インセプションデッキ初作成の道 〜序章〜
はじめに
チームを構成するメンバーで、全く同じ考え方・価値観を持っている人は一人としていません。
『アジャイルチームによる目標づくりガイドブック』小田中育生
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皆さんは、この考え方を意識できていますか?
私はこの一文を読んだとき、チームづくりにおける大前提だと感じました。
チームで成果を出す以上、価値観が一致しているほど物事はスムーズに進み、成果を出しやすいかもしれません。しかし、現実的には、価値観や考え方を完全に統一することはできませんし、個人は尊重されるべきものです。
では、価値観の異なる私たちがチーム一丸となって目標に向かうには何が必要でしょうか?多様性の強みを活かしつつチームとして最速で成果を出す、その答えの一つが「チームの方針」だと私は考えます。
今のチームには明確な「方針」がなく、どうにかしたいと考える中で出会ったのが「インセプションデッキ」というフレームワークです。本来はプロジェクトの初期に使われるものですが、作成することを決めました。
この記事では、インセプションデッキに取り組む理由や、目指す姿、具体的な進め方についてお話しします。同じように「もっと良いチームを目指したい」と考えている方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。
チームの課題と解決の必要性
メンバーはそれぞれ異なる「軸(価値観や考え方)」に基づいて行動します。その結果、私のチームでは、意思決定の議論が発散してしまうことが多々ありました。また、中長期的に目指す「方向性」が決まっておらず、チーム全体がどこに向かっているのかを実感しにくい状況でした。
各々がバラバラに行動している図
こうした課題を解決し、チームが一丸となって目標に向かうためには「チームの方針(方向性+軸)」を定め、それを全員で共有する必要があります。そのため、私たちはインセプションデッキに取り組むことを決めました。
一致団結して行動している図
インセプションデッキを使ったアプローチ
インセプションデッキとは
インセプションデッキとは、プロジェクトの目的や方向性をチーム全体で明確にするためのツールです。「我々はなぜここにいるのか?」「エレベーターピッチ」などの 10 の質問に答えることで、プロジェクトのゴールやリスク、ステークホルダー間の期待などをチーム内で共有する効果があります。
導入の流れ
1. 方針の検討
私たちが課題を感じているのは「チームの方針」です。そのため、プロダクトではなく「チーム」を対象にしたインセプションデッキを作成するというアプローチを取ることにしました。プロダクトのデッキではなくチームに焦点を当てた理由は、まず「自分たちがエンジニアとしてどうありたいか」を明確にすることが、課題解決への第一歩だと考えたためです。
一般的なインセプションデッキの構成要素
2. 導入資料の作成と共有
チームメンバー全員が納得感を持って取り組めるよう、導入資料を作成し共有しました。この資料では以下のポイントを明確にしました。
- 目的の明確化
チームの方針を定めることで、全員が同じ方向性を共有できる意義を具体的に説明しました。伝えた内容は前述のとおりです。 - 質問内容の整理
メンバーから「プロダクトの質問をチームに当てはめても成立するのか?」という疑問を事前に受けていました。そのため、インセプションデッキの質問内容を「プロダクト」ベースから「チーム」ベースに置き換えた場合にも十分に成立することを確認し、それに基づいて説明を整理しました。
チーム版のインセプションデッキの構成要素
3. 期限の明確化
私のチームには、議論が活発に行われる良さがあります。そのため、普通に議論を始めると、発散しすぎてまとまらなくなること(完成まで無限に時間がかかる可能性があること)を想定していました。
そのため、「まずは粗くても良いので完成させて合意することを優先し、運用の中でブラッシュアップしたい」という方針をメンバーに共有しました。終わらないという結末だけはとにかく回避したかったためです。
インセプションデッキに期待する効果
インセプションデッキを活用することで得られる具体的な成果として、以下を期待しています。
- チーム全員が「方針」を共有することで、目指すべきゴールが明確になる。
- 「方針」の定期的な見直し・更新を通じて、方針が形骸化せず実質的な指針として機能する。
- 「方針」を軸にした意思決定や行動がスムーズになり、議論の発散が防止される。
執筆している現時点ではまだまだ作成途中ですが、もうすでに、メンバーの想いは概ね同じであることを共有できています。引き続き完成を目指して進めていきます。
まとめ
この記事では、「チームの方針」を定めるための手段として「インセプションデッキ」を選んだ理由と、その導入プロセスについてお話ししました。私たちのチームでは、「方向性」と「軸」を明確にし、全員で共有することで、一丸となって目標に向かうチームを目指しています。
次回以降の記事では、インセプションデッキの各質問に対してどのように議論したのか、具体的な内容をお伝えしていきます。「なぜここにいるのか?」といった問いにどう向き合い、どんな答えを見つけたのか――そのプロセスをぜひお楽しみに!
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