🌊

CastingONE開発振り返り2024

2024/12/31に公開

はじめに

こんにちは、CastingONE岡崎です。
2024年は会社としてもプロダクトとしても難しい意思決定が多い1年でしたが、今年の開発チームの1年を振り返ってみようと思います。

プロダクト

CastingONEは非正規雇用の採用を行う企業向けのSaaSプロダクトです。非正規雇用の採用担当者が手間なく人材を採用できる世界を目指しており、現在特に力を入れているのが派遣会社の採用担当者が過去の派遣スタッフや応募者の中から効率よく掘り起こし応募を獲得するための機能群です。

プロダクトとして今年も多くの意思決定をしてきましたが、その中でも1つ特に大きなものとして「ATS(採用管理)機能の強化は行わない」ことに決めました。1年以上開発してきた上に現状まだまだ発展途上であるATS関連の機能を今後強化しない方針に関してはそれなりに悩みましたが、最終的にはプロダクトの一番の強みであるCRM(求人や求職者の情報の一元管理機能)やMA(求職者に自動で求人を案内する機能)がまだ全然PMFできていないという再認識からこの決定に至りました。
それまで作っていたプロダクトロードマップも大幅に見直し、CRM/MA機能の強化に注力して開発してきました。

2024年リリースの主な機能は以下。

  • 2月: カスタムCSVの変換機能

  • カスタムCSVは顧客の手元にある任意のフォーマットのCSVをそのままCastingONEへのデータ取込に利用できるというコンセプトの機能ですが、「日付のフォーマットを変換」「文字列の削除/追加や置換」等の変換処理を行える機能を追加し対応ユースケースが大幅に増えました。

  • 6月: 求職意欲の可視化

  • CRMとして管理している求職者の現在の求職意欲を可視化し、採用担当者が効率よく架電や求人案内を行えるようになりました。

  • 7月: 新定期配信

  • 求職者に求人配信を定期的に自動で送信する機能で、これまであった機能を刷新し、より柔軟な配信対象の選定やスケジューリングが可能になりました。

  • 7月: アナリティクス機能

  • 配信状況や効果を可視化するアナリティクス機能を追加し、配信の効果測定や改善点の検討がしやすくなりました。

  • 12月: 他社ATSとの双方向連携

  • ATSから掘り起こし対象者のデータを取り組み、応募が獲得できた際には再度ATS側に応募情報を戻すことが可能となりました。対応ATSは今後も拡充予定。

リリース直後よりとても好評で今後プロダクトのコア機能としてさらに強化していきたい求職意欲可視化機能を生み出せたのは今年の機能開発の大きな成果だったかなと思います。

定期配信機能は、これまでも機能としては存在していたがあまり利用されていない状態だったので、改善点を洗い出して刷新した結果、利用率が大幅に向上し、今後の機能強化の方向性も決めやすくなったのも良かったかなと思います。

開発の進め方

開発の進め方も色々改良できた1年だったのでいくつか振り返ります。

PdMをスクラムチームから独立させた

これまでCastingONEのスクラムでは、各スクラムチーム内に専属のPdMがいて、エンジニアはチームのPdMが書いたPRD(要求仕様書)を元に仕様を考えたり開発を行っていました。それはそれで良かったんですが、課題として以下のようなものがありました。

PRDの引き継ぎが難しい(効率が悪い)

エンジニアの開発状況によっては自チームPdMが担当しているPRDが間に合わず、他チームPdMが書いたPRDを自チームPdMが引き継いでチームに共有して開発していました。PRDには企画の背景やリサーチ内容等、可能な限り仕様を検討する際に必要な内容は盛り込んでいますが、それでもPRDを書いたPdMが直接担当する場合と比べると理解度が違い効率が悪くなることがありました。

一貫した構想の引き継ぎが難しい

ある機能をスコープを分けて複数バックログアイテムとして開発するケースにおいて、先行アイテムと後続アイテムを別チームが担当するとなったときに、スコープ分割時や先行アイテムの仕様検討時に構想していた内容を引き継ぐのが大変だったり効率が悪かった。できる限り同じチームが担当するようにはしていましたが、他に優先度の高いバックログアイテムがある場合は別チームに後続アイテムが割り振られることも多かったです。(LeSS運用で各チームが共通のプロダクトバックログを上から順に着手するため)

これらの課題を解決するために実験的にPdMをスクラムチームから独立させ、各チームのプランニング時に着手するPRDを書いたPdMが参加するという形式に変えました。今のところ課題も解消されて良い感じにワークしているように感じるので来年もこのスタイルは継続していく予定です。

機能企画時のリサーチ強化と振り返り強化

去年の振り返りでも2024年に強化したい事項として、プロダクト機能の利用モニタリングや顧客理解の向上を挙げていましたが、それらに関して今年は大きく進歩できたように思います。
新機能や既存機能強化の企画時には事前顧客インタビューを行い、顧客課題を正確に捉えられているか、検討している機能はその課題を解決できるのかを強く意識して機能検討するようになりました。2024年の1年間でプロダクトチーム主導の顧客インタビューを合計30回以上実施していました!

また、リリース後には機能の利用状況をredash上でモニタリングし、

  • リリースした機能はどれくらいの顧客が利用しているか
  • リリースした機能は想定した使われ方をしているか

などを定期的にチェックするようになり、想定と違う場合は顧客インタビューを通してその理由を探って追加施策や改善に活かすというサイクルがプロダクトチームの平常運転になってきたかなと思います。

その他にも顧客の作業をプロダクトチームが代行するような試みも行い、これまで課題であった顧客理解の向上に向けて様々な取り組みが開始できた1年だったと思います。

おわりに

長くなってきたのでこれくらいにしますが、他にも顧客要望の収集/取り入れ方法の改良プロダクト品質の可視化など多くの成果があった1年だったと思います。

今年の頭まで社内外にPMFしていると発信していたものを「やっぱりPMFできていない、改めてしっかりとしたPMFを目指す」と打ち出すのは中々心苦しいものもありましたが、改めてPMFに向かって突き進もうと社内の雰囲気は以前より良くなっていると感じるので、再度PMFに向けて突き進む2025年にできればと思います。

それでは皆様、良いお年を!

Discussion