シンプル化とテスト修正で未来への投資(開発日記 No.095)
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はじめに
昨日はCLIのテスト修正やGitHubリポジトリの更新を行いました。一歩ずつですが、プロジェクトの基盤が固まってきている手応えを感じています。
さて、今日の開発テーマは、引き続きテストの強化です。特にGeminiプロバイダーのテストを修正し、全体的なテストカバレッジを向上させることに焦点を当てます。開発を進める上で、安定したテストスイートは不可欠ですからね。
作業開始時点でのテストカバレッジは全体で64%でした。特に converter.py
や parser.py
、各プロバイダーモジュールのカバレッジが低く、ここを手厚くしていくのが今日の目標です。
背景と目的
なぜ今、テスト修正とカバレッジ向上に取り組むのか。それは、新しい機能(モデル指定やプロンプトファイル対応)を追加したこと、そして今後の開発をより効率的かつ安全に進めるためです。
具体的には、Geminiプロバイダーのテストで環境変数 GOOGLE_API_KEY
のモック設定を実装し、外部APIに依存しないテスト環境を整える必要がありました。また、追加した新機能のテストケースを網羅し、エラーハンドリングもしっかりテストすることで、コードの信頼性を高めたいと考えています。
さらに、カバレッジの低いモジュールにテストを追加することで、潜在的なバグを発見しやすくなり、将来的な機能追加や改修が容易になります。最終的には、全体カバレッジを70%以上に引き上げ、安定したテストスイートを確立することが目的です。
検討内容
テストカバレッジを向上させるにあたり、まずは既存のテストコードを見直しました。特に、最近追加した機能や、以前からカバレッジが低いと分かっていたモジュールに注目しました。
進め方としては、闇雲にテストを追加するのではなく、以下の点を意識することにしました。
- 不要なコードの特定と削除: プロジェクトをシンプルに保つため、現在使用していない、あるいは将来的に使用する予定のない機能やモジュールは思い切って削除する。これにより、テスト対象を減らし、保守コストを削減できます。
- テストの優先順位付け: カバレッジが特に低いモジュールや、CLIのようにユーザーが直接触れる部分のテストを優先する。
- 小さなステップで進める: 一度に多くのテストを追加・修正するのではなく、1つのテストケースを追加・修正するごとにコミットし、テストがパスすることを確認しながら進める。これにより、問題が発生した場合の原因特定を容易にします。
この検討の結果、まずは不要になったプラットフォームプロバイダー関連のコードを削除し、その上でCLIとテストの修正・追加を行うという流れを決めました。
実装内容
今日の作業は、主に不要なコードの削除と、それに伴うCLIおよびテストの修正でした。
まず、以前の名残で残っていた不要なプラットフォームプロバイダー関連のコードを削除しました。具体的には、content_converter/platforms/
ディレクトリごと削除し、note
や zenn
プロバイダーに関連するコードやテストファイルも全て削除しました。これは、現在のプロジェクトのスコープから外れているため、思い切って整理することにしました。
次に、CLIの修正に取り掛かりました。不要なコードを削除したことで、CLIの引数や処理フローも整理する必要が出てきました。仕様に合わせて引数を整理し、テンプレートファイルやプロンプトファイルのサポートを強化しました。また、エラーハンドリングをより堅牢にし、APIキーの取り扱いも改善しました。
最後に、これらの変更に合わせて既存のテストコードを修正しました。削除された機能に依存するテストは削除または修正し、新しく追加・変更されたCLIの機能に対するテストを追加しました。
これらの作業の結果、コードベースはかなりスリムになりました。しかし、一時的にテストカバレッジは大きく低下しました。作業開始前の全体64%から、作業終了時点では32%まで下がってしまいました。これは、テスト対象のコードは減ったものの、既存のテストが削除されたコードに依存していたり、新しいCLIの機能に対するテストがまだ十分に追加できていないためです。
現在の主要モジュールのカバレッジは以下の通りです。
- 全体: 32%
-
cli.py
: 14% -
converter.py
: 30% -
factory.py
: 65% -
gemini.py
: 31% -
openrouter.py
: 31%
特に cli.py
のカバレッジが大幅に下がってしまったので、ここを重点的に改善する必要があります。
技術的なポイント
今回の作業における技術的なポイントは、主に以下の2点です。
- 不要コードの削除によるシンプル化: 使わないコードを削除することは、一見地味ですが非常に重要です。コードベースが小さくなることで、全体の理解が容易になり、バグの混入リスクを減らし、保守性を向上させることができます。今回はプラットフォームプロバイダーという比較的大きな塊を削除できたため、プロジェクトの方向性がより明確になりました。
- CLIの設計改善: ユーザーが直接触れるCLIは、使いやすさと堅牢性が求められます。引数の整理やエラーメッセージの改善は、ユーザー体験に直結します。また、APIキーのような機密情報の安全な取り扱いを考慮することも重要です。今回は、テンプレートやプロンプトのサポートをCLIレベルで強化したことで、より柔軟な使い方ができるようになりました。
所感
今日は、コードを「書く」というよりは「削る」「整理する」作業が中心でした。不要なコードを削除するのは、少し寂しい気もしますが、プロジェクトを健康に保つためには非常に重要なプロセスだと改めて感じました。まるで部屋の片付けみたいですね。物が減ると、どこに何があるか分かりやすくなって、動きやすくなる。コードも同じだなと。
CLIの整理も、使っていて「ここが分かりにくいな」「もっとこうだったら便利なのに」と感じていた部分を改善できたので、個人的には満足度が高いです。自分で使うツールだからこそ、使い心地にはこだわりたいですね。
ただ、テストカバレッジが一時的に大きく下がったのは、正直少しショックでした。でも、これは健全なプロセスの一部だと理解しています。不要なテストがなくなったこと、そしてこれから必要なテストを追加していくための準備ができたと考えれば、前向きに取り組めます。カバレッジの数字だけにとらわれず、本当に必要な部分にしっかりテストを書くことの重要性を再認識しました。
今後の課題
最も喫緊の課題は、やはりテストカバレッジの向上です。特にCLIやConverterなど、コアとなる部分のテストを充実させる必要があります。
また、ドキュメントの更新も重要な課題です。CLIの仕様が変わったので、使い方ガイドなどを最新の状態に保つ必要があります。
さらに、今回の整理でプロジェクトの基盤がより強固になったので、今後は新しい機能の追加や既存機能の改善にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。
まとめ
本日は、不要なプラットフォームプロバイダー関連のコードを削除し、CLIの整理とテストの修正を行いました。一時的にテストカバレッジは低下しましたが、コードベースがシンプルになり、CLIの使いやすさも向上しました。
これは、今後の開発を効率的かつ安全に進めるための重要な一歩です。明日からは、低下したテストカバレッジを再び引き上げるべく、テストコードの追加に注力していきます。地道な作業ですが、プロジェクトの品質を高めるために欠かせないステップです。
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