エンジニアリングマネージャーの役割委譲のための思考整理
きっかけ
現職に入社して今年の 11 月で丸 3 年が経ち、改めて組織規模の変化や自身の考え方の変化を感じています。
とくに今年は採用が順調に進捗し、開発組織が急拡大したこともあり、今後、組織を、自身の役割を、どのように設計していくべきかを考えることも多く、また、年末にかけてタイミングよく先人達のいくつかの記事[1]を読む中で、以下ような考え(覚悟)に至りました。
times チャンネルより
昨年のアドベントカレンダーでは「BABY JOB の開発チームにおける役割 v2.0」を公開しましたが、この原本である社内版ドキュメントには「エンジニアリングマネージャー」の役割は明確には定義していませんでした。
というのも、開発組織におけるエンジニアリングマネージャー(と当時認識していた役割の人物)は私ひとりであり、定義済みの他の役割に期待すること以外は私が全部やる、というスタンスでいたため、エンジニアリングマネージャーの役割を定義する必要がなかったのです。
しかし、この 1 年で、1 プロダクトチーム 1 ラインマネージャーの開発体制が確立し、また、開発組織全体としても約 30 名の規模に到達したことから、各ラインマネージャーに「エンジニアリングマネージャー」の役割をバトンタッチし、私自身はより上位の本来の役割を遂行するするため、これまで私がよしなに遂行していたエンジニアリングマネージャーの役割(期待)を言語化する必要が生じました。
この記事では、エンジニアリングマネージャーの役割(=エンジニアリングマネージャーに期待すること)を定義する前段階として、まずは、私自身がこれまで担っていた役割ごとのタスクを整理したいと思います。
3 つの役割
- 組織図上の役職は 「執行役員(ボードメンバー)」 兼 「開発部 部長(技術部門長)」
- 実務上の役割は、社内(開発メンバー)・社外(採用応募者)への説明のしやすさから 「エンジニアリングマネージャー」 を自称
※また、開発部がコーポレート IT 組織(いわゆる情シス)を内包しており、社内の情報システム・情報セキュリティの責任者として「情報システム管理者」の役割も担当しています。
役割ごとのタスク
①ボードメンバーとして
- システム開発に関する年単位の戦略策定
- 情報システム、情報セキュリティに関する年単位の戦略策定
- 経営会議での各種報告
- 開発進捗の報告
- 採用進捗の報告
- 情報システム、IT 監査への取り組み進捗の報告
- 情報セキュリティ、脆弱性に関する情報共有
②技術部門長として
- 採用活動(カジュアル面談、面接)
- 人事評価(目標設定、評価)
- 労務業務(勤怠承認、入社/退職に関する稟議申請や書類回収)
- 予算計画(人員計画、ソフトウェア導入やクラウド費用の計画)
- 工数管理(稼働配分の集計、経理部門への報告)
- 技術戦略策定(開発標準化、部横断の技術的意思決定)
- IT 監査対応(統制の構築・運用・プロセス承認、外部監査・内部監査への応対)
③エンジニアリングマネージャーとして
- 新メンバーのオンボーディング
- 1on1、チームビルディング
- プロジェクトマネジメント、ステークホルダとのコミュニケーション
- アジャイル開発、DevOps、自動化の啓蒙、推進
- アーキテクチャやインフラストラクチャ等の一定粒度以上の技術的意思決定、技術投資活動の優先順位の決定
- 開発実務におけるラインマネージャーとしてのプロセス監督、承認
改めて整理してみて
1 人 3 役こなす中で日々いろいろな種類のタスクに取り組んでおり、線引きにもっと苦労するかと思っていましたが、こうやって書き出してみると、(他者からどう見えているかはわかりませんが)役割ごとに抽象度の異なるタスクを実行仕分けているんだな、と改めて気づきがありました。
今回はタスクベースでの整理までとしましたが、今後は私は①②にフォーカスし、③を後進のエンジニアリングマネージャーに任せるべく、「エンジニアリングマネージャー」の役割の定義に着手したい[2]と思います。
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「VPoE Meetupから考える開発組織のリーダーシップ」「CTOとはいったいなんだったのか ver. 2024」「執行役員になって1年くらい経ちました」「VPoEとは何なのか?〜スタートアップにおける現実〜」 ↩︎
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「BABY JOB の開発チームにおける"エンジニアリングマネージャー"の役割」が完成したらまた、テックブログで公開したいと考えています ↩︎
私たち BABY JOB は、子育てを取り巻く社会のあり方を変え、「すべての人が子育てを楽しいと思える社会」の実現を目指すスタートアップ企業です。圧倒的なぬくもりと当事者意識をもって、こどもと向き合う時間、そして心のゆとりが生まれるサービスを創出します。baby-job.co.jp/
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