iOSショートカット実用例10連発!
ショートカットに何ができるのか
これは
「ショートカット?何ができるか分かんないし…」
というあなたに贈る記事だ。
普段ショートカットを活用しまくっている人間がどんな使い方をしているのか、具体例をお見せしよう。
ショートカットを手動で起動することは、実はほとんどない。主に自動起動(オートメーション)、または共有シートからの起動、アクセシビリティ、他のアプリとの組み合わせで稼働させる。その組み合わせにこそショートカットの便利さは宿っている。
各事例のタイトルに「組み合わせ」アイコンをつけることにした。
- 👇🏻 ショートカット単体、手動起動
- 🗣️ Siri経由起動
- 🕙 オートメーションとの組み合わせ(時刻以外のオートメーションはそれらしきアイコンを添えてある)
- 🚹 アクセシビリティとの組み合わせ
- ⬆️ 共有シート経由で他のアプリと組み合わせ
- 🙏🏻 他アプリからショートカットを起動する
では、ちょっとした小技から、「そんなことできるんだ!?」まで、ご覧いただこう。
🕙 天気予報をDiscordに自動投稿するショートカット
毎日決まった時間に天気予報を自動投稿する仕組みをオートメーションで実現している。
記事にした。
👇🏻 英語の読み上げ算
英語で数を読み上げてもらって計算し、口頭で答えるショートカット。英語の数の listening and speaking を練習するのが目的。目で数字を読むと日本語で読んでるアナタ(私もだ)。音声のみの訓練が必要。計算するとなると真剣に聞いてしまうので良い。
🕙 雨が降りそうなら Apple Watch の文字盤を切り替える
この季節、Apple Watchの文字盤にUV指数を表示しているが、雨が降りそうなら同じ場所に雨の情報を表示したい。表示できるコンプリケーションの数は限られているのだ。そこだけを変更した文字盤を作っておいて、6時間ごとに天気予報の情報を見て切り替えている。
🕙[🛏️] 起床アラームを止めると部屋の電気がつく
オートメーションに「起床時」というのがある。あれは「iPhoneの睡眠スケジュールで起床の時刻が来たら」という意味だが、起床アラームの設定がオンの場合には「起床アラームを止めたら」という動きになる。
そのオートメーションでこのように設定すると
アラームを止める→電気がつく。
「いまアラームを止めただろう。もう絶対に起きろ。」という圧がすごい。
🚹 背面タップで画面の向きのロックを解除する
iPhoneの背面をダブルタップ/トリプルタップするとあれこれできるのはご存知だろうか。
設定アプリ→アクセシビリティ→タッチ→背面タップ→ダブル/トリプルタップ、と進むと動作が選べる。
「画面の向きをロック」というのがあるが、これはトグル動作になっていて、今どっちなのかコントロールセンターを開いて確認するハメになる。
ここでショートカットを呼び出せる。
- ダブルタップ…ロック解除
- トリプルタップ…ロック
という設定にしてある。どちらになったのか分かるように、iPhoneを振動させている。
🗣️👇🏻 リモコン
- Switchbotで電気やエアコンをつけたり消したりするショートカットを作る。
- 「リモコン」というフォルダに放り込む。
- 「リモコン」フォルダの中身の一覧を表示して選ばせ、実行するショートカットを作る。
- 「Hey Siri, リモコン」で起動する。
- ホーム画面にアイコンを置くか、ウィジェットに登録してもよい。
応用
「ぴよログ」というアプリで体調の記録を取っていたことがあり、同じ仕組みのショートカットを作っていた。
「ぴよログ」自体は育児記録アプリだが、大人が自分の体調記録を取るにもよい。
🕙 全ショートカットを毎日GitHubにpushする
これは Working copy というアプリが必要。買い切りで確か1,200円。
さすがに少し仕組みが複雑なので、骨格だけ。- まず GitHub に新しいリポジトリを作成しWorking copy アプリでクローンしてローカルリポジトリを作っておく。初回のみ
- 「ショートカットを取得」アクションでファイルイメージを作り、Working copy のアクション(リポジトリに書き出すアクションがある)に渡して書き出す。
- commit アクション(pushオプションをオンにする)で commit & push する
余談
以前は書き出したショートカットはテキストで、一応 human readable だったが、今見たらいつのまにかバイナリになっている。最終書き出しの日付より新しいものだけ書き出すコードになっているのに。一度全部書き出し直すか。
🗣️👇🏻 Macのディスプレイを消す
布団に入ってから「ディスプレイ眩し!」となった時はこれ。Siriに頼むことが多いかな。
sshでコマンドを発行するアクションがある。
初めて使う時の手順
- Mac側でリモートログインの設定をする(パスワードログインは禁止し、SSHキーのみ受け付ける設定にすることを強く推奨する)
- iPhoneのショートカットでsshアクションを置く
- 「SSHキー」の右の方をタップしてキーペアの画面に移る
- 「新しいキーを生成」でキーペアを作成する
- 公開鍵をコピーし、Mac側の
.ssh/authorized_keys
に追加する
最初はちょいと手間が要る。布団に入ってからMacに言うことを聞かせるためにはそのくらい大したことはない。
これを済ませたら、目的のコマンドラインを書く。コマンドの標準出力がテキストとしてこちらに渡ってくるので、最初はls
なりecho Hello world
なりしてみるとよい。
動作確認ができたら目的のコマンドを実行してみよう。
応用
上記ができたら何のコマンドでも実行できる。
% open -a /Applications/Notion.app
こんなコマンドを発行して、向こうのほうにあるMacの画面で急にNotionアプリが起動するのはなんとなく笑える。実用にはならないが。
これからMacで仕事しようと思うが、起動にちょっと時間のかかるような、たとえばVSCodeを開いてGithubのCodespacesに接続しに行くやつをトイレからキックしておく、みたいなことはあるかもしれない。
あまりやらない方がいいような気はするが、リブートやシャットダウンもできる。
sudo
できてしまう。おそろしい。よい子は真似しない方がよい。
🗣️ 声だけでChatGPTと音声会話を開始する
ChatGPTが音声会話できるようになった。そこまでできるようになったら、手の操作なしで起動して会話したいのは人情というものだ。
Siriに手伝ってもらえばそれが可能になる。
「Hey Siri、ちゃぴとお話したい」
と言うと、ChatGPTの音声会話が起動し、流れるようにスムーズにChatGPTとの会話が始められる。
Siriには少しばかり申し訳ない気持ちになるが、今週のWWDC24で、次のiOSにはChatGPTがかなり活用されるらしいとの報せだ。このショートカットはそれまでの繋ぎということになるだろう。
🕙[🔋,📍] バッテリーが減ってきた時に外出中なら低電力モードをオンに
家にいるなら充電すればいい。外出中に減ってきたら低電力モードにしたい。
こういうのを作って
バッテリーのオートメーションに仕込む。
残量に関係なく、外出中は常に低電力モードにしたい人は場所のオートメーションを使うとよい。
自宅を出発した時に低電力モードをオン、到着した時にオフにする。
🕙[⏰] アラームを止めるとアプリが開く
うちにいる高校生は塾は要らないと言い、分からないところがあると私に聞くことにしている。
とはいえ私もヒマなわけではないため、勉強に付き合ってほしいなら前日までに予約を入れてくれという約束にしている。が、どうしても忘れる。
「勉強予約をする」アラームをかけているようだが、その時忙しいと止めるだけになってしまうらしい。
「よし、じゃあもう忙しい時はスヌーズする。やれそうな時には止める。アラーム止めたら自動でカレンダーアプリ開こう。そこで時間枠取って。しない日は削除。締切時間にDiscordに投稿する、それで決定。それでいいかな」
「わかった。これでうまくいかなかったらまた相談させて」
高校生のiPhoneのオートメーション
私のiPhoneのオートメーション
こうやって仕組みで対応してもらうのが当たり前の環境で育ってしまい、今後やっていけるだろうかと思っていたら、
「カレンダー開く前にDiscordで打診するとこを追加したい。Webhook経由でやろうと思うけどいい?」
と言って、サッサとそのように修正してきた。思ったより頼もしかった。その調子でやってもらえると助かる。
⬆️ Zennのスクラップを記事に生まれ変わらせる
今作った。必要に迫られたからだ。
こうやってスクラップを書いていて、記事にしたくなった。
ZennにはスクラップのMarkdownなどを提供するAPIがあるが、Fetchはできないらしい(ログインしてくださいと断られる)。
ブラウザでならアクセスできる。こういうとき、ショートカットの出番だ。ブラウザから共有シートを開き、ページ内容を渡してもらって処理できる。
まずスクラップのページから共有シートを開き、そこからJSONのページにアクセスするショートカットを起動する。そうすると新しいタブで目的のJSONが開く。
JSONのページから共有シートを開き、記事ファイルに変換するショートカットを起動する。このショートカットに渡してしまえば、iPhone中のリポジトリに追加してくれる。
これを草稿にして記事に仕立て、トピックなどを設定し、適切なスラッグでファイル名を付け直してpushすれば記事として投稿できる。便利。
スクラップはハードルが低くて書きやすい。大きな画面で書くと話が長くなりがちなところ、スマホでプレビューしながら書いているとそうなりにくい。あと、草稿を気軽に見てもらいやすく助かる。
🙏🏻 Due(リマインダーアプリ)で完了した時に後続タスクのリマインダーを登録
ショートカットを外部から実行するURLスキームというのがある。
shortcuts://run-shortcut?name=[名前]&input=[入力]&text=[テキスト]
Dueのタイトルにこれを仕込んでおく。そうすると、完了時に「これを開く」ボタンが出る。
さきほどのアラームオートメーションと似たような動きだ。
Apple Watchの充電とつけ直しを忘れがちな私
終わらないな
何が10連発だ。ここまででもう13個ある。
ショートカットがあちこちに入り込んでいて、紹介しきれない。あとは箇条書きで軽く紹介する。20連発を越えるが、まあいい。
- 🗣️「Hey Siri, アマゾンでアレ検索して」と言うと「はい、アレですね。アレって何でしたっけ」と優しく介護しながら検索してくれる
- 🗣️○オンネットスーパーでも同じように介護してくれる
- ⬆️テキストの文字数をカウントする(共有シートから起動)
- 🕙📍自宅から出たら「屋外ウォーキング」のワークアウトを開始する
- ⬆️PDFをそのまま送ると開くのを面倒がる家族のために、PDFを画像に変換して送る(共有シートから起動して、共有シートで他のアプリへ送る)
- 👇🏻🗣️クリップボードの内容を表示するだけのショートカット。これが意外と役に立つ。「今クリップボードに入ってる画像を保存したい、もうクリップボードにしかない」というのを救済できて便利
- 👇🏻その場で画像を結合したり分割したり縮小したりしたくなったとき、即席でショートカットを作って処理する
- 👇🏻小さな画像やサウンドをBase64エンコードするショートカット。ショートカットに画像や音を添えたい時、普通はどこかにファイルを置いてそれを使う。面倒。エンコードしておくとショートカット内で完結できて便利
- 👇🏻ショートカットを実行するURLスキームを作るショートカット(?) いや、便利なんだ、スキーム覚えてられないしURLエンコードとかしなきゃならん。ショートカット使わない人には何が嬉しいか分からないのくらい分かっている。あなたもそのうち「要るよね!」と言うようになる。
こうやって書き出してみると、以前なんでも perl
や ruby
でパパッと処理してた時と同じようにショートカットを使っている。システムを組む感じとは少し違う。
シェルのコマンドラインで sed
や cut
や awk
やなんかを組み合わせてワンライナーでその場で処理していた頃のことを思い出す。
ショートカットの気軽さ、エラー処理の甘さは「今これ処理したいだけやねん」を手当てするためのものだから、ということなのかもしれない。
やってみたくなったら
たくさん並べたが、中身をほとんど説明していない。やってみたくなった人に不親切な記事ですまない。
やってみたいものがあったら、まず自分でチャレンジしてみるといい。分からなかったらコメントで質問どうぞ。おもてなしはできないが、ヒントくらいなら出せる。
ショートカットをまったく触ったことない人には、まず「クリップボードの内容を表示するだけのショートカット」を作ってみることをおすすめする。簡単なわりに実際の役に立つ。
Enjoy shortcutting!
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