技術広報の一環として会社の技術同人誌を作った。その結果とノウハウ
はじめに
この記事は技術同人誌/技術を取り巻く様々な執筆 Advent Calendar 2024、技術広報 Advent Calendar 2024 シリーズ2の15日目の記事になります。
概要
技術広報の一環で、会社の有志で技術書典17(オフライン・オンライン共に)へ出典しました。合同誌を作るノウハウと、作った効果をお伝えします。
なぜ同人誌を出そうと思ったか
そこに締切があったから
というのは冗談で、以下の2点が大きいです。
- 筆者が同人誌作成のノウハウを持っていた
純粋に私の経験的に同人誌を作ったことがあり、ノウハウがありました。 - 転職活動時、会社の中の人が何をしているかわからなかった
私自身入社したのが半年前なのですが、転職活動の際に「会社の中の人がどんなことを考えているのかもっと知りたい」、「どんな人たちがいるのかをもっと知りたい」、という思いがあり、少し課題を感じていました。その課題を解決する1つの打ち手として技術同人誌が良いのではないかと考えました。
同人誌作成のノウハウ
では、実際にどのように技術同人誌を作成したかノウハウを共有します。
原稿集め
まずは社内の有志に声をかけ原稿を作成してもらいました。基本的にはNotionに個人のページを作成しそこへ書いてもらいました。とはいえ、他の選択肢がNGというわけではなく、Google Documentで作成する方もいらっしゃいました。締め切りが厳しかったので、参加を躊躇してしまった方もいらっしゃたかもしれません。
表紙
表紙は社内のデザイナーへ依頼しました。カロリーのかかる作業であることは認識していたので、早めにお願いしました。
社内にこの手の依頼ができるデザイナーがいるのは本当に助かります。
工数的には5日間かかったとのことです。
自社のプロダクトがいろんな場所に散りばめられて、街に溶け込んでいる様子が会社のビジョンを表現していてとても好きです。表紙を作るのにあたっては、社内のエンジニアにどんな表紙が刺さるのかをアンケートしたりと様々な工夫の結果から生まれた表紙です。
組版
組版(原稿を本っぽくすること)はRe:VIEWを使いました。記法は独特ですが、慣れれば使いやすいです。
TechBooster/ReVIEW-Templateをカスタマイズして使用しました。
組版に使ったソースコードはこちらで共有しているので、見ていただくと雰囲気が掴めると思います。
Notionからの原稿のコピー
Notionは記事をコピーするとMarkdownでコピーされるので、テキストで貼り付けて、その後にRe:VIEW記法へ変換しました。8割くらいは機械的にできます。表、画像は個別での対応が必要だったので、1つ1つ対応しました。
Google Documentからの原稿のコピー
一旦、本文をコピーしてその後に飾り文字や強調表現などを対応していきました。結果的にはNotionからのコピーのほうが楽でした。
物理版と電子版
今回は物理での印刷も考えていたので、物理版と電子版両方で組版をする必要があります。GitHub上でRe:VIEWのソースを管理していたので、ある程度校正が終わったところでブランチを作成し、別々のソースとして管理を行いました。
電子版の表紙
物理本を作ったことがある方ならわかると思うのですが、印刷会社にデータを入稿する時に表紙と本文は別のデータで送ります。そのため物理版と電子版の組版は少し異なります。具体的なポイントだと電子版は表紙と裏表紙をつけないといけません。Re:VIEWは表紙と裏表紙をつける機能があるので、その機能を利用しました。
校正
これは印刷をして、校正をしました。一番大変だったのは横に長いソースコードを本にする場合、めちゃくちゃ読みづらくなるというところです。印刷してみて収まらない箇所はソースコードを適宜改行してもらい対応をしました。
入稿
いよいよ入稿です。印刷会社は日光企画さんを利用しました。
ReVIEW-Templateには日光企画さん用のパラメータがあるので、それを利用させていただきました。表紙の入稿用のデータはデザイナーの方に作ってもらってます。
印刷してもらった書籍はオフライン会場へ直接郵送してもらうようにしました。何気にこの心遣い大変助かるんですよね。
また、印刷費用の領収書はメールで請求できるので、後日請求しました。
結果
さて、ドキドキしながら技術書典17オフライン会場へ向かいます。出典スペースに無事に本が届いていました。よかった。
物理本を手に取ると気分が上がるので、執筆したみんなで手に持って記念撮影しました。
定量的な効果
物理本は200部作ったのですが、全てオフラインマーケットで頒布することができました。電子版も技術書典17の会期中に同じくらいの数頒布させていただいています。無料で頒布していたので手に取ってもらいやすかったと思います。
オフライン会場では「会社知りませんでした!」と、初めて会社を認知する方もいらっしゃったので、技術広報としての意味は一定数ありました。別の媒体で社名を認知だけしていただいていた人にも、「具体的に何をしているかがわかって良いですね」というフィードバックもいただけたので、社名だけでなく、どんなエンジニアがいるかを認知してもらうきっかけにもなりました。
定性的な効果
著者たちによるふりかえりを行いましたが、締め切りが短かったことを除いて、良いお話しか出ませんでした。具体的な内容を共有すると
- 次回も是非書きたい
- 自分も次は書きたい(ブースの手伝いとして参加してくれた人の意見)
- 1年に5冊くらい出したい
- テーマ別、技術別で出したい
- カンファレンスで配りたい
という声をいただきました。
「自分の書いたものが紙の本になる」という経験が、とてもポジティブに影響しているのがご理解いただけるかと思います。
また、私自身は開発合宿の設計と運営の話を執筆したのですが、立ち読みした方から「ちょうど社内で開発合宿やりたかったので助かります」というフィードバックもあり、社内の知見を広めることにも成功しています。
まとめ
では、まとめです。
まずは技術広報的な視点からまとめます。会社の認知を広げるという点、会社の知見を世間に広げるという点において技術同人誌は一定の効果があります。ブログなどの媒体と違う点としては、「自分の記事が物理的な本になる」という経験を通じて、筆者へ高揚感を感じてもらえる点です。
技術同人誌な視点です。というか、技術同人誌を作ったことがある諸氏への提言です。会社で合同誌をぜひ作りましょう。そのノウハウは活かせます。
明日の技術同人誌/技術を取り巻く様々な執筆 Advent Calendar 2024は@erukitiです。技術広報 Advent Calendar 2024 シリーズ2は@hoshiminです。
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