・・・ご自身や同じチーム、身内でのテスト
クローズドテスト・・・テストの実施を依頼された方が参加するテスト
オープンテスト・・・不特定多数に一般公開に近い形でのテスト
という段階的な使い分けができます。
テストの段階的な進め方
実際のアプリ開発では、以下のような段階的なテスト進行がおすすめです:
- 内部テスト → 基本動作の確認
- クローズドテスト → 本格的なテスト実施
- オープンテスト → 大規模テスト(必要に応じて)
- 本番公開 → 一般配信
クローズドテストについて
テスターの招待について
テスターを招待する方法は主に2つあります:
Gmailアドレスで招待
一番シンプルな方法です。テスターのGoogleアカウントのGmailアドレスを登録します。
Googleグループを利用
大人数のテスターがいる場合に便利です。ただし、事前にGoogleグループを作成しておく必要があります。
ビルドファイルのアップロード
APKファイルではなく、AABファイルをアップロードする必要があります。
テスター側の流れ
テスターがテストに参加する際の流れは下記となります。
- リンクを受け取る
- Google Playのテストページにアクセス
- アプリをダウンロード
ここで重要なのは、テスター側は招待されたメールアドレスのGoogleアカウントでログインしている必要があるということです。
実際にクローズドテストを使ってみて感じたメリット・デメリット
メリット
フィードバックの質が高い
知り合いや協力者からのテストなので、具体的で建設的な意見がもらえます。
段階的なリリースが可能
いきなり全世界公開するのではなく、小さな範囲から徐々に広げていけます。
Google Playの配信システムを使える
自前でアプリを配布する必要がなく、アップデートも簡単です。
デメリット
テスターの確保が大変
身近な人だけだと、テスター数が限られてしまいます。
フィードバックが偏る可能性
テスターの属性が似ていると、特定の使用パターンでしかテストされません。
設定がやや複雑
初回の設定時は、少し戸惑うかもしれません。
効果的なクローズドテストの進め方
テスターの選び方
理想的なのは、実際のユーザー層に近い人たちをテスターにすることです。
例えば、料理レシピアプリなら:
- 日常的に料理をする人
- スマホアプリをよく使う人
- 年齢層もターゲットに合わせる
フィードバックの収集方法
テスターからのフィードバック収集には、以下のような方法があります:
Google Playのレビュー機能
レビューが書けるので、自然な形でフィードバックがもらえます。
このレビューは一般のユーザには公開されないレビューとなっています。
※Googleはこのフィードバックを推奨しています。
専用のフィードバックフォーム
Google Formsなどを使って、より詳細な意見を収集します。
直接のやり取り
LINEやSlack、X、インスタなどで、相互にやり取りします。
テスト期間の目安
一般的には1〜2週間程度のテスト期間を設けることが多いです。あまり短いとテスターが十分に触れませんし、長すぎると飽きられてしまいます。
よくあるトラブルと解決方法
テスターがアプリを見つけられない
解決方法:テスタータブで該当のテスターが追加されており、リンクをテスターに共有しているか確認してください。
アップデートが反映されない
原因:Play Consoleでの処理が完了していない、もしくは、「管理対象の公開がオン」になっていて公開が保留されている。
解決方法:審査完了まで待つ(通常数時間)。もしくは「公開の概要」ページにて公開が保留となっているものを公開にする。
本番公開前のチェックポイント
以下の点を確認してから本番公開に移りましょう:
- 主要な機能がすべて動作するか
- クラッシュやフリーズが発生しないか
- UI/UXに問題はないか
- パフォーマンス(動作速度)は十分か
- 様々な画面サイズで正常に表示されるか
より本格的なテストを検討している方や、クローズドテストの実施で困っている方へ
個人開発や小規模チームでは、十分な数のテスターを確保するのが難しい場合があります。特に、Google Playのポリシー要件である「14日間以上のテスト期間」と「12人以上のテスター」を満たすのは、なかなか大変な作業です。
実際に私もアプリ開発を始めた頃は、友人や知人に頼んでテスターになってもらっていましたが、継続的にフィードバックをもらうのは想像以上に難しいものでした。
そんな課題を解決するために、最近ではクローズドテストの代行サービスも存在しています。現役の開発者が複数のテスターアカウントを使って14日間のテスト要件を満たしてくれるサービスで、Google Playの審査要件を確実にクリアできるのが魅力です。
テスター確保に悩んでいる開発者の方は、こうした専門サービスの活用も検討してみると良いかもしれません。
Google Playクローズドテスト代行サービスでは、現役開発者が12人分以上のテスターで14日間のテストを実施してくれます。Google Playの要件を確実に満たせるだけでなく、的確なフィードバックももらえるので、一人で悩むよりもずっと効率的です。
まとめ
テストは、アプリの品質向上に欠かせない作業です。
質の高いアプリを配信してほしいという思いからGoogleはクローズドテストの実施を必須にしているのだと思います。
12人以上で14日間のテスト実施は、個人開発者や小規模チームにとっては、厳しい条件となっておりますが、上記で説明したように代行サービスもあるので、
使ってみるとアプリの質も上がって、使ってもらえるアプリになると思います。
これからアプリをリリース予定の方は、テストを活用して、より良いアプリを世に送り出していただければと思います。テスターの方々に感謝の気持ちを忘れずに、協力しながらアプリを作り上げていきましょう。
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