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社内イベントで挑戦!AIだけでモノづくりする縛りプレイ備忘録

に公開

対象読者

  • 社内AI活用推進・チーム全体のスキル向上を目指している方(マネジメント層・現場リーダー)
  • 社内イベントや勉強会の企画アイデアを探している方
  • 新しいAI開発ツールや関連サービス・APIの実用例を知りたい方

はじめに

弊社、株式会社フォノグラムでは、毎年「赤祭り」という社内イベントを開催しています。企画は有志で行われ、今年はメッシ(デザイナー)、コービー(セールス)、私(エンジニア)の3名で行いました。

今年は、「AIを使って何か挑戦したい!」 ということで、テーマを「フォノ万博」とし、「AI(だけ)を使って作品づくり」をする企画に決まりました。

何かお題があった方が作品がつくりやすいかな?ということで、共通の作品テーマとして「ひざとひざ」というお題を設定しました。無茶振りですが、みんな何とかしてくれます。

企画の詳細(気になる方はご覧ください)

フォノ万博
企画コンセプト

作品づくりのルール
作品づくりのルール

作品テーマ
作品テーマは「ひざとひざ」

6つのグループに分かれて作品制作を行い、イベント当日に展示を行いました。
グループ以外の個人出展もあり、たくさんの作品が集まりました。

Webで公開できるものがあれば、後でリンクを紹介しようと思います。

つくったもの

私たち企画チームも「ひざとひざ」をテーマに作品をつくって展示しました。

膝妖怪ジェネレーター

Web業界での仕事に関するストレスやお悩みを質問形式で収集し、その回答からAIが「膝妖怪」を生成するWebアプリケーションです。

簡単な流れ

  1. 主人公の名前を入力
  2. 仕事のストレスやお悩みに関する5つの質問に回答(予め生成しておいた中から抽選)
  3. 回答内容からAIが膝妖怪を動的生成(同じ妖怪いません、レアリティ7種類あります)
  4. 膝妖怪は呪いを広めたり(URL共有)、お札(ステッカー)に封印(印刷)できる
  5. 他のユーザーの妖怪と「合成」して新しい妖怪を作れる
チームでつくった作品の詳細(気になる方はご覧ください)

最初は「どろろ」のような雰囲気にしたかったのですが、あれこれ試行錯誤しているうちにこんな感じになりました。

オープニング画面
オープニング画面

名前入力画面
名前入力画面

質問画面
質問画面

妖怪生成画面:其の一
妖怪召喚画面:其の一

妖怪生成画面:其の二
妖怪召喚画面:其の二

「ひざとひざ」要素がないことにイベント開催間近に気づき、妖怪結果画面にある合成コード(6桁の数字)をユーザー同士で交換することで新たな膝妖怪を生成できる「膝合成」機能をつけました。世代管理をしており、親世代の要素が引き継がれます。

妖怪合成画面
妖怪合成画面

また、展示する場所に共用スクリーンを設置して、召喚した膝妖怪をリアルタイムに投影する演出をしました。さらにイベント当日に私たちが状況を確認するための管理画面も作成しました。

共用スクリーン画面
共用スクリーン画面

使ったサービスと選定理由

サービス 用途 選定理由
ChatGPT コンセプト設計・ストーリー構築 取り掛かったとき手元にあった
Gemini CLI プロンプト生成・変換 Google製なのでFirebase Studioに詳しそうだと思ったので
Firebase Studio 開発環境・コード生成 Next.jsアプリをAIで自動生成できる
Gemini 2.5 Flash-Lite 妖怪データ生成 Firebase Studioが Gemini 2.0 Flash-Lite を選定したが、RPDの大きいこちらに変更
Gemini 2.0 Flash Preview Image Generation 妖怪画像生成 Firebase Studioが選定
Gemini 2.5 Flash Image メインビジュアルと背景画像 Google AI Studioから Web UI で画像生成ができる
Claude Code 外部サービス連携・高度な機能実装 Firebase Studioの制限(後述)を超えた実装ができる
Supabase データベース Supabase MCPでDB設計・構築・操作をAIに任せることができ、無料枠もある
Cloudinary 画像配信 配信最適化と十分な無料枠がある
Gemini Canvas プレゼン資料作成 視覚的な資料を自動生成できる

こだわった点

1. とにかくAIに任せた

作品のコンセプト、ストーリー、テキスト、デザイン、コーディング、すべてをAIに任せました。自分で触りたくても絶対に我慢。人間の役割はAIへの指示と、生成結果の確認とフィードバックのみに徹底しました。

以下、制作の大まかな流れです。

  1. ChatGPT で作品のコンセプトとストーリーを設計
  2. Gemini CLI で上記をFirebase Studioに伝えるプロンプトを生成
  3. Firebase Studio で初期プロトタイプ構築
    • Gemini 2.5 Flash-Liteで妖怪データ(名前、特徴、異能、呪句)の動的生成
    • Gemini 2.0 Flash Preview Image Generationで妖怪画像の動的生成
  4. Claude Code で外部サービス連携機能の実装
    • Supabase MCPでデータベース設計と構築
    • Cloudinaryで画像配信
  5. Claude Code でブラッシュアップ
    • アニメーションやエフェクトの追加、デザインの微調整
    • レアリティや合成など後から思いついた機能の実装
  6. Google AI Studio (Nano Banana) でメインビジュアルと背景画像作成
  7. Gemini Canvas でプレゼン資料作成

各工程で、1.で生成した「作品コンセプト」をコンテキストとして与えることで、ある程度イメージ通りの作品を作ることができたのだと思います。

1. 作品コンセプト(ChatGPTで生成)
# 💀膝妖怪展 〜残業三従士、令和の闇に染まるとき〜

――その膝には、何が棲んでいるのか。持ち帰れ、あなたの膝妖怪ステッカー

## 🎭 全体コンセプト

令和初期の日本、  
"長時間の座業"と"過労の業(カルマ)"により、  
現代人の膝に妖怪が宿り始めた――。

本展示では、フォノグラムと呼ばれる都市伝説SNSに投稿された"膝妖怪"たちを、  
浮世絵風ビジュアルとAI生成コンテンツを通じて一堂に紹介。

中心に据えられるのは、「残業三従士」と呼ばれる3人のオフィスワーカーが  
"膝に宿った妖怪"と戦いながらも、やがてその闇に呑まれていく悲劇の物語。

そして来場者自身もまた、AI体験コンテンツによってその「膝の業」が暴かれ、  
自らの妖怪を召喚・封印ステッカーとして持ち帰ることとなる──

---

## 🌀 展示構成

1. **フォノグラムの目撃録(導入)**  
   - SNS投稿風ディスプレイに怪異の記録  
     例:「夜中、膝が叫んだ」「膝から舌が伸びて…」  
   - 都市伝説のように噂が拡散する様子を再現

2. **残業三従士:登場人物紹介+ビジュアル展示**  
   - 膝眼の左源(エンジニア)  
   - 膝舌の宗馬(編集者)  
   - 膝火の千賀(マネージャー)  
   - それぞれの"膝妖怪との邂逅"と"妖怪化の過程"を浮世絵&短編ストーリーで紹介

3. **フォノグラム妖怪絵巻ギャラリー**  
   - AI生成の浮世絵風ビジュアルで構成された、膝妖怪たちの大絵巻展示  
   - 各妖怪には小さく三従士との戦い・逸話の挿絵も添える

---

## 🔮 来場者体験コンテンツ

### ✴️ タイトル
**「あなたの膝に、何が棲んでいる?」**  
— AI診断で召喚・封印 —

### 🎮 体験コンセプト
来場者自身が、三従士と同じく**"膝に宿る妖怪"と向き合う**体験。  
自身の「社畜的苦悩」をAIに打ち明けることで、  
AIがその業を分析・視覚化し、専用の妖怪ビジュアルを生成・ステッカーとして封印。  

あなたも気づいていないだけで──  
もう"何か"が、膝に棲みはじめているかもしれない。

### 🧩 体験の流れ(約15分)

1. **社畜診断入力(3分)**  
   - 「膝が痛くなる瞬間」や「仕事での苦しみ」などを数問自由記述/選択入力

2. **AIカルマ分析(2分)**  
   - GPTが「社畜カルマ度」「膝妖怪の潜伏率」などを診断し、不気味なコメントを生成  
   - 例:「あなたの膝、もう"音"がしなくなっていませんか?」

3. **妖怪召喚・ビジュアル生成(3分)**  
   - 妖怪名(例:膝悶の伽羅火)  
   - 特徴、異能、ささやき、呪いフレーズ  
   - DALL·E または SDXL により生成された浮世絵風ビジュアル

4. **ステッカー封印(5分)**  
   - その場で高品質ステッカーを印刷  
   - 和柄+妖怪ビジュアル+妖怪名+診断一言付き  
   - 封印札風の装飾あり(朱印・社名印風など)

---

## 🧷 ステッカー特性と活用

- 見た目はカッコいい浮世絵/ホラー調  
- 各自の"膝妖怪"を持ち帰る体験(=「闇との共生」)  
- SNSでのシェア用にQRコード添付も可能  
- 展示最奥のデジタル絵巻で、自分の妖怪が並ぶ演出あり(随時追加)

---

## ⚙️ 技術構成

| 要素           | 内容                                                   |
|--------------|------------------------------------------------------|
| 生成AI         | GPT-4(ストーリー・妖怪名・性格など)                            |
| 画像生成        | DALL·E 3 or SDXL(浮世絵フィルター)                             |
| UI           | Webアプリ+タブレット or PC操作                                   |
| ステッカー印刷     | シールプリンター(SELPHY/VersaSTUDIO 等)                        |
| 展示連携        | デジタル絵巻(スクリーン投影)とのリアルタイム反映                 |

---

## 4.AIプロンプトテンプレート

### ① 社畜苦悩分析用(GPT-4)

```plaintext
あなたは「令和の膝妖怪診断師」です。
以下の利用者の入力内容をもとに、「社畜度」「過労カルマ」を分析し、
不気味で少し不完全な妖怪コメントを短く3文以内で生成してください。

入力内容:{利用者の苦労や過労内容}

例:
「あなたの膝はすでに何かを隠している」
「静かな痛みは怨念の囁き」
「その座業が闇を呼ぶ」
```

### ② 妖怪ビジュアル生成用(DALL·E 3 or SDXL)

```plaintext
令和時代のオフィスワーカーの「膝に宿る妖怪」を浮世絵風に描いてください。
妖怪の特徴は以下です。

妖怪名:{AIが決めた膝妖怪名}
特徴:{AIが分析した性質・能力}
色調:赤・藍・墨色を基調
スタイル:浮世絵、日本の怪談画風、不気味だが美しい
```

### ③ 妖怪名・能力・呪い言葉生成(GPT-4)

```plaintext
膝妖怪の名前と能力、そして呪いの一言を生成してください。
テーマは「現代の過労とデジタル疲労にまつわる怨念」です。
名前は2~4文字程度でかっこよく。
能力は不気味かつ仕事の辛さに結びつくもの。
呪い言葉は来場者が思わず震える一言にしてください。

例:
名前:「膝悶の伽羅火」
能力:「座り続ける者の膝に炎を灯す」
呪い:「動けぬ業火、我が膝に宿れ」
```
2. Firebase Studio向けプロンプト(Gemini CLIで生成)
# Firebase Studio向けAI駆動開発プロンプト:膝妖怪展

## 1. アプリケーションの概要

あなたは、展示会「膝妖怪展」で来場者が使用する、インタラクティブなWebアプリケーションの開発者です。このアプリは、来場者自身の「仕事の苦悩」をAIが分析し、オリジナルの「膝妖怪」を生成して、その場でステッカーとして印刷・提供することを目的とします。

**# 全体コンセプト**
- **タイトル:** 「あなたの膝に、何が棲んでいる?」
- **テーマ:** 現代のオフィスワーカーの"過労の業(カルマ)"を可視化し、エンターテイメント体験に昇華させる。
- **デザイン:** 全体的に和風ホラーテイスト。浮世絵、古文書、お札(ふだ)のようなデザイン要素を取り入れる。
- **基本カラー:** 黒(#000000)、深い赤(#8B0000)、藍色(#192F51)、墨色(#333333)を基調とする。
- **フォント:** 不気味さや和の雰囲気を演出できる明朝体(例: `Noto Serif JP`)をメインに使用する。

---

## 2. 画面構成と機能要件

このアプリケーションは、以下の4つの画面で構成されます。画面遷移は直線的で、来場者は順番に体験を進めます。

**【画面1: スタート画面】**
- **目的:** 来場者を引き込み、体験の始まりを告げる。
- **UI要素:**
    - **背景:** 薄暗い和室に、ポツンと置かれた古い座布団の画像。
    - **タイトルテキスト:** 「あなたの膝に、何が棲んでいる?」を画面中央に大きく表示。
    - **サブテキスト:** 「――その膝には、何が棲んでいるのか。」をタイトルの下に小さく表示。
    - **ボタン:** 「診断を始める」と書かれた、朱色のハンコ風ボタン。クリックすると画面2へ遷移する。

**【画面2: 社畜診断入力画面】**
- **目的:** 来場者の「業」に関する情報を多角的に収集する。
- **UI要素:**
    - **プログレスバー:** 画面上部に配置し、診断の進捗(1/9 → 9/9)を示す。
    - **質問エリア(選択式):**
        - 以下の8つの質問と選択肢を、1問ずつ順番に表示する形式。回答すると次の質問へスライドするようなアニメーションを入れる。
        - **Q1. 一日のうち、最も長く"固定"されている身体の部位は?** (a. マウスを握りしめる右手, b. キーボードを叩き続ける指先, c. 画面を凝視する眼球, d. 椅子に沈み込む尻と膝)
        - **Q2. あなたのデスク周りで、最も"怨念"が溜まっていそうなものは?** (a. 増え続ける空の栄養ドリンク瓶, b. 付箋だらけで縁が黒ずんだモニター, c. 謎のシミができたマウスパッド, d. 何年も交換していないキーボード)
        - **Q3. 上司や同僚からのメッセージで、最も心を削られる一言は?** (a. 「ちょっといい?」(全然ちょっとじゃない), b. 「これ、今日中でお願い」 (現在時刻18:00), c. 「(休日に)今、電話大丈夫?」, d. 「なるはやで」)
        - **Q4. 深夜のオフィス。ふと我に返る瞬間は?** (a. 鳴り響く自分の腹の音, b. モニターに映る虚無の顔, c. 誰もいないはずのフロアからの物音, d. 「…あれ、今何時だ?」)
        - **Q5. あなたのランチタイムは、平均何分?** (a. 10分以内 (デスクでPCを見ながら), b. 30分くらい (スマホを見ながら), c. 1時間きっかり (同僚と), d. そもそも取らない)
        - **Q6. 「健康のために何かしてる?」と聞かれたら、あなたの答えは?** (a. 「エスカレーターを階段にする…時もある」, b. 「野菜ジュースを飲んでる」, c. 「気休めのサプリメント」, d. 「…寝ること?」)
        - **Q7. あなたの膝が悲鳴を上げるのは、どんな時?** (a. 満員電車で立ちっぱなしの帰り道, b. 週末に溜まった家事をこなす時, c. 階段を一段飛ばししようとして踏み外した瞬間, d. 何もしていないのに、じわりと痛む夜)
        - **Q8. もし、1週間の休みが取れたら、まず何をしたい?** (a. とにかく寝る。ひたすら寝る。, b. 温泉に浸かって身体を労る, c. スマホを捨ててデジタルデトックス, d. …結局、溜まった仕事をしそう)
    - **質問エリア(自由記述):**
        - 全ての選択式質問に回答した後、最後の質問として表示する。
        - **Q9. 「もし、あなたの膝が言葉を話せるとしたら、今、なんと言っていますか? その悲痛な叫びを、ここに書き記してください。」** というテキストを表示。
        - その下に、複数行入力可能な大きめのテキストエリアを配置する。
    - **ボタン:** 「AIに魂を送信する」と書かれたボタン。クリックすると、入力内容で `generateYokai` Cloud Functionを呼び出し、画面3へ遷移する。

**【画面3: AIカルマ分析・妖怪召喚画面】**
- **目的:** AIが分析・生成を行っている間の待機画面。期待感を煽る演出を行う。
- **UI要素:**
    - **背景:** 墨で描かれた渦のようなアニメーション。
    - **表示テキスト:** 以下のテキストが順番に、タイプライター風に表示される。
        1. 「あなたの"業"を分析中…」
        2. 「膝の奥底から、怨念の囁きが聞こえる…」
        3. Firestoreから取得した「不気味なコメント」 (例: 「あなたの膝、もう"音"がしなくなっていませんか?」)
        4. 「形を成していく…見えたぞ、あなたの膝妖怪が!」
    - **ローディング:** 全てのテキストが表示された後、妖怪のビジュアルが生成されるまで、お札が回転するようなローディングアニメーションを表示する。
    - **処理完了後:** Firestoreのドキュメントが完成したら、自動的に画面4へ遷移する。

**【画面4: 診断結果・ステッカー封印画面】**
- **目的:** 生成された妖怪を披露し、ステッカーとして「封印」する体験を提供する。
- **UI要素:**
    - **全体レイアウト:** 古いお札や封印札のようなデザイン。
    - **妖怪ビジュアル:** 画面中央に、Firestoreから取得した妖怪画像のURLを大きく表示する。
    - **妖怪名:** 画像の上に、習字のようなフォントで大きく表示する。(例: 「膝悶の伽羅火」)
    - **診断コメント:** Firestoreから取得した「不気味なコメント」を、妖怪名の近くに表示する。
    - **妖怪の解説:** Firestoreから取得した「特徴、異能、ささやき、呪いフレーズ」を、巻物風のエリアに表示する。
    - **ボタン1:** 「この妖怪をステッカーに封印する」ボタン。クリックすると、印刷APIを叩き、ステッカープリンターから印刷される。
    - **ボタン2:** 「最初に戻る」ボタン。クリックすると画面1へ遷移する。
    - **(オプション機能):** SNSシェア用のQRコードを画面の隅に小さく表示する。

---

## 3. Firestore データモデル

`yokaiResults` というコレクションを作成してください。各ドキュメントは以下のフィールドを持ちます。

- `answers`: (Map) 質問1から8までの回答。
- `freeText`: (String) 質問9の自由記述回答。
- `status`: (String)処理状況を示すステータス(例: "processing", "comment_generated", "completed")。
- `creepyComment`: (String) GPT-4が生成した不気味なコメント。
- `yokaiName`: (String) GPT-4が生成した妖怪名。
- `yokaiData`: (Map) 妖怪の詳細情報。
    - `feature`: (String) 妖怪の特徴。
    - `ability`: (String) 妖怪の能力。
    - `cursePhrase`: (String) 妖怪の呪いの一言。
- `yokaiImageUrl`: (String) DALL-E 3 / SDXLが生成した妖怪画像のURL。
- `createdAt`: (Timestamp) ドキュメントの作成日時。

---

## 4. バックエンド機能の要件

`generateYokai` という名前のCloud Functionを作成してください。この関数はHTTPリクエストでトリガーされ、以下の処理を順番に実行します。

1.  リクエストボディから `answers``freeText` を受け取ります。
2.  受け取ったデータを含む新しいドキュメントを `yokaiResults` コレクションに作成し、`status` を "processing" に設定します。ドキュメントIDをフロントエンドに返します。
3.  フロントエンドは、返されたIDのドキュメントをリアルタイムで監視します。
4.  **(非同期処理)** 作成したドキュメントを元に、以下のAI生成処理を続行します。

    a. **不気味なコメントを生成:** ユーザーの入力内容を元に、以下のプロンプトでGPT-4 APIを呼び出します。
    ```plaintext
    あなたは「令和の膝妖怪診断師」です。以下の利用者の入力内容をもとに、「社畜度」「過労カルマ」を分析し、不気味で少し不完全な妖怪コメントを短く3文以内で生成してください。
    入力内容:{利用者の苦労や過労内容}
    例:「あなたの膝はすでに何かを隠している」「静かな痛みは怨念の囁き」「その座業が闇を呼ぶ」
    ```
    結果をFirestoreドキュメントの `creepyComment` フィールドに保存し、`status` を "comment_generated" に更新します。

    b. **妖怪の詳細を生成:** ユーザーの入力内容と(a)のコメントを元に、以下のプロンプトでGPT-4 APIを呼び出します。
    ```plaintext
    膝妖怪の名前と能力、そして呪いの一言を生成してください。テーマは「現代の過労とデジタル疲労にまつわる怨念」です。名前は2~4文字程度でかっこよく。能力は不気味かつ仕事の辛さに結びつくもの。呪い言葉は来場者が思わず震える一言にしてください。
    例:名前:「膝悶の伽羅火」、能力:「座り続ける者の膝に炎を灯す」、呪い:「動けぬ業火、我が膝に宿れ」
    ```
    結果を `yokaiName` と `yokaiData` フィールドに保存します。

    c. **妖怪ビジュアルを生成:** (b)で得られた妖怪名と特徴を元に、以下のプロンプトでDALL-E 3 / SDXL APIを呼び出します。
    ```plaintext
    令和時代のオフィスワーカーの「膝に宿る妖怪」を浮世絵風に描いてください。妖怪の特徴は以下です。
    妖怪名:{AIが決めた膝妖怪名}
    特徴:{AIが分析した性質・能力}
    色調:赤・藍・墨色を基調
    スタイル:浮世絵、日本の怪談画風、不気味だが美しい
    ```
    結果の画像URLを `yokaiImageUrl` フィールドに保存します。

    d. **完了:** `status` を "completed" に更新して処理を終了します。

2. 外部サービス連携

新しいアイデアを付け足しながら作っていったので、Firebase Studioだけでは物足りなくなってきました。しかし、Firebase Studioでは外部サービス連携(特にGoogle製サービス以外)を実装しようとすると断られます。そこで以下の方法で解決しました。

  • Firebase Studio → GitHub連携させて、プロジェクトをエクスポート
    • Firebase StudioにClaude Codeを導入しようとしたが、うまくいかず断念
  • 外部サービス連携部分をClaude Codeで別途実装
  • Supabase MCPを使ってDB設計・構築もAIに任せる

3. 作品をリッチにする

作品をしょぼい感じにしたくなかったので、ビジュアル要素にこだわりました。

CSSアニメーションの実装と言語化

アニメーションやエフェクトはすべてCSSで実装されています。そのため、AIに指示を出すために視覚的な効果(フェード、回転、パルスなど)を言語化する必要があり学びになりました。

最初は「怖い感じで」といった曖昧な指示をしていましたが、具体的な指示することで、思い通りの演出が実現できるようになりました。

画像生成のコツ

画像生成では、情景を詳しく伝えることで求めている結果が生成されやすいことも実際に体験できました。例えば、「膝妖怪の画像」というプロンプトよりも、「浮世絵風の画風で、赤と黒を基調とした、オフィスワーカーの膝に取り憑く妖怪。背景は和紙のテクスチャ」というプロンプトの方が、求めている結果が生成されやすいことがわかりました。

既にある画像から、新しいシーンを追加したり、キャラクターを追加・削除したりするのは Gemini 2.5 Flash Image (通称:Nano Banana) が非常に強力です。

また、日本語テキスト(文字化け)が入ってしまう問題にもぶち当たりましたが、英語プロンプトにすることで意図しない日本語(文字化け)の描画を防げることも発見しました。作品内で日本語を表示したい場合は、画像生成後に別途オーバーレイするようにしています。

4. 制作費用を抑えた

各種サービスの無料枠を最大限活用することで、制作費を最小限に抑えることができました。

各サービスの無料枠

サービス 無料プランの内容 対策
Firebase Studio 3ワークスペースまで 1つだけ利用
Gemini 2.5 Flash-Lite
(テキスト生成)
1日1,000リクエストまで
15 RPM(リクエスト/分)
250,000 TPM(トークン/分)
レート制限時の予備テキストを準備
Gemini 2.0 Flash
(画像生成)
1日100リクエストまで
10 RPM(リクエスト/分)
レート制限時のデフォルト画像を準備
Google AI Studio 無料(Web UI) レート制限があるので日を分けて生成
Supabase DB容量500MB
ファイルストレージ1GB
5GB/月の帯域幅
Database/Realtimeのみ利用
Storageは無料枠の大きいCloudinaryに任せる
Cloudinary 25クレジット/月
帯域幅やストレージ使用量などで消費
画像保存・配信で利用

おわりに

「ひざとひざ」というテーマで、それぞれ全く違った作品を作り上げました。同じお題と制約を与えてもこんなに多様な解釈と表現が生まれたことに驚きました。

使われているAIは様々でしたが、Firebase Studioが人気がありました。エンジニアでなくても簡単にWebアプリケーションが作れることもあり、社内で便利さを広めたり使い方を教えあう様子も見らるようになりました。次点でChatGPTも人気でした。テキスト生成はもちろん、画像生成(DALL-E)も活用され、幅広い用途で使われていました。

今回のイベントを通じて、これまであまりAIを活用していなかった人もプロトタイプ、画像、動画などを作れるようになったり、社内全体のAI活用スキルが大きくレベルアップしたと感じました。AIツールの使い方や得意・不得意なこと、指示するコツなど、普段の業務にも活きてきそうです。

AIだけで作品を作るという制約は、逆に創造性を刺激し、新しいモノづくりのやり方を模索する良い機会となりました。総じて、今年の「赤祭り」は大成功だったと言えると思います!

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