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TerraformとBicep: 7つの観点から考えるクラウドIaCツール選定ガイド【筋肉が全てを解決する?】

2025/02/25に公開

はじめに

「インフラをコードで管理したい」「手作業を減らして自動化したい」「品質・再現性を高めたい」———————————こんな(淡い)願いを持つエンジニアやIT部門が増え続けています。Infrastructure as Code(IaC)は、もはや選択肢ではなく必須のプラクティスになりつつあります。特にAzure環境では、TerraformBicepという2つの強力なツールがしのぎを削っています。

IaCツールの選択は想像以上に重要です。一度導入したツールを切り替えるのは大変で、最初の選択が長期にわたって影響します。(朝令暮改なんて易易とは・・・)

この記事では、7つの重要な観点からTerraformとBicepを徹底比較し、あなたの環境に最適なツール選びの指針になればと思います。「絶対的な正解」はなく、環境やニーズによって最適解は変わるという前提に立ち、実践的な内容になるようまとめてみました。

TerraformとBicepの基本—それぞれの立ち位置

Terraformとは

HashiCorp社が手がけるマルチクラウド対応のIaCツールです。2014年の登場以来、業界標準として確固たる地位を築いてきました。

Terraformの「一度書けば、どこでも使える」という哲学は多くのエンジニアに支持されています。AWS、GCP、Azureなど複数のクラウド環境を単一言語で操れる強力さは、多くの組織にとって魅力的なポイントです。

Terraformの特徴:

  • 独自の宣言型言語HCLでリソースを定義
  • .tfstateファイルで環境の状態を追跡管理
  • planapplyの2ステップデプロイでミスを防止
  • 1,000種類以上のリソースタイプに対応する拡張性

Bicepとは

Microsoft社が2021年に本格リリースしたAzure専用のIaCツールです。「ARMテンプレートの複雑さをどうにかしたい」という現場の声から生まれました。

JSONの冗長性から解放され、シンプルで読みやすいコードでAzureリソースを定義できることが大きな特徴です。ARMテンプレートよりも格段に扱いやすく設計されています。

Bicepの特徴:

  • ARMテンプレートより圧倒的に読みやすい構文設計
  • 状態ファイル不要で運用がシンプル
  • Azure CLIやPowerShellから直感的に扱える
  • Azureの新機能に即対応(Day 0サポート)←これは個人的に結構重要

7つの重要比較ポイント

1. 対象環境と適合性

Terraform Bicep
概要 - AWS/GCP/Azure/その他のマルチクラウド対応
- 100以上のプロバイダで1,000種類以上のリソース管理
- 新サービス対応にタイムラグがある場合も
- Azure専用
- Azureの全サービスをDay 0サポート
- 新機能・プレビュー機能にも即時対応
- Azureポータルとの連携がスムーズ
適合性 マルチクラウド・ハイブリッド環境に強い Azureに完全集中するなら最適

選定の重要ポイント:
「マルチクラウド」という言葉を聞くと「将来のため」に採用する組織が多いですが、実際に複数クラウドを本格的に活用している組織でなければ、その恩恵を感じにくいのも事実です。「将来のマルチクラウド」だけを理由にTerraformを選ぶと、Bicepのシンプルさという目先のメリットを犠牲にしがちです。

一方、「Azure一本」で行く明確な戦略を持つ組織では、Bicepの密接な統合によって開発チームの生産性が向上するケースが多いです。特に「Azureの最新機能を素早く活用したい」という要望が強いなら、Bicepの即時対応は大きな価値となります。

2. インフラ管理の規模

規模/特徴 Terraform Bicep
小規模 - terraform initやリモート状態管理の設定がやや手間
- 個人の検証やサンドボックス環境には少し大げさに感じることも
- az bicep buildaz deployment group createでサクッとデプロイ
- セットアップがミニマルでスタートが速い
中規模 - モジュール化やワークスペースで複数環境を整理
- コミュニティモジュールの再利用で車輪の再発明を避けられる
- パラメータファイル分離やモジュール機能でコード構造化
- チーム開発にも対応可能な柔軟性
大規模 - エンタープライズ環境での実績が豊富
- Terraform Cloud/Enterpriseで状態管理・権限・承認フローを強化
- 大規模組織の標準IaCプラットフォームとして定着例が多数
- エンタープライズ導入事例はまだ発展途上
- Azure Landing ZoneやPolicyとの緊密な連携でガバナンス可能
- 状態管理が不要な反面、大規模運用では一貫性維持に工夫が必要

規模に関する考察:
多くの組織では、Terraformを導入する際に学習曲線の高さに戸惑うことがあります。「状態ファイルって何?」「なぜリモートバックエンドが必要?」といった疑問が生じることは珍しくありません。

しかし環境が拡大するにつれ、Terraformの「モジュール化」と「状態管理」の価値が明確になることが多いようです。特に本番・ステージング・開発とほぼ同じ構成を維持するマルチ環境では、Terraformの一貫性が大きな武器になります。

一方、小規模プロジェクトなどでは、セットアップの手軽さと「Azureとの一体感」を理由にBicepを選択する例も多く見られます。結局、組織の成長フェーズに合わせた選択が成功への近道と言えるでしょう。

3. スキルセットと学習コスト

Terraform Bicep
学習曲線 - HCL構文とTerraformの概念(状態、プロバイダなど)に慣れる必要
- 状態管理やバックエンドの仕組みを理解するまでが大変
- Azure特化でシンプルな文法
- VSCodeの強力な補完機能
- ARMテンプレート経験者なら移行が簡単
既存スキル - マルチクラウド経験やTerraform知識があれば継続が自然
- モジュール設計の知見が豊富
- AzureやPowerShellに精通したチームなら親和性高い
- ARM JSONからの解放感が大きい

学習に関する一般的な傾向:
既存スキルを最大限に活かすアプローチが最も効率的だという点は多くの教育担当者が指摘しています。

例えば、JavaScriptやTypeScriptに馴染んだフロントエンド開発者には、Bicepの構文が直感的に理解しやすい傾向があります。「これって関数みたいなものだよね」「オブジェクト構造と似てる」といった類推が効くからです。

一方、Pythonなど他の言語でIaCを経験したエンジニアには、Terraformの概念も理解しやすいとされています。どちらのツールも、最初の一歩として「小さな検証環境を作ってみる」という具体的なゴールを設定すると挫折しにくいようです。定期的なハンズオン形式の学習が効果的という意見も多いです。

4. 運用方針(CI/CDや状態管理など)

Terraform Bicep
状態管理 - .tfstateファイルでリソース属性や依存関係を追跡
- リモートバックエンド(Azure Storage/S3など)で共同作業
- 明示的な状態ファイルなし
- Azure上の実リソースが「信頼できる情報源」
変更検知 - planコマンドで変更予定を事前確認
- コードにないリソースを確実に削除可能
- 増分デプロイがデフォルト(リソース追加・変更のみ)
- 完全モード使用で不要リソースの削除も可能だが慎重に
CI/CD連携 - GitHub/Azure DevOpsなどでパイプライン構築
- PR時にplanを実行し、マージ後にapplyする流れが一般的
- Azure DevOpsやGitHub Actionsからaz deployment
- What-Ifやテスト機能でCI/CDに安全性確保
手動変更への対応 - ポータルでの手動変更は避けるべき
- 発生した場合はterraform importで取り込み
- 手動変更が許容される柔軟性
- ただし次回デプロイでコードが優先され上書きリスクあり
バージョン管理 - コード+状態ファイルの組み合わせが完全な情報
- Git履歴から過去の状態に戻すことが理論上可能
- Azureポータルにデプロイ履歴が残りトレーサビリティあり
- Git管理だけでは完全な状態復元に限界あり

効果的なデプロイフロー:
どちらのツールにも共通して言えることは、「GitOpsアプローチが効果的」という点です。一般的に推奨されるパターンは次のようなものです:

  1. 開発者がコードを変更 → PRを作成
  2. CI/CDが自動でテスト・検証 → Terraformならplan、Bicepならwhat-ifで変更内容を可視化
  3. レビューと承認 → プルリクコメントで議論し、承認者が確認
  4. 本番適用 → マージトリガーで自動デプロイ、または手動承認ステップ後に適用

ただ、この流れを実現する際の難易度は異なります。Terraformは状態管理の複雑さがある一方、変更差分の正確な把握に優れています。Bicepはシンプルな反面、「すべての変更が適切に検知されているか」という点で懸念が生じることがあります。

Terraformで特に注意すべきは「状態ファイルのセキュリティと整合性」です。破損時の復旧が困難なため、リモートバックエンドのアクセス制御とバージョン管理が推奨されています。Bicepでは「手動変更の禁止」をチーム内で徹底するルール作りが重要とされています。

5. セキュリティと拡張性

Terraform Bicep
ポリシー管理 - Azure Policyはデプロイ時に反映(エラーとなる)
- Terraform Enterprise/Cloudなら事前検証も可能(Sentinel)
- tfsecなどの静的解析ツールでセキュリティ検証
- Azure Policyとのネイティブ統合
- デプロイ前にポリシー準拠を確認可能
- 自動修復機能との組み合わせも
拡張性 - 多数のプロバイダ対応(SaaS連携やオンプレ管理も)
- コミュニティによる膨大なモジュール資産
- Azureリソースに特化した最適設計
- 「Bicep Extensibility」でカスタム拡張の可能性
- Azure Container Registryでモジュール共有
デプロイ性能 - 状態管理により必要最小限の更新
- 大規模環境では通信量が増えて遅延も
- Azureの最適化された並列処理
- 大量リソースのデプロイが効率的
- 小さな変更では全体送信のオーバーヘッドも
統合エコシステム - HashiCorp製品との連携(Vault、Consul等)
- 豊富なサードパーティ統合
- 拡張性高いプラグイン構造
- Azure DevOps、GitHub、VS Codeとのシームレスな統合
- Microsoftツールチェーンとの親和性
- Azure Landing Zone、Policy、RBAC等との緊密な連携

セキュリティガバナンスの一般的な課題:
エンタープライズ環境では、セキュリティチームが最も気にする点として「誰が何を変更できるか」と「不正な設定を防げるか」が挙げられます。

Terraformでこれに対応するための一般的なアプローチは以下の通りです:

  1. CI/CDパイプラインでの権限管理(プルリク必須)
  2. tfsecなどの静的解析(セキュリティベストプラクティス違反をCIで検出)
  3. Terraform Enterprise/Cloudなら、Sentinelによるポリシー適用
  4. リモート状態ファイルへのアクセス制限

一方Bicepでは:

  1. Azure RBACによる細かな権限管理
  2. Azure Policyによるガードレール設定
  3. デプロイ前のポリシー準拠チェック
  4. What-If分析による変更検証

高度なコンプライアンス要件が求められる業界では、「すべての変更に監査証跡を残す」必要性が高いため、それぞれのツールで適切な対応が必要になります。Terraformでは状態ファイルの変更履歴とGitコミット履歴の組み合わせ、Bicepでは、Azureのデプロイメント履歴とGit履歴を関連付ける方法が検討されることが多いようです。

6. 公式サポートとコミュニティ

Terraform Bicep
公式サポート - HashiCorpによる商用サポート(有償)
- MicrosoftもAzureプロバイダ開発に関与
- Microsoftが公式サポート
- ARMテンプレートと同レベルのサポート対象
- Azure公式のベストプラクティスに含まれる
コミュニティ規模 - グローバルで膨大なユーザーベース
- 豊富な事例、ブログ記事、書籍
- Stack Overflowの質問も充実
- 成長中の比較的新しいコミュニティ
- Azure専門家の注目度高い
- Microsoft公式イベントでの露出増加中
国内状況 - 日本語の技術書、セミナー、コミュニティあり
- 国内企業の導入事例も豊富
- Microsoftが日本語ドキュメントを提供
- Japan Azure User Groupなどでも注目度上昇中

日本での状況補足:

日本語での情報量としては、まだTerraformに分があるようです。しかし「質問したときの回答速度」では、個人の所感ですが日本マイクロソフトのサポートもあってBicepも充実していると思います。

7. コストとライセンス

Terraform Bicep
ライセンス - オープンソース版(部分的にBUSLライセンス)
- 2023年にライセンス変更で一部懸念も
- MITライセンス(オープンソース)
- 商用利用も完全無料
有償機能 - Terraform Cloud/Enterpriseが高度な機能を提供
- ガバナンス強化やチーム連携で価値あり
- ツール自体に有償機能なし
- Azure上のリソース利用料のみ発生
隠れコスト - 状態ファイルの維持管理コスト
- 大規模環境では専門知識や運用負荷
- 手動変更対応のルール整備
- Azure専用ツールへの依存リスク
将来見通し - OpenTofuなどのフォーク出現
- エコシステムの活発な発展継続
- Microsoftの戦略的ツールとして継続強化
- 有償化の動きは見られず

総所有コスト (TCO) の考慮点:
ツール選定で見落としがちなのが「隠れたコスト」です。ライセンス費用だけでなく、以下の要素も考慮すべきでしょう:

  1. 学習コスト: チーム全体がツールに習熟するための時間と労力
  2. 運用コスト: 状態管理や環境メンテナンスの工数
  3. 環境移行コスト: 既存インフラをコード化する際の工数
  4. 専門知識のコスト: 必要に応じた専門家採用やコンサルティング費用

大規模環境では、無料で始められるTerraformを選んでも、運用課題に直面してTerraform Cloud導入に踏み切るケースがあります。これにより年間コストは発生するものの、運用効率が大幅に向上し、結果的にはコスト削減につながるというパターンも見られます。

一方、Bicepは「Azure前提」という制約がある反面、Azure専業の組織なら追加コストなく効率的な運用が可能です。2025年現在も、MicrosoftがAzure採用促進のためのツールとしてBicepを位置づけている限り、有償化の可能性は低いと考えられています。(さすがにね?)


実務者のための選定チェックリスト

実際のプロジェクトで使える、具体的な選定チェックポイントをまとめました。以下の質問に答えながら、あなたの環境に最適なツールを見極めていきましょう。

✓ 環境と戦略の確認(6ヶ月〜3年のタイムスパン)

  • クラウド戦略は?
    □ 明確なマルチクラウド計画がある → Terraform有利
    □ Azure一本で行く明確な方針 → Bicep有利
    □ まだ不明確・検討中 → 短期はBicep、長期選択肢としてTerraform

  • リソースの規模と複雑性は?
    □ 数百〜数千のリソース、複数サブスクリプション → Terraformの管理能力
    □ 数十〜数百のリソース、限定的な環境 → Bicepの手軽さ

  • 将来の拡張計画は?
    □ クラウド以外(SaaS等)も一元管理したい → Terraformの幅広さ
    □ Azure内での拡張が中心 → Bicepの密接な統合

✓ チーム体制とスキル確認

  • 現在のチームスキルは?
    □ Terraform/HCL経験者が在籍 → Terraform継続が効率的
    □ Azure/ARM/PowerShell経験者が中心 → Bicepの習得が容易

  • 開発・運用体制は?
    □ インフラ専門チームがIaC担当 → どちらも対応可能
    □ 開発者自身がインフラも担当 → Bicepのシンプルさが有利

  • 学習・導入にかけられる時間は?
    □ 短期間での導入が必須 → Bicepのシンプルさ
    □ じっくり学習・体制構築が可能 → いずれも選択肢

✓ 運用要件の確認

  • ガバナンス要件は?
    □ 厳格なコンプライアンス・監査証跡が必要 → Terraformの状態管理
    □ 柔軟性重視、部門ごとの自律運用 → Bicepの手軽さ

  • CI/CD環境は?
    □ GitHub/GitLab/Azure DevOps等でのGitOps実践 → 両方対応可能
    □ Azure DevOps中心の運用 → Bicepとの親和性高い

  • 手動操作との関係は?
    □ 手動変更完全禁止のポリシー → Terraformの検知力
    □ ポータル操作も許容する柔軟さ → Bicepの寛容さ

仮想ケーススタディ:選定例から学ぶ

選定プロセスをより具体的にイメージしていただくため、仮想的なケーススタディをいくつか紹介します。
(※本パートは生成AIに作ってもらったので少し現実から乖離してる可能性があります。)

仮想ケース1:マルチクラウド移行中の金融系企業

背景: オンプレミス環境からAzure・AWS両方へ移行中の金融系企業。複数の事業部にまたがるシステムがあり、統一的なガバナンスが重要課題。

検討ポイント:

  • 複数クラウドにまたがる共通基盤を一元管理したい
  • 規制に基づく厳格な変更管理・監査要件あり
  • インフラ専門チームによる集中管理モデル

決定: Terraformを全社標準として採用

決め手となった要素:

  • マルチクラウド戦略への対応力
  • Terraform Enterprise導入による承認フロー・監査機能の充実
  • チーム間でのモジュール共有による再利用性
  • 商用サポートがある安心感

導入後の評価: 初期学習コストは高かったものの、共通モジュール開発体制を確立したことで、事業部間の一貫性とスピード両立に成功。ポリシー機能でコンプライアンス対応も効率化できた。

仮想ケース2:Azureネイティブで事業展開するテクノロジー企業

背景: クラウドネイティブなSaaSプロダクトを開発する中小規模のテクノロジー企業。アジャイル開発を重視し、少人数チームで開発〜運用までをカバー。

検討ポイント:

  • プロダクト開発スピードが最優先事項
  • Azure PaaSサービスをフル活用した構成
  • 開発者がインフラも一部担当するDevOps体制

決定: Bicepを採用

決め手となった要素:

  • 導入の手軽さとシンプルさ
  • Azure最新機能への即時対応力
  • JavaScript開発者に親しみやすい構文
  • VS Codeとの緊密な統合

導入後の評価: 比較的短期間でBicepの基本を習得でき、開発者も抵抗感なく導入できた。特にAzureの新機能プレビューへの素早いアクセスが事業競争力に貢献している。ただし、非Azureサービス(DBaaSなど)との連携は別途自動化する必要があった。

仮想ケース3:ハイブリッドアプローチを採用した製造業

背景: 製造業大手。基幹システムはオンプレミス維持しつつ、新規開発はクラウドファーストで推進。複数の事業部がそれぞれ異なるペースでクラウド化を進めている。

検討ポイント:

  • Azure中心だが一部AWS利用もある
  • 事業部ごとの自律性を尊重しつつ全社ガバナンスも必要
  • IT部門と開発部門で役割分担

決定: ハイブリッドアプローチ(基盤はTerraform、アプリ環境はBicep)

決め手となった要素:

  • IT部門がTerraformで共通基盤管理(ネットワーク、IDなど)
  • 開発部門がBicepでアプリケーション環境構築
  • セキュリティ境界を明確にした役割分担

導入後の評価: 当初は「二重管理」への懸念もあったが、責任範囲を明確にしたことで比較的スムーズに機能。IT部門は企業全体のガバナンスを維持しつつ、開発チームは俊敏性を保ちながら作業できている。ただし、連携部分のテスト・検証には工数がかかる課題も。

業界動向と今後の展望─2025年以降の両ツール

(※筆が進まなくなってしまい本パートも生成AIに作ってもらったので少し現実から乖離してる可能性がありますことご了承ください。)

IaCツールの世界は急速に進化しています。今後数年で予想される展開と、それを踏まえた選定ポイントをお伝えします。

1. ツール機能の収束傾向

両ツールは、互いの良い機能を取り入れるように進化しています。Terraformは使いやすさを向上させ、BicepはAzure以外との連携も徐々に強化。将来的には機能差が縮まる可能性がありますが、根本的な設計哲学(状態管理の有無、マルチクラウド vs Azure特化)は当面変わらないでしょう。

2. AI支援機能の統合

2024-2025年にかけてのトレンドとして、AIによるコード生成・最適化機能が両方のツールに組み込まれつつあります。将来的には「自然言語でインフラを定義」といった機能も現実になるかもしれません。

3. セキュリティとコンプライアンスの強化

クラウドセキュリティの重要性が高まる中、両ツールともセキュリティ機能を強化しています。Terraformでは脆弱性スキャンやコンプライアンスチェックの組み込み、Bicepでは事前検証機能とAzure Defenderとの連携などが進化すると予想されます。

4. マルチプラットフォーム対応の行方

Bicepは現在Azure専用ですが、Microsoftの戦略次第ではより広い連携も考えられます。特にGitHubやPower Platformとの統合が進む可能性があります。一方Terraformは、BUSLライセンス移行後もOpenTofuなどのフォークを含め、マルチクラウド市場での主導的立場を維持するでしょう。

5. 選定への影響

これらの動向を踏まえると、ツール選びの際は「現在の機能」だけでなく「将来の拡張性」も意識することが重要です。短期的にはBicepの使いやすさが魅力的でも、将来的なマルチクラウド展開を見据えるならTerraformの柔軟性も検討価値があります。逆に、長期的にAzureエコシステムへの投資を続ける戦略なら、Bicepへの集中が効率的かもしれません。

まとめ:最適な選択のために

TerraformとBicepは、どちらも素晴らしいIaCツールです。この記事を通じて、「絶対的な正解」ではなく「あなたの環境に最適な選択肢」を見つけるヒントを提供できたなら幸いです。

Terraformが最適なケース:

  • マルチクラウド戦略を持つ組織
  • 大規模かつ厳格な変更管理が必要な環境
  • すでにTerraform資産やスキルを持つチーム
  • 様々なサービスを一元管理したい場合

Bicepが最適なケース:

  • Azure中心の明確な戦略を持つ組織
  • スピーディーな導入と学習を重視する場合
  • Azure最新機能に即アクセスしたい場合
  • シンプルで直感的なツールを好むチーム

最終的な選定では、技術的な違いだけでなく、組織文化や働き方との相性も大切です。中央集権的な管理を重視する組織ではTerraformのガバナンス機能が力を発揮し、チームの自律性を重んじる組織ではBicepのシンプルさが合うかもしれません。

どちらのツールを選んでも、継続的な学習と改善が成功の鍵です。IaCの導入はゴールではなく、より効率的なインフラ管理への旅の始まりにすぎません。ぜひ小さく始めて、チームに合った方法で拡大していってください。

この記事が、クラウドジャーニーの一助となれば嬉しいです。

■ 参考リンク

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【免責事項】
本記事の内容は執筆時点の情報に基づいています。製品の仕様や機能は予告なく変更される可能性があります。導入判断の際は、最新の公式情報を参照し、必要に応じて専門家に相談することをお勧めします。

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