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[2025年10月26日] WebがMCPになる日 (週刊AI)

に公開

こんにちは、Kaiです。
先週は投稿をお休みしたので2週間ぶりですね。
大きな話題としては、ClaudeのAgent Skills、OpenAIのAtlas、Googleの量子コンピュータあたりでしょうか。

Claudeはもう正統進化という印象で、特に開発者にとってかゆいところに手が届くアップデートを積み重ねています。あくまで手触りのよい善きツールに徹する、というスタンスなのかもしれません。

一方のOpenAIですが、ついにGoogleと真っ向勝負するブラウザのAtlasをリリースしました。少しだけ触ってみましたが、現時点ではまだまだスピード、精度、セキュリティの面で全面的乗り換えができるものではないと思います。特にセキュリティは、ブラウザが読み込む全てのデータにAIがアクセスできるわけで、既に多くの危険性が指摘されています。

ただ、これを見て「ダメだな」と思うのは時期尚早かと思います。現状のAtlasは未来を垣間見るようなソフトウェアだと思っていて、AIがブラウザを操作してピザの予約を試みたり、旅程の組み立てを試みたりしているのを見ると、「ヒューマンフレンドリーなUIはもはや邪魔になる世界が来るのでは?」と感じてしまいました。

歴史をひも解いても、かつて「サイトマップ」は人間がサイト全体を把握するためのものでした。しかし、現状のサイトマップはほぼ検索エンジンのためのものであり、人間が読んで理解することはあまり想定されていません。

業務をしていても、色分け・セル結合・フォントサイズ調整などが行われた「人間がパッと見やすい」スプレッドシートに触れると、「AIで処理したいからいっそXMLかjsonでくれないかな……」などと最近は思ってしまいます。よくよく考えてみれば、UI/UXとは全て「人間が操作すること」を前提としているわけです。例えば、人間にとって使いやすい道具とゾウにとって使いやすい道具は、そもそも設計が異なってしかるべきです。

もちろんまだまだ、AIがユーザの操作を全面的に代行するような時代、つまり座ってやって欲しいことを呟けば結果が返って来る世界にはほど遠いですが、OpenAIの最近の動きは全て、その世界を見据えたもののように思えてなりません。

その過渡期として、Webサイト・Webサービスは「人間向けフロントエンド」と「AI向けフロントエンド」の双方を具備するのが標準になるのではないでしょうか。しかもここ1,2年ほどで。MCPはまだ認証やインタラクティブなやり取りに拡張の余地がある気もしますが、このまま行けばAI向けフロントエンドのデファクトとなり、/mcpというエンドポイントが全てのサービスに実装される日も遠くないように思います。

では冒頭ポエムはこの辺にして、2週間分のトピックスです。

注意事項

  • 直近収集したAIおよびWeb系の記事やポストが中心になります
  • 私のアンテナに引っかかった順なので、多少古い日付のものを紹介する場合があります
  • 業務状況次第でお休みしたり、掲載タイミングが変わったりします

AI新着モデル、サービス、アップデート

Anthropic: Agent Skills

直近ではこの話題が一番大きかったと思います。多数のMCPによるコンテクスト圧迫は先日別の記事でも紹介しましたが、MCPの構造上やむを得ない部分がありました。Skillsは、メタ情報による索引が付いたツールリストのようなもので、起動時に索引だけを読み込み、あとは関連性があると判断した場合に限ってツールをコンテクストに組み込むという形です。固めるだけで共有できるため、非常に可搬性の高い仕組みだと言えるでしょう。
(公式)
https://www.anthropic.com/news/skills
https://github.com/anthropics/skills
(解説など)
https://note.com/npaka/n/n6e221d209d90
https://blog.lai.so/claude-skills/
https://note.com/kyutaro15/n/nfcc15522626f

Anthropic: Claude Haiku 4.5リリース

Sonnet4と同等性能だということですので、コストセンシティブな用途であればこちらで十分ではないかと思います。高速なのもいいですね。
https://www.itmedia.co.jp/aiplus/articles/2510/16/news069.html

OpenAI: AIネイティブブラウザ「Atlas」

ひっそりとリリースされて徐々に話題になってきています。所感は冒頭の通りです。
https://x.com/OpenAI/status/1980685602384441368

OpenAI: ChatGPT、成人向けコンテンツを解禁予定

ガードレール設定がより難しいとはいえ、市場を考えれば合理的な打ち手かと。ただ、一般的には「ChatGPTを使っている」と言ったときに受ける印象が変わってしまう可能性もあり、どういう戦略でいくのか興味深いですね。
https://japan.cnet.com/article/35239194/

Amazon: Bedrock AgentCore正式リリース

Agent構築サービスは数多く出ていますが、AWSの各種リソースにアクセスできるという強みもありますし、恐らく単エージェントの作成というよりはオーケストレーション基盤みたいなものを目指しているのではないかと思います。
https://aws.amazon.com/jp/about-aws/whats-new/2025/10/amazon-bedrock-agentcore-available/

Google: Google、量子計算機で新計算手法 スパコンの1万3千倍の性能

来る来ると言われていた量子計算機、理論はよくても実用化は遠いと言われていましたがついに来るのか。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC213I10R21C25A0000000/

DeepSeek: DeepSeek-OCR

単なるOCRのリリースに留まらず、「文章を画像化することによるトークン量の圧縮」というアプローチも含んでいるようです。現状では詳細情報は多少落ちるものの、単語ベースのトークン化よりも遥かに小さいサイズで情報を取り扱えるとのこと。人間がページ全体を見て速読するようなものですかね。
https://github.com/deepseek-ai/DeepSeek-OCR

その他AI系話題

2025/10/20時点で最良のAIコーディングプロセス

これはとても素晴らしい。TIPS集なのでこなれた文章やまとまったレビューではありませんが、その分「すぐ使える」系のノウハウばかりです。
https://zenn.dev/erukiti/articles/2510-ai-coding

我々はCodexとどう向き合うべきなのか

おおむね感覚は近いですね。区切りのいいところまで作業させて、ドキュメントとログを外部化してセッションリセット、といったノウハウはもう定番と言って良さそう。
https://zenn.dev/aki_think/articles/5fb93a15a6257a

文章生成におけるSonnetの実力 -果たして小説はかけるのか-

言語能力ではやはりClaude優秀。長大な小説は書けないという問題も、設計駆動開発っぽくやればいけそうな気がするんですけどね。
https://speakerdeck.com/yukaikunimatsu/lt-sonnet4-dot-5kiyatutiatupu

Claude Code の設定をプラグインで共有する

まだ広まっているとは言い難いですが便利。ただMCPのように悪意あるプラグインも多分出てくるはず。
https://azukiazusa.dev/blog/claude-code-plugins/

Playwright Agents によるテストの自動生成を試してみた

今のところかなり良さそうに見えます。ただ数か月後にどうなっていることやら……。
https://azukiazusa.dev/blog/playwright-agents/

ChatGPT 内でアプリを直接操作する Apps SDK に自作のアプリを接続する

先日ご紹介したApps in ChatGPTの自作例。意外とシンプルに実装できます。
https://azukiazusa.dev/blog/chatgpt-apps-sdk/

GitHub Copilotでバックエンドのバイブコーディングを極めた話

インフラ情報をどう取ってくるかというお話で、IaCが出来れば苦労はないがMCPでやったところ色々ハマり……という内容。認証まわりなど実際のハマりポイントが列挙されており参考になります。
https://www.docswell.com/s/yuma/ZPG78E-2025-10-12-tbs

AIに技術記事を書かせる:9回の反復で到達した「完璧すぎる」という逆説

いや面白いです。ここまで作り込まれたワークフローで生成される(ランダムに誤りや急な話題転換を入れるなど)と、ちょっと区別がつかないのでは。
https://zenn.dev/uhyo/articles/ai-writes-tech-articles-202510

Claude Codeチームの事例から考える、AI時代のon distributionな技術選定

正直、現状のAIを前提とするともはや新しい言語やフレームワークは表れず、今強い技術がさらに強くなっていくだけなのでは……という気もしています。オンライン学習とかが一般化すればまた話は変わるのでしょうけれど。
https://zenn.dev/r_kaga/articles/c84a6af89e3020

iPhoneだけでiOSアプリ開発するワークフロー

とうとうモバイル完結の開発フローが登場。レビューと指示出しが中心であれば、確かにモバイル上で開発を進めることもできます。
https://zenn.dev/oikon/articles/dev-from-mobile

MCPサーバにおける危険な脆弱性25選

自分で作るときはもちろん、使うときにも意識したいところ。
https://adversa.ai/mcp-security-top-25-mcp-vulnerabilities/

WEB開発系話題

【結論】TypeScriptの型定義はtypeよりinterfaceを使うべき理由

おー、即時評価と遅延評価の違いがあるのですね。知らなかった……。
https://zenn.dev/bmth/articles/interface-props-extends

その他一般テック話題

いきなりログイン画面を見せて11%のユーザーを失った

割とありますよね、この作り。しかし「ユーザは画面を最後まで見ない。説明を読まない。一番目立つボタンを押す」は確かにその通りかも。面白い指摘です。
https://zenn.dev/kontaco/articles/16ccc2e51d7a4c

We are hiring!

私の所属するAI技術開発室では、AIを応用した医療系サービスを手掛けています。先日は以下の「CareNet Academia」をリリースしました。
https://zenn.dev/carenet/articles/4c0dadd193c6b6

積極採用中ですので、こういった医療xAIの領域に興味のある方は、是非以下からご応募ください!
https://hrmos.co/pages/carenet5800/jobs/1826582723293220966
https://hrmos.co/pages/carenet5800/jobs/0000020

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