スプリントレトロスペクティブ改善の試行錯誤
BABY JOB 株式会社 開発部えんさがそっ♪開発課 の Miyagi Kizuku です。
沖縄生まれ沖縄育ち、沖縄からリモートで開発しています。
直近では PHPカンファレンス沖縄2023 に登壇しました ~宮城編~ を執筆しました。
こちらもよろしくお願いします。
TL;DR
この記事は、スクラムイベントである スプリントレトロスペクティブ を改善するために実施した、チームの取り組みの紹介です。
試行錯誤した取り組みの内容と、どのような気づきがあったのかを共有します。
はじめに
スクラム開発の用語について、私の理解で紹介します。
※ スクラム開発を一から理解するのは難しいので、ここでは必要な情報の紹介にとどめます。
スクラム開発
アジャイル開発のフレームワークの一つです。
スクラム開発では、スプリントという決められた期間で開発サイクルを繰り返します。
私のチームでは1週間に設定しています。
スプリントレトロスペクティブ
スクラム開発においてスプリント単位で行う振り返りを指します。
スプリントで出た反省点を次のスプリントに反映し、こまめにスプリントの精度を上げていくことを目的としています。
背景
既存のスプリントレトロスペクティブ
やり方はとてもシンプルで、メンバーは下記のアジェンダに沿って自由に意見を出す、というものでした。
- 個人振り返り
- チーム振り返り
- 今スプリントのアクションの振り返り
- 次スプリントのアクション
議事録テンプレート
このやり方には、敢えて意見出しの観点(良かった点、悪かった点など)を提示しないことで、意見が絞られることを防ぎたいという意図が含まれており、実際にチームには自由な意見を出す習慣が出来上がっていました。
拾いきれない課題
スプリントレトロスペクティブの中で出てくる多種多様な意見には本当に良い意見があるのですが、一方で、意見が出しっぱなしになっているという現状がありました。
個人の意見
決定したアクション
このように、
- 自由度が高いため意見が離散している
- 個人単位で箇条書きで記載しているため個人を離れた情報を視覚的に紐付けづらい
- 意見出しとアクションを決める工程が完全に区切られている
といった要因があり、せっかく良い意見が出ても実際のアクションには繋りにくい状況でした。
改善の取り組み
改善一周目
改善策
多種多様な意見を視覚的に紐付けてアクションに繋げたかったので、 Figjam を採用しました。
また、スプリント内で起きたイベントを思い出せるよう、背景に時系列順に並べたカードを貼り付けました。
改善第一周目実際の様子 ※内容を読めないようぼかしています
チームの強みである自由な意見を出す習慣はなるべく損いたくなかったため、アジェンダはできるだけ踏襲することを意識しました。
メンバーからの意見
- ポジティブな意見
- 意見を付箋にして視覚的に整理することで、発言しやすくなった
※ 意見を事前に整理したい派 - 誰が発言したかわかるようになったので過去を思い出しやすくなった
- 時系列のおかげでスプリントの出来事を思い出しやすかった
- 意見を付箋にして視覚的に整理することで、発言しやすくなった
- ネガティブな意見
- 付箋で整理すること自体のハードルが高く、発言しづらくなった
※ 喋りながら意見を整理したい派 - アジェンダがかっちりしすぎてて思いついた発言がしづらい
- 広すぎて見づらい
- 付箋で整理すること自体のハードルが高く、発言しづらくなった
改善二周目
改善策
発言のハードルを下げるため、付箋を作成するのが苦手なスピーカーの時は周りが付箋をまとめるように変更し、スピーカーが発言に集中できる環境を作りました。
また、スペースが広くなりすぎないように時系列の背景を除外し、外枠に参照情報として貼り付けました。
改善第二周目実際の様子 ※内容を読めないようぼかしています
メンバーからの意見
- ポジティブな意見
- 広すぎないので見やすい
- ネガティブな意見
- アクションについて議論する時間が短い
改善三〜四周目
慣れの問題もありそうなので、メンバーでファシリテータの役割を回しつつ、継続してみました。
改善五周目
改善策
慣れてきたので、議論する時間を確保するために付箋を作成するフェーズを除外してみました。
付箋を作成するのが苦手かどうかに関わらず、誰がスピーカーでも周りが付箋をまとめるように変更し、全員がスピーカーとして集中できる環境を作りました。
改善第五周目実際の様子 ※内容を読めないようぼかしています
メンバーからの意見
- ポジティブな意見
- 全員発表し終わった後に深掘りをする時間が取れたので必要な議論ができた
- ネガティブな意見
- まだスプリントレトロスペクティブの中でアクションの決定が弱い面がある
- 前回のアクションをトレースできていない
結果と成果
意見が多いのは変わらず、意図して改善に繋げるべきものの取捨選択ができるようになったと実感しています。
意図せず漏れたのと、意図して選択しなかったのでは大違いなので、満足度がありました。
気づき
チームの取り組みは、チームごととしてチームで検討することが一番だなと感じました。
実は、今回の取り組みは言い出しっぺの私が率先して改善を進めていました。
私の提案なので私がファシリテータを担当しないとメンバーが困るだろう、と考えて私がボールを保持し続けていたのですが、最初の三週目までは自分一人で空回りしていました。(かなり自覚ありました)
上長からのアドバイスで、思い切ってメンバーにファシリテータを担当してもらったところ、チーム内でも自分ごとになったのか、改善がぐっと進みました。
今後の展望
今回、スプリントレトロスペクティブによって反省点をアクションに繋げるまでの道のりが改善されたと実感しています。
一方で、スプリントレトロスペクティブで決めたアクションを実際にタスクとして消化するまでのプロセスがチーム内でまだ決まっておらず、せっかく決めたのに消化されていないアクションがいくつかあります。
次のフェーズとしては、スプリントレトロスペクティブ改善の継続はもちろん、その後のプロセスも整備していきたいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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