リモートワークにおけるコミュニケーションの壁を壊す!「ナイス挙手制度」のススメ
ハイブリッドワークの落とし穴
私たちのチーム は、オフィス出社とリモートワークを組み合わせたハイブリッド型の働き方を採用しているため、出社メンバーがオフィスで顔を合わせ、リモートメンバーは各自の自宅から参加しています。
しかし、このハイブリッドワークがもたらす課題として顕著に浮き彫りになってきたのが、スプリントレビューやプランニング、デイリースクラムなどの 「オンライン会議でのコミュニケーション格差」 でした。
議論に参加できないリモートメンバー
ある日のチームの雑談会で、以下のような声が聞かれました。
- オフィスにいるメンバーを中心に 会話が進んでしまっていないか?
- リモートだと、発言しようとしても、 タイミングを逃してしまう ことが多くないか?
- ちょっとした発言でも、リモートでは会議の流れを止めてしまうので、 つい黙ってしまう のではないか?
確かに、会議中の発言を振り返ってみると、オフィスにいるメンバーの発言が圧倒的に多い。
活発な議論が交わされているように見えて、実はごく一部のメンバーだけの会話になっていたのです。
これは別に、意図的にリモートメンバーに発言の機会を与えていないとか、無視しているといったネガティブな背景があったわけでは、まったくありません。
しかし、現実として、オフィスにいるメンバーは対面での会話に慣れており、気軽に発言しやすい環境にありました。
一方、リモートメンバーは、 発言するタイミングを見計らう必要があり、会議ツールのマイクのオンオフや、発言のきっかけを掴むことに心理的なハードルを感じていた のです。
この状況を放置すれば、リモートメンバーが持つ貴重なアイデアや意見が埋もれてしまい、チーム全体のパフォーマンス低下にもつながりかねません。私たちは、このコミュニケーションの壁をなんとかして取り除かなければならないと強く感じました。
チームを変えた「ナイス挙手!制度」
そこで私たちは、この問題を解決するために、あるシンプルなルールを導入することにしました。名付けて 「ナイス挙手制度」 です。
この制度のルールは、非常にシンプルです。皆さんは Google Meet の「挙手」ボタン を知っていますか?
私たちが定めたルールは:
- 発言したいことがある人は(オフライン・オンライン問わず)まずこのボタンを押して「挙手」します
- 挙手したら、まず挙手したことを褒める:誰かが挙手したことに気づいたら、会議の進行役だけでなく、全員が 「ナイス挙手!」 と称賛します
- 挙手した人を優先する:挙手した人が複数いる場合、ファシリテーターが挙手した順番を確認し、発言を促します。
たったこれだけのことですが、この制度は驚くほど効果を発揮しました。
効果を発揮したのは「挙手」そのものではなかった
特に重要だったのは、挙手そのものではなく、 挙手したことを褒めるというアクション です。
リモートメンバーは発言することへの心理的なハードルが 劇的に 下がりました。会議中の発言比率は「オフィスメンバー:リモートメンバー=8:2」だったものが、今では 「5:5」 になりました。
さらに、この制度は会議の進行にも良い影響を与えました。
議論が白熱し、複数の人が同時に発言しようとするときでも、挙手ボタンを押すことで、発言の順番が明確になります。これにより、発言のタイミングを奪い合うような状況がなくなり、会議がスムーズに進むようになりました。
▲ 忙しい時は 略して "ないきょ" と呼ぶことも
結局、課題発見は「雑談」からだった
今回の課題を認識できたのは、定期的に開催している 「雑談会」 があったからです。
業務とは直接関係のない、他愛のない話をするだけの時間がなければ、私たちは「オンライン会議は滞りなく進んでいる」と勘違いし、問題にすら気づかなかったかもしれません。
密度の高い業務の中では、わざわざ「言いにくいこと」を伝える機会はなかなか作れません。しかし、目的が「雑談」である場では、心理的な安全性が高まり、普段は話せないようなことも話しやすくなります。
もしあなたのチームにまだ「雑談」の場がないなら、ぜひそこから始めてみましょう。
あるいは、「とりあえずリモートで発言するときに 挙手する こと」を始めて、ファーストペンギンになってみるのも、いいかもしれません。
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