[2025年9月26日] AIパートナー「[PR] この製品を導入して生活を一新しませんか?」 (週刊AI)
こんにちは、Kaiです。
今週もそこまで大きな発表はありませんでした。Gemini3.0やClaude4.5が控えていると言われているので、つかの間の静けさを楽しみましょう。
さて、今朝がたChatGPT Pulseが発表されました。これまでのChatGPTとの会話履歴をもとに、「あなた向け」の情報を毎日提供するというサービスです。早速使ってみましたところ、これまでのニュースサービスよりも読んでみたいと思う内容が多数含まれていました。これは、OpenAIは「Googleと並ぶかさらに深い、世界中の人間の興味関心事項のデータを持っている」ということを意味していると思われます。
最新の予測報道によれば、OpenAIはChatGPTの無料版に広告を導入し、マネタイズに舵を切る方針とのことです。数億人の無料版ユーザによる計算コストが莫大なものとなっており、何らかの形で無料版の性質は変わり、アドチームが組成されたことからも、広告が有力のようです。
考えてみれば、Googleも「検索は人間の興味関心を表す」という端的な事実に気づいた結果、莫大な利益を生む広告ビジネスを生み出すことが出来ました。当然、ChatGPTとの会話からは、検索よりも遥かに深く広い興味関心を抽出することができるでしょう。
しかしながら、果たしてAIと広告の親和性はどうなのでしょうか?もちろん、現状のAI知性をもってすれば、ユーザが気付かないほど自然に広告を紛れ込ませることもできるでしょう。分析結果や回答の中に、それとなくバイアスされ思考を誘導するように仕組まれた広告情報が出てくる。あるいは、分析の評価軸そのものに広告的バイアスが加味される。そんなことすら可能だと思います。
ただ、そこまでEvilなサービス設計をすれば、そうでないサービスとの競争に敗れる可能性が高いでしょう。特にGoogleは、既存ビジネスがまだまだ強いため、少なくとも現時点でAIをマネタイズする強い意志はないように思います。であれば、検索連動広告のように、AIの思考・回答とは別に関連広告枠を設けるあたりが落としどころなのだろうと思います。
前回の記事で、ChatGPTユーザの多くは「仕事外」で使っている、つまりより日常に近いシチュエーションで使っているというレポートを紹介しました。そして4oロスの件でも、AIをパートナーとして見ている層がかなり存在することが浮き彫りになっています。
あなたのAIパートナーが「[PR] この製品を導入して生活を一新しませんか?」としゃべりだす未来も、そう遠くないのかもしれません。
では今週のトピックスです。
注意事項
- 直近収集したAIおよびWeb系の記事やポストが中心になります
- 私のアンテナに引っかかった順なので、多少古い日付のものを紹介する場合があります
- 業務状況次第でお休みしたり、掲載タイミングが変わったりします
AI新着モデル、サービス、アップデート
OpenAI: ChatGPT Pulse発表
「個人向けカスタマイズド情報提供」についに進出してきました。Proユーザのモバイルアプリ限定ということで、早速使ってみましたがかなり体験がいいです。既存のどのようなニュースサービスより「読みたい」と思う確度は高いかも。
Google: ChromeにAIが全面統合された大アップデート(英語版から)
Geminiが標準搭載され、検索のAIモードはもちろんタブ間の横断要約なども組み込まれるとのこと。RPA機能も視野に入っている模様。
Qwen: 怒涛のリリース
出所もあってあまり日本語圏では話題になっていませんが、やはりオープンモデルの雄。何が出て何が出来るかはチェックしておきましょう。
(早速動かした方)その他AI系話題
GPT‑5 Codexがリリース
実際に触ってみての感触。Claude Codeを置き換えうるという所感です。
Bedrock AgentCoreで解き放て! Strands Agentsで構築するマルチエージェントの実装Tips
結構業務ニーズでもエージェント構築が視野に入る感じになってきた印象です。StrandsはMastraに比べてまだそこまでノウハウが蓄積されていないので試してみたい。AWSとの親和性もよき。
麻雀点数計算問題生成タスクから学ぶ Single Agentの限界と Agentic Workflowの底力
定期的に麻雀点数計算の発表がありますね。やはりエージェントでチェックループを回すのが時間とコストの問題はどうしてもついて回ります。
CodeRabbit CLIのレビューとClaude Codeとの統合
以前もご紹介したCodeRabbitのCLI版登場。
LoRAの進化:基礎から最新のLoRA-Proまで
実務でファインチューニングが必要なケースは減少しているように思いますが、技術的な背景は理解しておいて損はないかと。
WEB開発系話題
2025年版 サーバーレス Web アプリケーションの作り方
私たちのチームで採用しているアーキテクチャの考え方とほぼ同じですが、現実的には組み合わせになると思っています。
AWS セキュリティの全体像を理解しよう - 初学者が知るべき脅威と対策
たいへん網羅性の高い資料。初学者の人も、ベテランの復習にも。
Webサービスにおける非同期処理の勘所
よく詰まるポイントがまとまってます。当社でも数多く非同期処理を実装しているので、SQSからのリカバリなんかは苦労しました。
大してアクセスないサイトにECSはオーバースペック
まぁそうですよね。というかこの例のようなニュースサイトで固定情報を出すだけなら、動的処理も削れそうでlambdaすらいらない気がします。
その他一般テック話題
メモリ不足との戦い〜大量データを扱うアプリでの実践例〜
こういうカリカリのチューニングって最近あまり直面しないんですが、面白いですよね。Unityでテクスチャをアトラス化したりマテリアル統一してSetPass Callsを少しでも減らしたりしたのを思い出します。
We are hiring!
私の所属するAI技術開発室では、AIを応用した医療系サービスを手掛けています。先日は以下の「CareNet Academia」をリリースしました。
積極採用中ですので、こういった医療xAIの領域に興味のある方は、是非以下からご応募ください!
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