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[2025年11月7日] 最近の動きにみるGoogle帝国の苦悩と挑戦 (週刊AI)

に公開

こんにちは、Kaiです。
今週あまり大きな動きはありませんでしたが、Gemini3.0のプレビュー版があちらこちらで目撃され始めているようで、今月中にはリリースされると予想されています。

Googleはエンタープライズ向けサービスでも攻勢を強めており、あくまで一つの見解ですが世界で最もAIに関する垂直統合を進めている企業だという意見も見られます。
(個人的には、Applicationsはもうちょっと細分化すべきだとは思いますが)
https://x.com/itsTarH/status/1985310991228260684

一方、Microsoftは既存のソフトウェア・SaaS資産を活かして様々なAI基盤モデル企業とのパートナーシップを選択し、OpenAIは逆にAI基盤モデルを軸としたプラットフォーム企業とのパートナーシップを選択しているように見受けられます。

ここで注目すべきは、レベニューソースではないでしょうか。Googleは明らかにそのビジネス基盤が広告であり、一方Microsoftはソフトウェアおよび企業向けサービスです。
https://note.com/amateur_finance/n/n0e70175cf20d

Googleの垂直統合モデルは確かに私たちユーザから見ると優れていますが、見方を変えると「検索連動広告がいずれ消滅する前提で、広告モデルから脱却しサービス企業への変革に全力を投じている」というようにも考えられます。

少し文脈は変わりますが、「AI時代のプロダクトマネージャーの役割」という記事中で、「成功の定義を変えなければならない。DAU、MAU、セッション時間といった指標は、UIを持つ製品向けのものだったが、AIエージェントはUIすら持たず、ユーザの目的をどれだけ達成できたかが指標になる」という趣旨のことが書いてありました。
https://www.battery.com/blog/the-role-of-a-product-manager-in-the-age-of-ai/

もともと、Googleが掲げている使命は「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」というものであり、そこに広告というビジネスモデルが適合した結果、巨大帝国が生まれたわけです。

しかし、先ほどの「成功の定義を変える」という観点から見れば、検索エンジンはユーザの目的を達成するための単なるツールの一つでしかなく、広告は価値を失っていくでしょう。Googleは、「いずれ、ユーザは広告付きの無料検索エンジンではなく、有料の有能なAIエージェントを使うようになる」という見立てで、史上最大級のイノベーションジレンマに挑戦しているようにも感じます。

もちろんMicrosoftもOpenAIも座して見ているはずはありませんので、ユーザのフロントを奪い合う競争、そしてそのフロントがどのような形になるのか(チャットUIがベストだとは正直思いません)に注目していきたいところです。

では冒頭ポエムはここまでにして、今週のトピックスです。

注意事項

  • 直近収集したAIおよびWeb系の記事やポストが中心になります
  • 私のアンテナに引っかかった順なので、多少古い日付のものを紹介する場合があります
  • 業務状況次第でお休みしたり、掲載タイミングが変わったりします

AI新着モデル、サービス、アップデート

Anthropic: Claude Code on the Web

お試しで使ってみるのにいい体験。非エンジニアもお試しでやってみるのがいいかも。
https://zenn.dev/beagle/articles/bc6ef88dd68615
https://zenn.dev/oikon/articles/claude-code-web-sandbox

Cursor: Cursor2.0

たいへん評判がいいですね。特にgit worktreeベースのマルチエージェント並列実行はIDEフロントを取っているプレイヤーならではの強みかと思います。早速乗り換える人も出ていました。
https://cursor.com/ja/blog/2-0
(関連)わたし Cursor に乗り換えます
https://zenn.dev/mohupor03/articles/58a37e9b56066a

Devin: DeepWiki多言語対応

これは嬉しい。当社でもDevinを利用していますが、DeepWikiはオンボーディングドキュメント作成や他チームへの申し送りなどで活躍していたため、ネイティブで日本語対応されるのはありがたい。
https://docs.devin.ai/release-notes/overview#october-24%2C-2025

Google: Deep ResearchがGmail,Googleドライブに対応

いやー強い。さすが垂直統合を志向しているだけあって、全てのサービスがAIに連携していきます。
https://x.com/GeminiApp/status/1986472318873555058

その他AI系話題

AIがコードを書いてくれるなら、新米エンジニアは何をする?

おおむね同意ですね。望むと望まざるとに関わらず、「コーディング」という仕事の中身が変質していくのだと思います。
https://speakerdeck.com/nkzn/komekaigi2025

Claude Codeを使ったAIレビューがチームに定着した話

AIレビューは色々なパターンを試しており、最後に書いてある「ドキュメントを育てる」が一番重要だという感覚です。
https://speakerdeck.com/akinoringo/claude-codewoshi-tutaairebiyugatimuniding-zhao-sitahua

LLM APIを2年間本番運用して苦労した話

リアルタイムでLLM APIを使用するとこういう苦労が出てくるんですね。当社ではバッチ処理なので別の悩み(大量の処理を一定時間内に完了させる必要がある)に取り組みましたが、フェイルオーバーなどは学ぶべきところも多いです。
https://speakerdeck.com/ivry_presentationmaterials/llm-apiwo2nian-jian-ben-fan-yun-yong-siteku-lao-sitahua

AIを賢く動かすのは「指示力」ではなく「文脈設計力」

本質的には同じことかなと思っていて、コンテキストウィンドウなどAIの特性を理解して、「一定時間ごとに記憶をリセットする必要がある優秀な部下」にどう仕事をしてもらうかというアプローチなのだと思います。
https://zenn.dev/aun_phonogram/articles/44d298f8d9d0fd

ビジネス出身PMが、「AIのことはエンジニアにお任せ派」から「PMもAIエージェントを自作しよう派」になるまで

これができるのは、会社全体としてカルチャーの醸成に注力しているからでしょうね。素晴らしいと思います。
https://tech.layerx.co.jp/entry/2025/11/06/080000

WEB開発系話題

AWS の新卒社員が考えた寿司配送システムのアーキテクチャを、ベテラン社員にレビューしてもらってみた

大抵の記事は「こうやったらうまくいきました」なのですが、このように「最初こうやったが、こう指摘されてこう改善したらよくなった」という試行錯誤の記録はとても参考になりますね。
https://aws.amazon.com/jp/builders-flash/202511/review-sushi-delivery-system-architecture/

キャッシュ戦略改善で月間150万人のアクセスロスを防いだ話

大量のアクセスを捌く場合、キャッシュ設計はほんとに大事。
https://zenn.dev/mybest_dev/articles/e0a8072e4a7573

Reactにおける<Component />とComponent()の違い

検証コード、原理的な違いなどが網羅されており、分かりやすかったです。
https://zenn.dev/chot/articles/f0d20f46b60818

その他一般テック話題

技術ブログの書き方 - 好きな技術を紹介する

型を確立するのも重要ですが、気楽に始めてみるというのもアリだと思います。数行のノウハウ記事でもめっちゃ参考になることもありますし。
https://zenn.dev/nttdata_tech/articles/764fa74bbbb3c3

We are hiring!

私の所属するAI技術開発室では、AIを応用した医療系サービスを手掛けています。先日は以下の「CareNet Academia」をリリースしました。
https://zenn.dev/carenet/articles/4c0dadd193c6b6

積極採用中ですので、こういった医療xAIの領域に興味のある方は、是非以下からご応募ください!
https://hrmos.co/pages/carenet5800/jobs/1826582723293220966
https://hrmos.co/pages/carenet5800/jobs/0000020

CareNet Engineers

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