ジェネラリスト or スペシャリスト?ITエンジニアがキャリアに迷ったときの考え方
導入
エンジニアとして数年経験を積んだ頃、多くの人が直面するキャリアの分岐点があります。
- このまま技術を極めてスペシャリストを目指すべきか?
- チームを率いて成果を出すマネージャーとしての道を選ぶべきか?
この記事では、「ジェネラリスト(マネージャー職)」と「スペシャリスト(技術特化職)」の違い、それぞれの向き不向き、判断軸、そして実際にどう考えて選択すべきかをまとめます。
キャリアに迷っている方のヒントになればと思います。
ジェネラリストとスペシャリストの違いとは?
まずは、それぞれの役割を簡単に整理しておきましょう。
| ジェネラリスト(マネージャー) | スペシャリスト(技術職) | |
|---|---|---|
| 主な役割 | チーム運営、メンバー育成、プロジェクト推進 | 技術の深掘り、アーキテクチャ設計、難易度の高い実装 |
| スキルの軸 | コミュニケーション力、意思決定力、マネジメントスキル | 技術力、設計力、深い専門知識 |
| 成果の評価 | チームの成果、プロジェクトの成功率 | 技術的課題の解決、システムの品質 |
| 関わる人数 | 多(マルチステークホルダー) | 少(技術チーム中心) |
どちらが上ということはなく、それぞれに重要な役割があります。
自分に向いているのはどちら?見極めのポイント
1. 何に達成感を感じるか?
- チーム全体の成果が自分の喜びになる → ジェネラリスト向き
- 自分がコードを書いて解決したときに満足する → スペシャリスト向き
どちらにより心が動くかを振り返ってみましょう。
2. 苦にならない作業はどちらか?
- メンバーとの1on1や調整業務も苦じゃない → ジェネラリスト
- 黙々と技術に向き合ってる時間が好き → スペシャリスト
どちらが自然体でできるかがヒントになります。
3. 将来像を思い描けるのは?
- CTOやVPoEとしてチームを導くイメージがある → ジェネラリスト
- 技術顧問やシニアアーキテクトを目指したい → スペシャリスト
目指したい「ロールモデル」があるかも重要です。
両者のキャリアパスと評価軸
ジェネラリストのキャリア例
エンジニア → テックリード → EM(エンジニアリングマネージャー) → VPoE → CTO
評価されやすいポイント
- 組織貢献度
- チームメンバーの成長支援
- プロジェクトの成功率
スペシャリストのキャリア例
エンジニア → テックリード → シニアエンジニア → アーキテクト → 技術顧問/フェロー
評価されやすいポイント
- 技術的成果(難易度の高い課題解決)
- 技術的意思決定
- 技術ブランド(登壇・執筆など)
【個人体験談】29歳からフリーランス → 35歳でマネージャー就業、ジェネラリストへ転身したケース
プロフィール
- 年齢:35歳(転機の年)
- 経歴:29歳からフリーランスエンジニア → SES常駐でマネジメント経験
- 現在:ジェネラリストとして複数プロジェクトのPM・チームリードを兼任
背景:技術で食べていく決意から始まったフリーランス
29歳で独立し、フリーランスのエンジニアとして活動を始めました。当初は「技術力だけで勝負する」という強い気持ちで、主に受託開発やSES案件で現場に入りながら、スキルを磨き続ける日々。
現場によって求められる技術や役割が異なり、最初はとにかく技術力を武器にどの現場でも通用する自分を作ることがテーマでした。
転機:SES現場で突然の「マネジメント任命」
35歳のとき、ある長期SES案件で中規模チーム(10名弱)のマネジメントを任されることになりました。
きっかけは、前任のリーダーが急遽抜けることになり、現場でリーダーのサポートを行っていた自分にお話を頂いた形です。
最初は戸惑いもありました。
- 「自分は技術者であって、マネージャーではない」
- 「マネジメントなんて得意じゃない」
- 「コードを書いているほうがずっと気が楽」
しかし、実際にチームメンバーと向き合ってみると、メンバーが困っている課題を解消したり、やる気を引き出していくプロセスにもやりがいを感じるようになりました。
キャリアの転換点:技術を支える側になる選択
この経験を通じて、「自分が一人でコードを書くことも楽しいけど、チーム全体が力を発揮できるように支える立場も価値があっておもしろいのではないか」と気付きました。
その後は、以下のような業務に主軸を移しました
- プロジェクト管理(進捗・スケジュール・リスク対応)
- メンバーの1on1、育成・評価
- クライアントとの折衝、仕様調整
- 技術方針の決定やレビューフローの整備
今は技術の現場を知っているからこそ、マネージャーとしても開発者目線を持てる強みを活かせるように心がけています。(まだまだ学ぶべきところは多いですが..)
現在のスタンスと展望
今は基本的にはフリーランスという立場は変えずに、マネージャーやPM的なロールを請け負う案件を選んで活動しています。技術から完全に離れることなく、必要に応じて設計レビューや技術選定にも関わります。
将来的には、より広い視野で 「組織設計」や「育成の仕組みづくり」 に軸をシフトできたらと考えています。
ハイブリッド型という選択肢もある
最近では、「技術にも深く関わりながら、人のマネジメントにも関わる」ハイブリッド型のキャリアも増えてきています。
例
- テックリード:実装と設計に関与しながら、開発チームを技術的に牽引
- プレイングマネージャー:実務を持ちつつチーム管理も行う
いきなり100%どちらかに振り切るのではなく、「比率を変えていく」ような柔軟なキャリア設計も可能です。
迷ったときにやってみたい3つのアクション
1. ロールモデルを見つけて話を聞く
社内外問わず、目標とする人物を見つけて話を聞くと、具体的なイメージが湧きます。
2. スモールスタートで試してみる
- チーム内で1on1をやってみる(マネジメントの一部)
- 技術選定や設計レビューをリードしてみる(スペシャリスト的な動き)
実際に体験してみると、向き不向きが見えてきます。
3. 半年〜1年単位で振り返る
キャリアは短期的に決めきる必要はありません。試行錯誤しながら少しずつ方向性を定めていくのが自然です。
まとめ
- ジェネラリストとスペシャリスト、どちらもIT業界で不可欠な存在
- 自分の性格・価値観・理想の将来像から判断軸を持つことが大切
- ハイブリッド型やスモールステップの実践で柔軟に進路を探ることも可能
キャリアの選択に「正解」はありません。大切なのは、 「今の自分がどちらを選びたいか」 を素直に見つめ、それに向かって少しずつ動き出すことです。
あなたのキャリアが実り多きものになることを願っています!
補足
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