【Microsoft Ignite 2024】Azure AI まわりの俺的注目アップデート✍【超速報】
はじめに
日本時間2024年11月19日23時からサティア・ナデラCEOによるKeynoteから始まったMicrosoft Ignite 2024@シカゴでは、Azure AIサービスに関する多くの重要なアップデートが発表されました。本記事では、発表内容を詳細に整理し、注目すべきポイントを深掘りしてお届けします。
Microsoft Ignite 2024のほぼすべての発表内容を包括的にまとめた「Book of News」も公開されています。本記事と併せてご覧いただくことで、イベント全体の全貌をより深く理解できます。
今回のIgniteを一言で言い表すと、『Agent is all you need.』感、満載な内容でしたね!
M365 CopilotやCopilot Studioはじめ様々なAgentに関する発表がありました。(本記事はこのあたりは対象外にしてます。)では、早速ですが、Azure AI まわりのアップデート内容について個人的に気になったトピックを中心に五月雨に書いていきたいと思います。よろしくお願いいたします!
1. Azure AI Foundry: 次世代AIソリューションの統合プラットフォーム
Microsoftは、次世代のAI開発を支援する統合プラットフォーム「Azure AI Foundry」を発表しました。以前は「Azure AI Studio」と呼ばれていた(しれっと名称変更されていた)「Azure AI Foundry」は、企業が次世代のAIアプリケーションとエージェントを大規模に設計、カスタマイズ、管理するための統合プラットフォームです。このプラットフォームは、AI開発のすべてのステップを一元化し、効率的かつ柔軟に開発・運用できる環境を提供します。
主な特徴
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包括的なモデルカタログ
Microsoft、OpenAI、Meta、Cohereなど、業界を代表する多様なAIモデルを統一的なインターフェースで提供。組織のビジネスニーズに合った最適なモデルを選択可能です。適切なモデル選択と簡素な運用を実現できます。
ちなみにNTTのtsuzumi-7BがBuild 2024での発表を経て、Azureについに登場しました。すでに一般提供中となっております。
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データとツールの統合
Azure OpenAI、Azure AI Search、Azure AI Agent Service、Microsoft FabricなどのAzure AIサービスを統合し、エンタープライズ対応の安全性やスケーラビリティを保証。つまり、AIソリューションの構築に必要なデータ処理とモデルインフラが統合されました。 -
開発者ツールとのシームレスな連携
GitHub、Visual Studio、Copilot Studioなどの一般的な開発ツールと統合し、コードベースのAI開発を簡素化します。 -
ポータルとSDKでのアクセス
Azure AI Foundryポータル(旧Azure AI Studio)とAzure AI Foundry SDKから利用可能で、AIリソースの管理や可視化などの運用面、アプリケーションのスケーリングを効率化します。
利点
Azure AI Foundryは、企業がAIプロジェクトを迅速に開始し、スケールするための柔軟性と効率性を提供し、開発者だけでなく、IT管理者やビジネスリーダーにとっても有用な機能を提供します。リソースの利用状況やアクセス権限、接続されたデータソースを一元管理でき、運用の透明性と効率を向上させます。また、エンタープライズグレードの安全性を備えた環境で、責任を持ったAI活用を支援します。
参考記事 : The next wave of Azure innovation: Azure AI Foundry, intelligent data, and more
2. Azure AI Foundry SDK: AIアプリ開発の統合ツールチェーン
Azure AI Foundry SDKは、開発者がAIアプリケーションを設計、テスト、デプロイ、管理するための統合ツールチェーンを提供します。このSDKは、AIアプリ開発の生産性を向上させるよう設計されており、開発プロセスのあらゆる段階をサポートします。
主な機能
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簡素化されたコーディングエクスペリエンス
PythonやC#などの言語で、Azure OpenAIやAzure AI Agent Serviceなどのサービスを容易に統合可能。GitHub、Visual Studio、Copilot Studioといった使い慣れたツールから直接アクセスできます。 -
モデル推論の統合
Azure AIモデル推論サービスを使用して、複数のモデル(GPT-4o、Meta、Cohereなど)を組み合わせ、最適なアプリケーションを構築できます。 -
エージェントの構築と管理
Azure AI Agent Serviceを活用して、ビジネスプロセスを自動化するエージェントを簡単に作成可能。Azure Logic Appsと連携し、1,400以上のアクションコネクタを利用できます。 -
評価とトレーシング
トレーシング機能を活用し、アプリケーションの可観測性を向上させ、デバッグや性能最適化を支援します。また、Microsoftが提供する評価指標(Groundedness、Relevanceなど)を活用し、アプリケーションの品質と安全性を保証します。
使用例
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モデル推論の柔軟性
- GPT-4oで開始し、必要に応じてPhi3モデルなど別のモデルに切り替え可能。
- 構築済みのプロンプトテンプレートを利用して、効率的なプロンプト作成を実現。
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エージェントの構築
- Azure AI Agent Serviceを利用して、ドキュメント検索や自動化されたワークフローを作成。
- Microsoft 365エージェントSDKを使用して、15以上のMicrosoftチャネルでのデプロイを簡素化。
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生産性向上のテンプレート
- AIアプリケーションテンプレートを使用して、迅速にアプリケーションを構築し、CI/CDパイプラインと連携。
期待される効果
Azure AI Foundry SDKは、開発者がプロトタイプから本番環境までスムーズに移行できる環境を提供します。Azure OpenAI Service、モデル推論、評価、エージェント構築を統合的にサポートし、AIアプリ開発の効率性と品質を大幅に向上させます。
Azure AI FoundryとAzure AI Foundry SDKは、次世代AIアプリの開発を簡素化し、企業がAIを活用して競争力を高めるための強力なツールです。これらのサービスは、AI技術の限界を広げるだけでなく、エンタープライズ環境における安全性、効率性、そして信頼性を保証します。
参考記事 : Ignite 2024: Announcing the Azure AI Foundry SDK
3. Azure AI Agent Serviceの導入と知識強化:エージェント開発の簡素化
Azure AI Agent Serviceは、エンタープライズ向けに設計された、業務プロセスを自動化するエージェントを効率的に開発・展開・監視できる統合プラットフォームとして発表されました。このサービスは、AIエージェントの可能性を最大限に引き出すために設計されており、データプライバシーを確保しつつ、あらゆる規模のビジネスプロセスを自動化できます。
主な特徴
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柔軟なエージェント構築とアクション実行
- Azure Logic Appsの統合: 1,400以上のコネクタを活用して、Microsoft製品(Teams、Excelなど)や外部アプリケーション(Jira、ServiceNow、Twilioなど)と接続可能。
- Azure Functions: ステートフルおよびステートレスなアクションを柔軟に実行し、長時間のワークフローやイベント駆動型プロセスを簡単に構築。
- Code Interpreter: Pythonコードを利用した高度なデータ分析や視覚化をエージェント内で実行。
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知識ベースの拡張
- Bing検索: リアルタイムでWebデータを取得し、最新情報をエージェント応答に反映。
- Microsoft Fabric: 組織内の構造化データを活用したQ&Aシステムを構築。
- SharePointとAzure AI Search: 内部ドキュメントやプライベートデータへの安全なアクセスを実現。
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柔軟なモデル選択
- GPT-4oやLlama 3.1、Mistralなどの多様なモデルを選択可能。
- マルチモーダル対応により、テキスト、画像、音声を統合的に処理。
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エンタープライズ対応の堅牢なセキュリティ
- BYO(Bring Your Own)機能: データストレージや仮想ネットワークの柔軟な選択をサポート。
- トレーシングとモニタリング: OpenTelemetry互換のモニタリング機能で、エージェントのパフォーマンスを可視化。
- コンテンツフィルター: 有害なコンテンツ生成を検出・防止する機能を標準装備。
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AutoGen/Semantic Kernelによるマルチエージェントシステムの統合
- AutoGen: Microsoft Researchが開発したPython向けSDKで、エージェント間の最適な連携パターンを設計。
- Semantic Kernel: 本番環境対応のエンタープライズ向けAI SDKで、AutoGenの成果を引き継ぎ可能。
知識強化の利点
- リアルタイムデータの活用: Bing検索やFabricのデータ連携により、常に最新かつ信頼性のある情報を提供。
- シームレスなデータ接続: OBO認証により、エージェントがエンドユーザーの権限内でのみデータアクセスを実行。
- 高度なライセンスデータ活用: 例としてTripadvisorの旅行データを活用し、特定の業界ニーズに応じた精密な応答が可能。
活用例
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カスタマーサポート:
- ユーザーの問題解決時間を短縮し、エージェントが迅速に回答を生成。
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営業支援:
- リードの調査や自動優先付け、フォローアップメールの送信を自動化。
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開発者向けエージェント:
- コードベースの最適化やリポジトリの進化を支援。
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データ駆動型の意思決定:
- Microsoft Fabricを活用した高度なビジュアル分析を通じて、組織全体の意思決定プロセスを強化。
Azure AI Agent Serviceは、柔軟な設計と強力な統合ツールにより、組織がAIエージェントを活用してビジネス価値を最大化できる環境を提供します。このサービスを利用することで、従来の手作業に依存していたプロセスを効率的かつ安全に自動化できます。
参考記事 :
- Introducing Azure AI Agent Service
- Ground your AI agents with knowledge from Bing Search, Microsoft Fabric, SharePoint and more
4. モデル微調整の進化とファインチューニング機能の強化
Azure AI Foundryは、ファインチューニングのプロセスを革新するため、主要な技術パートナーとの連携を強化しました。また、Azure OpenAI Serviceでは、新たに画像データを活用したファインチューニング機能が追加され、カスタマイズの幅が大きく広がっています。これにより、企業は特定用途に最適化されたAIソリューションをより効率的に開発できるようになります。
主要パートナーとの連携
Azure AI Foundryは以下の企業との協力を強化し、ファインチューニングプロセスを革新しています。
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Weights & Biases
- 統合ツールチェーンの提供: モデルの追跡、評価、管理、コラボレーションを可能にするツールを提供。
- GPT-4oシリーズ対応: GPT-4oやGPT-4o miniの迅速なファインチューニングをサポートし、特定のビジネスニーズに最適化されたモデルを開発可能。
- 実績: ファインチューニングプロセスの透明性向上により、モデル開発の生産性を最大化。
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Scale AI
- 高品質データの提供: データ変換やモデルカスタマイズの専門サービスを提供し、ジェネレーティブAIエージェントの性能を向上。
- ユースケース: 高度なデータ活用により、カスタマーサポートや財務分析などの特定用途でのモデル最適化が可能。
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Gretel
- 合成データ技術の活用: データ不足やプライバシー問題を解決する差分プライバシー対応の合成データ生成。
- ユースケース: 特に金融やヘルスケア分野でのセキュアなデータ活用を実現。
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Statsig
- A/Bテストと実験ツール: 実験設計やパフォーマンス評価を容易にし、モデルの最適化を支援。
- DevOps統合: 開発プロセス全体での継続的なモデル改善を促進。
Azure OpenAI Serviceのファインチューニング機能強化
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画像データ対応
- 新機能: 画像を利用したモデルのファインチューニングにより、マルチモーダルなAIソリューションの開発が容易化。
- ユースケース: 製造業における欠陥検出、小売業での商品画像分析、医療分野での画像診断支援など。
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プロセスの効率化
- 統合ワークフロー: Azure AI Foundry内での簡易なファインチューニング操作により、セットアップ時間を大幅に短縮。
- カスタムモデル作成: ドメイン固有のニーズに合わせたモデル調整が可能。
- 再利用性の向上: カスタムテンプレートを活用してモデルを迅速に展開。
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スケーラブルな学習環境
- Azureインフラストラクチャを活用して、大規模データセットの処理を迅速化。
- 複数リージョンでのモデルデプロイをサポートし、グローバルなスケーラビリティを実現。
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モデルの小型化と効率化
- モデル蒸留(Distillation): 大型モデル(例: GPT-4o)の知識を小型モデル(例: GPT-4o mini)に移植し、軽量かつ高性能なモデルを実現。
- コスト効率: 運用コストを抑えながら、特定のユースケースで高精度を維持。
ファインチューニングの利点と具体例
- 効率的なデプロイメント: 画像やテキストデータを用いたカスタマイズが可能になり、顧客体験や業務効率が大幅に向上。
- データの有効活用: 合成データを活用して、データ不足の分野でも迅速にモデルを開発。
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多様なユースケース:
- 小売業: 商品タグ付けや在庫管理の最適化。
- ヘルスケア: 医療画像の分析による診断支援。
- 財務分野: 大規模データを基にしたレポート自動生成。
今後の展望
Azure AI FoundryとAzure OpenAI Serviceのファインチューニング機能は、エンタープライズ環境におけるAIソリューション開発の新しい基準を設定します。画像データ対応やモデル蒸留などの進化により、これまで以上に幅広いビジネスニーズを満たすカスタマイズが可能となり、企業の競争力を強化する鍵となるでしょう。
参考記事 :
- Announcing Model Fine-Tuning Collaborations: Weights & Biases, Scale AI, Gretel and Statsig
- How Weights & Biases and Microsoft Azure are Empowering Enterprises to Fine-Tune Models
- Announcing New Fine-Tuning Capabilities with Images on Azure OpenAI Service
- What’s new in Azure OpenAI Service Fine-tuning
5. モデル蒸留の導入:軽量モデルの効率的な作成
Azure OpenAI Serviceでは、新たにモデル蒸留技術が導入され、リソース効率を高めながら、タスク特化型の高性能な軽量モデルを迅速に構築できる環境が整いました。この機能により、従来の複雑なプロセスを大幅に簡素化し、企業がコスト削減と運用効率向上を実現できるようになりました。
モデル蒸留とは?
モデル蒸留は、大規模で複雑なモデル(例: GPT-4o)の出力を活用して、小規模で効率的なモデル(例: GPT-4o-mini)を学習させる技術です。これにより、以下の利点が得られます。
- コスト削減: 軽量モデルを使用することで、運用コストを大幅に削減。
- 推論速度の向上: 高速処理が可能となり、応答時間が短縮。
- エッジデバイス対応: 計算リソースが限られた環境でも高性能を維持。
蒸留フローの概要
Azure OpenAI Serviceは、モデル蒸留のプロセスを統合的にサポートする以下のコンポーネントを提供します。
1. Stored Completions
- 機能: API経由で収集されたモデルの入力・出力ペアを蓄積し、学習用データセットを自動生成。
- 活用例: プロダクションデータを基にした高品質なトレーニングデータセットの構築。
2. Azure OpenAI Evaluation
- 機能: データの評価基準を設定し、モデルの性能をスコア化。
- 利点: フィルタリングや評価により、高品質なデータを蒸留プロセスに利用可能。
3. Fine-Tuning
- 機能: 蒸留用データを活用し、軽量モデルをファインチューニング。
- 成果: 高精度な軽量モデルの迅速な構築。
ユースケース: ニュース感情分析プラットフォーム
以下は、ニュース記事の感情分析を行う企業のシナリオを例にした蒸留フローの詳細です。
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モデル応答の収集
- 手法: Stored Completionsを使用して、GPT-4oが生成するニュース感情分析データを収集。
- 結果: メタデータ付きの入力・出力ペアを蓄積し、後のフィルタリングを容易化。
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データの評価
- 目的: 不適切なデータ(例: 記事内容が空でリンクのみのケース)を除外。
- 手法: スコアリング基準を設定し、評価結果を用いて良質なデータのみを選定。
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ファインチューニング
- 手法: GPT-4o-miniを基に蒸留フローで選定した高品質データを使用。
- 結果: 小規模モデルでもGPT-4oに近い性能(例: スコア81.3%)を実現。
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性能評価
- 比較: 蒸留後のモデル(GPT-4o-mini)は、基の大規模モデル(GPT-4o)とほぼ同等の精度を達成。
- 効果: コスト削減と処理速度向上を両立。
主要な利点と今後の展望
- 統合的なワークフロー: 蒸留プロセス全体をAzure OpenAIプラットフォーム上で完結可能。
- 効率的なデータ活用: プロダクションデータを直接収集・評価し、トレーニングに活用。
- 継続的なモデル改善: 継続的なデータ収集とファインチューニングにより、モデル性能をさらに向上。
Azure OpenAI Serviceのモデル蒸留機能は、企業が軽量モデルの構築を効率化し、コスト削減と運用効率向上を実現するための強力なツールとなると考えられます。
参考記事 :
6. Azure AI Content Understanding:マルチモーダルデータの構造化と活用を加速
Azure AI Content Understandingは、生成AIを活用し、テキスト、画像、音声、ビデオなどの多様なマルチモーダルデータを効率的に構造化する革新的なサービスです。従来のOCRやプロンプトエンジニアリングの複雑なプロセスをGUIで直感的に実現し、データのエンリッチメントやストレージへの格納を簡単に行える点が特徴です。
機能概要:生成AIで広がるデータ活用の可能性
1. データ構造化の効率化
Azure AI Content Understandingは、複雑なデータから特定のフィールドを自動抽出し、構造化データとして提供します。
- ビデオ解析: トランスクリプションの生成やキーポイントの抽出を自動化し、マニュアル動画や会議記録からの要約を迅速に作成。
- 画像解析: オブジェクト認識やシーン分類を行い、マーケティング資料や特許文書などから必要な情報を抽出。
- 音声とテキスト解析: 音声データを文字起こしし、感情分析や会話要約に対応。
- PDFやドキュメント解析: 請求書や特許文書から特定のフィールドを抽出し、業務プロセスを最適化。
2. マルチモーダルデータの一元化
音声、ビデオ、テキスト、画像を対象にしたRAG(Retrieval-Augmented Generation)を簡単に実現します。これにより、多様なデータ形式を活用した知識検索が可能になります。
3. データストレージとの連携
抽出されたデータは、Index作成やデータベース(DB)への格納が可能。これにより、ナレッジ管理や検索システムの構築がシームレスに行えます。
特徴的な機能
テンプレートによる構造化プロセスの簡素化
Azure AI Content Understandingには、ビデオ、画像、PDFなど特定の形式に応じたテンプレートが用意されています。これにより、以下のような作業が効率化されます。
- マニュアルビデオから操作スクリプトの生成。
- 特許文書や請求書からの特定フィールドの自動抽出。
- 会議記録や講演資料の迅速な要約生成。
生成AIを活用したマルチモーダルデータ解析
従来のDocument Intelligenceを超えるマルチモーダル対応により、複数のデータ形式を統合的に解析し、データ活用の可能性を拡大します。
GUIベースの直感的な操作性
GUIでの操作により、データ抽出やプロンプト設計のスキルを必要とせずに、迅速なデータ処理が可能です。
活用例と実績
1. メディアアーカイブの効率化
- シーンやキーフレームの自動検出: 映像アーカイブからのプロモーション素材作成を迅速化。
- ニュース動画のタグ付け: ニュース記事や動画の検索性向上。
2. ナレッジ管理と業務効率化
- RAGの強化: 音声、画像、ビデオを含む多様なデータを回答対象とする検索システムを構築。
- 社内ドキュメントの分類と検索: 会議録音や社内資料から必要情報を迅速に抽出。
3. マーケティングと広告
- ターゲット別広告生成: 顧客に最適化された広告コンテンツを自動生成。
- コンテンツパーソナライズ: 画像や動画のデータ解析に基づき、顧客満足度を向上。
未来の展望:Azure AIと連携した新たな可能性
Azure AI Content Understandingは、Microsoft FabricやAzure AI Search、Bingとの連携によりさらなる価値を提供します。これにより、最新のウェブデータや組織内のナレッジデータを統合し、業務プロセスの効率化や新たなビジネスインサイトの創出が期待されています。
このサービスは、生成AIのパワーを活かした次世代のマルチモーダルデータ解析ソリューションとして、業界をリードする存在となるかもしれず期待大です!
参考記事 :
- Announcing Azure AI Content Understanding: Transforming Multimodal Data into Insights
- Transforming Video into Value with Azure AI Content Understanding
7. 新評価ツールの導入:マルチモーダルアプリの品質向上と効率化
Azure AI Foundryは、ジェネレーティブAI(GenAI)アプリケーションの品質を向上させ、開発プロセスを効率化する新しい評価ツールを発表しました。これらのツールは、モデル選定、品質評価、安全性確認、CI/CD統合を強化します。
主な機能
1. モデルのベンチマークと評価
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拡張されたベンチマーク機能:
- レイテンシ、コスト、スループット、生成品質を評価し、多角的にモデルを比較。
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独自データを用いたモデル評価:
- ベースモデルと微調整モデルを比較し、ユースケースに最適なモデルを選定可能。
2. リスクと安全性の評価
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画像とマルチモーダルコンテンツ:
- 有害なコンテンツの検出とリスク評価を実施。
- 結果の解釈と対応策の具体化を支援。
CI/CDと継続的評価
1. リモート評価API
- クラウド上でスケーラブルに評価を実行し、インフラ管理を軽減。
2. GitHub Actionsとの連携
- 自動評価をCI/CDワークフローに統合し、コミットごとの品質チェックを実現。
- プライベートプレビューでA/Bテストも提供。
評価ツールの利点
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品質評価:
- 一貫性(Coherence)、関連性(Relevance)、流暢さ(Fluency)などを評価。
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安全性確保:
- コンテンツリスクを特定し、生成物の安全性を向上。
Azure AI Foundryの評価ツールは、モデル選定から生成物の品質向上、安全性の確認までを効率化し、開発プロセスの信頼性とスピードを高めます。
参考記事 :
8. AIレポートの導入:ガバナンスとGenAIOpsの強化
Azure AIは、AIモデルのガバナンスと運用プロセス(GenAIOps)を支援する「AIレポート」機能を導入しました。このツールにより、AIアプリケーションの透明性、運用効率、安全性が向上します。
主な機能
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透明性と可視性の向上
- モデルカードや評価結果を一元管理し、組織全体で共有可能。
- プロセスの進捗を追跡し、評価基準を明確化。
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運用の信頼性強化
- 評価結果やガバナンスプロセスを記録して安全性を確保。
- ガイドラインに基づき、AIモデルのリスクを軽減し、コンプライアンスを促進。
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継続的な改善と報告
- ドキュメント化された情報を活用して、チーム間での意思決定を効率化。
- 運用データを蓄積し、運用品質を向上。
AIレポートは、AIの安全で効果的な運用を実現し、企業の信頼性向上と意思決定をサポートします。
参考記事 :
9. Azure OpenAI Servicesに関する地味に嬉しいアップデート
Predictive Outputs
OpenAIでは提供されているPredictive Outputsがプレビュー提供となります。
参考:
Structured Outputs
Structured Outputsがついに一般提供となりました。
参考に、以前書いた以下の記事を置いておきます。
参考記事:
Azure OpenAI Service: プロビジョン型デプロイメントとグローバルスタンダードサポートの強化
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プロビジョン型デプロイメントの導入 (12月からプレビュー開始)
- ファインチューニング済みモデル(GPT-4o、GPT-4o-mini)向けの専用リソース割り当てにより、高スループットと安定したパフォーマンスを実現。
- 利用可能リージョン(プレビュー):North Central US、Sweden Central。
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利点:
- 一貫した推論性能。
- 予測可能な料金設定。
- 大量のリクエストを処理可能なコスト効率の高いスケーリング。
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グローバルスタンダードサポートの展開 (12月からプレビュー開始)
- ファインチューニングモデルの推論がより多くのリージョンで利用可能に。
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利点:
- リージョン拡大: East US、West US 3、複数のヨーロッパリージョンが新たに対応。
- 柔軟性向上: リージョン容量制限が解消され、利用の拡大が容易に。
- バックアップと災害復旧の強化: 複数リージョン間でのマルチLoRAエンドポイントを提供。
参考記事 :
まとめ
本記事をお読みいただきありがとうございました。
いかがでしたでしょうか?Microsoft Ignite 2024では、Azure AIサービスが飛躍的に進化し、開発者や企業にとってより柔軟で強力なプラットフォームとなる予感をひしひしと感じました。今回発表された、これらの新機能とツールにより、AIの可能性がさらに広がり、多様なビジネスシーンでの活用が期待されます。
早く新機能を触りたくてうずうずしちゃいますね!
今回、Azure AI(特にAOAI関係)サービスについての新発表内容を中心に記事を執筆しました。Azure AI SearchやDB(Cosmos DBなど)、Microsoft Fabricなど他のAzure AI関連サービスについても多くの発表がありましたが紙面の都合上、あえて省いていますことご了承ください。(Book of Newsや他の方の記事などをご覧いただけるとよいかもです。)
参考に、M365 CopilotまわりのIgniteアップデートは以下の内容に+αという感じでした。
以上、速報記事でした!
【免責事項】
本記事の情報は執筆時点(2024年11月20日)のものです。本記事は、公開されている情報に基づいて作成されていますが、誤りが含まれている可能性もあります。内容の正確性については、読者ご自身の責任で判断をお願いいたします。AI技術は急速に進化しており、製品の仕様、価格、可用性などが予告なく変更される可能性があります。また、本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、専門的なアドバイスとしては意図していません。適切な専門家にご相談ください。
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